美濃東部農道出口付近にて 3台そろい踏み
WRT再結成から3か月が過ぎた。今年は8月中旬に雨が多かったこと、そして管理人がコロナワクチンを日曜日に接種したことなどにより、8月末の開催となった。今回の先導機長はR1-Z氏にお願いしており、プラン策定に際して、副操縦士の当方はいろいろと相談を受ける。前回紹介したように氏も立派な機長であるが、やや経験が少ないことを気にしているようだ。いやいや、そんなことはない。不肖管理人が手ほどきしたとは言え、3,500時間は少ない経験というわけでもないし、北海道ツーリングにも行ったことがある。R1-Z氏の色のツーリングを展開すればよいだけのことだ。何の心配もいらないよ。
そういうわけで、計画策定の進捗を聞きつつ、楽しみにして当日を待つ管理人であった。
当日は行先と各人の居住地を考慮して、瀬戸にある「道の駅 しなの」に8時集合となる。ところで、管理人はどうも出発に手間取る傾向がある。コーヒー飲まなきゃ、タイヤのエアチェックしなくちゃ、タンクバッグに入れるものは・・・、と前日からやっておけばよいことを当日の朝にやろうとするからだ。まあ、仕事じゃあないんだからそんなにしなくても、と言われそうだ。しかし、それが当方の性格というもので、50歳を前に今更なおすわけでもない。これでいいのだ。
案の定欲張って色々とやっていると、あっという間に出発予定時刻7時を過ぎている。おいおい、燃料も搭載しなくてはいけないのだから早くしろよ。自分にそう言い聞かせて、何とか7時10分過ぎにはR/W09から自宅空域を離脱。そのまま近所のコンビニ兼ガソリンスタンドへ向かう。さて、燃料38ポンド、リッター換算で17.2Lがタンクに飲み込まれた。トリップメーターは530㎞を表示しているので、だいたい31 ㎞/Lとなる。650㏄の排気量とは言え、この数値はかなり良いと思う。R1-Z氏に売却したSL 230のものとかなり近い数値だ。技術の進化とはすごいものである。
関心しながら機首を030へ向けて、快調に走り出す。ところで、当方のページを愛読下さっている「よっしー」さん、同じVP56A型のV-STOROM650に乗られているのだが「20,000kmぐらいでプラグやらエアクリーナー辺りを点検するとよいですよ」と掲示板でアドバイスを受けている。一応購入時(15,000㎞)にその辺りは整備済みということなので焦る必要もないが、一度どんなものか見てみたいと思っている。ご存じのように、当機は1気筒あたり、2本の点火プラグを備えている。そして、前シリンダーの上方から刺さるものが、一番外しにくいのだ。これを自分でできるようにならないといけないので、ちょっと憂鬱だが日を改めて挑戦したいと思っている。また「よっしー」さん、情報提供ありがとうございます。この場を借りて、お礼申し上げます。
そんなことを考えていると、あっという間に集合場所に到着だ。予定時刻の10分前ぐらいだから問題はない。おっと、現金を下ろしておきたい。丁度敷地内にコンビニがあるので、ここで調達しよう。そして、用事を済ませて店外へ出ると、W氏がやって来る。おはようございます、今日もよろしくお願いします。
先に駐輪場へ向かうと、R1-Z氏が既にベンチでくつろいでいる。今日はよろしく。氏はプランと航法の確認を入念におこなっており、気合十分だ。まあ、そんなに力を入れなくても、リラックスして楽しみましょう。
こうして3名がそろったところで、ブリーフィング開始だ。まずは北へ走り、そこから西へ変針するという何とも楽しみな飛行計画が提示される。気温がかなり上がる予想であるが、このルートならば涼やかな一日を過ごすことができるだろう。
道の駅 しなのにて 中央にW氏
こうして、8時30分過ぎにR1-Z氏、当方、W氏の順でしなのを離れる。まずは国道363号線に乗り、品野交番前交差点を右折し「我が母校」方面へ高度を上げていく。管理人はこんな愛知県の端にある大学に通い、若き日を(無駄に)過ごしていたのだ。もっと充実した日にできたはずだが、そんなことをしていたのでこんなオッサンになってしまった。後悔先に立たずだが、まさにその通りである。因みに、この交差点名「品野交番前」だが、当方が在学時は「品野駅前」となっていた。これは、ここまで名鉄瀬戸線が延伸される予定だった名残りであり、そこを中心として学園都市ができる構想があったそうだ。しかし、どういうわけか、他の大学は名古屋市の郊外にキャンパスを構え、結局「我が母校」のみがここに取り残されたというわけだ。
