2021年北海道ツーリング
~5年ぶりの北海道~

2021年9月11日~9月18日


知床半島を前にして、国道335号線を行く

9月15日(第4日目)
その2

1.まだまだ先は長いよ

ライダーの聖地で景色を存分に楽しんだので、そろそろ次へ行こう。展望台の階段かを下りて駐車場へ向かう時、地元のおじさんい声をかけられる。こんなご時世なので、上陸以来、宿以外はではほぼ無口なので少しホッとする。

会話はどこから来たか、どこへ行くのかなどありふれたものだが、嫌みのない人だったので嫌ではなかった。と言うのも、たまに暇つぶし的にねちっこく言ってくる人、上から目線で話してくる人などがいるからだ。

Vストにまたがり、坂を下りて北19号をさらに東へ向かう。ここは撮影ポイントなのだろうが、当方にはあまりピンと来ないのでそのまま走り去ってしまう。ちょっとアップダウンを繰り返しつつ、武佐地区で道道975号線に乗り、そのままさらに東へ進む。途中で右折して道道1145号線に乗り換える予定だったが、通り過ぎてしまったのでそのまま国道335号線まで行ってしまう。小樽以来今まで内陸を走ってきたが、ここで久々に海を見る。太平洋と言うか、オホーツク海というか、その中間にあたる根室水道だ。そのすぐ先には、さっき見た国後島が目の前にドドーンと見える。

このすぐ南にはサーモンパークなんかもあるが、今日はパスして左折して知床を目指す。天気は快晴で、陽の光が眩しいくらいだ。しかし、海から吹いてくる風は冷たく、なんとなく物悲しい雰囲気だ。もう夏は終わり、すっかり秋になっていることを思い知らされる。そうだよなぁ、もう9月も半ばだからなぁ。

前述のように、今まで北海道ツーリングは7月か8月で9月は初めてだ(ツーリングではないが2020年初頭に流氷を見に飛行機で来たことがあるよ)。まさか、こんなに季節が進んでいるとは思わなかった。いや、予想はしていてそれなりの服装をしてきているが、実際にそれを体感すると驚いてしまう。

どんどん走っていくと、知床半島が近くなってくる。久々に道が無くなる相泊地区へいってみようか、いや既に時刻は12時を回っているのだから、そこまでは無理だろうか。なんだか時間が過ぎる速度がやけに早いので、どんどん端折って行かないといけないようになっている。まあ、ツーリングは11回目なので、そんなに欲張ることもなかろう。


国後島を背景に

途中でちょっと写真を撮りつつ、どんどん進むと、知床峠を越える。さすがに標高が少し高いだけでやけに寒い。もう北海道の東の果てにいるのだから、それも仕方ないね。峠を越えると羅臼の街になる、最初は漁村の中を走り、やがて市街地になる。

腹が減ったので飯を食べたいが、なかなかこれという店が見当たらない。走行していると道の駅まで来てしまう。しかし、ここはやけに混みあっていて、時間がかかりそうだ。それならば、以前に利用した街の食堂へ行ってみよう。羅臼の漁港を過ぎて、国道から一本奥の道に入る。そうそう、この通りにあったと思うのだが・・・。あれ、無いなあ。

一旦引き返してもう一度見てみるが、やはり無い。ハスラーのシートも無い。どうも、この更地の場所にあったのか。いずれにしてもないので、他の店へ転身する。すると、ちょうど「しずか」という店があるので、ここへ入ることにする。

2.やっと昼飯

時刻は13時になっている。仕事をしていればこの頃に昼飯なので、ちょうど良い。さて、せっかく羅臼にいるのだから、海のものを食べたいな。あれ、この店はそういうものが無いのか。しまったなぁ、いまさらやめますとは言えないし。ならば、北海道らしいものを食べたいなぁ、ん、どうやら豚丼がおすすめらしいのでこれにしてみようか。

注文をしてから、タンクから水分を放出する。寒いとやたらに行きたくなるのは仕方ないと思うが、歳は取りたくないものだ。さて、そろそろ着陸地点を考えておかないと宿無しになってしまうぞ。ということで、マップルを見ていろいろと思案する。

この先知床峠を越えるのはよいとして、ウトロに下りてからどこまで走ることができるだろうか。気候が急変することはないだろうなぁ、と言うのも、前回訪れた時は、峠を境にして急に晴れて暑くなって驚いたことがあるからだ。気温差にして、15℃位はあったと思う。

