アディスアベバ ボレ国際空港の免税店街
10月20日 (日)
第2日目
その1
目が覚め、モニターで「リクエスト・ポジション」すると、既にインド本土を過ぎてインド洋に出ている。しかし、まだ暗いので景色は全く見えない。そこから再び寝て、次に起きるとアフリカ大陸のソマリアに差し掛かっている。ここに来るのは2017年以来なので、2年半振りだ。そう思うと気持ちが高揚してくるので、もう寝ることはできない。
さらに、いい匂いがしてくる。朝飯の準備をしているようで、前方のビジネスクラスから食事が配られているようだ。エコノミークラスの食事はジャガイモ、ソーセージ、鶏肉などである。ただ、このソーセージだが、イスラム教徒が多いようなので豚ではなく牛か鳥のようである。牛のソーセージなんて日本ではまず食べられないので、いかにもアフリカンだ。
上空42,000 ft.の食後のコーヒーを味わい、目を覚ます。このコーヒーもエチオピア航空のものは格別で、アフリカンである。
機内で食べる朝食は最高
そうこうしていると、機はエンジン出力を絞って降下を開始する。いよいよアディスへの着陸準備を開始したようだ。前述のように今回は翼の前に座っているので補助翼の動きやギアダウンの音は 確認できないが、前翼にあるスラットが進展したのが見えたのでヨシとしよう。
右旋回でボレ国際空港の滑走路に正対し、およそ7時間の飛行で、現地時間の6時頃にR/W07Rに着陸する。ちょうど夜が明ける時間らしく、徐々に空港全体が見えるようになる。
前回同様に沖止めのエリアに入り、巨大バスが迎えにくる。それにしても沖止めエリアは楽しいものだ。機体の下側から写真を撮ることができるし、ターミナルビル全体を見渡すことができる。また、件の巨大バスに乗れば、普段は入ることができないエリアを間近に見ることができる。ほんの数分から10分の乗車だが、とても長く乗っている気がするのも、私だけではあるまい。
これが沖止めの醍醐味
ターミナルビルに入り、なが~い廊下を歩いていく。あ、ダカールの帰りに振り替えの便の搭乗券を出してもらった、あの忌まわしきカウンターだ。あれは一体何時間待たされたのだろうか。ドイツ人のオッサンが激怒していたことが、ついこの間のことに思われてくる。
そうだ、俺は今、アフリカに帰って来たのだ。余談だが、中学生ぐらいの時、親がシンガポールや台湾といった近場に海外に出かけたことがある。しかし、当方は「俺はアフリカにいってみたいな」と話したことがある。すると「それはとても贅沢な旅だ」と半ば「お前なんかにできるのか」というニュアンスで言われたことがある。がははは、俺は2回目のアフリカに来ているんだ。
おお、何か広くなったな。それもそのはずで、前は乗り継ぎ時は免税店のエリアに入れなかったんんだけど、今回は行き来が自由になっている。さらに、西側に新しい搭乗エリアが拡大されており、目下工事中という趣だ。尚、エチオピアの入国にはビザが必要だが、ガーナ程は審査が厳しくないようで、オーストラリアやアメリカと同じ電子ビザを採用しているようだ。「エチオピア旅行も悪くないな」と当方のアフリカ好き精神がくすぐられたのは言うまでもなかろう。
さて、旅はまだまだ続く。ここからさらに乗り継いで、ガーナの首都アクラまで行くのだ。電光掲示板を確認すると、そのアクラ行きET921便は8時30分、定刻に出発予定だ。お、8時台にはケープタウン行き、あ、ヨハネスブルク行もあるのか。アフリカ好きがさらに煽られてしまうが、今回はガーナである。
少し時間があるので、ゲートに並ぶ飛行機を見て楽しむ。ここはアディス、エチオピア航空の拠点空港だから、同社の機がほとんどである。この会社はアフリカでは大手の会社だから、機首も豊富だ。DHC-8、B737、B767、B777、B787、A350と日本の会社と遜色ないラインアップだ。おや、あのB787,ET-ARFは、そのダカールの帰りに成田まで乗った機体だ。そういう搭乗歴のある機体に会うことは意外と難しくて、実はこれが初めてなのかもしれない。そう思うと嬉しくなるではないか。
