職業訓練校修了旅行

~コウノトリに会いに行こう~

 

2016年 6月1日~6月3日

 

道の駅 神話の里 白うさぎにて

(右端の石像にも注目)

 

 

6月2日(2日目)

1.起床~出発

 

6時30分に起床する。学校へ行っていたので、生活は至って規則正しくしているつもりだ。もちろん、就職するにはこういう基本的なことが大事なので、このまま続けることは言うまでもなかろう。それにしても、だ。どうも仕事も学校も無いということは、酷く罪悪感がある。

 

窓を開けてみると既に朝日が高く登っており、気持ちの良い風が吹いている。今日も天気は良いし、テレビで天気予報を確認しつつ朝飯とする。ツーリングの朝にはやはり、いつものカロリーメイトだ。別に旨いものではないが、手軽に食べられることが嬉しい。

 

7時過ぎに部屋を片付けて、受付に下りていく。既に職員のおじさんが出勤しており、ちょっと驚いた。出勤じゃあなくて、宿泊番なんだろう。「良く休めましたか」と優しいお言葉をいただいたので「ええ、良く眠れました、お世話になりました」と返答した。当方一人だけのために風呂を沸かしてくれたり、泊まり込んだり、本当にお世話になったとしか言いようがない。

 

TDMの積算距離が表示されるメーターを撮影して、エンジンをアイドリングしながら荷物を搭載する。メモによると、出発は7時20分頃ということだ。まずは宿の前の道を砂丘伝いに西へ向かい、数百メートル離れた所にある「有島武朗」と「与謝野晶子」の歌碑前で止まる。後者は昨日の天橋立でも記したが、前者も国語の教科書に登場するので、誰でも一度は耳にしたことがある名前ではなかろうか。

 

なになに、歌碑の解説を読んでみると、えー、この人は鳥取砂丘を訪れた1ヵ月後に、軽井沢で愛人と情死したらしい。それはまた、何とも激しい人生でしたなぁ。当方も結構な波乱万丈かもしれないが、こういうことはなかろう。

 

驚きつつ、朝の砂丘を少し歩いて海を見に行く。周囲には既に近所の人が散歩に来ていたりするので、ここも地元の人にとってはいつもの生活の場なのだろう。納得しつつちょっと勾配を上ったら、眼下には広い砂丘と遠くに海が見える。ひぇー、結構距離があるなぁ。足がもつれそうなので、体幹に力を入れて一歩一歩歩いていく。ここでなぜだか、体幹=バレトンという数式が頭に浮かんだので、パッセのポーズをとってみた。

 

完全に逆光線ですが

早朝の砂丘にて

 

海までもう少しなので、そのまま歩いていく。今日は朝から陽が出ていて、既に暑さを感じる。ただ、昨日みたいに寒いよりはマシだろう。そう考えつつ、海を眺めてはため息をつく。この先俺の人生どうなってしまうのだろうか、それを思うと心配で仕方がない。だが、今日もそのことは考えないようにして、ツーリングを楽しもうではないか。せっかく未踏の地である、鳥取に来ているのだから。

 

少し海に心を洗われた気がしつつ、今度は長い上り坂を戻っていく。歌碑の所まで何とか戻り、汗を拭き拭き水を飲みつつ地図を眺める。さて、今日はどういうルートにしようかな。

 

2.ここだったのね

 

実は昨日、宿に備え付けの観光情報を見ていたところ「因幡の白うさぎ」の伝説は鳥取が舞台だ、という情報を見つけていた。そいういうことで、国道9号線でそのまま西へ向かおうと思ったが、その前に鳥取漁港の市場がある賀露地区に寄っていく。ひょっとしたら、何か旨い魚でも食べられるかと期待して県道41号線へ右折していく。千代川沿いに進んでいくが、全くの期待外れだった。というか、普通に11時から営業の店が並んでいるのだった。

 

