管理人 海外へ行く
〜セネガル編〜
成田空港2タミの様子
朝はゆっくりと8時過ぎに起床した。ただ、朝飯は8時30分がラストオーダーなので、ゆっくりしてもいられない。さっさとシャワーを浴びてさっぱりし、1階の食堂へ向かう。 前回のポルトガルの帰りにも利用したこのホテルで、ゆっくりと日本の朝を楽しむ。味噌汁、卵かけごはん、漬物、ひじき、やっぱり俺は日本人なんだよな。テレビを観ながら日本に帰ったことを実感しているが、今年はまだ桜が咲いていないようだ。そういえば、出発日の3月24日も比較的寒い日で、桜の開花宣言は出されていなかったな。その後も気温が上がり方がイマイチで、つい昨日か一昨日に宣言されたようだ。 そんなことを考えられるのは、日本に帰ってきたからだ。そうだ、俺は帰国できたのだ。 食事を終えて部屋に戻り、もう一度寝る。チェックアウトは11時なので、10時30分前まで寝る。尚、支払は予約時にクレジットカードで払っていたので、ここではお金は必要なかった。やれやれ、助かったと思い、送迎バスで成田空港の第1ターミナルまで戻ってくる。 さて、ここからが問題なのだが、どうにか日本円を手に入れないと家に帰れない。様々な方法があるが、こういう時はオヤジに頼むしかなかろう。家に電話をして「エチオピアで荷物が行方不明になり、日本円がない」と泣きついた。しかし、オヤジとしてはどうしてよいのかわからないようだ。「警察が貸してくれるぞ」とか言っているが、それは死んだオフクロが言った「ウソ」である。いや、正確には貸してくれる場合もあるそうだが、こんなことでは貸してくれない。 そこで、23年前を思い出し「郵便局間送金」を利用することにした。これは、郵便局に口座がなくても郵便局同士で送金ができて、何らかの身分証明をできるものがあればお金を受け取れるというものだ。実はその23年前、初めての北海道ツーリングで財布やキャッシュカードを落としたことがあり、その時にこの制度を使って、お金を送ってもらったことがあるのだよ。 ただ、成田空港ではその取扱いをしている局がないので、成田駅の西口郵便局まで京成電車で移動することとなった。これがけっこう不便で、成田空港へ乗り入れている鉄道は基本的に特急電車で、一般電車は極端に本数が少ないのだ。その中で、成田エクスプレスの車両を見かける。高校時代にTVCMで知ったのだが、あれから30年近く過ぎて実物と対面した。 これがあの成田エクスプレスか 2.やっぱり飛行機で こうして、京成成田駅まで行き、郵便局を見つけて何とかまとまった現金を手に入れることができた。しかし、この時点で既に12時を回っている。本当は新幹線で帰ろうとも思っていたのだが、保険金で成田‐名古屋間の航空運賃がまかなえるので、夕方の中部名古屋便に乗ることにした。 再び電車で成田空港へ戻り、レストラン街でお寿司を食べる。マグロ、味噌汁、お茶、ここでも、やっぱり俺は日本人だと改めて思う。日本は空気を察したり、付き合いが必要だったり、面倒くさいことがたくさんあるが、44年もそこで生きていると、今さらそれを変えるのも大変だ。 日本食は最高である 食事の後は、飛行機ウォッチタイムだ。往路もしこたま時間があったので、飽きる程見たのだが、やっぱり飛行機を見るのは楽しい。だって、自分で風を起こして走り出し、その勢いで揚力を発生させて、空を飛んでしまうのだ。人類が動力飛行に成功してたかだか100年ちょっとだが、ここまでの進化をするとは、誠に驚きである。 珍しくなったデルタ航空のB747型機 夕方まで飛行機を見たら、いよいよ帰り支度だ。予約時にはANA339便に搭乗予定だったのだが、これは昨日乗り過ごしてしまった。そこで、たまたま第2ターミナルにいたので、日本航空3087便を切符を購入した。代金は21,050円と非常に高いが、保険金でほぼ相殺できるので、これでいいのだ。 出発は18時30分なので、1時間ぐらい前にSゲートへ向かう。すると、目の前にはB737と767が駐機してある。今日はどっちかなと思いよくよく見ていると、どうやらB767が使用されるようだ。これは「ONE WORLD」カラーの機体で、登録番号はJA604Jで、767型としては905番目の機体だ。 搭乗予定のB767-300ER型機 え、こいつは往路のアディス‐ダカールで乗ったB767よりも古い機体じゃん。しかし、外観も内部もずっと新しく。これが整備状態の差というものなんだろうが、ここまでの差があると正直驚いてしまう。以前雑誌で「ANAやJALの中古機は、市場でも評価が高い」と記載があったが、そりゃそうだろう。納得である。 3.やっと家に帰れるのだが・・・ さて、18時過ぎに搭乗開始となり、15Gの席に着く。残念ながら今回は、窓側の席ではない。まあ、急きょ乗ることにした飛行機だから、やむを得ないだろう。 これで何とか家に帰ることができる。