管理人 海外へ行く
~ガーナ編~
2019年10月19日 ~ 2019年10月27日



セントレアのR/W 36に進入

0.序

もう2年以上も前のことですが、ガーナに行ってきました。首都名はアクラなんですが、ガーナと言えば「チョコレート」を連想するのが一般的な日本人と思います。しかし、場所を正確に知っている方はあまりいないようです。ガーナってどこにあるのか、以下の地図を参照ください。ああ、こんな所にあるのね、結構遠いじゃん。そう思われる方が大半ではないでしょうか。


地図を参照

さて、それにしても、何でガーナに行こうと思ったか。答えはいつも通りで「ただ、行ってみたかっただけ」ということなんですが、一応理由があります。それは、最初に述べた通りで「あまり知られていないし、行った人もいない。その割には名前が知られている」ということです。まあ、理由なんて何でも良いですな。

春ぐらいからちょくちょく準備をしていました。まずは航空券です。前々から調べていたのですが、結局タイのバンコク、エチオピアのアディス・アベバを経由するルートを選択しました。他にもっと安いルートで、上海、ドゥバイを経由するルートもありましたが(こちらの方が5万円近く安い)、諸事情により、エチオピアルートを選択。就航している航空会社が少ないせいで競争原理が働かないため、結構な高額となってしまいました。まあ、行きたいのだから仕方ありません。

また、ガーナに入国するには査証、いわゆるビザが必要です。つまり「入国して変なことをしないか」とか「不利益にならないか」とか調べるため、あるいは監視できるようにするため、あらかじめ書類を提出して許可をもらっておくということです。

ガーナは東京に大使館があるので、そこに申請すればビザが発給されます。書類のフォーマットはWEBからダウンロードすれば大丈夫。問題はその記入ですが、滞在場所の住所、電話番号、そしてE-mailのアドレスまで記載する必要があります。当方の場合、既にホテルを予約していたのでそれを記入しますが、メールアドレスが無い所がありました。ただ、これについては、ガイドブック等にある任意の施設を記入すればO.K.みたいな情報を得ていたので、その通りとしました。

あと、ビザは発給から3か月間有効なので、出発日が発給から3か月以内になるようにしなければなりません。当方の場合、10月20日に入国予定なので、7月21日以降に発給されるよう調整しました。
それから、大使館は書類の受付を週に2日、火曜日と木曜日にしか行っておりません。基本、火曜日に提出して問題が無ければ、木曜日に発給されます。しかし、直接東京に行けないことの方が多いので、地方に住む当方は郵送することになります。大使館は郵便局の「レターパック」を推奨しておりますので、返信用のレターパックを書類と一緒に同封しました。尚、この辺りは職業柄、得意分野です。

あと、手数料も支払わなければなりません。これは銀行振り込みが指定されており、現金は受け付けていないということでした。それにしても、シングル・ビザ(入国1回のみ有効)で9,440円って激高い!!マルチ(2回以上の入国ができる)だと1万円越えです。また、必要書類は、申請書(カラー写真付)、振込の証明書、航空券の写し、イエローカード(黄熱病の予防接種証明書)、パスポートです。

え、この予防接種って何?と思われそうですが、アフリカの赤道付近の国は黄熱病に罹患する可能性が高いので、義務付けている国があります。当方の場合、2年前にセネガルに行った際に接種を受けており、また、これは生涯有効なので問題無し。これから受ける人は、空港などにある検疫所で受けられます。

書類を揃えて郵送し、翌週の木曜日にレターパックが戻ってきました。書類に不備がなければ、そのままビザの発給となりますが、その結果は如何に。ドキドキして封を開けると・・・、やったー!!無事にビザが出ました。


VISAを取得しました

あと、今回は2都市を別々のホテルに泊まることにしましたので、スーツケースを辞めて大型のバックパックを購入しました。こちらはネット上で1万円以下でも結構良い物が手に入りますので、探してみると良いか、と思います。当方の場合、約8,000円でした。

準備にかかった金額は以下の通りです。

航空券: 220,000円
査証  : 9,440円+レターパックライト 360*2=720円
バックパック: 8,000円

その他用品については今までの物を使えば良いので、これで準備はほぼ完了!!つつがなく、仕事に追われて出発日を待ちます。

それはそうと、今年は台風の多い年だ。もちろん、台風の日は仕事ができないのだが、その翌日はめちゃくちゃに忙しかった。もっとも、10月に入ってからは毎日が忙しくて、前日も結局2時間の残業をこなしてから急いで帰宅し、荷物を車に放り込んで空港に近い実家に向かう。恒例の「前泊」である。