さて、高度が上がるにつれて道も屈曲してくる。愛機のVストの場合、2,000 r.p.m.ぐらい回っていればノッキングは起きない。トップギアの6速ならば45㎞/hぐらいなので、トップのままでも問題ない。しかし、それではおもしろくないので、4速、5速、6速を使って走りを楽しむ。コーナリング性能については前回も記載した通りで、クルクルとタイヤが向きを変えてくれる。もちろん、17インチ車のようにはいかないが、19インチ車である事を考えると、この特性は素晴らしい。安定性と軽快さを兼ね備えていると言えよう。
ところで、本日の当方は副操縦士として、機長のR1-Z氏を補佐業務に就いている。また、W氏には乗客として楽しんでもらう予定だ。ということで、前方のR1-Z氏を追い、後方のW氏の状況をミラーで確認しつつ走行していく。バイク復帰以来R1-Z氏はやる気満々であり、我々のツーリング以外にも積極的に参加している。そして、前にも述べたように後進の育成もしている。そういう中での機長業務だから、走行ラインからも本気が見て取れる。一方、最後尾のW氏もゆったりと走行しており、楽しんでいただけているのではなかろうか。
県境付近の国道363号線は林間の屈曲路であり、なかなか走りごたえがある。ただ、遅い4輪車につかまることも多いので、ペースはあまり上がらない。しかし、岐阜県に入ると中央線は破線となり、長い直線と高速コーナーの組み合わせとなる。R1-Z機長はここでもやる気を見せており、時に50ノットを越える速度でバンバンと追い越しをかけていく。他方、後方のW氏は無理なく、長い直線で確実に追い越しをかけている。我々のマシンの中ではぶっちぎりの最高出力を発揮するMT-09だが、かなり抑えめ、いや理性を持って運転しているようだ。
瑞浪の大狛犬を過ぎたらその先の三つ又を左に曲がり、県道20号線で下っていく。この際、県道33号線の高~い橋脚の下をくぐるのだが、あんなものをどうやって造ったのか不思議になる。そして、県道66号線に当たり、我々の好きなラーメン屋「あきん亭」の所を右折する。この通称「らっせい街道」も快走路なので、気持ちよく走ることができる。ただ、今日は日曜日ということもあってか、やはり4輪に引っかかってしまう。しかし、それに負けじとR1-Z機長は積極的に追い越しをかけていく。
こうして、最初の中継地である、道の駅 らっせいみさとに到着だ。
ここで、水分補給とタンク(膀胱)の水抜きを済ませ、しばし休息だ。それはそうと、どういう経緯だったか忘れたが、キンチョウラジオドラマ「父子水」の話になる。これは2006年頃に制作されたラジオドラマであり、新聞にも連載がされていた。また、その一部を再現したTV CMもあり、一度は目にした方も多いと思う。W氏は詳細は知らないようだが「つまらん!お前の話はつまらん!」という句を覚えていたので、結構なインパクトのあるCMだったんだなと、改めて思う。話の内容だが、岸部一徳と大滝秀治の親子が2人で暮らしているという設定だ。そして、その2人の掛け合いが変な所に焦点が当たっており、何とも言えない笑いを誘うのだ。当方のお気に入りは、TV CMにもあった「おお、この人、お前の別れた女房によく似とるねぇ」「本人です」というくだりだ。ユーチューブにもあるので、興味のある方は一度御覧になってみるのも良いと思う。
それはそうと、トイレに行く時に建物の中を見ると、そば打ち体験をしている人達が大勢見える。もちろん、距離をとっているので問題はないのだが、朝の9時からそば打ちをしていることに驚いたのだ。だって、昼飯には早いし、朝飯を食べてそれ程時間が経っていない中で食べ物を作るのは、気持ちが入るのかと思うからだ。余計なお世話だね。
