2021年北海道ツーリング
~5年ぶりの北海道~

2021年9月11日~9月18日


めまんべつ メルヘンの丘にて

9月15日(第5日目)
その1

1.今日も頑張ろう

今朝も冷えたが、昨日購入した毛布のおかげで快適に眠れた。6時30分頃に起床すると、隣の東北出身君は既に荷物をまとめていて、出発するところだ。成田氏も起床していて、出発準備をしている。当方だけのんびりしているわけにもいかないか、ということで起きてゴソゴソと活動を開始する。

まずは朝飯だが、昨日購入したランプパンと牛乳で済ませる。このランプパンはレーズンが入っていて、表面には砂糖がかけてある。大きさは直径が15㎝ぐらいあって、食べ応えがある。味もまずまず良いので、こちらに泊まったら購入するのもよかろう。


今日の朝飯 ランプパン
(牛乳は昨日セイコマにて調達)

東北君は7時頃に出発していく。彼を見送りながら寝袋を片付けたり、荷物の整理をしたりして準備を進める。旅も5日目ともなれば、だいぶ慣れてくるので、それ程時間はかからない。そして、7時30分過ぎには玄関まで荷物を運んでいくのだが、成田氏もちょうど荷物を積んでいるところだ。

ここで、GLのメンテナンスについて話を聞くのだが、カバーが多いので全体的に時間がかかるということだ。プラグの交換(水平対向6気筒なので6本ある)は2時間ぐらいかかるということだ。もちろん、プロがやればもっと短い時間でできるだろうが、それでも通常のマシンよりも大変だろう。

また、GLを購入したのはなじみの店だったそうだが、その店は「一見さんにはこんなものは売らない」ということだ。結局、整備をすればカバー脱着の工賃が上乗せされるので、その分余計にお金がかかる。それを理解している人でないとトラブルになる可能性があるので、安易に売りたくはないのだろう、ということだ。

準備ができたので、GLを軒下から道路に出すのだが、この際はバックギアを使って慎重に動かす必要がある。「この瞬間がいつも緊張するんですよね」とは成田氏。確かに、それだけ大きなマシンを足をつきながらとはいえ、後ろ向きに動かすのは大変だろう。

成田氏とGLを見送り、当方も荷物を積載する。バックで出るのは嫌なので、あらかじめ機首を道路側に向けてから荷物を載せていく。これも5日目ともなれば慣れたもので、手順に従って確実に固定していく。よっしゃ、準備完了だ。


ランプの軒先にて

2.出発

エンジンを始動して、しばらく暖機する。この間に自慢の温度計で気温を測定すると、11℃となっている。この温度計は2、3度高めに出るので、8℃ぐらいということになる。そんな中、マシンを走らせ始めて、山下通から国道39号線に出る。しばらく西向きに進み、Tの字を左折して南に向きを変える。ここからは網走湖沿いに走っていくのだが、2020年の2月に来た時とはまったく状況が違う。その時は一面凍っており、テントを張ってワカサギ釣りをしている人が多く見られた。もう1年半も前のことか、と時の流れの早さを驚きつつ走行を続ける。

我に返り、走行を再開する。そうだ、燃料を搭載しないといけない。ちょうどこの先に女満別の市街地があるので、スタンドがあるだろう。ということで、再び国道39号線を走り出す。2、3km行くと、女満別湖畔キャンプ場の前を通る。記録によると、2010年にここを利用しており、女満別温泉にも入っているようだ。そう言われてみれば、ここは快適なキャンプ場だったような気がするな。

キャンプ場を過ると市街地で、国道沿いにスタンドを見つけて滑り込む。ここはセルフではないので、店員が出てきて給油をしてくれる。こういうスタイルのスタンドは何年も利用していないので、ちょっと照れくさい。2言、3言会話をして給油を終える。420㎞走行して給油量は12.5Lだから、33.6㎞/Lと好燃費を記録している。まさに北海道燃費を叩き出しているので、気分も上々だ。

店員に見送られて、スタンドを後にする。そして、市街地を過ぎれば畑や田んぼの中を通るまっすぐな道が現れる。北海道ではこういう風景が当たり前なのだが、何度こういう状況になっても、本州から来た管理人は嬉しく思ってしまう。

直線道路を気分良く走行していると、大空町に入り、道の駅 メルヘンの丘めまんべつの看板が現れる。ここは道の駅ではなく、道路を挟んだその向かい側が重要だ。ちょっとした観光スポットになっていて、北海道らしい一面を切り取った風景が見られるのだ。