まあ、17時30分まで走ることができるとして、3時間半くらいは走れそうだから、頑張れば150㎞近くは行けそうだ。川湯温泉?ちょっと厳しいか、まあ、100㎞としても女満別ぐらいまでは行けそうだ。おお、豚丼が来たよ。なかなか量があって、食べ応えがありそうだ。いただきます、うん、このタレが甘辛くてちょうど良い。しかも、この豚バラ肉は厚みもあって、変なにおいもなくすごく旨い。


豚丼
肉も厚くて美味

それはそうと、この店は他にも3組お客がいて、そのうちの一人が天ぷら定食を注文している。果たして、その天ぷらの量には驚いた。文字通りの「山盛り」だ。ちっ、天ぷらにすればよかったか。まあ、隣の芝は青く見えるものなので、これで良いのだ。それにしても、豚丼もなかなかの大盛りだ。普通の店なら間違いなく、大盛りの量だ。

空腹なので、パクパクと食べて完食だ。これなら大盛りでも良かったかもしれないな。ふう、ごちそうさま。980円を支払って店を出る。さて、ここで今日の宿泊場所を確保したいので、川湯温泉のライハに電話をする。しかし「すいません、今日は定休日です」って、それは残念。まあ、もう少し後で決めるとして、ここはひとまず出発しよう。

3.太陽を追いかけて

時刻は13時45分、日没は17時30分ぐらいなので、残りは3時間半+アルファだ。Vスト君、頼むよとエンジンを始動して、知床峠に向けて走り出す。国道334号線に戻り、温泉宿が並ぶ通りを抜けてどんどんと標高を上げていく。さすがに温泉街だけあって、硫黄臭がする。そういえば、以前この先でキャンプした時、この辺りの温泉に入ったことがあったな。これぞ温泉!といういい湯だったような気がする。

昔を思い出しつつ、曲がりくねった道を上っていく。こういう場面では、相棒のVストはとても頼りになるヤツだ。19インチの前輪は予想に反して素早く進行方向へ向きを変えてくれる。アクセルを開ければ、エンジンは低回転からトルクを発揮してくれてスッと加速する。それも、神経質なレスポンスではなく、適度に鋭いので扱いやすい。この点では前マシンのTDMより上をいくだろう。

どんどんと高度を上げていくと、森林限界を超えて視界が開ける。ひゃあ、オホーツク海が見えてくるよ。また、それと同時に気温も急激に下がってくるので、寒さをを感じるようになる。ああ、遅い4輪に追いつくので、直線部分で追い越し、コーナーをスイスイとクリアしていく。こういう場面ではVストはすごく速いし、扱いやすい。繰り返しになるが、Vストはこういう長距離ツーリングで威力を発揮するのだ。

こうして、知床峠に到着する。寒いなぁ、しかし、羅臼岳は見えているので写真を撮ってみる。また、遠くには国後島も見えている。もっとゆっくり見たいが、寒さにはかなわない。さっさと下山することにする。もうちょっと暖かい服装をしてくるべきだったか、と後悔するがそんなものは全く無駄なことだ。ともかく峠を下りることにしよう。


知床峠にて

どんどんと高度を下げていくが、今回は天気や気温の大きな変化はない。2016年がちょっと極端だったのだろう、あんなことはそうめったにないことなのかもしれない。そうおもっていると、道道93号線との分岐点を通過する。こちらへ行くと、カムイワッカの滝へ行けるのだが今回はパス。因みに、未舗装路なんだけど前述のGPXでも行けたので、大概のロードバイクでも大丈夫だと思われる。ハーレーで来る人もいたとか。

さらに行くと、プユニ岬だ。ここからはウトロの街が一望でき、オロンコ岩やゴジラ岩も良く見える。そして、目の前に見える海は正真正銘のオホーツク海だ。ここは、冬になったら流氷で覆われて真っ白になることだろう。ここでしばらくウトロの街を見てから、再び走り出してウトロを通過する。


ブユニ峠から見るウトロの街
(オロンコ岩等が見える)

