管理人 海外へ行く
~ポルトガル編~
出発直前の管理人
情けない話だが、未だに無職の管理人です。当方の社会的認識が甘いせいだろうか、最後の砦と目していたバス会社からも振られてしまった。思えば1年前、意気揚々と15年以上在籍した会社を辞めて職業訓練校に入り、未来は明るいと思っていた。しかし、これはとんでもない間違いで、43歳の素人を雇いたい会社なんて存在しないことが発覚した。普通に考えれば当たり前なのだが、思うに、それだけ前の会社に限界を感じていたということだろう。
さらに、失業保険給付も10月末をもって終了するし、先の見通しも無い。いったいどうすればよいのだろうか。
そんな中、ハローワークの職業相談中に「少し求職活動から離れてみたらどうですか」なんてことを言われてしまった。恐らく、悲壮感を漂わせて活動しても結果は変わらないのだから、距離を置いて考えてみたらどうかという提案だったのだろう。まあ、何をやってもうまくいかない時期はあるもので、そういう時は姿勢を低くして耐えるなり、違う方向を見るなりして波が来るのを待つことも必要だろう。
そういうわけで、ここはひとつ今までやっていなかったこと、海外旅行を実行することにした。まあ、大学では英語学を専攻し、資格試験もそれなりにこなしてきた管理人だ。一度も海外に行ったことがないというのも、不思議と言えば不思議だ。いや、管理人としては英語の体系や文法に興味があり、運用には興味はあまりないことには変わりはないんだけどね。
そうと決まれば、次は行き先を決めなくてはならない。まあ、無難なところだったらハワイとか、グァムとか、アメリカ本土のロスアンジェルス、ヨーロッパならイギリスとかドイツとか、そんなところだろう。しかし、管理人としてはどうもピンと来ない。どこが良いかと思案していたら、あることに気がついた。
ユーラシア大陸を中心とすると、日本は東の果てだ。その中でも民間人が行くことができる最東端は、北海道根室市の納沙布岬だろう。じゃあ、一番西はどこだ。ポルトガルはシントラのロカ岬だ。ここに行くのはどうだろうか、きっと納沙布岬級の発見があるはずだ。
加えて、もう20年近く前になろうか。「沢木耕太郎」という旅行家が、ユーラシア大陸を旅する「深夜特急」という旅行記がドラマ化された。大沢たかおが主演しており、ポルトガルはサグレスの「サン・ヴィセンテ岬」にも立ち寄り「ヨーロッパの果て」と言っていたような気がする。それを思い出したら、ポルトガルがとても気になるようになった。これで決まりだ、西の果てを見に行こう。
さて、そうと決まれば、まずはパスポートの申請である。上記のようにバス会社から不採用の通知をもらった翌日、市役所で戸籍謄本の写しを入手する。そして、最寄りの旅券発行場へ向かう。
ここでは旅券申請の書類に記入し顔写真と共に提出するのだが、これがけっこう厄介だ。外形の大きさはもちろんだが、頭上の隙間がいくらだとかやたらと規定が細かい。もちろん、自分で作成していった写真は使えなかった。そこで登場するのが、向かい側にある写真屋だ。ここで撮影すれば、既定通りのものをすぐに出してくれる。商売上手いですなぁ。ここで2,000円近く支払い、改めて申請書を提出して、発行される日を待つ。
次は航空券の手配である。最近はインターネットが発達しており、全くもって便利な世の中である。航空券と検索すれば、いくつもの取扱い会社のサイトが表示されてくる。当方の場合、何となく見やすかったDeNAを利用することにした。
ここではどの航空会社を利用するか、予算以内に収まるか、どのぐらいの時間がかかるかなどを比較・検討していく。因みに、日本からポルトガルまでの距離は13,000㎞程度なのだが、これくらいならば直行できる航空機はB787を筆頭にいくつか存在する。しかし、残念ながら、現在のところは日本とポルトガル間に直行便は存在していないので、どこかで乗り継ぎをすることになる。
日本航空や英国航空だとヒースロー、フィンエアだとヘルシンキ、中国東方航空などは上海の空港でそれぞれ乗り換えて、ポルトガルのリスボン国際空港を目指すことになる。また、使用している飛行機にも違いがあり、日本航空だと前述のB787を使用しているので興味をそそる。その他にもフィンエアだと、A340という今では希少になった4発機で運行されている。ただ、これらは乗り継ぎの時間が長い場合があり、30時間待ちというものもあった。まあ、その間に一度入国して、見て回るという手もあるが、今回は欲張らないでポルトガル、特に首都のリスボンに集中したい。
そこで目についたのは、ターキッシュエアラインズ、旧のトルコ航空である。ここは東京(成田)~イスタンブールがB777-300ER、イスタンブール~リスボンがB737-900若しくは-800を使用しており、非常に手堅い。また、乗り継ぎ時間も3時間前後と申し分ない。また、値段も安めである。こうして、いろいろ勘案した結果、今回はトルコのイスタンブールをハブとする、ターキッシュを利用することにした。
次に泊まる場所であるが、初日だけ決めておいて、あとはその日の気分次第という旅行も悪くない。しかし、移動ばかりしているのも疲れてしまう。そこで今回は甘口ではあるが、リスボンを拠点にして旅をすることにした。
さて、DeNAで航空券を手配したことは前述の通りだが、ここは宿もセットにして予約すると幾分安くしてくれる。もちろん、このままセットにして購入した。参考までに航空券と6泊分の宿代の合計は、165,571円であった。この内、飛行機関係(航空券+諸費用)は92,260円、宿代(朝食込)が67,391円であった。