早速路側帯にマシンを入れて、景色を楽しむ。ここには幾度となく訪れているのだが、年によってはがっかりスポットになることもある。手前が畑になっていて、その向こうに何本が等間隔で木が立っており、さらにその向こうは広々とした空が広がるのだが、その畑の作物が収穫されていて土が丸見えになっている場合があるからだ。今は秋真っ盛りの9月なので期待はしていなかったのだが、意外にも畑には青々とした葉の作物が栽培されている。しばしその雄大さに心動かされて、ぼーっと見とれてしまう。5年ぶりの北海道であることは前述の通りだが、何回来てもその美しさに心動くことは変わらないものだ。

この時間では、ちょうど太陽を背中から受けているので順光だ。昨日は光線のタイミングが悪かったが、今日は幸先が良いな。そう思いつつ、カメラのシャッターを切っていく。もちろん、1枚では収まらない、雄大な景色だ。それ故に、なぜか心を惹かれてしまい、しばらく眺める。そうか、俺は北海道にいるんだなぁと実感する瞬間だ。冒頭の写真はその時の一葉だ。

3.絶景かな

さて、この先どのようにツーリングを進めるか。このまま北上するか、根室方面へ行くか。非常に迷う所だが、ここは直感に従って根室方面へ機首を向けることにしよう。となると、美幌峠を通りたいので、国道39号線を美幌の市街地まで行き、そこから酷道243号線に乗り換えることになりそうだ。

プランは承認されたので、エンジンを始動して走り始める。美幌の市街地までは10分程で到着し、うまく混雑を避けて243号線に乗り換える。この道は最初は平坦であるが、徐々に高度を上げていくと木々もまばらになってくる。そして、峠の道の駅 ぐるっとパノラマ美幌峠に到着だ。ここは広い駐車場と立派な建物があるのだが、それはどうでもよい。それよりも、この先の階段を上った所にある展望台がすばらしいのだ。

早速その階段を上り始めるが、こんなに傾斜が急で、しかも段数があったっけなぁ。そんな疑問を持ちつつも、それを上りきらない限り絶景には巡り合えない。上る以外に方法はないので、一段ずつ歩を進める。すると、だんだんと屈斜路湖の湖面が見えてくる。ああ、これだよ。


遥か下方に駐車場

いささか逆光線なのが残念だが、湖面と中心にある島、そして広がる青い空がなんとも見事に調和している。ここも息をのむ場所の一つで、管理人のお気に入りポイントだ。因みに、ここは火山の火口が湖になったカルデラ湖であり、その規模は日本一の面積があるようだ。


無理やり合成の屈斜路湖
(右端は和琴半島)

時刻は9時30頃なので少しずつ気温が上がってきているのだが、ここは標高が高いせいで結構な寒さだ。景色は良いのだけど、寒さで落ち着いて見ていられない。トイレにも行きたいので、写真を撮ってよくよく眺めたら階段を下りて建物に向かう。まだ9月も半ばなんだけど、やっぱり北海道って気温が低いんだなぁ。

膀胱を軽くしてから、コーヒーを飲んで一息つく。さて、この先の計画だが、もちろんノープランだ。今日は根室方面に行きたいので、このまま南下すればよい。途中で何かないかな、釧路湿原があるじゃあないか。ここは外さないとして、落石にも行ければ良いなと思う。

4.さらなる絶景を求めて

準備を整えて、Vスト君に火を入れる。今日も絶好調ですなぁ、頼むよ。ということで、国道243号線を下っていく。因みに、同国道はこの旅2回目で、開陽台に行く前に走っている。別名がパイロット国道であることも、前述の通りだ。

コーナーを右に左にクリアしていきながら、どんどんと標高を下げていくと和琴にやって来る。ここも何回か利用しているが、今回はパスだ。無料の温泉がなかなか良いのだよなぁ、そういえば、今回は温泉に入っていないなぁ。結構忙しいツーリングになってしまっているのだが、まあ仕方なかろう。

和琴を過ぎれば、弟子屈の街だ。ここも昨日通過しているので、さっさと通過する。そして、足湯に入った摩周を過ぎて国道391号線に切り替えて、釧路湿原方面を目指す。途中、磯分内で「多和平」へ続く道道1040号線の分岐を通過する。行こうかどうか、迷っていると通過してしまう。まあ、今回は縁がないということで通過だ。

