管理人 海外へ行く
~ボスニア・ヘルツェゴビナ編~
2018年10月23日 ~ 2018年10月31日


成田空港の新旧管制塔

10月23日(水)
第1日目 その2

1.成田探訪

成田空港に来るのは、2017年3月にダカールへ行って以来だ。今回、航空券は通しで購入しているし、利用する航空会社も全日本空輸とオーストリア航空、そしてルフトハンザなので、すべてスターアライアンスの航空会社だ。それ故にスーツケースはサラエボで受け取るようになっている。荷物を受け取るターンテーブルを横目に制限エリアの外に出て、歓迎の壁絵に迎えられて1タミ南ウイング1階の到着ロビーに下りる。そうそう、この雰囲気が成田なんだよな。ああ、いつものように「YOUは何しに」の取材もしている。



成田空港1タミ1階
まさに成田

そうだ、今朝は朝飯を食べていないので、腹が減ったぞ。そこで4階のレストラン街へ行く。今日は何を食べようか、そう考えつつ中央ビルを一回りする。前述のダカールへ行った時は「スープストック東京」に入ったので、今回もそうしようかな。いや、今回はあっさりとしたものが良いなあ。この「出汁茶漬け えん」にしようかな


小さいながら良さそうな店構え

そう思い早速店内に入り、メニューを確認する。お茶漬けの店なので、朝飯にはぴったりだ。この「鯛だし茶漬け」が旨そうだな、と早速注文する。この店は15席程度しかない小さな店だが、店員は3名働いている。また、客はひっきりなしにやって来るので、とても忙しそうだ。それにしても、成田空港内に店舗を出しているとは、賃料は如何ばかりか。とても高いんだろうな。

そんなことを考えていると、数分で注文の品が出される。「おお、旨そうじゃん」と早速頂くことにする。おお、このゴマだれに漬けられた鯛と、カツオや昆布から抽出したと思われる出汁、最高の組み合わせである。そしてお茶漬けなので、サラサラと食べてしまう。朝なので、こういうさっぱりしたものがよろしい。尚、他のお客に目を向けると、やはり日本人が多い。一説によると、外国の人は日本の出汁を「魚臭い」と感じるようだ。


朝飯で一息入れる

あっという間に完食して「ちょっと量が少ない」と感じつつ、代金960円を支払う。前述の「賃料が高いだろう」という推測は正しいようだ。さて、この時点で時刻は9時10分過ぎだ。いつもならば慌ただしく、業務に忙殺されている頃だろう。しかし、今日は優雅に朝飯を終えて、成田空港内をブラブラして楽しんでいる。まさに夢のようである。

店を出てブラブラしていると、あることを思い出した。「成田空港は3回目だが、第3ターミナルに行ったことがない」ということだ。それならばと1階に下りて、シャトルバスに乗ることにする。話は変わるが、航空券を購入時には空港利用料も一緒に徴収されている。それゆえに、バスは無料で乗ることができるのだ。さて、そのバスであるが、1タミから3タミへ直接行くバスもあるようだ。しかし、今日は2タミ行きに乗り、乗り換えて3タミに行くことになる。尚、2タミと3タミの間には500mの歩道があり、歩いて移動もできるようだ。

おなじみの黄色いバスに乗って、楕円上の道路を進んでいく。ここはまさに空港の中なので、ホテル、機内食の製造工場、空港会社の事務所などが並んでいる。そして、昔あった検問所みたいな所を通って、第2ターミナルへ入ってい来る。バスを降りた後、連絡路を歩いて第3ターミナルへ向かう。


3タミの外観

さて、3タミは「バニラエア」や「ジェットスター」と言ったLCC、つまり格安航空会社が入っているターミナルであり、それ故に造りが簡素になっている。1タミや2タミに比べると天井は低いし、配線なんかがむき出しになっている。しかし、店は充実しており、機能的には遜色ないようだ。

それはそうと、今回は携帯電話を持ってきているので、向こうで充電しなくてはいけない。もちろん、ヨーロッパとは電圧もコンセントの形状も異なるので、変換プラグを買わなくてはいけない。ただ、充電器には変圧器が内臓されているので、形状の変換だけで済みそうだ。そんなことを考えつつ、ぶらぶらと歩く。ちょうど「バニラエア」のCAさん達が通り過ぎていく。あの青い制服は、名古屋では見られないから、ジロジロとはいかないまでもちらちらと見てしまう。あと、この3タミは床が陸上トラックのように塗装されていることが特徴であり、来る2020年のオリンピックを意識していると思われる。