それはそうと、V-STROM650の日本仕様には、エンジン左側にカバーが取り付けてある。日本には、型式認定要件に左側近接騒音規制というものがあり、その対策としてとりつけてあるのだ。しかし、これのおかげで熱がこもってしまうし、そもそも格好悪い。何とかする手はないかと調べてみると、北米仕様のスプロケットのみをカバーするものがあることが判明した。値段は2,035円なので高いものではないし、エンジンが見えるようになるなら良いだろうということで、早速購入してみる。
今回はWebikeから購入したので、3日程で手元に届く。嬉しいので雨が降る日の一瞬の隙をついて取り付けてみた。その結果は以下の通りだ。うん、エンジンが見える方がバイクらしいし、エンジンやラジエターからの熱が抜けるようになって気持ち的に安心だ。まあ、カバーがあったとしても、テストはしているだろうから問題はないのだろう。気持ちの問題だ。
銀色の部分にカバーが被さっていたが、外してすっきり
道の駅で談笑した後、走行再開だ。引き続き、R1-Z機長を先頭に当方、W氏と続く。ひとまず県道66号を北上して国道19号線に合流、そのまま恵那の市街地を抜けて中津川で国道256号線に切り替える。さらに、同国道を北上していけば「道の駅 花街道付知」である。
それにしても、今日は晴れて暑い。今年はお盆ぐらいから急に天気が悪くなり、梅雨のような天気が続いていた。各所で水害やら土砂崩れの大きな被害も報告されており、夏らしくない8月後半であった。しかし、数日前からは再び夏が戻ってきたようで、今日は全くの夏だ。しかし、空気は若干の涼しさを含むようになり、空も高く見える。ああ、もう夏はおわりなのだ、と少し寂しさを覚える。
休憩している時に、W氏のニューマシン購入計画の進捗についてたずねてみる。どうやら、このコロナ禍の影響で、お目当ての「カブ」の生産が順調でないようなのだ。現在は生産は日本の熊本製作所が担っているのだが、部品が中国やタイからの供給になっているらしい。そのタイは感染拡大、いや爆発の状態だから工場も稼働できていないらしく、最終組み立てができていないようなのだ。グローバル化というと至極合理的であり、すべての者に対して勝るような響きがあるが、現実はこんなものなのだろう。氏の希望が早期に叶う日が、年内にも来るよう祈るばかりだ。
道の駅 花街道付知にて
しばしの休息の後、引き続き前述のフォーメーションで走行再開となる。国道256号線をこのまま針路300を維持して行き、舞台峠を越えれば名湯で名高い下呂市に入って来る。下呂と言えば、管理人が前に勤務していた会社の「別荘」があり、福利厚生の一環として宿泊できたことを思い出す。もっとも、末期の頃には「研修施設」という名のもとに、おいそれと使用できなくなってしまった。明らかに社員へのサービスの低下だが、まあ、昔のことなので今の当方には関係ない。
ここから国道41号線に乗り換えて、しばらく南下する。そして、再び国道256号線に乗り換える。いや、正確にはこの区間が41号線と共用区間だったわけで、ずっと256号を走行していたことになるのだ。さて、東西に突き抜ける、この256号線は最近建設されて供用が開始された道だ。調べてみると、この区間は濃飛横断道路の別名があり、一期工事の金山‐下呂間は2012年、和良までが2016年に開通となったようだ。管理人がTDM を降りたのは2017年だから、走ったことはあったのだろう。最近と述べたが、実はもう5年も前のことだったのか。
さて、この濃尾横断道路の区間だが、長~いトンネルがある。ささゆりトンネル、そして和良金山トンネルだが、どちらも内部は冷っとした空気に満たされている。ここで、Vストお得意の温度計の出番だ。トンネル前では35度を示しているが、ささゆりトンネルに入ると徐々に数字が下がってくる。結局、4,000m以上あるトンネル出口では、25度までになる。それもそのはずで、内部は地下水のせいだろう。路面がびしょびしょだから、ひんやりするのも当然だ。
トンネルを抜ければ和良地区であり、同名の道の駅もある。しかし、付知からそれほど時間が経っていないので、ここは通過する。それよりもW氏のMT-09の燃料が怪しいようで、この辺りで再搭載の必要があるのだが、どの店も日曜日なので閉まっている。それも当然のことで、ガソリンの売れ行きはかなり減っており、また店舗も減っている。さらには高齢化により営業日も減っている?のだろうか、日曜日に空いている店を見つけることは大変なことになりつつある。2輪に復帰して半年近くになるが、状況はTDM時代よりも明らかに悪化していると感じる。