元来た道を戻り、国道9号線を磁方位270°を維持していく。途中で右手には鳥取空港の管制塔が見えるのだが、正式名称は「鳥取空港コナン空港」だそうだ。「コナン」はアニメの主人公だが、その名前を使ってでも便を誘致したいということか。そうだよなぁ、鳥取便てあまり聞かないからな。もちろん、小牧からも中部国際からも飛んでいないことは明白だ。昔は中日本エアが数便飛ばしていたようだが、そんなのは10年以上も前のことだろう。

 

管制塔を見送り、海沿いを走行していく。すると伝説の舞台となった白兎神社のある、道の駅 神話の里 白うさぎへ到着した。ここがそうですか、そんなに派手さはないが荘厳な雰囲気がある。早速鳥居の前で一礼して、中に入る。

 

白兎神社

 

ところで、因幡の白うさぎ伝説ってどんな話だったか。実は幼稚園の時に先生方がこの話の劇を演じてくれたことがあり、それをなんとなく覚えている。確かちょっとぽっちゃりの先生がうさぎの役を演じていたと記憶している。あの当時20歳そこそこだったと思うので、今や定年退職されていることだろう。

 

要約すると、壱岐の島にいるうさぎがなぜかワニを騙して本土に渡り、その仕返しに毛をむしり取られて、挙句の果てには海水で洗うと良いなんて言われて痛い思いをしたという。そこへ大国主が通りかかって、気の毒に思って真水の池で体を洗って、ガマの綿毛をまとえばよいと教えたという。因みに、この神話は古事記などに記載があるそうだ。

 

砂の像を横目に見て階段を上っていくと、連続して建つ柱に、かわいらしいウサギの石造を見ることができる。

 

階段を上っていく

 

そしてその先には、うさぎが体を洗った池である「御手洗池(みたらしいけ)」がある。ただのため池なんだろうけど、由緒正しい神社にあるとそれらしく見える。

 

御手洗池

 

そして池の先には、本殿が現れた。そんなに大きくもないのだが、由緒正しいという雰囲気は十分である。

 

神社の本殿

3.折り返し点

 

さて、伝説の神社に参詣したので、残念ながら鳥取はここまでにして、今回の目的である豊岡市へ向かう。まずは神社横から始まる県道256号線で少し南下して、県道21号線にぶつかったら左折して磁方位は090とする。マップルのコメントによると、田園コースで交通量が多いと記載されている。確かに田園の中を通る道であるが、交通量はさほど多くない。時間が良かっただけだろうか。

 

途中で小山池という綺麗で大きな池の横を通り過ぎるのだが、気持ちの良い風が吹いてきて気分が良い。さらに田んぼの中の道を鳥取の市街地方面へ進んで行き、千代川を渡ると急に街になった。そして、昨日も通った鳥取の駅前を通過して、県道43号線に繋げていく。すると、今度は再び田園地帯になってしまう。県庁所在地と言っても、首都圏のようなことはないようだ。

 

榎峠を越えて細川地区から国道9号線に乗り、駟馳山峠を越えて行く。この道も「交通量が多い」と記載があるが、全くそんなことはない。35ノットを維持して順調に積算計を回していくと、兵庫県に入った。そして「出会橋」という橋を渡った。こんな山奥で何に出会うのだろうか、そんなことを考えつつ、TDMの排気音を響かせて全くの田園地帯をのんびりと走行する。こういうのんびりとしたツーリングだが、最近はなんだかしっくりくるようになった。歳のせいなのだろうが、TDMは懐が深いのでどんな走行もソツなくこなしてくれる。

 

いくつか峠を越えて、国道9号線を見失わないように走行を続けていく。ちょっと疲れてきたなということで、村岡トンネルの手前にあるちょっと怪しい、ドライブイン日本海にて休息をとる。

 

やれやれ、少し暑くなってきたので、水分補給を忘れてはならない。もちろん、放出もしておかないと後でえらい目に遭ってしまう。休息をしつつ、マップルを見て次は国道482号線に乗り換えると覚えておく。時刻は11時なので、昼過ぎには豊岡に到着できそうだ。そうなると、どこかで食事をしたいところだ。

 