3タミ内部の様子

1時間ぐらい滞在した後、そろそろ1タミに戻ろうかと思っていると、小さな女の子が床に転がってダダをこねている。子供にはよくあることだ。別に関わる必要もないのだが、当方も子供なので気持ちがよくわかる。うまくいくかどうかわからないが、なだめてみよう。近づいて「どうしの?」とたずねてみる。もちろん、それだけでタダの不審者になってしまうので、横にいる母親の了承をとっているよ。「ママがOOXXKUIHえ(';')」とよく分からないこと言っている。小さい子は言葉でうまく表せないので、こうして行動で示しているのだろう。

一通り話を聞いて、抱っこして「そんなに泣かなくてもいいよ。かわいい顔が台無しだよ」となだめてみる。すると、あっけなく泣き止むではないか。どうやら、半分は演技だったようだ。また、「ママが悪いの」というような事を言うので「そんなことはないよ。そんなこと言っちゃあいかんよ」となだめると、これまたあっけなく納得している。そこで母親が登場して、後を引き継いだ。この母親は二人目を懐妊中であり大変そうにしていたのだが、当方が意外にもあっけなくなだめることに成功したので、すごく感謝されてしまった。まあ、こういうことは割と得意なんでね。「もうママを困らせてはいけないよ」と言い残し、3タミを後にする。

その後、2タミ経由1タミ行きのシャトルバスに乗り、1タミに戻ってくる。そして、日本庭園になっている中庭を横目に、ビルの全体像を見てみようと駐車場に出てみる。この駐車場を囲むように建つターミナルビルが、成田の特徴だ。また、右手には開港前に「乗っ取られた」管制塔が立つ。その成田も開港から40周年を迎えたそうで、時の流れの速さを感じる。


ちょっとした日本庭園と中央ビル

2.そろそろ出国準備を

第1ターミナルビルに戻り、あてもなくブラブラとする。ビジターセンターなどを見ていると、時刻は10時30分を過ぎた。出発3時間前なので、そろそろチェックインできるかな。

そう思い、出発ロビーがある4階に上がり、チェックインカウンターの案内板を見ると、オーストリア航空は「搭乗手続中」と表示されている。因みに、同社のカウンターは南ウイングの「I」カウンターである。また、その下にはエチオピア航空の名前があり、18時30分からカウンターが開くと表示されている。そうそう、ダカールの時は近所の航空科学博物館で遊んで、夕方にカウンターに並んだっけね。

成田の南ウイングのカウンターはAからKまであり、件の「I」はほぼ一番端だ。これもいつものことで、マイナーな?航空会社は遠く離れているものだ。さて、その「I」のカウンターのエコノミー席の列に並ぶ。成田は3回目だが、今回はそれ程混んでいないので嬉しい。並んでいる人々も国際色豊かで、すぐ前に並んでいる人は鼻の下のひげを伸ばしており、それをワックスで固めている。いかにもオーストリア紳士という様相だ。そう思っていると、急に「いよいよ俺も日本を出るのか」と気持ちが盛り上がって来て、ワクワクしてくる。本当に夢ではないのだな、痛いので夢ではないぞ。「機内持ち込みの荷物にタグをつけますね」と地上係員のオネエサンが札をつけてくれる。これも海外に出る際の儀式であり、気分は既に上空42,000ftである。


国際色豊かな搭乗者が並ぶ I カウンターの様子

順番が来て、既にセントレアで預けてあるスーツケースの札と一緒に、パスポートを提示する。すると、あっけなく航空券が発券される。あとは遅れないように保安検査を通り、指定のゲートへ行くのみだ。おおそうだ、少し両替をしておこう。今回も「マネパカード」に米ドルをチャージしているのだが、一応現金も少し持っておきたい。そこで、三井住友で30ユーロを3,997円で手に入れておく。1ユーロ133円だから、こんなもんかな?。