直ちにガス欠になることはないので、ひとまず郡上まで出ることにしてそのまま国道256号線を快走する。和良地区の向こうには鍾乳洞があるのだが、今日は涼を求めて多くの人が来ているようだ。自粛自粛と政府は言うが、自分達はお祭り騒ぎを推奨し、海外から多くの人をガバガバの関所を通過させている。それを「安心・安全」だの「絆」だの「国民の役割」などと言っているのだから、ガースーさんはきっとこう言ってくれるだろうよ。「鍾乳洞には万全の対策をしているので、安心・安全な観覧が実現している。これは、来訪者と鍾乳洞の絆がコロナに打ち勝った証であり、それを実行するのは国民の役割」だ、と。
胸糞悪いことを思い出してしまったが、そんなことは忘れて運転に集中しよう。そう思っていると、郡上の手前にあるワインディング区間に入って来る。くだらないことを考えていると、ミスを招くぞと気合を入れて、コーナーの曲率、路面状況、周りの交通など、必要事項をあまり能力の高くない当方の演算装置に入力して、最適のライン、速度、減速具合を実現するようマシンを操作する。
途中まではワインディング区間を快走していたが、今日は日曜日。4輪が前方に現れてしまい、ペースは落とさざるを得ない。まあ、俺の道ではないのだから、これは仕方のないことであろう。こうして、郡上の市街地に出てきた。ここならガソリンスタンドはあるだろうと、R1-Z機長の判断でいつもせせらぎ街道を走る際、給油をしていたスタンドを目指す。ああ、あの店なら営業していることだろうと思っていると、休業しているではないか。おいおい、せせらぎ街道の入口のこの店が休業とは、何とも時代は変わったのだなぁ。さて、どうするか、ここは機長の腕の見せ所であるが、冷静にマップルを見て近隣のスタンドを探し出し、そちらへ向かう。すると、今度は営業中だったので事なきを得る。また、W氏によれば「予想よりも燃費が良かったので、まだ数十キロはイケた」ということだ。
余談だが、長崎に原子爆弾を落としたB29「ボックスカー」の燃料の事をご存じだろうか。実は、長崎は予備の目的地で、当初は小倉(現北九州市)に投下予定だったのだ。しかし、数日前に通常爆撃があり、天気も悪くて小倉は視界ゼロ。それで、予備の投下都市、長崎へ向かうのだがここも天候が悪くて雲がかかっていたようだ。それ故に何回か上空を行き来して、偶然切れた雲の隙間から爆撃実行となったのだ。ここまでは有名な話だが、前述のように目的地の変更や爆撃の機会をうかがって上空を旋回、加えて小倉に向かう前に随伴2機との会合にも手間取り、かなり燃料を消費していたのだ。こういう時に悪条件は重なるもので、予備燃料タンクの装置が故障しており、これも使えなくなったため、結局沖縄に緊急着陸したのだ。この時、使用可能残燃料は、わずか数十リットルだったらしい。満タンは36,000 Lということを考えると、完全に空だと言っても差し支えなかろう。
W氏の場合、こんな状況ではなかったということだ。閑話休題、話を進めよう。燃料搭載後も引き続き国道256号線を追いかけて、針路270を維持しながら40ノットで航行していく。さて、ここで今日のツーリングの趣旨を明らかにしよう。R1-Z機長の企画で「板取でアユを食べよう」というものだ。
国道を気持ちよく進んでいくと、またまた長~い「タラガトンネル」を通過する。因みに、フィリピンの現地語の一つ、タガログ語の「ホント?」というのが「タラガ?」と言うらしい。大学時代に知り合ったフィリピン人「エスピリトゥ・ビリアモア・フォンテ」氏に教わったのだが、彼は今どこでどうしているだろうかな。