自宅アパートにて 
出発前の管理人

また、実家からは駅が近く、1本で空港に向かうことができるので便利である。こういう時だけ都合よく実家に頼るとは、親不孝者である。しかし、理由は何にせよ、一応自活して旅行に行くぐらいの金は持っているよと示しているので、勘弁してください。

晩飯に買ってきたモスバーガーを食べつつ、オヤジに近況を報告したり、奥さんからオヤジの様子を聞き出したりして実家の状況を把握しておく。気になるのは、車の運転だ。本人はいずれは止めなくてはいけないことも認識しているようだし、「夜は良く見えないので、もう乗らない」と話している。そういうことが客観的にわかっているので、あとは本人の意思に任せるとしよう。

風呂に入って23時には布団に入るも、なかなか寝付くことができない。全く、遠足前の子供と同じである。バイクに乗っていた時も、ツーリング前は興奮して目がさえてしまっていた。つまり、これは当方の「習性」だと言えよう。

10月19日(土) 
1日目

1.出発

明けて10月19日、朝5時50分に寝不足で目が覚める。同時に、オヤジが起しに来るので、布団から飛び出て準備をする。余談だが、オヤジは趣味で無線、いわゆる「ハム」にのめり込んでいた時期がある。それ故に、実家の敷地内にはアンテナが2本立っていた。8 mと22 mのものだが、前者は既に自力で撤去しており、22 mの方も、旅に出ている間に新オーナーが取りに来るということだ。自宅の庭からあのアンテナが無くなるのは少々さびしいが、これも時代の流れだろう。

名古屋鉄道の最寄駅に送ってもらい、6時28分発の空港行きに乗車する。こんなに朝早くだが、すでにスーツケースを持った人々で乗車率は100%以上だ。さて、前述のように、今回は巨大バックパックに荷物を入れているので、背負ったままでは周囲に大迷惑だ。床に置いてつり革を持つも、次々に人が乗ってくるので、だんだん態勢がきつくなってくる。

半ばトレーニングのような恰好で、空港への接続橋を渡る。管制塔、誘導灯、滑走路、そして飛行機たち・・・。そうか、俺は今から遠くアフリカのガーナへ行くのか。ここに来てようやく実感が湧いてくる。いやあ、サラエボから1年、今年の3月には羽田から千葉に行ったのだが、その旅からも半年経過してしまった。自分で言ってりゃ世話無いなと思いつつも「よく頑張って仕事して、旅費をつくった、偉いぞ」と思い、感激で半ば意識が無くなってしまったかのように、ボーっとしてしまう。


駅を出ると、そこは空港
左側が2タミ、右側が1タミ

さて、セントレアこと中部国際空港は、この1年で大きく変貌した。B787の初号機を展示した「フライト・オブ・ドリーム」の開館、そして格安航空会社向けの第2ターミナルの開業、空港も姿を変えていく。そして、いずれは2本目の滑走路も建設されるということだ。


新施設 フライトオブドリーム

ああそうだ、まずは日本円をおろして米ドルを手に入れなくては。ATMから現金をおろすのだが、この際、キャッシュカードを取り忘れてしまう。幸いにも後ろの人が「忘れていますよ」と声をかけてくれるので、難を逃れる。おいおい、大丈夫か??メルボルンの時みたいに、慌てるのは嫌だぞ。

それはそうと、空港では通貨交換のレートが良くないのは承知の上だが、よく見かける「Trabelex」に向かう。あらら、随分と長い行列ができているが、まあ、焦っていないのでのんびりと待つとしよう。これも旅の儀式と思えば、楽しくなってくるから不思議だ。


ドルを買おう

「すいません、集合時間に遅れそうです」と前に並んでいる人が電話をしている。ツアーだと面倒だなと思うが、もちろん、当方はきままな一人旅である。旅は単独に限るね。

ほんの50ドルを手に入れて、コンビニ横の店に入って朝飯とする。オムレツ、サラダ、トーストのセットで税込510円なので、空港にしてはお得と言えよう。店に入って朝飯とは、普段は絵に描いたようなケチの当方なので、何とも優雅な気持ちになってしまう。繰り返しになるが、いやあ、本当に1年頑張った甲斐があったね。


一仕事終えて、朝飯

おお、そうだ、ボールペンを買わなくては。上の階にセントレアのグッズを売る店「SORA MONO」あることを思い出し、早速向かう。模型やら、ラスターやら、いろいろあって見ているだけでも楽しいが、JALのボールペンとシャープのセット、そして、バックパックに目印となるタグを購入する。それにしても、タグが900円とは驚いた。買い忘れたものも手に入ったので、スカイデッキに出て飛行機を眺める。