この時点でまだ11時15分なので、出発までは2時間以上ある。そこで、ひとまず保安検査場入口の電光掲示板でゲート番号「37」を確認して、5階の展望デッキへ向かう。2年前に初めて日本から出てポルトガルに行ったのだが、その時にここへ来て成田空港の大きさに驚いたものだ。だって、ターミナルが3つあり、搭乗橋やオープンスポットが数えきれない程にたくさんあるからだ。そんなことを思い出しながら、留め置かれていたり、離陸したりする飛行機を眺める。この時間帯はそれ程多くないようだが、それでも頻繁に往来する飛行機を見ては、独り大喜びである

アリタリア航空はA330とB777とが2機飛来しているし、韓国JINエアの737-800、日本航空の787-8や-9、777-300ER、ガルーダインドネシア航空のB777-300ER、ポーラーエアカーゴの747-400はコブの短い純正貨物機じゃあありませんか。名古屋にもいたが、エア香港はA300-600の貨物機、あら、シンガポール航空に納入されたばかりのB787-10等々、数えきれない程多くの飛行機が見えるぞ。

本日稼働中の、1タミ側のR/W 34Lは4,000mの長さがあるので主に離陸用に使用されている。ちょうど目の前を移動していった機体が10分~20分ぐらいして離陸していくのだが、注目すべきはその主翼だ。移動中はほとんど地面と水平に見える(実際はこの時も上方に反っている)が、離陸滑走から離陸する時は大きく反り上がる。時に顕著なのはB787型機であり、ひときわ大きくたわんで舞い上がっていく。それは「これが最新型の翼の性能だ」と言わんばかりである。


離陸直後のB787
(主翼のしなりが大きな特徴)


スイスエアのA340
今では珍しい4発の旅客機

興奮したせいか、ちょっと腹が減ってきた。そうだ、いつも南ウイングばかりにいるので、今日は「北ウイング」に行ってみよう。中森明菜の歌にもある、あの「北ウイング」である。因みに、その中で歌われている飛行機で、主人公は「霧の街」へ彼氏を追いかけていくようだ。たぶんロンドンへ行くんだろうが、ロンドンへ行く英国航空は北ウイングではなく、第2ターミナルからの出発であると補記しておこう。

テクテクと歩いて北ウイングへ行く。こちらへはほとんど来たことが無いのだが、ここが成田の原点である。窓からは北側の貨物地区が見え、FedexやANAカーゴの機体が留め置かれている。その中にはMD-11Fもいるので、ちょっと興奮してしまう。3発の機体は貨物機でもその数を減らしているので、いつ見られなくなってしまうかわからないからね。本当なら旅客型の同機に乗ってみたかったが、いまはかなわぬ夢であろう。おっと「Air Calin」のA330が見える。これはニューカレドニアの航空会社なんだが、登録記号はFで始まっている。つまり、フランス国籍ということだ。


貨物地区に駐機中の飛行機
(左端のFeEexのMD11に注目)


エア・カランのA330

存分に飛行機ウォッチを楽しんだ後、同ターミナルの端にあるカフェ「YULLY'S」に入り、コーヒーとホットドッグを注文する。ここは一段高い場所にあり、北ウイングのカウンターが一望できる。優雅にコーヒーを飲みながら、楽しそうに行き交う人々を眺めては「俺も今から出国するのさ」と優雅な時を過ごす。


北ウイングの風景

3.ちょっとピンチ?

さて、軽く食事もしてゆっくりと過ごしたので、そろそろ行くとしよう。あら、既に12時30分になろうとしている。ウィーン行きは13時35分だからもう1時間前だ。やばいよ。いつもなら2時間ぐらい前には出発ゲートにいるのだが、今回はゆっくりし過ぎた。支払いを済ませて、急いで北ウイングから南ウイングに移動する。同じ空港内だが、空港はとても広い。別の建物に移動するだけでも、10分程度はかかるのだ。また、保安検査は意外と時間がかかるので、結構ギリギリになりそうだ。あ、しまった。携帯の充電器に使う、コンセントの変換プラグを買っていない。そうだ、確か制限エリア内に「AKIHABARA」という店があったな。あそこで手に入れよう。