そんなことを思っていると、トンネルを抜けて板取川の流域に入って来る。突き当りを左折して、今日、お目当てにしている店「鮎や」を目指す。走行しながら川岸を見ると所狭しとテントが張ってあり、家族連れが楽しそうに過ごしている。そうそう、板取川と言えば、小学校の時にキャンプに来たことがある。川で泳いで、カレーライスを作って、キャンプファイヤーを囲んで。その時の川の綺麗なこと、水の冷たかったことを思い出す。あれから40年近くの時が流れたが、ここは昔のままのようだ。当時、こんな遠くにはもう二度とくることはできないのではと思ったが、大人になって気楽に日帰りで来られるようになったのか。
懐かしさに浸っていると、店に到着だ。駐車場の入口にはバイトのオッサンがいて、メニューを配って営業活動をしている。R1-Z氏がそのちらしをもらってきて「このコースでよいですか」と。ああ、なかなか良いですなぁ。ということで、入店決定。駐車場に降りていくが、そこは未舗装ではないですか。SL230ならこんなもの舗装路と変わらない感覚だろうが、Vストにとってはそうもいかないだろう。初めての未舗装路面に恐怖を抱きつつ、急な坂道を降りていく。まあ、思ったほどのことはなく、すんなりと駐車場に降りることができる。そりゃそうだ。19インチの前タイヤだから、そこそこ荒れた路面でも問題はないのだよ、ヤマトの諸君。
待つこと20分、順番が回って来て席に着く。今日注文するのは3,100円の鮎三昧のコースであり、最初に甘露煮が出てくる。もちろん、骨まで柔らかだし、甘辛い味の濃さも丁度良い。最近は甘すぎる味付けのものあるが、ここは醤油と砂糖のバランスがとても良く、胸やけすることもない。
次は唐揚げだが、本当にカリカリに揚げられており、ひれが立っている。もちろん、頭からカジカジなんだけど、普通に歯でかみ切れる位に骨に火が入っている。身は川魚なのであっさりした白身だが、内臓が少し違う。苦味があり、何とも言えない味だ。W氏も「このわたが良いよね。川底の藻を食べているから、そんな風味だ」と絶賛している。
唐揚げを食べ終わると、塩焼きが続いてくる。当方が思うに、やはりこれは一番鮎らしさを味わえる料理だ。単純だからこそ、素材の味を引き出せるというものだ。そう思い、やはり頭からカジカジする。うん、唐揚げの時よりも身もわたも味を一層楽しむことができる。いやあ、鮎って旨いんだなぁと改めて実感する。目の前の川で獲れたと思うから、余計にそう感じるのだろう。
結構食べたなと思うが、続きて魚田が出される。魚田って初めて聞いたのだが、魚の田楽ってことだろう。果たして、出された料理をみるとやはり、味噌がかかっている。豆腐ではなく、魚の田楽は初めてなのでカジカジしてみる。おお、あっさりした魚とこってりした味噌の味がよく調和して、丁度良い具合に口の中で混ざりあう。これは旨いよ。味噌も赤味噌なので、我々中部圏の人間にとっては嬉しい限りだ。
魚田を食そうとするR1-Z氏(左)とW氏(右)
そして、最後に鮎の雑炊で締めとなる。今までさんざん鮎を食べてきたが、こうして雑炊にすると鮎の出汁の味はこれだったのかと思い知る。鮎という魚は料理方法でこれほどまでに様々な味を楽しむことができるのかぁ、と50年近く生きてきて初めて知ったのだ。あと、予約をしてもっと高いコースを頼めば、川面に近い桟敷スペースで食事をすることもできるようだ。そうなれば、夏の風情も感じつつ鮎を堪能できるのだろうから、さらに旨く思えたのかもしれない。ちょっと貴族的な贅沢だね。
余談だか、5年ぐらい前にもここに来たことがあるな、あれはポルトガルに行く少し前だったと思いだした。あれは中学の同級生W3氏とやってきて、確か定食を食べたのだと思う。内容は塩焼き、味噌汁、お新香、煮物ぐらいだった思う。つまり、鮎三昧というわけではなかったから、ここまで鮎の奥深さがわからなかったというわけだ。
さて、食事をして気力も満ちてきたので後半戦に突入だ。ここまではR1-Z機長の先導だったが、ここで当方がコ・パイから機長になり、先導を務める。R1-Z機長、お疲れさま。後は当方にお任せください。というわけで、まずはこのまま国道256号線を中速コーナーをヒラヒラとかわしつつ、戻っていく。途中にモネの池というものがあるが、これは有名な画家である「モネ」の絵になった池によく似ているという池だ。前述のW3氏と訪れたのだが、まあ、そんなもんでしょうという印象だったと補記しておこう。