前述のように第2ターミナルができたので、南の方まで飛行機が尾翼を立てて並んでいる。セントレアは国際空港ではあるが、地方空港にすぎない。しかし、飛行機の数は確実に増えてきているので、いずれは関西と肩を並べるくらいの規模になるのかもしれないね。

それはそうと、今回最初に乗る機体と思われるものが目の前にある。タイ国際航空のA350-900である。そう、今回はまずタイのバンコク、スワンナブーム国際空港に行くのさ。もちろん、タイは初めてなので、それだけでもワクワクしてくる。


搭乗予定のA350-900機
左後方に、南ア航空のA340が見える

また、オープンスポットには、南アフリカ航空のA340が駐機してある。なぜ、定期便もない同社の機体がいるのかと言うと、同国のラグビーの選手が愛知県内に宿舎を構えている都合上、ここから帰国するということだそうだ。こちらは、仕事場の同じ旅好きの同僚から得た情報であると補記しておこう。

2.いよいよ出国

しばらく飛行機を見た後、8時30分過ぎに搭乗手続きへ向かう。今日はセントレアであるので、出発時刻11時の2時間前である9時に行けばよいのだが、荷物が重いのでさっさと預けてしまおうというわけだ。

果たして、Fカウンターに行ってみると・・・。おいおい、わかってはいるけど、既に大渋滞ではないか。因みに、A350-900型はタイ国際航空の場合、座席数は321ということだ。80%の搭乗率としても、250人以上の人がチェックインするわけなので、このくらいの行列は当然だろう。


早速の行列
Fカウンターは遠い

待つこと1時間、ようやく当方の順番が回ってくる。もっとも、その間に上級の座席を予約している人は、空いている窓口でさっさと手続きをしている。これが金の力なんだろうが、当方の場合は主翼の後縁付近の窓側に座りたいので、エコノミーのその席こそが特等席なのだ。

話を元に戻して、カウンターでは鶴のマークの日本航空の職員が対応してくれる。え、タイ航空はスターアライアンスに加盟しているので、全日本空輸じゃないのか。詳細は省くが、2017年まではJALとのコードシェア便もあったようなので、提携関係があった都合上このようになっているのだろう。

E-TICKETとパスポートを提出して、航空券を出してもらう。前述のように、今回はバンコク(BKK)、アディスアベバ(ADD)を経由して、ガーナのアクラ(ACC)へ行くわけなんだが、BKKはともかく、ADDとかACCなんて、地方空港であるセントレア(NGO)ではあまり見かけないのだろう。加えて、カウンターの地上職員も新人なのか、こんな3レターコードは扱ったことがないのだろう。「こまったぞ」という顔をしている。

すると、後ろから先輩らしき人が来て、何やら相談して解決していた。そして、ここで「ビザは取得していますか」と聞かれる。「待ってました」と、心の中だけでドヤ顔をして、見た目は涼しい顔をして、パスポートの該当ページを開いて見せる。

あと、経由地が多いので預け入れ荷物の処遇について聞かれる。もちろん最終のACCで受け取りますよ。ただし、人間はBKKで一旦入国します。これにより、再度搭乗手続きが必要ということだが、これも予定通りである。

航空券が発券されて、いよいよ気分も盛り上がってくる。そうか、俺は今からタイへ行くのか。いや、それは旅のほんの始まりで、エチオピアで乗り換えてガーナに行くのだ。そう考えると、高ぶる気持ちを抑えられない。地に足が着かないとはこういう事なのだろう、フワフワした感覚で航空券を受け取り、保安検査場へ向かう。まあ、セントレアは上着や靴を脱ぐ必要はないので、国際的に見れば甘い部類だろう。同じ日本でも、成田はずっと厳しい。これは取り扱っている旅客の国籍が、ずっと多いことを意味しているものと思われる。

保安検査は楽勝で通過すると、次はパスポートコントロールだ。今やセントレアでは、成田と同様に自動顔認証による機械での審査しかない。時代はどんどん流れていくのだな。もちろん、あっけなく通過。ただ、パスポートにスタンプが欲しいので、それ用の窓口で押してもらう。これは基本である。

こうして、出国手続きは終了し、制限エリア内に入る。まだ旅は始まったばかりなので、免税店で買うものはない。しかし、ちょっとだけオシャレな時計が気になってしまう。5,000円ぐらいからあるので「一つぐらいいいかな」と思うも、当方はすぐに失くしたりするのでやっぱり止めておく。


制限エリア内の免税店街

あと、毎度ながら思うのだが、ここでも東京銘菓の「ひよこ」とか、北海道銘菓の「白い恋人」が当然のように売られている。海外の人から見れば当たり前だろうが、日本人の当方から見ると少し違和感があるんだなぁ。まあ、そんなもんでしょう。