そう考えつつ、南ウイングの出発口に到着した。電光掲示板で、13時35分発のオーストリア航空52便の出発ゲート「37」を確認する。「出発ゲートへ」の表示が出ているので、まだ搭乗は始まっていないようだ。因みに、この表示は「出国手続き中」「出発ゲートへ」「搭乗中」「出発済み」の4種類があるようだ。


南ウイング出発ゲート

息を切らしつつ、保安検査場へ入ると・・・、やはりけっこう混んでいる。因みに、成田の場合は金属探知機の所に立ち、一回り回転することになっている。セントレアはただ通過するだけなので、ここは日本でも厳しい部類だろう。そりゃそうだ、日本を代表する空港の保安検査がガバガバだったら、えらいことになるだろうからね。

そんなことを思いつつ、列に並ぶ。そして、順番が来たらベルトや財布の鎖、時計、カメラなどを外してトレイに入れておく。バックパックはX線で中身を調べられるが、やましい物は何もないのであっさりと通過する。楽勝とばかりにベルト等を再装着しつつ、大きな窓から外を見る。すると、第4サテライト方面が良く見える。ここで写真を撮りたいところだが、保安検査場は撮影禁止だ。残念。

階段を降りつつ「いってらっしゃい」の看板に見送られて、3階のパスポートコントロールに下りる。今まではブースの役人がパスポートの顔写真を確認していたが、今回からは自動顔認証の機械が導入されている。よって、スタンプは押してもらえなくなったのだが、申し出れば別のブースでもらえると書いてあるので、通過後にスタンプを押してもらう。スタンプのないパスポートなんて、味気ないからなぁ。

これで何とか制限エリア内に入ることができたのだが、時刻は既に13時を回っている。おいおい、急がないと置いていかれちゃうよ。そう思いつつ、免税店街を小走りで駆け抜けて、ゲート「37」へ急ぐ。っと、その前に前述の「AKIHABARA」へ立ち寄る。そして、さっさと変換プラグを790円(もちろん税金はかからない)で購入する。因みに、この免税店街は「FaSoLa」という名前であり、いかにも空港の店という雰囲気を出している。袋も専用品で、これに土産を入れることも可能だ。


免税店 AKIHABARA

店を出ると「オーストリア航空52便、ウィーン行は、ご搭乗の最終案内をいたしております。37番ゲートへお急ぎ・・・」と聞こえる。ヒェー、急げ!!!って、37番ってどこだ。ああ、南ウイングでも端の方だから、まだまだ走らなくてはいけない。

普段から運動はしているが、全力で走っているので息があがってしまう。しかし、置いてけぼりは何としても避けたいので、頑張って長い廊下を走る、走る、走る。いや、実際には動く歩道になっているから、思ったよりは楽かもしれない。そんなことを考えて走っていると、やっとゲート「37」が見えてくる。そして、赤と白に塗られた機体が見えてくるので「あれだ」と思い、写真を撮りつつ急ぐ。やれやれ、何とか間に合ったよ。


ウィーンまでよろしく頼むね

ここで、オーストリア航空52便、ウイーン行きの機体を紹介しよう。機種は「Boeing 777-200ER」であり、登録記号は「OE-LPF」である。帰宅後に調べたところによると、この機体は2001年中頃に、777型としては373機目に製造された機体で、ブラジルの「ヴァリグ」とメキシコの「アエロメヒコ」で運行された後、今年の1月から「オーストリア航空」で使われているようだ。セコハンならぬサードハンだ。きっとリース会社に所属していて、あちこちで使われたのだろう。

この777型は派生型も含め、今や1,500機程度が製造されている大ベストセラー機である。中でも-300型は詰めれば500名ぐらは乗ることができ、ジャンボ機と呼ばれている747型と遜色ない収容能力を誇る。また、ER型については14,000km程度の航続距離があるので、柔軟な路線展開ができるということだ。 そして、この機種はエンジンを2個装備した双発機なので、前述の747型(エンジンを4基装備している)よりも断然燃費が良い。だいたい同じ距離を2/3程度の燃料で飛ぶことができるようだ。

息を弾ませつつ、ゲートの列に並ぶ。既にすべての乗客が搭乗可能となっていて、残りは15人ぐらいのようだ。要するに「ギリギリ間に合った」ってことだ。ああ、本当にやばかったな。あと10分遅かったら乗れなかったかもしれない。ちなみに、搭乗の順番は通常、最初は優先搭乗の客(障害のある人、妊婦、小さい子供連れなど)で、次に高い料金を払っている人、そしてエコノミークラスの後方の席から順に、そしてすべての客となっている。