さらに北上すると、タラガトンネルの出口のT字路を越えて、県道52号線へと入っていく。ここは通称「あじさい街道」の異名をとっており、その名の通り沿道にはアジサイが植えられている。しかるべき時期にくれば、見事な風景が見られることであろう。
さらに進んでいくと、我々が大好きな「板取川温泉 バーデェハウス」を通過する。ここは何度も訪れているが、露天風呂が最高だ。それより、今日気がついたのだが、その先に「板取キャンプ場」の入口があるのだ。ああ、小学生の時に来たのはまさしくこのキャンプ場であり、こんな所から入っていくのかぁと驚いてしまう。だって、あの時は大型の観光バスに乗って来ていたので、こんな狭い道を入っていったのかと思ったからだ。まあ、当方も一応バスが運転できるのだから驚いているようでは話にならない。
こうして、最後の集落を過ぎると門が現れる。数年前に同じメンバーでここに来ているのだが、その際はこの先ががけ崩れか何かで通行止めだったのだ。今日は開通していることを事前に調べてきているから、リベンジができるぞ。こうして、期待を胸に本日のメイン・エベントでもないが、県道52号線走破の仕上げを開始する。
地図で見ればわかるのだが、この区間は標高を上げつつ連続するヘアピンカーブを次々にクリアしていくコースだ。ちょっと集中しないと危ないので、気合を入れる。そう思っていると、いきなり180度ターンで上り勾配4%ぐらいの坂を上る。またまたヘアピンで、木の枝が落ちていたり、コケも生えている。スリップダウンに注意だ。少しすれば路面は安定してくるので、矢継ぎ早に出現する中、低速のコーナーを丁寧に駆け抜けていく。時々ミラーで後方も確認するが、二人とも楽しんで走行している様子が見える。
山の法面に沿うような区間を過ぎると峠が見えて、その先は下りとなる。上りよりも下りの方が危ないので、さらに注意力を集中させていく。コーナーの曲率、路面状況、対向車の有無を的確に判断しつつ車輪を進めていくが、当方のペースが遅いようでR1-Z氏はチョコチョコとつっつてくる。おいおい、勘弁してくれよ、とこちらも楽しみつつ細かいコーナーをクリアしていく。
実は、先日R1-Z氏とこの区間を走っているのだが、その際下りながらのヘアピンでちょっと危ない目に遭っている。今日はそのコーナーに備えていたので、難なく通過することができる。もっとも、きちんと手前で減速できていればそういうことは無かろうが、その時は少し気持ちが盛り上がっていて速度が早めだったかもしれない。
2つ目の峠を越えた辺りで、前方に4輪車が見える。残念だが、道幅が1.5車線分しかないので、譲ってもらえない限り追い越しは難しいだろう。まあ、ちょっと疲れたということで、この4輪の後ろをゆっくりとしたペースで行くことにする。
というわけで、無事にアジサイ街道走破を達成し、郡上の大和地区に出て国道156号線を南へ走り出す。ここは何回もこのページに登場している、大学の同級生「あんまき」の故郷だ。彼女はテスト前になると当方に猫なで声(うそ)で近づいてきては、ノートのコピーをしていった女だ。もっとも、専門科目はきっちり勉強していたようであり、教養科目や選択科目のノートをよく頼まれた。今となっては彼女も立派なオバサンだろう、だって、当方がこんなオジサンになっているのだから。しかし、あの体型は維持しているかもしれない。友人の梅さんは「首から下は最高だ」と絶賛していた。え、じゃあ顔は?ここでは、詳細は省こう。
郡上に入ると、R1-Z氏から給油のリクエストが入る。そこで考えたのだが、往路でW氏が利用したスタンドが近いのだから、そこへ向かおうと。R1-Z氏からコントロールを引き継いではいたが、飛行計画については「ノープラン」だ。しかし、さっき行った所ならば何も考えることはない。スタンドの近所にはコンビニもあり、休息もできそうだ。だってさあ、あじさい街道走行中はとても涼しくて快適だったのだが、郡上に入った途端にメチャクチャ暑くなってバテバテだったので、恒例のアイスナメナメをしたかったのだ。
