2015年走り納めツーリング

 

2015年 12月27日

 

国盛 酒の文化館前にて

0.集合

 

2015年も押し迫った、12月最終週の日曜日。旧知の仲であるZX氏と当方は、走り納めツーリングに出かけることにした。集合は9時とゆっくり、場所は氏の家の前のコンビニである。ここは当方の自宅アパートからは小一時間の距離にあり、実家からほど近い。今年はこういうことが何回かあったが、実家に立ち寄ることはなかった。たまには顔を出して、父親を喜ばした方がよいだろう。

 

ちょっと罪悪感を感じつつ、自宅周辺を通過して集合場所を目指す。小学校前を通過して、中学の時に部活に明け暮れたプール横を通る。当時は青色の塗装だったが、いつの間にかオレンジ色に塗り替えられている。ただ、フェンスや更衣室、監視室などは全くの当時のままである。

 

細い道を抜ければ、集合場所に到着だ。あれ、ZX氏はどこだと周囲を確認する。すると、それを見計らったように氏は車庫からマシンを出してきて、キックを蹴ってエンジンを始動する。寒いので家にいたことは明白だ。

 

ひと月振りの再会なので、お互いの近況を話し合う。当方は11月13日付けで15年在籍した会社を退職し、現在はポリテク小牧に通う「失業者」である。そのポリテク小牧であるが、別名は中部職業能力開発支援センターなどとも呼ばれていて、昔で言うところの職業訓練校である。その訓練校で、12月から機械設計の勉強を始めた42歳の中年男は、ほぼ畑違いの業種でヒーヒー言いながら勉強している。また、通学に時間がかかり居残りもしているので、就業していた時よりも忙しく感じる。

 

一方ZX氏は、少年時代初期を過ごした長野県へ業務上の出張に出かけ、当時の友にも再会したそうだ。

 

何にしても、年末が忙しく感じるのは皆に公平であり、失業者でも例外ではなかったようだ。

 

1.出発~半田へ

 

コーヒーを飲んで道順を確認した後、当方の先導で出発する。TDM900は先日、懸案だったサーモスタットを交換してもらったので、水温が上がりすぎることが少なくなった。結局は古くなって、動きが悪くなっていたということだ。バイクは古くなると本体の大物ではなく、周辺機器が悪くなってくるので買い替えを促されるという典型的な例だ。もちろん、前述のように失業中の身ではそんなことはできない。

 

調子の上がったバイクは密度の濃い冬の冷たい空気を吸い、いつもよりも力強く感じる。これであと車検2回はとれそうだと心しつつ、国道155号線を磁方位090°で進んでいく。左手には当方の実家がある上野台地区が見え、地元って良いなと思う。

 

半月町一丁目西交差点を右折して、住宅街を抜ける。そして、お気に入りの広域農道に乗り、畑の中を左右にまがる大きなコーナーを気持ちよく走行し、阿久比旭台交差点に当たる。この道は原付免許を取得した高校3年生から走っている道で、コーナーの舗装の具合まで覚えている。

 

左折して県道46号線を120°で進み、東生見町交差点を右折して県道261号線に乗り換え、池沿いに走行を続ける。そしてごちゃごちゃした旧市街地を進み、阿久比川沿いの県道265号線を進む。今日は海沿いから半田の市街地をパスして行く予定だが、途中でミツカン酢の本社ビルが見えた。ここの周辺は江戸時代当時の街を再現しているので、ちょっと寄っていく。

 

国盛 酒の文化館

後ろのビルはミツカン酢本社

 

黒塗りの倉庫が並ぶ運河沿いを散策する。あたかも、タイムスリップした如く思われるが、今は2015年の暮れ。その見た目と感覚のズレは面白いものである。ZX氏は電柱がないことに気がつき、埋められていると知り感心していた。また、氏のマシンであるW3はその風景に溶け込んでいて、全く違和感がなかったことも特筆すべき事項である。

 

関係無いが、高校の理科室に「ミリカン」なる人物の肖像画が掲示してあったが、「リ」に縦線を追加して「ミツカン」となっていた事を思い出した。ユーモアのある先輩だったのだろう

  

2.遺構   

 

ちょっとした時間旅行を楽しんだ後、半田にあるもう一か所の古い建物にも行ってみることになった。エンジンを再始動して、県道262号線を少し北に進む。すると、レンガ造りの建物が見えてくる。カブトビールの工場跡である。