さて、機内に入ると赤い制服を着た、いかにもゲルマン系という風貌の乗務員がにこやかに迎えてくれる。こちらも嬉しくて笑顔で挨拶をして「30K」の席へ急ぐ。ビジネスクラスの広い座席が並ぶエリアを抜けて、えー、エコノミー席は3-4-3の10席並びかぁ。これはかなり窮屈な印象だ。実は777型には3回乗ったことがあるが、すべて3-3-3の9席並びだったから、こいつは驚いた。意外とオーストリア航空って「ケチ」なんだなぁ。


意外と窮屈な機内

しかし、機内はクラシック音楽が流れ、優雅な雰囲気である。ええと、俺の席はと、ああ、あそこだ。これもいつものことだが、席はもちろん窓側であり、主翼後方が良く見える位置だ。「ちょっとすいませんね」と、既に席に着いているオーストリア人っぽい親子に声をかけて、腰を掛ける。


いつもの指定席に収まる

4.いよいよ離陸

やれやれ、まったく何をやっているのか。海外も4回目なのでちょっと油断してしまった。気をつけないと、いつか痛い目を見るぞ。そう戒めつつ、機窓から見える成田空港の景色を楽しむ。まだ離陸前だが、気分は既に上空42,000ftである。それにしても、座席が狭い。まあ、足元はそれ程でもないので、何とかなるでしょう。

ここで、また我に返る。そうだ、俺は今から11時間30分の予定でウイーンに行くのだ。本当に夢じゃあないんだ。ほっぺをつねるとやはり痛い、やっぱり夢じゃあないぞ。そう思っていると、13時25分ぐらいにドアクローズのアナウンスが入り、30分頃にはプッシュバック開始だ。何と、定刻5分前の出発だ。

プッシュバックが始まると、緊急時の脱出方法などを紹介する動画が始まる。通常は航空会社の拠点としている国の言語と、英語で流れるのだが、今回はなぜか日本語のものも用意されている。これは当方としてはマイナスである。と言うのも、せっかく日本を離れるのだから、日本語は聞きたくないと思うからだ。まあ、そんな感じでエンジンが始動し、タービンやファンが回転し始める。そして、空気を噴射する「ゴォー」という音が響き渡る。いよいよだ。

しかし、これですぐに離陸できるわけではない。今日はA滑走路から離陸するのだろうが、前述のように4,000mの長さがあり、その端まで30ノット(約55㎞/h)ぐらいで移動していく。また、滑走路は離陸の順番待ちになっていて、今日は5、6機が並んでいる。その間にも着陸してくる機もあるので、スポットを離れても15分ぐらいは離陸できないのだ。

やっと順番が来て、滑走路端まで来る。ここで後方を見ると、同じく5、6機が並んでいる。空に渋滞はないと思っている人も多いだろうが、空港も周辺の航路もけっこう順番待ちの機が多くいるものだ。因みに、羽田空港の着陸待ちの機の列が、伊豆半島はおろか静岡県の御前崎付近まで伸びていることもあるのだよ、ヤマトの諸君。


ANAの格納庫付近の様子

また、窓からは全日本空輸や、日本カーゴエアの格納庫見え、その前に駐機してあるB767BCFや747Fなどが並んでいる。成田はやっぱりすごいや。

感心していると、機はR/W 34Lに正対し、一旦停止する。そして、ジェネラル・エレクトリック社製のGE90-90Bエンジンが唸りをあげ、滑走が始まる。このエンジンは、中部から飛んできた機体のものよりも4倍ぐらいの推力があるのだが、加速自体は緩やかである。そして、あっという間に加速して、第1ターミナルがすごい速さで流れていく。さらに、機首が少し上がり、振動が少し収まったかと思うとフワリと地面を離れる。

みるみる高度を上げていきその間も窓から外を見ていると、ホテル日航や第2ターミナル、B滑走路、そして自機の影が見える。ヒェ~と心の中で叫んでいると、さらにすごい勢いで上昇をしていく。数値的には2000ft/分(700m弱)ぐらいということだ。また、コンパスを確認すると、機首は磁方位320°ぐらい(北西)を維持しているようで、利根川を越えて新潟から日本海へ出るようだ。