国道を離れて、市街地へ通じる道を少し行くとガソリンスタンドだ。そして、給油後はコンビニで、アイスを食べつつ談笑する。W氏のマシンはタイヤがそろそろ交換時期を迎えており、その選択について話してくれる。氏はBSの方がお好きなようだ。因みに、当方はどっちでも良く、ダンロップのしなやかな特性もブリジストンの堅牢なフィーリングもそれそれ良いと思う。因みに、現在装着しているのはBSのバトラクス アドベンチャーA41であり、結構気に入っている。また、R1-Z氏はダンロップの特性を好むということだ。
郡上市内のコンビニにて
今日はかなり気温が上がっているようで、お得意のVスト温度計で測定すると36℃だ。暑いはずだよ。これは早く市街地から脱出して、標高の高い所を走らないと。ということで、ここからも不肖当方が機長でツーリングを進行していく。プランであるが、W氏のリクエストで岩屋ダム方面を目指すルートを採る。まずは郡上の市街地で国道472号線に乗り、北上していく。ここはせせらぎ街道の序盤であり、紅葉の時期には混みあう区間だ。
そして、そのまま明宝まで走り、そこから県道86号線にスイッチ。強烈な低速コーナーが続く小川峠へ向かう。おっと、左折するところを通り過ぎて、こもれびロードにはいってしまった。これでは和良に行ってしまうよ。ということでUターンする。「何でこんなところでまがるだぁ~~(怒)」とドルーの真似をしつつ、県道86号線へ復帰する。いやいや、ここはあじさい街道よりもコーナーがきつよ。でも、そういう不安をかき消してくれるのは、我が愛車であるV-STROM650である。きっちりと減速して向きを変えてやれば、そんなきついコーナーもすんなりとクリアしてくれる。まったくもって、管理人の腕の足りないところを補ってくれる優れモノだ。
さて、県道86号線の小川峠で、当方の以前の愛車であるTDMと走りを比べてみようか。高速コーナー、低速コーナー、ヘアピン、どれをとっても両車に大きな差は無いようだ。高速コーナは19インチのVストの方が安定感があるが、18インチのTDMはタイヤが1サイズ太い120を履いている。それ故に言う程の差が無いのかもしれない。低速コーナー、ヘアピンについては1サイズ径の小さいTDMに分がありそうだが、Vストは重心が少し高いので、素早い倒しこみが可能だ。バンク角もVストの方が少し深いので、その辺りで差を埋めているのだろう。
あと、全般に言えることだが、舗装が荒れている場合では少し状況は異なる。というのも、Vストの方がストロークが長いお陰で衝撃をうまくいなしてくれるのだ。TDMだとちょっと跳ねてしまうこともあったからね。また、エンジンのレスポンスが、TDMの場合は少し過敏だったように思う。これは、初期のインジェクション採用車だったということで、いわゆる「ドンツキ」的に反応するエンジンだったのだ。一方Vストはその後10年以上も後のもでるなので、随分と調教されて適度に反応の良いレスポンスを実現している。これが技術の進化ってやつなんだろう。
話を戻そう。峠のウネウネ路を抜ければ曲率は緩やかになるが、引き続いてワインディング路が待っている。今日は前半はゆったりツーリングだったので、一日ゆっくり過ごせそうかなと思った。しかし、そんなことをWRTツーリングのメンバーが許してくれるわけもなく、結局ワインディング大会となる。いつものことだけど、当方も含めて本当に屈曲路が好きな人達なのだ。
こうして、川沿いの道を進んでいくと幅がどんどんと広くなる。というか、これが岩屋ダム(金山湖)だ。馬瀬大橋を渡り、右折して湖畔のワインディングへ突入だ。ここはコーナーのリズムが少し独特で、進入して出口かと思うと、再び曲がり込む。これを抜ければ出口となるので、少し驚いてしまう。コーナー旋回中の速度は低中速で、こういう状況下ではR1-Z氏の走りが冴えてくる。そう思いミラーを確認すると、やっぱり、当方の尻をつついてきている。
よし、マシンの性能を活かして(お前の腕じゃあないのか?)引き離してやろう。前述のようなコーナー特性であるので、ラインを少し工夫してみる。コーナー入口でわざと機首をコーナーの曲がり方向と逆に向けて、十分に減速する。そして、向きを変えた後はパーシャルから加速気味にコーナーを曲がり始め、曲率が深まる場所の手前でももう一度機首を逆に向けておき、さらにバンクを深めつつ加速するというものだ。これならば、基本的に加速体制を維持したままコーナーをクリアできるので、もたつくことはない。どうだ、ついて来れまい・・・。そんなこともなく、楽勝でくっついている。しかし、直線区間はこちらが断然有利だ。排気量にものを言わせて、アクセルを開ければ少しは離れていく。