エチオピア航空の都の様子
まだ少し時間があるので、ゲート付近の椅子に座って体力を温存する。少しウトウトしたりメモをつけたりしていると、搭乗時刻開始時刻となる。
アディス-アクラ間もエチオピア航空を使うのだが、こちらの機材はまたも最新のA350-900だ。B787と同様に構造部材はCFRP(炭素繊維強化プラスティック)を使用しており、大幅な軽量化を実現している。また、今回乗る機体はET-AVBの登録記号が当てられていて、A350としては180番目にフランスはトゥールーズの製造ラインを離れている。エチオピア航空には2018年の2月に納入されたばかりの「新車」である。
アクラまで頼むよ、ET-AVB機
何回か記述しているが、同航空会社は機材リフレッシュ計画を進行中であり、B787やA350などをガンガン入れている。この中にはB737MAXも含まれているのだが、こちらは墜落事故が起きており、納入が止まっている。これは大きな誤算だったことだろう。
ゲートが開いたので列に並んでいると、放送で「座席番号30より後のお客様・・・」と聞こえてくる。今回は31Aを指定しているので、いよいよ乗り込む。緑色の上着を着た方に交って、民族衣装を着たCAさんに出迎えてもらい、指定の席へ。因みに、エチオピア航空も座席は3-3-3の9列仕様であり、わりと幅や足元には余裕がある。エチオピアはB787も同じ9列なのだが、こちらはちょっと窮屈である。
それにしても、あーーーー、なんてこったである。窓のない窓側席じゃあないか。コンナノありかよ!!
よくよく考えると、帰りも同じ機材で同じ席番号を指定しているじゃあないか。アクラまでは5時間の飛行なんだけど、その間アフリカの大地が見えないなんて・・・。しかし、後悔しても後の祭りである。ここは気持ちを入れ替えていこう。
まあ、この機は長距離飛行用なので、個人モニターが装備されているし、しかも画面も大き目の新型だ。もちろん、内容的にも充実している。少数ながら日本の映画も含まれているようだ。
結局15分程遅れてドアが閉まり、移動開始となる。エチオピア航空なので、十分定刻の範囲内だ。窓の外は見えないが、モニターを見ながら離陸滑走を感じる。おそらくR/W07Rからの離陸だったことだろう。右旋回して機首を西に向けて、高度をぐんぐんと上げている。日本の会社よりも操縦は雑な印象を受けるが、特に問題となるようなこともないと補記しておこう。
巡航高度に達すると、食事のサービスが始まる。今回はハンバーガーと言うか、丸パンのサンドイッチである。エチオピア航空は食事の回数が多いようである。前述のように、飛行時間は5時間だが、他社だとお菓子が出て、通常の食事となるが、こちらは軽食でもそれなりの物が出てくる。食事のエチオピアという印象だ。
まずは軽食
笑顔で受け取ったリンゴジュースを飲んで、映画を観る。ちょうど観たいと思っていた「マスカレード・ホテル」があったので、こちらを選択する。俳優は長澤まさみが主演で、キムタクも出てくる。後者はどうでも良いが、前者は普段はちょっとボケているが、キリリとした役をこなしている所が印象的だった。
しかし、返す返す残念なのは、窓が無いことだ。アフリカの大地、特にナイル川が見られないのは残念だ。どうやらスーダン上空辺りを飛行しているようだが、それもモニターで確認するだけとは。
離陸後2時間30分ほど過ぎて、コンゴからナイジェリア辺りの上空、43,000 ftを500ノットぐらいで飛行している時に、2回目の食事が始まる。今回は鶏肉を選択する。出ましたよ、ライスサラダ。一説によると、アフリカでは米は野菜に分類されるようで、ライスのサラダが提供されるのだ。まさに、アフリカンである。
2回目の食事
(炭水化物過多である)
12,000 mもの高空を亜音速で移動しながら食事をし、寛いでいる。日々、時間に追われて仕事をしていることから考えると、まさに夢のような時間だ。ということで、食事の後はそのまま夢の中へ・・・。
第2日目 その2へ続く