離陸直後の様子
(今は解体された旧管制塔が見える)

おっと、雲に入ってガタガタと揺れ出した。これもいつものことで、しばらくすると雲上に達し、きれいな雲海が見えるようになる。これぞ飛行機から見える景色であり、とてもワクワクする瞬間だ。こうして、ドキドキしながら機窓に釘付けになっていると、30分ぐらいで高度が33,000ft(10,000m)程度になり、水平飛行に移る。シートベルト着用のサインが消えると、隣のオーストリア人っぽい親子が「通路の向こう側が一つ空いているから、隣を開けるので使ってね」と気を遣ってくれる。席が狭いなと思っていたので、こいつはありがたい。どうもありがとう。

そして、飲み物とおやつの時間だ。今回はコーラを頼んで、飛行機の形をしたプレツェルをポリポリと食す。こういう細かい所にヨーロッパの航空会社っぽい色を感じる。それはそうと、プレッツエルはプリッツとは違うよ。プリッツは棒状だが、プレッツエルはひねりが入っているし、もっとずっと太くてゴツイ。歯ごたえも全然違うよ。そういえば、大学の専門の授業でこの話が出た時に、先生がわざわざ本物を持ってきてくれたっけね。


プレッツエル

機は予想通り新潟から日本海に抜けて、機首をほぼ真北に変えて900㎞/hぐらいで飛ばしていく。こんなに速いのに、ウィーン到着は11時間30分後ということなので、いかにヨーロッパが遠いかということだろう。さらに30分ぐらい過ぎると、昼飯?夕飯?の時刻となる。今日は豚肉のオーストリア風、鶏肉のご飯添えから選べるようだ。もちろん、日本語での説明もあり、ちょっと残念だ。

それはそうと、今はロシアの領空に入っておりその様子が見られると期待したが、生憎今日は雲が多く、地上の景色は全く見えない。景色を見ていると飽きはないのだが、雲ばかりではさすがにつまらない。そこで、英語の耳慣らしのために「ミセスダウト」という映画を見て楽しむ。もちろん、50%ぐらいしか解っていないんだけどね。

そうこうしていると、食事がやってくる。今回は選択の余地があり、豚肉のオーストリア風を選択する。因みに、ポルトガルに行った際、ターキッシュエアでは「魚は好きか?」と聞かれて「ああ、好きだ」と答えると、強制的に魚を提供されたことがあるのだが、あれは肉をあまり用意していなかったのだろう。また、飲み物には緑茶を頼み、早速いただくことにする。尚、フォークやナイフだけでなく箸が、食べ物にもそばが出されるのは、日本線ならではなのだろう。おー、普段食べている「安い豚肉」と違って、変な匂い?はない。いや、むしろ豚らしい味だけが引き立っており、牛よりも旨いと思える程だ。これが本来の味なんだろうなぁ。ここでふと思う。そうだ、俺は今、上空36,000ftの雲上でこんなに旨い肉を食っている。これはやはり夢ではなかろうか、いや、痛いので夢ではないようだ。


日本線らしく、そばある機内食

最後にウエハースを食べるのだが、これがまた旨い。安物だとなんだかねちょねちょ油っぽいのだが、これはサッパリとしているし、後味もすっきり、甘さも控えめだ。

この間にもしょっちゅうCAさんが回ってきては「飲み物はいかがですか」とサービスしてくれる。しかし、食っている途中なので「後で頼むよ」と流しておく。食事の後にもCAさんが回ってきて、流ちょうな日本語で「お飲み物はいかがですか」と言ってくる。それじゃあということで、コーヒーをオーダーしておく。
この後も何回かドリンクサービスがあるので、その都度違うものをいただいていたのだが、膀胱の方がそろそろ限界だ。また、成田で急いで搭乗したのでトイレに行っていなかったことも思い出したので、急に尿意が増幅されくる。「トイレに行くので、前をゴメン」と言って、通路に出る。飛行機のトイレは1畳もないぐらいだが、機能は充実している。これも飛行機旅の醍醐味かもしれない。
自分のタンクが軽くなり、このB777機のタンクも徐々に燃料を消費して軽くなっているようで、少しずつ巡航高度を上げている。もちろん、これがジェット旅客機の特徴で、空気の流れが少ない高高度を安定して飛行できる=快適な乗り心地なのだ。