走行を再開して、引き続き国道9号線を東へ進んでいく。天気は良いし、走っていれば暑さもあまり感じない。さらに山の中で空気はうまいし、最高の気分である。これで就職が決まっていたら、もう言うことはないんだけどなぁ。まったく残念だ。何度も言っているが、その件は帰宅してからじっくり考えればよいことだ。

 

そんなことを考えて車輪を進めていくと、なぜかループ橋を渡る。あれ、こんなもん通る予定はあったのか。おかしいと思って、尾崎地区にて再び地図をよく見てみる。あー、しまった。よそ事を考えていたら、国道482号線を見逃してしまった。しかし、ここまで来たら戻るよりも、この先の養父市街地で国道312号線にスイッチして、北上した方が早い。それがわかると諦めもついた。

 

そして、そう考えると急に空腹感を覚えたので、市街地手前の新しい道の駅 ようか但馬蔵へ滑り込んだ。ここで何か旨いものでも食べて、力をつけたいところだ。早速駐輪場から建物に入る。おや、ここは足湯があるのか。後で少し入っていこう。キョロキョロしながら食堂を探すと、奥にありました。

 

席についてメニューを確認する。その中に、地元の食材を使用した「ひつまぶし風」の丼があったので、これを食べることにした。関係ないが、W氏の会社に「井筒」なる人がいたらしいが、この人を馬鹿にして「丼筒」と言っていた人がいたそうだ。

 

本当にどうでも良いことを思い出しつつ、地図で今後のルートを入念に確認しておく。ミスコースして、時間を無駄にしたくないからね。そうしていると、料理が運ばれてきた。おお、これは旨そうじゃあないか。

 

ひつまぶし風

 

この料理は地元産の八鹿豚、野菜、調味料に朝倉山椒を使用していて、大会の最優秀賞を受賞したようだ。期待して食べてみると、それぞれの素材の持ち味を良く引き出していると思う。豚肉は臭くないし、まさしく山椒がピリリと利いたドレッシング風の調味料が良い味で、ご飯がすすむ。もちろん、腹が減っていたこともあり、あっという間に完食してしまった。こんなことなら、ご飯を大盛りにしておくべきだったと悔やんだが、後の祭りである。

 

腹八分目ということで、1,080円の会計を済ませて店を出る。この後は、先ほど入口で見かけた足湯に入る。今日は天気が良く日差しが強いものの、山間部なので風も涼しく絶好のツーリング日和である。しばらくボーっとして疲れを癒し、午後の走行に備える。

 

足湯でさえない表情の管理人

 

4.メインエベント

 

足湯から上がり、バイクに戻ってからルートを確認する。幸いにも、今回のミスコースによる損失は30㎞程度だった。まあ、このくらいな誤差の範囲というところだ。そう考えつつ、エンジンを始動して午後の走行に入る。

 

まずは国道9号線から離れて、少しだけ県道6号線を行く。そして、宮越地区で国道312号線に乗って北上開始する。関係ないが、地図を見ていたら「竹田城址」が20㎞位先にあったので、ミスコースついでに見てくればよかったと残念に思う。

 

川沿いの田園地帯を、制限速度付近の30ノットでゆっくりと進んでいく。この辺りはのどかであり、時間もゆっくり流れているようだ。地元のようなセカセカした雰囲気はまるでないし、そうかと言って仕事をしていないわけでもない。

 

いよいよ豊岡市に入り、江原地区を通過する。ここには冒険家である植村直巳氏の出身地であり、記念館が開設されている。あー、こっちも見ていきたいのだけど、今日はコウノトリをメインにしているので、残念ながら通過する。欲張って忙しい旅は、歳のせいか性に合わなくなってきたので、仕方がない。

 

元の計画ルートである、国道482号線との合流点を横目に見て、さらに北上を続けていく。そして蓼川大橋で円山川を渡り県道703号線で3㎞程東へ進んだら、左折してほくたん広域農道で北へ向かう。この辺りは完全に田んぼばかりであり、ちょっと北海道的な風景が続く。そう考えていたら、田んぼに大きな鳥のつがいがいることに気がついた。あれはコウノトリではないか。

 