標茶などの小さい町をいくつか通過していくと、地図上では、道が釧路湿原に沿って走るようになる。もちろん、目視でそれはわからないが、右側がなんとなく森みたいになっているので「この先は「湿原なんだな」と嬉しくなってくる。

さて、釧路湿原にはいくつか展望台があるのだが、当方はやはり「細岡展望台」が好きだ。ここは南北に広がる湿原の中間にあり、湿原を一望できるからだ。ただ、進入する道を間違えるとえらいことになる。ロードバイクの場合、達古武側から行くことが必須だろう。仮に遠矢側から行くと、完全な未舗装路なのでえらい目に遭いそうだ。因みに、2014年はオフ車で来ているので、敢えて未舗装路側から来たことがあるよ。

達古武沼の先に入口があるようなので、注意しながら進んでいくと、大きな看板が出ている。最近は親切に案内が出ているので、道に迷うことが少なくなってきている。嬉しいのは嬉しいが、ちょっと物足りない気がしないでもない。そんなことを思いつつ、達古武沼を右手に見ながら展望台を目指す。

北海道では、こういう沼や湖が良いにおいがする。地元だとなんとなく臭いというか、汚れているような気がするのだが。そんなことを思っていると、踏切がある。訓網線はこんな所を通っているのだが、まったくの観光用路線だ。

踏切を渡ると、あれ、ダートになっているじゃあないか。おかしいなぁ、こちら側は舗装路のはずだが。ちょっと心配なのでマシンを降りて様子を見に行くと、その先は再び舗装されているようだ。なんだよ、脅かすなよ。そう思いながら、慎重に車輪を進めて行く。もっとも、Vストはフロントタイヤが19インチリムなので、締まったダートならそれ程心配は要らない。また、サスペンションセッティングも標準より柔らかくしていることもあり、全く不安はなかったと補記しておこう。

坂を上っていくと、駐車場が現れる。別に2輪ならば展望台の入口に路駐しても良いが、今日はこちらに止めておこう。駐車場はそれ程混んでいないので、入口に近い方へマシンを止める。ちょっと太陽も出てきているので、帽子をかぶって歩道を歩いて行く。

駐車場の上にはビジターハウスがあり、休息もできるようだ。ただ、こういうご時世なので、今回はパスしておこうか。関係ないと言いつつも、やはりちょっと気になるのであった。矛盾した人間だなと自分に言いつつ、坂を上って展望台を目指す。

周囲を見ると、結構な数の人がいる。こんなシーズンオフの平日でも、結構人が来るものだな。ちょっと驚きつつ7、8分歩いて、展望台の入口へ到着する。そして、ここからさらに、林の道を少し歩くと・・・、見えてきました。ひゃぁ~これはすごい。日本にこんな所があるんだなぁ、と改めて目が覚めるような思いだ。釧路湿原を訪れるのは何回もあるが、毎回こんなことを思うのはそのすばらしさ故だろう。

まさに息をのむ風景だ。遠くの方に山々がみえるのだが、そこまでずーっと湿原が広がっている。そしてその湿原には大きく蛇行している川が流れており、所々に三日月湖も形成されている。また、横方向にも湿原は広がっていて、その終端は見えないので、終わりがないのでは、と思われるぐらいだ。


細岡展望台から見る釧路湿原
(左側が釧路方面)

しばらく言葉を失って、ただただ眺めたり、写真を撮ったりする。因みに、この湿原の形成過程を調べてみたのだが、WIKIPEDIAによれば、1万年ぐらい前の氷河期時代は多くの水が氷として蓄積され、その後6000年ぐらい前になると気温が上昇する。すると、氷河期には完全な陸地だった釧路湿原は水面下の土地となる。さらに4000年ぐらい前になると、再び気温が下がってちょうど半水没の現在のような状態になり、葦なんかの植物が茂ることになり、現在に至るということだ。

また、釧路湿原はラムサール条約に登録されているのだが、それは1980年と意外にも最近?だ。それ以前は湿原なんて何の価値もない不毛な土地、と言う認識だったらしく、埋め立てて牧草地や畑にしようとしていたらしい。それにより、面積が2割ほど縮小したそうだ。今なら考えられないことであり、無知とは怖いものだ。

9月16日 第5日目 その2へ続く

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