こんな感じで、金山湖畔のワインディング区間を走り抜けてくる。途中、午前中に走った濃飛横断道路の巨大な橋脚をくぐり、T字路を左折する。
こうして、金山町の市街地に降りてくる。このまま国道41号線を走るのかと思われるが、今日は違う。W氏のリクエストで美濃東部農道を走行する。ちょうど、道の駅 飛騨金山辺りに入口があるのだが、そこへ来ると「シャァー」と乾いたエンジン音が聞こえた、と思うと黒いW氏のMTが当方の前に出る。ここで機長を交代するよう打ち合わせをしていたのだ。
そして、前述の農道へ右折していく。R1-Z氏にも先に出てもらい、当方は気楽に最後尾を行くことにする。それにしても、W氏の走りはいつ見ても迫力がある。道幅をワイドに使い、テールランプが光った、と思ったら鋭い旋回をし、それを維持したままコーナー出口では既に加速体制に入っているのだ。先ほど紹介した当方のインチキテクニックとは訳が違う。これは低速コーナーでさらに顕著になり、後ろから見ていると惚れ惚れするほどだ。しかし、当方も一緒に走っている、ということはかなり手加減をしてくれているということだろう。
しかし、驚くべきはR1-Z氏だ。我々に挟まれてわずか230CCのエンジンを目いっぱい使い、軽量を活かしたコーナリングでその差を補っているのだ。それは、マシンは大丈夫なのかと心配になるぐらいである。
こうして、農道出口で休息を取る。皆満足そうな表情で話をするが、W氏は最後尾で「R1-Z氏がオーバーレブ」させていたことを見逃していなかった。それはコーナーの入口で「モワ」と排気口から煙が出ていたことで、発覚したことなのだ。やはり、査察操縦士は我々の走りをよく見ているね。R1-Z氏曰く「シフトダウン時にやり過ぎてしまった」ということだ。前回も話したように、大型マシンの購入も視野に入れているということなので、その登場が待たれるところだ。尚、冒頭の写真はこの時のものである。
この後、県道63号線の「日本まん中街道」に乗り、平成地区へ向けて下りていく。さらに、県道85号線とのT字を右折して、先日営業終了となった上之保温泉横を通過する。この営業終了は、どうやら施設の老朽化や収益性への疑問など様々な要因があるらしい。ただ、場所的にはとても良いので、できれば再開してほしいとも思える。
さらに、武儀地区で県道58号線にぶつかり、右折する。これを進んでいくと、有名な「道の駅 平成」だ。今や時代が移り令和となっているが、平成に元号が変わった33年前には大いに注目を浴びた場所だ。それはそうと、この道の駅は食べ物がうまい。ソフトクリームが最高で、R1-Z氏は「イチゴソフト」が好物のようだ。もっとも、今日は営業時間を過ぎているので、店は閉まっている。あと、パン屋もあり、クリームパンがおいしいよ。
ここでは今日のまとめ、そして次回のツーリングの予定を話し合う。今日は農道が良かったし、板取から北側の県道52号線をリベンジできたのも嬉しい。そして、次回だが、10月のどこかで開催となりそうだ。というのも、9月中旬には管理人が「バカンス」で不在だからだ。当方の都合で9月はWRTの活動はお休みであり、申し訳ない。この場を借りてお詫び申し上げます。
次回の予定について話し合うW氏(左)とR1-Z氏(右)
W氏はここで、東海環状自動車道の富加I.C.から帰宅するということで、編隊を離脱する。今日はありがとうございました。また、次回もお願いします。そして、R1-Z氏と当方は国道41号線を南下して「後は流れで」という解散方式を採用する。この「後は流れで」という句であるが、出典は相撲の八百長メールからである。取り組みの流れを「どーんとぶつかって、後は流れで(勝敗を決めたようにする)」というものがあったので、気に入って使っているのだ。
こうして、それぞれが無事に帰宅となった。また、次回のツーリングでお会いしましょう。
本日の走行 360km