そう思っていたが、どうも様子がおかしい。ドアは閉められているのだが、一向にプッシュバックが始まらない。また、外を見ると、雨が降っている。どうなっているのかと思った18時40分頃に、畑中機長からアナウンスが入る。「ただ今成田空港上空を雷雲が通過しており、出発は早くても19時20分頃になる」というものだ。えーーー、ダカールで6時間半待たされて、荷物が行方不明になって、その上また遅れかよ。勘弁してよ。 しかし、遅れたからといっても、その後の対応はさすが日本航空だ。国際線用の個人モニターは使用できないが、国内線用のオーディオプログラムを楽しむことができることを教えてくれ、何回も飲み物を持ってきてくれる。そして、このオーディオプログラムがなかなかで、懐メロから最新のものまで「春」をテーマにした楽曲がたくさん用意されている。また、雷雲の通過状況をや、19時40分頃には滑走路が再開されるなど、機長さんが細かく状況を報告してくれる。 秀逸な日本航空の機内エンターテインメント・プログラム これならば遅れていても、気持ち的には安心である。航空会社のサービスはこういう所で差が出るようだ。そういうことで、飲み物を飲みつつ、音楽を聴いて楽しく過ごしていたら、19時45分頃に滑走路が再開された。 プッシュバックが始まり、エンジンが始動する。その後、南側のC滑走路用地の誘導路を通り、第1ターミナルが見える。どうやら、離陸はA滑走路のR/W34Lのようだ。また、この移動中に「当機は8番目の離陸です」など、機長さんが本当に細かく状況を伝えてくれるので、とても安心だ。 すっかり日が暮れて、無数の緑色のライトが点灯する誘導路を進んでいくのだが、成田のそれは本当に複雑である。操縦士はよく間違えないで、指示された道を進んでいくなぁと感心してしまう。成田から夜間に飛行機に乗ったことがある方ならば、この状況をお分かりいただけるものと思われる。 結局20時過ぎにR/W34Lを離陸し、右旋回で機首を西に向けて飛び始める。遠ざかる成田空港の明かりを見ると、いよいよ旅も終わりかと寂しい気持ちになるが、疲労感からだろう。帰宅できる喜びの方が大きく感じた。 今回は窓側の席ではないので、機内誌を読んで音楽を聴きながら、またまた飲み物を飲んで飛行機の旅を楽しむ。そうこうしているとあっという間に高度を下げはじめて、中部国際空港へ着陸態勢に入る。 しかし、ここで機長から「中部空港は天候が雨で、横風が10m以上吹いている」とアナウンスが入る。何??と思って大きなモニターを見ると、機首のカメラが捉えた映像を映している。おいおい、機首が滑走路から大きく左に向いているではないか。これはクラブアプローチと言って、横風が強い時にその風上に機首を向けて、主翼を下げるものだ。ここで着陸できないで、目的地変更とかにならないでくれよと思うが、それも一興だ。もうどうにでもなってくれ。 ただ、それは杞憂に終わり、操縦士が一発でピタリと機体を着陸させて、その技術の高さを見せてくれた。さすがである。 こうして、21時頃にスポットに入り、長い長いダカールからの飛行機搭乗は終了した。そして、ドアが開くが、例によって周りの客が降りてからゆっくりと支度を始める。この際、CAさんから「遅れて申し訳ない」と声をかけられるが、そんなことはわかっている。「いやあ、落雷で電気が落ちたりしたら大変だから、遅れるのは仕方ありませんよ」と返答する。すると「ご理解ありがとうございます」と丁寧な言葉が返ってきた。これも、日本の航空会社ならではのことだろう。 飛行機を降りたら、そのまま出口へ向かう。何のことはない、今日はスーツケースを預けていないので、そのままさっさとターミナルビルへ飛び出した。ああそうか、預託荷物が無いと、こんなに早く降りることができるのか。今度は持ち込みの荷物だけにすることも、一考の価値があるね。そういえば、当方の友人であり、旅の先輩であるN氏は「僕は荷物は機内持ち込み分だけにしていますよ」と話していた。なるほど、彼は行方不明になる危険性や、待たされたりする時間をうまくいなしているのだ。 この後、空港で働く親戚に会い、土産を渡す。「だいぶ遅れたね」と言われたので、成田の天候の急変について話した。また、荷物が行方不明になったこと、ダカールで6時間以上待たされたことなどを土産話として残しておく。 あとは電車に乗って、実家を目指すのだが、インド人??らしき人が、山ほど荷物を載せてきて、ドア周辺を完全に占領している。それは、座席の一部にも広がっており、ご老人が席に座ってよいのか、迷っておられた。そこで、お節介ではあるが、インド人に「席は空いているのか。ご老人が座りたいと思っているんだ」と言ってやる。すると「空いているよ」ということだったので、その旨伝えておいた。 こうして、駅からはオヤジの車に乗って実家へ戻り、旅は終了した。 エピローグへ続く