昨年もそうだったが、当方の場合は成田出国が多いので、セントレアの免税店はあまり見て回ったことがない。今回は時間もあるので、端から端まで歩いてみよう。そう思うが、やはり、店はそこそこにして、やはり飛行機の方が気になってしまう。旅好きの仕事仲間Mさんは、シンガポール航空(SQ)を大そう気に入っており、次の旅もSQの本拠地であるチャンギ空港を経由して目的地へ行きたいということだ。そのシンガポール航空だが、ここにはB787-10という最新の機材で乗り入れており、それは今、目の前に駐機している。

標準型の‐8型に比べて2まわりは長い機体は、鋭く、また気品ある雰囲気に見え、違う機種ではないかと錯覚してしまいそうだ。もっとも、30年以上前に活躍したダグラスDC-8‐60型程ではない。従兄の孝道君曰く「ストレッチ型の機体の方が断然かっこ良い」ということだが、まさしくその通りである。

おや、あのスターアライアンスカラーのA340は。ルフトハンザ機ではないか。ちょうど誘導路を移動中なので、いまからフランクフルトまで12時間以上飛んでいくわけだな。ああ、去年はサラエボの帰りに、逆のルートで帰ってきたな。おお、今日の香港行きのキャセイ機は、B777-300ERだな。俺の時は標準型の‐200だったな。向こうにはフィンエアのA350‐900が見える。北欧にも行ってみたいものだ。


ルフトハンザのA340機
尾翼だけシンガポール航空の787-10機

興味は尽きないが、最初から飛ばし過ぎて疲れてもいけないので、そろそろ搭乗機がある21番ゲートへ行こう。さて、バンコクのスワンナブーム国際空港まで乗って行く機体は、エアバス社が製造する最新鋭の機種A350-900型である。車で言えばナンバープレートにあたる登録記号は「HS-THK」である。この機体はA350としては181番目に製造されたものであり、2018年1月に就航した新品である。

余談だが、このA350型は900とストレッチ型の1000、2種類が存在する。もちろん、素材は炭素繊維に樹脂を染み込ませて、窯で焼き固めたプラスティック(CFRP)を多用しており、900型では350人を乗せて15,000 kmを飛行することができる。外観の特徴は何と言っても反り上がった翼端であろう。これは見る角度によって斜めに反り上がっているように見えるし、また上方に巻き込むようになっているようにも見える、不思議な翼端だ。

今からこれに6時間乗って、タイのバンコクへ行くんだ。そうか、仕事は9日の休みを取って、これからバカンスが始まるのだ。そう考えると、仕事を頑張って良かったと思えてくる。いや、普段は「カッタルイ」とか「面倒だ」とか「もう辞めたい」なんて思っているのだが、それもこの一瞬のために我慢してきたのだ。いや、この一瞬のために仕事をしているのだ。どっちでも良いけど、やっぱり旅はやめられないね。

優先搭乗、ビジネスクラス搭乗に続いて、10時30分頃からエコノミークラスの搭乗が始まる。搭乗橋の窓からユナイテッドのB737が見える。あれ、翼端だけはMAXのものが装着されている。こんな仕様もあるのかと思うが、B767や757、果てはB727の翼端板付仕様もあるので、別に不思議でもないか。

搭乗橋から機内に入ると、CAさん達が合掌して「サワディ~」と挨拶してくる。多分「サワディカップ」のくだけた表現なんだろう。どう返していいのかわからないので、こちらも手を合わせて「サワディ」としておく。本当はどうすればよいのかね?

座席は予約時に指定してある、54Kである。ここは翼の付け後方であり、かつ右側だ。この季節は滑走路は36であろうから、離陸時に空港を見られるようにこちらにしておいたのだ。もくろみ通り、今日はR/W36の離陸なのでニンマリ。我ながら、マニアな選択をしていると呆れてしまう。


機内の様子

窓から外を見ると、第2ターミナルに駐機する飛行機群が見える。また、前席のポケットには、ヘッドセットと安全ガイドカードが入っている。特に何かが起こるわけでもなかろうが、一応内容を確認しておく。機内には続々と乗客が乗ってきて、一つ空けて通路側の席に座る人がいる。残念ながら、今回もエコノミービジネスにはならなかった。


安全カードの内容を確認
足元はゆとりがある

さて、この機体の座席は3-3-3の横9列の仕様である。横幅は「Extra Wide Body」の名に恥じなく、余裕がある。足元もきつくは無く、フットレストも装備されているので、バンコクまで快適に過ごせそうだ。もちろん、ひざ掛けもあるよ。飛行機は結構足が冷えるので、長時間の搭乗には毛布は欠かせない。

第1日目 その2へ続く

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