バイクを止めてよくよく見てみると、やはりそうだ。アオサギなんて目ではない大きさで、タンチョウと良い勝負だろう。ただ、動きはのんびりしていて、人間に対する警戒心も少ないように見える。早速カメラを出して、数枚写真を撮ってみる。しかし、この道がわりと交通量が多いので、邪魔になってはいけない。ひとまずはこのくらいにして、さっさとコウノトリの郷公園を目指す。

 

県道536号線、国道312号線と細かく道を繋いで、右折して県道160号線に切り替えれば、あとはまっすぐ進むだけである。すると、右手に山のような施設が見えてきた。これがコウノトリの郷公園である。

 

駐車場にバイクを止めて、展示館と思われる建物に歩いていく。駐車場には3台程観光バスが来ており、中学生と思しき集団ががなりたてられながら、渋々言うことを聞いていた様子が印象的だった。俺たちもあんな時代があったわけだが、あんなに大声で叱責しなくても良いと思うが。その引率している教員をチラリと見たら、俺よりもずっと若い人だった。ナルホド。

 

ちょっと興ざめ感を味わいながら、コウノトリ文化館に入る。こちらは入場無料なのだが、協力金として100円をお願いしますということだった。絶滅しかかっていたコウノトリを100羽以上の個体数まで復活させた経費を考えると、500円ぐらいは入れたいところだ。しかし、ケチなので100円だけを入れておく。すると、そのお礼ということで、折り紙をいただいた。これで鶴と同じ折り方を行えば、コウノトリになるように模様などが印刷されている。あまり上手ではないが、ちょっと折ってみました。

 

こんな感じで

 

文化館にはコウノトリや、その仲間の鳥の剥製が数多く展示されている。また、コウノトリを復活させるべく周囲の農家の取り組みや、戦前のコウノトリの様子などのことが細かく書かれたボードがあり、その生態などが良くわかるようになっている。

 

コウノトリとその仲間

(サギの仲間と比べると、その大きさがわかる)

 

また、20分程の記録映像も上映されており、たくさんのコウノトリがいた時代から絶滅寸前、保護活動の開始から現在までがわかりやすくまとめてあった。その中でとても驚いたことは、保護活動の初期は卵がなかなかふ化しなくて、その数は50個以上にものぼる。そして調べてみたら、卵から農薬が検出されたそうだ。そこで初めて、周囲の環境から変えないとコウノトリの保護はできないということになり、周囲の農家に協力を求めたということだった。

 

この後、実際に飼育されているコウノトリを見ることができる、観察スペースへ向かう。すると、5羽ぐらいの個体が、くちばしを小刻みに動かして「カタカタ」と音を鳴らしているところを見ることができた。これは鶴などが「グエ」と鳴くことと同じで、愛情表現ということだった。

 

コウノトリ達

(ちゃっかりアオサギもエサをもらいに来ている)

 

コウノトリ文化館を出て、今度は外の田んぼにいる個体を見に行く。ちょっと遠いなと思って観察していると、隣にある兵庫県立大の大学院から学生らしき人が出てきて、なにやら記録をしていた。ああ、俺もせっかく大学院に行ったのだから、このくらい一生懸命に研究に取り組むべきだったな。今更そんなことを思ってもなにもならないし、そんなことだから、仕事もなかなか見つからないのだろう。

 

さて、このコウノトリの郷前にある田んぼには人口巣塔があり、よく見てみると雛が数羽いるようだ。そして、親鳥が代わる代わるにエサを運んできているようだ。また、別の個体が羽ばたいて、大きな羽を広げて上昇気流に乗ってどんどんと高度を上げていくところが見れた。大きな鳥が羽ばたくのあまり見ることはないので、ちょっと感動してしまった。

 

人口巣塔

 

ゆっくりと大きな田んぼの周りを歩きながら、鳥たちを眺める。そこで考えるのは自分の怠惰さ、無能さだ。前述のように、コウノトリ達には何もできないし、そもそも自分の生活の糧を未だに見つけることができない。ただ、鳥たちがこれから人間と共存できるとよいな、と思うのみだ。

 

コウノトリの郷前の水田

 

5.この先は

 