おや、車がいっぱい止まっているが、なんだろう。通り過ぎる時に見てみると、多くの人が河口で竿を出している。これが噂の鮭狙いの釣りか。因みに、魚は川に入ってしまうと、その川の漁業権の及ぶところになってしまうのだが、海にいるうちは釣ってしまっても問題ないということだ。そりゃそうだ、海にいるならば、本当にその川に遡上するかどうかわからないからね。

それにしても、オホーツク海側は風が強い。それ故に波が砕けて道路側にまで浮遊してくる。まずいな、フォークのアウターもインナーも錆びてしまうではないか。一応ワックスをかけて保護してはいるものの、後で拭いておかないと、大変なことになりそうだ。

なるべく海から遠い場所を走りつつ、国道334号線を進んでいく。すると、オシンコシンの滝が見えてくる。ここは1994年に来たことがあるが、ああ、そうという感じだったので、それ以来通過するだけだ。それにしても、今日も多くの人が訪れているようだ。

さらに進んでいくと、いくつか橋を渡る。川があるのだが、そこには釣り人はいない。最初の川だけに人が集中しているのはなぜか、鮭は均等に川に遡上するのではなかろうか。謎である。

そろそろ、あの場所だ。北海道のことを知っておられる読者ならご存じだろうが、斜里の街を通るあの長~い直線道路のことだ。最近は「天に続く道」という名で呼ばれているらしいが、昔は名もなき道だった。あれ、看板までできているのか、随分と立派に観光地化されているのだな。

看板に従って進んでいくと、直線道路の起点に傾斜のある駐車場までできている。そして、撮影用の台も用意してあり、驚いてしまう。さて、どこにバイクを止めようか。こんな傾いた駐車場に止めるのはちょっと怖いので、傾斜に対して縦(頭を傾斜の上側)にして止める。これなら転倒の恐れはないだろう。

まあ、ちょっと俗っぽいがこの撮影用の台を使って写真を撮るとしようか。何組かのカップルの後に怪しいオッサンが並び、順番を待つ。今日は天気も良く先の先までよく見えるが、ここも強烈な逆光線だ。今日は光線に恵まれない一日だったね。そう思いつつ、何枚かシャッターを押す。もちろん、被写界深度を浅くしたいので、絞り込んだ設定を出せるようにしたが・・・、うまくいったのかな。


天に続く道

記念撮影後はさっさと台を空けて、次の人に譲る。当方はバイクの方へ上り、そこからしばらく景色を眺める。確か初渡道の1994年にも来たように思うが、その時の写真がないのでどうとも思わなかったのかな。そんなことを考えていると、カワサキのエストレアに乗る女性が駐車場に入って来る。ああ、そんな傾きのある駐車スペースに横に止めて大丈夫か?と心の中でいらん世話を焼いていると、ガシャーン。ああ、本当に倒しちゃったよ。

まあ、250だし自分で起こすことができるだろう、そう思って見ていてもなかなかバイクを元に戻せない。若い女性のようなので、誰か助けるだろうと見ているが、皆見て見ぬフリだ。仕方ない、ここはオッサンの出番だな。

「大丈夫ですか」と声をかけると、けっこうテンパっているようだ。そこで「ちょっと貸してくれ」とまずはスタンドを出して、さらにバイクと地面の間に片足を入れて、体全体でバイクを起こす。そんなに重くないなぁ、と何とか成功だ。そして「エンジンはかかるかな」とイグニッションをオン、セルを回してもらう。ヒャァー、アイドリングどころか、えらい高回転じゃあないか。そこで、アイドルスクリューを回してだいたい1,500r.p.m.ぐらいに調整しておく。

「どうもありがとうございます」って、まあ、余計なお節介だったね、失礼。と手を挙げて自分のバイクの所へ戻る。

4.ランディングに向けて

時刻は15時を回っているので、そろそろ今日の宿泊場所を決めないと。0円マップなど手持ちの資料を使って、候補を決める。川湯温泉なら良かったのだが、前述のように今日は定休日だ。仕方ないので、網走周辺にエリアを広げて探す。この網走湖にある夕日の家なんかどうだろう、少し値は張るが良さそうじゃあないか。しかし、電話をすると「本日火曜日はお休みを・・・」って自動音声かよ。となると、ちっ、あの「ランプ」かよ。

