管理人 海外へ行く
〜セネガル編〜
エチオピア航空のカウンター in アディス
第8日目 （3月31日 その3）
１．アディスに向けて
バマコを出ると空が赤く染まり始め、綺麗な夕焼けとなる。ああ、夕焼けだと思っていると、あっという間に夜になってしまう。東向きの飛行では急速に時間が過ぎていくので、こんな非日常も味わえるというものだ。
機窓から見る夕暮れ
かなり疲れているのか、眠たく仕方ない。ウトウトしていると、食事の時間となった。今回は魚を選択するのだが、これはタラのクリーム煮といったところだろう。また、ティラミスも付いており、機上の食事を楽しむ。飛行機の醍醐味である。
心配は尽きないが、食事は重要だ
それはそうと、今後のフライトについては「アディスで聞いてくれ」ということだったが、いったいどうしたらよいのだろうか。成田では、翌日の国内線に乗るためにホテルを予約しているし、そのANAの国内線に間に合わない場合、どうなるのか。まあ、ここで考えても仕方ないので、食事と機窓から見える星空を楽しもう。おや、あれは南十字星じゃあないか。昔、西條秀樹が同名の歌謡曲を歌っていた時、実際にこの星座を見た話をしていた。それによれば「ちょっと、十字が斜めになっている」ということだが、本当にその通りだった。
そうだよ、今は北緯10度ぐらいの場所を飛んでいるのだから、見える星空も全く異なるんだ。ということは、あの地平線近くに見える雲みたいなものはマゼラン星雲かもしれない。
さて、バマコを17時に出発したということは、ここから6時間プラス、アディスの時差を3時間加えた時刻が到着のそれということか。ということは26時、夜中の2時ってわけね。いろいろ交渉したり、手続きも必要になるだろうからもうちょっと寝ておこう。
それにしても、今回の旅は予期しないことが次々に起きている。その集大成が、この「遅れ6時間」である。こんなアフリカの端の地で独りきり、いったいどうなるのかと心配になるが、前述のように成るようにしかならないのが現実だ。また、よくよく考えると、世の中全体がこういう不確定要素の上に成り立っているのではないかと気がつく。つまり、具体的に言えば、就職についても同様のことが言えるかもしれないということだ。
２．アディス到着
ウトウトしながら思案していると、いよいよアディスが近くなってくる。CAさんも慌ただしく着陸の準備を開始したようで、機長からも業務連絡が飛んでいる。そして、眼下には都市の明かりが見えてきて、だんだん高度を落としていく。アフリカと言えども、市街地は夜でも賑やかであるなと思っていると、ボレ国際空港の滑走路07Rに着陸した。
こうして2時過ぎに飛行機は搭乗橋のあるスポットに駐機し、アフリカ大陸の横断が終了した。さて、ここからが問題である。ここはまだアフリカ東部、エチオピアだ。当方の国、日本は香港経由で、ここから15時間かかるのだ。もちろん、乗る予定だったエチオピア航空672便は、2時間以上前に出発している。
ET-AMG機を降りると、夜中だけどエチオピア航空の職員が案内をしている。「どこへ行くのか」と聞かれるので「香港経由で成田だ」と言う。「じゃあ、カウンターへ行って」と言われる。この時、丁度「北京行き」が出発最終案内をしているところで、これに乗る人を探して誘導しているようだ。
さて、その乗り換え用のカウンターだが・・・。振り替えの便の切符を発行してもらう人達で、大混乱である。その先頭では、ドイツ人のオッサンが大激怒している。「おい、俺はパスポートを預けて15分も待っているんだ。どうなっているのか説明しろ！！！」と大声を上げている。「そんな大きな声を出さないでください」と職員はなだめているが、怒りはおさまらない。そりゃそうだ、ダカールの時点で6時間以上遅れているのだから、ここアディスでは準備して待っていてもよさそうなものだ。
また、順番待ちの列が長くなる一方なのに、窓口には2名の職員しか対応していない。「おい、順番待ちの人がたくさんいるんだから、職員を増やせよ」と声が出る。そうだそうだ、何とかしてくれ。隣のアフリカ人と目が合うが、彼も疲れた表情で「やれやれ」という感じだった。
どうしたものかと思っていると、ダカールで仲良くなった中国人氏が「おい、香港はこっちらしいぞ」と別のカウンターへ案内してくれる。列に並ぶが、やはり順番が回ってこない。いや、横入りだろうが何だろうが、職員に強く訴えた人から順番が回ってくるようだ。なるほど、日本人にとっては、列をつくって辛抱強く待つことは普通だが、これは世界的には珍しいことだ。図らずも、ここアディスアベバでそれを理解するに至ったわけだ。