時刻は15時過ぎなので、鳥たちに別れを告げて先へ進むことにする。元来た県道160号線を戻り、国道312号線で豊岡市街地方面へ向かう。時刻が中途半端だが、先に宿を決めることにした。今日も昨日のような安宿があれば良いなと思って、豊岡の駅へやって来る。やはり、こういう時は観光案内所に頼るのが無難な選択だ。ああ、豊岡の駅は新しくて結構大きいなぁ。また、目の前には大きなショッピングセンターもあって、結構賑わっている。地方の小さな街かと思っていたので、これも驚きだった。

 

マシンを止めて、案内所へ向かう。小さな案内所だが情報量は豊富で、質問すると即座に答えが返ってくる。ちょっと贅沢に温泉宿に泊まることも考えたが、やはり普通のビジネスホテルとなった。ただ、値段は4,500円と当方にしては奮発したことを補記しておく。また、ここで前金の1,000円を支払っておく。予約だけして、行かない人もいるということなのだろう。

 

時刻は15時30分過ぎなので、宿へ行く前に城崎温泉へ向かう。幸いにもここから10㎞以内の所にあり、気楽に行けそうだ。県道3号線に乗り、円山川から吹いてくる気持ちの良い風を感じて、15分程走行したら城崎駅に到着した。ここも最近建て直したのだろう、綺麗な駅舎だし、駅前ロータリーも余裕の広さだ。

 

文字通り城崎にて

 

そのロータリーの端にTDMを止めて、案内看板を見る。ここには旅館がたくさんあるのだが、外湯が7つもあるようだ。その中の一つである地蔵湯に入湯することにして、再び車輪を回していく。

 

城崎の温泉街をゆっくりと進んでいくのだが、沿道には風情のある店や温泉宿が立ち並ぶ。いかにも温泉の街という感じだが、ちょっと密集し過ぎていると言えなくもない。このような温泉街をいくつか訪れたことがあるが、松本市の浅間温泉はなかなか古びていて良かったと補記しておこう。

 

温泉街の奥の方にある地蔵湯に到着したのだが、どこにマシンを止めたらよいのかがわからない。そこで入り口のおじさんにたずねたところ「端の方に」とだけ指定された。まあこの辺りなら迷惑にも駐車違反にもならないだろう、という微妙な場所を選択しておいた。

 

地蔵湯

 

入湯料600円を支払い、男湯の暖簾をくぐる。因みに、温泉街に宿泊している人はパスが発行されて、半額の300円で音泉を楽しむことができるようだ。服を脱いで中に入ると、長方形の大きな湯船が現れた。しかも、ちょっと古くてなかなか良い味を出している。

 

体を洗って湯船に浸かると、思わず「あー」と声が漏れる。やはり気が抜けるというか、落ち着くというか、風呂っていいなと思う。因みにこちらには露天風呂は無く、泉質は無色透明で、少し塩辛い。ああそうか、海が近いからね。

 

ストレッチをしてお湯を楽しむが、湯温がやや高めだったので15分程で限界に達して上がる。体を拭いて脱衣所で冷ました後、服が着られるようになったらロビーへ出て、コーヒー牛乳を飲んでさらに冷却する。しかし、風呂上がりのコーヒー牛乳はなぜこんなに旨いのだろうか。

 

地図を見ながら明日のルートを検討すると同時に、何か近くに見るところがないか探してみる。すると、ハチゴロウの戸島湿地というものを発見した。ここもコウノトリがらみの施設だが、ハチゴロウって何?と思われることだろう。ハチゴロウは2002年の8月5日にどこからか飛来したコウノトリで、その発見された日からその名を付けられたようだ。そして、この鳥は以後5年程豊岡に住み着いていたが、ある日死骸が近くの山で発見された。そこで、この出来事を忘れないように、湿地にその名を付与したということだ。

 

体も程よく冷めたので、マシンに跨り地蔵湯を後にする。そして県道3号線で1㎞程走ったら、城崎大橋を渡って左折する。ああ、これがその湿地か。それにしても駐車場が無いなぁ、まあこのちょっとした空き地を借りて、バイクを止めておくか。