ここは2008年に2泊で利用したことがあるのだが、連泊した2泊目に「あんた誰?」とか言われちゃったので、あまり良い印象はない。まあ、風呂にも入れて800円だから、内容的には悪くないんだけどね。電話をすると、女性が出るではないか。あれ、あそこはオッサンが経営していると思っていたのにな。「ライダーハウスってやってますか。今日泊まれますか」とたずねると「民宿はいっぱいだけど、ライダーハウスはO.K.」という返事だ。料金は驚くことに800円で変わりなし。うっそお、もう13年も前の値段そのままってスゴクないか。

まあ、そういうことで、久方ぶりにランプに泊ることにした。そうと決まれば心は軽い、早速出発だ。傾いた駐車場をソロソロと下っていくと、さっきのエストレア女史が頭を下げている。ああ、いいってことよと手を挙げて応える。

国道334号線に戻り、斜里の市街地に入る。ああそうだ、夜中に寒くなるので、今日は何か調達しよう。ビバーク用のシートがかさばらなくて良いのだが、最悪薄い毛布でも可としよう。そう思い進んでいくと、ホームセンターを発見する。ここなら何かありそうだ。

店内に入り、寝具などがあるコーナーへ向かう。すると、ひざ掛けが目に留まる。しかし、その近くに薄い毛布もある。値段的にはあまり変わらないが、覆い隠せる面積が全然違う。そういうことで、毛布1,092円を選択する。やれやれ、今夜は快適に寝られると良いな。

再度出発して、斜里の市街地を抜けると道路名は国道244号線に変わり、右に逸れていく。今日は海沿いを走りたくないので、まっすぐ道道を行く方が良かったのに。まあ、それも良かろうと小清水の市街地でセイコマに入り、コーヒーを飲む。だいぶ陽は傾き、横から強烈に照らしてくる。この先は太陽に向かって眩しいので、気をつけて走行しなくては。

相変わらず波が高いので、ヘルメットのシールドも曇ってくる。これはかなり塩分を含んでいそうなので、宿に着いたらいよいよしっかりと拭いておかないといけないだろう。そう思っていると、遠くに網走の街、能取岬が見えてくる。もう少しなので、安全運転に努めましょう。

こうして、網走駅の裏へ回り、今日の宿泊場所である「ランプ」に到着する。玄関から声をかけると、オバサンが出てくるので「電話した管理人だ」と名乗る。「ああ、いらっしゃい」と愛想良く迎えてくれて、今日の寝床へ案内してくれる。果たして、13年振りに訪れたランプは・・・、全く変わっていない。そして、台所で「この辺りでお願いします」と場所を指定してもらう。


ここかぁ・・・

前回は隣の畳の部屋だったのに、今日はこっちか、まあいいでしょう。料金800円を払うと「明日の朝飯にランプパンはいかが?」と営業をかけられる。そうだな、ちょうど良いので「もらいます」と200円を追加で払う。「そういえば、13年前に来たときは牛乳もあったと思うのだが」とたずねる。すると、オバサンは奥にいるご主人に聞きに行ってくれる。「牛乳は今は持ってきてもらっていない」ということだった。まあ、後で買いに行こう。

このランプパンも変わっていない。まるで、タイムスリップしたようだ。しかし、ご主人は随分と歳を取られているので、やはり時は流れているのだ。また、網走の朝市のことをたずねると「今年はコロナで中止になった」ということだ。そうなのか、13年前は朝飯を食べに行ったっけな。

5.ちょっと足を伸ばして

少し休憩し、17時頃に能取岬へ夕陽を見に行く。今からだとちょうど良いかと思って走り出すが、ちょっと遅かったようだ。網走駅の向こう側から橋を渡り、道道76号線に乗って岬を目指す。ああしまった、また波しぶきを浴びてしまう。ええい、帰ったらしっかりと拭いておこう。

15分ぐらい走り、道道を離れて岬への道へ入る。ここは下りながら行くと灯台が見えてきて、その先に海が見えるちょっと絵になる場所だ。しかし、この時間はすっかりと暗くなっていて、道路さえもよく見えない状況だ。そして、駐車場に入るも太陽は既に海の向こうだ、いや、雲も出ているので日没は見えなかっただろう。