こうして、頻繁にやってくるドリンクサービスを利用し、モニターでゲームを楽しみつつ、ロシア上空を通過していく。

5.ウィーンはまだか

少々疲れたので、1時間程度うたた寝をする。そしてのどが渇いたので、水分を補給しようと目を覚ます。とっておいたジュースで口を潤しつつ窓から下を覗いてみる。すると、雲が切れていて、真っ白になった地面が見えるではないか。モニターで自機の位置を確認すると、ロシアの真ん中あたり、ノボシビルスクの近くを通っていることが判明する。関係ないが、風呂に長く入り過ぎると「ノボシビルスク」になるよ。
さて、このルートは多分、2016年にポルトガルに行った際に通る、成田~イスタンブール間のものと同じようなものだろう。ただ、その時は夜行便だったので景色は見えないし、寝ていたのでわからなかったのだ。
「ああ、これがロシア大陸か」と感激しつつ、景色を眺めて過ごす。それはそうと、少し夕方の雰囲気になっているのだが、そこからちっとも時間が進まない。つまり、東経・西経0度を基準に考えると、地球は西から東に向かって(向かって右側へ)自転している。しかし、今日は西に向かって飛んでいるので、自転に逆らっているのだ。それ故に、時間がなかなか過ぎていかないというわけだ。当たり前のことに感激しつつ、飽きもせずに景色を見て過ごす。


これがロシアの大地か

9時間ぐらい過ぎた所で、モスクワ近郊を通過する。この頃に、2回目の食事となる。今回は鶏肉のトマト煮を選択する。こいつも、とても美味である。鶏肉というとバサバサのイメージがあるが、これはとてもジューシーであり、変なにおいもしない。トマトの酸味とよく調和している。やっぱり、普段食べている鶏肉は何かおかしいのだろうか。食後の、デザートにはチョコ味のタルトあるのだが、これがまたイカシテいる。ウィーンには「ザッハトルテ」というチョコレート菓子があるのはよく知られているが、それの簡易版なのかもしれない。


2回目の食事

食事も済み、コーヒーを飲みつつくつろぐ。すると、当初の予定では、ウィーン時間(中央ヨーロッパ時間)の18時35分(日本との時差はマイナス7時間)到着だったが、予定がさらに早まって17時35分頃に到着するとアナウンスが入る。そうか、そいつは嬉しいということで、ここで時計を7時間戻しておく。いつもの儀式だが、これが「海外に来たなぁ」という実感をさらに増長するのだ。
17時頃に高度を落とし始めるのだが、30分で着陸できるのかと心配になる。いや、そんなことはパイロットが考えているので心配には及ばないはずだ。そう思っていると、翼上にスピードブレーキが展開し、速度も落としている。窓からは川や沼が見えており、ここがオーストリアかと感激してしまう。だって、オーストリアと言えば「モーツアルト」が生まれた国だ。音楽はよくわからないが、そういう誰もが知っている作曲家が生まれた場所に来たなんて、嬉しいことではないか。


ヨーロッパに来たなぁ

左旋回しつつ、フラップがせり出してきて、さらに高度を下げていく。すると、風力発電所なども見えている。また、豊かな緑が見えて「とても綺麗な国だな」と嬉しくなる。フルフラップとなり、さらに高度を下げると、道路や円形交差点も見えてくる。また、ヨーロッパらしい茶色い屋根の街並みが目に入ってくるので「オーストリアで途中降機してもよいかな」という気になる。いやいや、航空券はサラエボ買ってあるので、そんな無駄なことはできないよ。そうこうしていると滑走路が見えて、あっという間にウイーン国際空港のR/W34に着陸だ。

夕暮れのウイーン国際空港は、いかにもヨーロッパという雰囲気だ。また、ここは今搭乗しているオーストリア航空の本拠地であり、同社の飛行機が数多く駐機している。ただ、規模的には関空ぐらいなのだろうか。滑走路は2本で、扇形に交差している。それぞれ、11/29と16/34となっており、今日は34に着陸したようだ。


ウィーンに到着

第1日目 その3へ続く

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