 

看板に従って観察小屋から人口巣塔を見てみると、ヒナが3羽見えた。親鳥がいないので大丈夫か、と思いながらしばらく待ってみる。しかし、一向に戻ってくる気配がないのでいよいよ心配であるが、当方には何もできないので退散することにした。因みに、帰宅後に調べてみたら、駐車場も管理棟もあることが判明した。

 

6.ランディング

 

帰りは県道548号線を使って、南下していく。こうして、豊岡の市街地に戻ってきたので、今日の宿であるビジネスイン豊岡を探す。ええと、案内所でもらった地図によると、この辺りだが、ああ、あった。この街の中では割合と背が高いので、すぐに発見できた。ついでに、隣にあるシェルのスタンドで燃料も搭載しておく。7.91Lで180㎞の走行だったので、22.7㎞/Lだ。あまり良い数値ではないが、市街地走行がやや多めだったこともあり、こんなもんだろうか。

 

チェックイン時に残りの料金である3,500円を支払って、部屋へ向かう。今日は6階なので、眺めが良い。おや、すぐ下に「ラウンドアバウト」が見えるじゃあないか。釧路で見て以来、2回目だ。

 

 

夕暮れのラウンドアバウト

 

少し休息して、18時30分頃に無料のレンタル自転車を借りて街へ出てみる。まずは上記の円形の交差点へ行ってみる。特にどうと言うこともないが、ここのものは大正の時代にできたもので、釧路のものよりもずっと古い。また中央は、中江種造という地元の名士の銅像がある寿公園となっている。

 

ロータリー交差点を見たのち、ハローワーク豊岡の前を通り駅前商店街へ向かう。この規模の街だと自転車はとても使いやすく、便利が良い。さて、ここへ来れば食事もできると思ってやってきたのだが、店はほとんど閉まっていて閑散としている。定休日だったのだろうか、それとも時間が遅かったのだろうか。

 

駅前商店街

 

ちょっとレトロな豊岡市役所前を通過して、かばん通りへ入っていく。因みに、ここでもバスの観察は忘れない。もちろん、乗務員募集中であったことは言うまでもなかろう。さて、この通りはまだ開いている店も見られたが、かばんを買う予定はない。それよりも、かばんの自販機なるものに驚いてしまった。

 

カバンストリート

 

カバンの自販機

 

それにしても、食事をできる店がなかなか見つからない。いい加減腹が減ってきたので、早く店を見つけたいところだ。そこで、もう一度商店街へ戻り、つぶさに一軒ずつ見ていくと、1軒だけ「アンティパスト」という店に灯りがついている。ここを逃す手はないので、自転車を止めて店に入る。

 

店内にはお客はおらず、思わず「よかったですか」と尋ねてしまったが、営業時間は21時までということで安心した。それにしても、19時前後という食事の時間にもかかわらず、何でお客がいないのか。

 

ちょっと心配しつつメニューを見ると、ステーキ丼なるものがあった。これは量もあっておいしそうなので、早速注文してみる。料理が来るまでは時間がありそうなので、地図を見て明日のルートを反芻しておく。さらに、携帯に同僚インストラクターのマキチャンから入電もあったので、こちらにも返信しておく。

 

そうこうしていると、料理が運ばれてきた。あれ、なんだか少し冷めている。何はともあれ、いただきます。うん、味は悪くないが、やはり少し冷めているのが残念である。

 

ステーキ丼

 

腹が膨れたので、落ち着いた。それにしても、40分ぐらい店にいたのだが、当方の貸切だ。こんなんでやっていけるのだろうかと心配になってしまうが、人口が5万人ぐらいの都市なのだから、こんなもんなのだろうか。

 

20時前にホテルに戻り、テレビを観ながらメモをつける。今日は移動距離のわりには色々と書くことが多いので、いつの間にか21時になっていた。それだけレポートも長くなるということなので、気合を入れていこう。

 

後はダラダラとテレビを観て、22時過ぎには就寝した。

 

 

 

 

 

本日の走行 180㎞

 

3日目へ続く