 

これは1898年の建造で、ビール工場の遺構という貴重な建物である。さて、今回訪れて是非確かめてみたいものがあるのだが、それは機銃掃射の弾が当たった跡である。駐車場にマシンを止めて、早速壁を確認してみる。確かに、黒ずんだ穴が多数見られる。

 

この半田は富士重工の前身である、旧中島飛行機の工場があったことで知られている。当然、第二次大戦の末期にはかなりの攻撃を受けたようで、市街地にあるこのビルにも容赦は無かったのだろう。

 

今年は戦後70年という節目の年であったので、何かと先の大戦のことが話題になった。そんな中で安保法案の成立となったわけだが、手順としては憲法の改正が先だろう。昨今の世界情勢を考えると、闇雲に「反戦」などとは言っていられないこともあろう。しかし、なし崩し的なやり方は良くない。全てのものがなし崩しにさせられたらどうであろうか、それだけは勘弁してほしい。

 

激しい銃撃の跡

 

さて、このレンガビルは、今は複合展示場になっている。中に入ってみると特に何があるというわけでもないが、フリーマーケットというところだろうか。また、現在は常滑市にある、カブトビールの工場で生産されたビールも売っている。もっとも、その値段を見るとびっくりしてしまう。尚、建物やビールについては、http://www.handa-akarenga.jp/index.htmlに詳しいので、興味がある方は参照してみると良いと思われる。

 

3.知多半島を激走

 

半田で遊んだ後、再び県道263号線で南下していく。そして、半田の市街地が途切れた辺りで国道247号線に乗り換えて、さらに進んでいく。だんだんと海沿いの道になり、現在は武豊メガソーラー発電所となっている。武豊火力発電所を通過する。この辺りは潮干狩り場や海水浴場が点在しており、春から夏は賑わっていることだろう。

 

さらに行くと知多半島の先にある、バブルの塔ことチッタナポリの建物が見えてくる。風は冷たいが、日差しがあるのでわりと走りやすい。おっと、後方のZX氏のマシンである、W650が良い音を出していることに気がついた。氏の話では「点火時期の調整がうまくいっている」とこういう音になるようだ。

 

師崎の幡豆岬を過ぎれば、半島の西側へ入る。ちょっと体が冷えてきたので、豊浜さかな広場で休息を入れる。ここで食事や買い物をするわけではないが、一応売り場を見て通る。年末なのですごい人である。

 

さっさとプレハブの建物を出て、裏に出る。ここはZX氏が夜釣りに来る場所らしく、色々と詳しい。話によると、地面に残る黒いシミは「イカスミ」だそうだ。つまり、ここではイカやタコが釣れるのである。釣り方はとしては、明かりを点けて海を照らし、おびき寄せるということだ。

 

釣りの話をして、南知多の市街地を目指す。ここまで来れば、今日の目的地である活魚料理「魚虎」ももう少しだ。この店は今日のツーリングに当たって、当方が見つけた店である。もちろん、訪れるのは初めてなので、当たりかハズレかは全くわからない。

 

調べた通りに国道247号線から県道52号線に乗り換えて、県道52号線で市街地を少し行くと目的の店を発見した。見た目はそれほど良いわけでもないが、ネット上での評判はかなり良かったので大いに期待している。

 

黄色い暖簾をくぐり、店内に入る。あまり広くはなく、定員は15名程度だろうか。また、カウンターにはキープされたボトルが置いてあり、酒の肴的なメニューも出ているので、夜は居酒屋としても営業しているようだ。

 

昼はセットメニューがお得で、小潮、中潮、大潮の3つがある。小潮は刺身、揚げ物、小鉢、汁物、サラダ、デザートで構成されている。我々は食いしん坊なので、これに大あさりの焼き物を追加した中潮(1,640円)を選択した。

 

さて、ここで当方が「ニューアフリカツイン」が発売間近らしいと話していたら、ZX氏がスマホで検索し始めた。それを元ネタにして、当方の次期マシンになり得るかをあれこれ話す。エンジンは排気量が1,000㏄で、ユニカムOHCでヘッドが小さいのは魅力的である。最高出力も90psと申し分ないが、オフ車故に前後チューブタイヤというところは残念である。あとは値段ということになるのだが、今年はTDMが大修理の年となったので買い替えは何年先かわからない。