仕方ないので、夕焼けの空を見ながらフロントフォークなどを雑巾で拭いておく。ちょっとなめてみると、やはりしょっぱい。放置していたら大変なことになっていただろう。それにしても、北海道は広い。ヒーヒー言いながら丸々3日間かかって知床から網走に来たのだけど、それもバイクの力を借りてのことだ。同時に、人間って小さいなとも。北海道の東の果てで夕焼けを見ながらちょっと物悲しくなってしまうのは、そういうことかもしれないね。


すっかり日の暮れた能取岬にて

腹が減ったし、店が早く閉まっては大変だ。そろそろ「あの店」へ向かおう。あの店とは、網走の商店街にあるちょっと変わったメニューの食事を出す店だ。元来た道道を戻り、その商店街へ向かうと・・・あったあった。店名は「ホワイトハウス」と言います。

奥さんにバイクを止めておいても良いか許可をもらい、席に着く。そして「13年越しに来ることができた」と話すと、笑われてしまう。店の存在は知っていたのだが、なんだかんだで網走には来るのだけど、休みとか食事の時間に合わないとか、いろいろあって、来られなかったのだ。そして、注文するのは「ビーフとホタテ・いくら丼」だ。何だ、その組み合わせはと驚いてしまうが、それが管理人の関心を引いてきたのだ。

待っている間に周囲の人を見ると、やはりこのステーキと海鮮の丼のセットを食べている人もまあまあいる。また、他にも「ハワイ」とか「アラスカ」などと言った地名のメニューもあり、どれもボリューム満点である。おお、来た来た。実物を目の前にすると、ちょっと感激だ。


待望のビーフとホタテ・いくら丼

まずはホタテ・いくら丼からだが、うん、ホタテは甘くて美味しいよ。隣の北見ではホタテの養殖が盛んだから、鮮度も良いのだろう。ステーキは少し薄めだけど、味は良い。このソースは店のオリジナルなのだろうか。旨いなぁとパクパク食べてしまい、あっという間に完食だ。組み合わせは変だけど、お客的には違うジャンルのものを一度に、お値打ちに食べられるので大満足だ。

因みに、こんなご時世なので、18時で店を閉めるということだ。そうか、それならばそろそろ宿に引き上げるとしよう。代金の1,600円を払って、店を出る。商店街の店はほとんど閉まっていて、人通りもまばらだ。早く感染症の流行が収束して、にぎやかな街に戻ると良いなと思う。ああ、そうだ、途中にあるセイコマで明日の朝食の牛乳を買っていこう。

6.ランプの夜

宿に戻り、軒下にバイクを止めて今一度フォークなどを拭いておこう。部屋に戻ると、今日の宿泊者が揃っていて、当方の他には2名だ。一人は同じ年くらいの人、もう一人は若いひとだ。若い人は東北出身らしく、最初は無口だった、一旦話し始めると饒舌になる。もう一人の人は成田から来たらしく、ゴールドウイングに乗って自走で来たそうだ。まあ、あれならば自走して来られるかも、と納得してしまう。

成田氏は元々キャンプ派で、やる気満々で北海道に乗り込んできたが、どこも閉鎖されているのでここに来たということだ。また、観光はしない人らしく、とにかく走るようだ。そんなの楽しいのかと思うが、人の好みは様々なので「そうなんだ」ということになる。

お客は普通のライダーなのだが、前述の女性従業員がちょっと難しい。50過ぎのオバサンなんだけど、やたらと鉄道のことを話したがる、鉄分の濃い人だ。当方はその方面はよく知らないので、こちらも「そうですか」ということになる。

それにしても、今日は女性に縁のある日だ。双湖台のニンジャ女史だろ、今助けたエストレア女史だろう、そしてランプの鉄子オバサンだろ、誠にめずらしい日だ。ツーリングに出るとわかることだが、ライダーの多数は男であり、北海道まで来る人はそのほとんどが男だ。ライハでは女性部屋が用意されることがあるけど、そのような場合はだいたいガラガラである。そのような中でこんなに女性に出会ったのは、まったく驚きだ。

それはそうと、従業員のオバサンは10年ぐらいここで働いているそうである。また、ご主人は随分歳を取ったので、今は自分の部屋でゆっくりと過ごしているようだ。経営についてはいろいろと指示をしているようなので、頭の方はしっかりしているのだろう。

そういうわけで、そろそろ寝るとしようか。時刻は22時頃だ。

本日の走行 370km

9月16日 第5日目へ続く

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