航空券はこの辺りが限界に安いようだが、宿については1/4程度までは絞ることができる。つまり、ライダーハウスみたいな宿(ゲストハウスって言うらしい)ならば、2,000円ぐらいから見つけることができるからだ。ただ、今回は管理人にとっては初の海外であるし、疲れが取れなくて体調を崩してもいかんな、そう考えて三ツ星のホテルを利用することにしたわけだ。
これをインターネットのサイト上で「ポチッ」と押せば、支払はクレジットカードで済ませることができる。繰り返しになるが、世の中便利になったものである。もちろん、支払うことができる金額が、引き落とし口座に入っていなければ話にならないことは言うまでもなかろう。
それはそうと、飛行機の座席選択も重要な決定事項である。本来ならば航空券を手配したサイトから選択できるようなのだが、なぜかそれができなかった。そこで、DeNAへ電話してその旨を話すと、その場で希望の座席を聞かれた。もちろん「主翼周辺の窓側」を希望したことは、言うまでも無かろう。その際、主翼の付け根最前列は優先席となっているということだったので、その後ろ2列目を指定しておいた。ただ、成田までの国内線については、当日のチェックイン時のみしか指定できないということだったと補記しておこう。
そうそう、ついでにスーツケースも購入しておこう。もちろんネットショップなのだが、安いものでも結構良いものも多々あるから驚きだ。当方の場合「LEGEND WALKER」というメーカーのもので、アルマイトのかかったアルミ製の口(ファスナーではない)で、50Lのものを選択した。
パスポートが10月12日に出来上がるので、早速旅券発行場へ受け取りに行く。この際、発行手数料を支払うのだが、当方は5年期限のものを選択したので11,000円だった。10年だと16,000円だが、そんな先のことは知らない。あと、向かいの写真屋兼用品売り場で用品を少々購入する。耳栓はもちろんだが「地球の歩き方」が監修したパスポート入れ兼用の財布を購入しておく。これが3,880円といい値段がつけてあるので悩んだが、とても使いやすそうなので負けてしまった。さらに、U字型の枕も買おうかと思ったが、ちょっと気おくれしてしまい、購入には至らなかった。イスタンブールまでは12時間程度の飛行が予定されているのだが、大丈夫だろうか。
ああそうだ、ガイドブックも持っていかないと。まずは図書館に行って、良さそうなものを借りて内容を吟味する。すると、やはり定評のあるというか、バイブル的な存在なのだろうか「地球の歩き方」が目に留まる。何が良いのかと言うと、ソフトカバーで持ち歩きやすいA5サイズであり、内容も広く浅くではあるが豊富である。ただ、これだけではちょっと物足りないので、事前の読み物としても面白い、日経BP社の「旅名人ブックス 33 ポルトガル ~大航海時代のルーツを探る~」も手に入れたい。あと、自称「旅名人」である当方の兄貴が「Lonly Planet」という英国のガイドブックもあるよと教えてくれた。これは英語で書かれた本だ。
これらの書籍は本屋で購入するつもりだったが、日経BP社のものが既に廃版になっている。そこで、アマゾンで中古のものを購入したついでに、他の2冊も「ポチッ」としておいた。これもカード払いなのだから、ちょっと恐ろしい。カードを使用する時は、よくよく使用履歴を確認しておく必要があろう。お金が沸いてくるわけではないのだからね。
財布兼パスポート入れ & ガイドブック
あと、現地で使うお金をどうするか。どうせならば現金で支払いをしてみたい。イスタンブールではトルコ・リラ、ポルトガルではユーロが流通している。別に日本で換金して持って行ってもよいのだろうが、「地球の歩き方」にクレジットカードとキャッシュカードの中間にあたる、プリペイド式のカードが紹介されていた。
これはクレジットカードではないので審査などが必要なく、15歳以上ならだれでも作成することができる。これに日本円を入れて、ネット上でユーロやドル等に両替できる。それを現地のATM等で引き出すことが可能というものだ。もちろん、クレジットカードのように支払もすることができる、何とも優れものだ。
管理人は早速「マネパカード」申し込んで、出発の2日前に届いた。もしもこれを利用するならば、10日程度の余裕を見て作成を依頼するとよかろう。因みに、このカードはマスターカードのマークが表示されているATMならば、世界中で使用できるものだ。今回は、60ドル、1,000ユーロをそれぞれ課金しておいた。このように、複数の通貨を1枚のカードで使い分けられるのも、大きなメリット言えよう。
このように準備さえ整えば、あとは健康管理に気をつけるだけだ。もっとも、日ごろから暇なので、24時前に寝て8時前に起きるという生活をしている。この間にはジムに行くことも欠かしていない。結局、いつも通りにしていれば良いのか。
ここまでの記載でおわかりと思うが、この旅行は自分独りで行く。「初めての海外なのに大丈夫か」という声も聞こえてきそうだが、大丈夫だよ。だって、死んだって構わないわけだし、集団で旅行するなんていまさらできない。つまり、当方の認識では、移動がフェリーから飛行機となり、通貨が異なること以外は国内の旅行と大して変わりが無いということなのだ。
ただ、ちょっと注意すべきは、犯罪に巻き込まれないようにすることだろう。いや、現在の日本においても、犯罪は増加傾向にある。気をつけることは、世界中どこへ行っても変わりがない。何だ、やはりいつもの旅行と変わらないということなんだね。
こうして、特段意識することもなく出発の10月17日まで、淡々と過ごす。