 

バイクの話は楽しいもので、時間が過ぎていたのだろう。続々と料理が運ばれてきた。うひょー、これは旨そうだね。

 

魚虎の中潮セット

 

何から食べようか迷ってしまうが、こういう時はお新香とご飯である。少し落ち着いてから小鉢のもずくに移る。海が近いからだろうか、とても新鮮で旨い。真偽の程はわからないが、もずくと言えども鮮度がよいのだろうか。

 

そして刺身へ移るが、この辺りの名物であるタコである。もちろんゆでてはいない、生タコである。「生タコは精力がつくらしい」と当方が発言したところ、「今更遅いね」とはZX氏の談。まったくその通りだ。氏の場合はまだ良いが、当方については13年も前に嫁さんに逃げられているので、本当に今更である。

 

楽しく会話しながら食事を終えて、店の外で一服して出発する。時刻は13時30分なので、これからが一番暖かい時間だが、少々風が出てきた。国道247号線を進んで行き、常滑市に入ってすぐの南小鈴谷交差点を左折して旧道へ乗り換える。当方が免許を取ったばかりの頃は、こちらの道しかなかったんだよな。

 

さて、次の休息地点は空港の対岸辺りということなので、この辺りを得意とするZX氏に先導をお願いする。船首が道路をに突き出している造船所?を通り、海岸通りの県道72、252号線を繋いで、常滑市街地を避けるように南端をかすめれば、中部国際空港の管制塔が目の前に見える公園に到着した。良いところを知っているじゃん、さすがはZX氏である。

 

風を避けるように植え込みの傍に座り、離着陸する旅客機を眺める。ここからは管理人の独壇場で、「あれはA330、あれはCRJ700だ」と機種を次々に言い当てていく。よくわかるなぁとZX氏は不思議がるが、いやいや、尾翼に塗られた航空会社のマークからその会社が保有する機材を思い出し、同じ形のものを言っているだけだ。さらに、セントレアにはCRJで乗り入れている会社はIBEXエアラインズだけなので、何も難しくはない。

 

たまにやってくるDHC-8-Q400については、その性能の高さについて熱く語ってしまう。プロペラ機=ローテクと思われがちであるが、超ハイテクの旅客機であることは言うまでもなかろう。

 

マリーナ臨空にて

 

十分に飛行機を楽しんだ後、日が傾いてきたので出発する。時刻は15時になろうとしており、冬至を過ぎたばかりのこの頃は日の入りが早いので注意が必要だ。引き続きZX氏のW3に先導されて、県道252号線で進んでいく。蒲池周辺では、高校当時に好きだった子のことを思い出す。彼女はこの辺りに住んでいたのだ。

 

新舞子を過ぎて、一旦国道247号線の産業道路に乗るが、日長I.C.で下りて裏産業道路を走行する。こちらは海沿いに並ぶ製油所のローリーなどが通る道だが、今日は休みになっているからだろうか、その姿は見られなかった。ただ、警察の取り締まりが怖かったので、ギリギリ安全速度の37ノットを維持した。

 

朝倉I,C.から再び表産業道路に乗り換えて、45ノット付近で走行を続ける。この辺りは白バイが出る地域だと警戒していたら、追い越し車線を4輪車の後ろについているところを発見した。幸いにも4輪車は制限速度の70㎞/hを維持しているので、白バイ警官も「稼げない」という不満そうな顔をしていた。

 

横須賀I.C.で産業道路こと国道247号線を離れ、国道155号線に乗り換える。白バイはそのまま加家I.C.方向へ走り去ったので、ひとまず取り締まりに怯えることはなかろう。東海警察署、東海市市民会館前を通る。ここは、20年以上前に成人式が行われた場所で、今や遠い昔の思い出である。

 

当方の母校である横須賀高等学校近くのファミリーマート高横須賀店で、最後の休息をとる。日の入りの時刻だったので、だんだんと気温が下がってくることを感じる。そこで、甘酒を飲んで体を温めることにした。

 

ZX氏とは、来月の成人の日がある連休に再会することを約束し、今日はお開きとなった。

 

こういうダラダラ、おしゃべりツーリングは大好きである。付き合ってくれたZX氏に感謝する。またよろしく。

 

本日の走行 170㎞

 

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