ここで再びドイツ人のおっさんが登場し「北京からフランクフルトに行けるらしが、北京行きはさっきでたばかりらしいじゃあないか」と怒りがおさまらない。ああ、そういえば、「北京行きはお急ぎください」というようなことを、出口で言っていたな。おっさんが怒るのも無理はなかろう。当方も「そうだ、彼は正しいことを言っている」と加勢すると「援軍が来た」と職員に皮肉っていた。結局、この人は明日のターキッシュエアラインズで、帰ることになったようだった。
３．いつまで待てばいいのか
待てど暮らせど順番が回ってこない。時刻は既に4時になっているので、先程のカウンターに戻り、強引にパスポートと古い切符を提出して処理をしてもらうことに成功した。「明日の便でいいね」と半ば強引に誘導され「いいよ」と答えてしまう。いや、成田に行く便なんて、明日しかないんだろうよ。そう思っていると、振替の切符が発券される。おいおいお、俺は成田に行くんだよ。この切符は香港行きじゃあないか。これじゃあ日本に帰れないんだけど。
何回かやり取りして、やっと成田行きが手に入る。こうなったのは訳がある。最初の旅程では、復路は香港で乗り換えて、ANAとエチオピア航空のコードシェア便に乗る予定だったからだろう。しかし、結局は明日（今日）の夜に出発する672便、これは成田まで行く飛行機であり、その31Lの席を確保できた。もちろん、窓側の主翼付近なので「ありがとよ」と職員に礼を言っておく。彼は照れながらも、ちょっと喜んでいたと付記しておこう。
ここでは航空券の他にも、ホテルに泊まるための宿泊証明書、一旦空港から外に出るので、乗り継ぎビザも一緒に発行される。ビザって言っても、ラミネートフィルムでできた5�儚僂阿蕕い里發里覆鵑世韻匹諭�
成田行きのパスとホテルの宿泊証明書を手に入れる
「1階のイミグレーションへ行ってくれ」と言われたので、まだ人が残っているカウンターを横目に階段を下りていく。すると、の持つをX線で調べる機械があり「一応リュックを通してくれ」と言われそのまま通してしまいう。あ、しまった。酒の瓶が入っているので振動で割れちゃうかもしれない。ちょっと危なかったが、瓶は無事である。
その後、入国審査の小さなブースへ向かい、タルそうにネエチャンが座っている所へ入る。そこでパスポートやらホテルの証明書やら、ビザなんかを提出して、指紋と顔写真をとる機械に指をのせて、カメラに顔を向ける。思いっきり笑ってやると、職員は「アホじゃあないか」という顔で笑っていた。
ブースでエチオピア入国のスタンプを押してもらい、半開きの扉があるのでそこから外へ出る。そこには待合室が広がっていて、先に出国した、ダカールで仲良くなった中国人や、バマコから乗ってきたというフィリピン人が待っていた。
ま、ちょうどエチオピア航空の職員がいるので「ANAの国内製は補償対象になるか」とたずねてみる。すると「（切符を）通しで購入していないので、できない」と言われた。何だ、同じスターアライアンスでもだめなのかと思うが、システム的に考えれば当たり前のことだろう。成田からはどうやって帰るか、いや、それよりも、今日は疲れたので、エチオピアでゆっくりしよう。
エチオピアに入国
職員の話では、我々は「キングスホテル」という、かなり高級なホテルに泊まれるようだ。「食事も部屋も良いですよ」と言っているが、そもそも乗り継ぎができなかったことの方が問題だ。まあ、しかし、期せずしてアフリカで2番目の国「エチオピア」に行ったことになるのだから、これも悪くなかろう。
朝の5時頃になって、ようやく迎えのバスがやって来るから、駐車場へ行ってくれと指示が出た。その駐車場までは、客待ちのタクシーが並んでいる所を通るのだが、意外にも客引きは厳しくなく「バスはその向こうだ」と教えてくれた。しかも、タクシーはとても綺麗で、ダカールとは雲泥の差だ。英語が通じるのも嬉しい。
整然と並んで待つタクシー
所定の位置へ行くとバスが止まっており、中からは陽気なニイチャンが「ようこそ、キングスホテルへ」という感じで迎えてくれる。やれやれ、やっと休めるよ。それにしても腹が減ったのだが、ホテルのニイチャンは「心配するな、朝飯の準備はできている」と話していた。
ホテルの送迎バス