2012年5月19日
駒ケ根付近にて南アルプスを望む
先週は突発でツーリングに出かけたのだが、今週もW氏からお誘いがあったので同行することにした。梅雨も近いことだし、今のうちに走り込んでおきたいからなぁ。そんなわけでW氏からは「8時30分に稲武集合」と指令があったものの、これについては当方は無理ということで、「9時に足助集合」に変更いただいた。氏は当方以上にがっつり走りたいと気合十分のようだ。
W氏からお誘いが無くとも、当方は走りに行く予定だったのでいつも通りに準備を進める。まずは足助近郊のガソリンスタンドで、燃料を20ポンド程度搭載して満タンとし、DX協会（WRT連合会のオフ部門）ツーリングでいつも補給地点としている、足助のコンビニに到着した。
コーヒーを飲んでくつろいでいると、エンジンのドカドカ音に混じるクラッチのカラカラ音が聴こえてきた。W氏の到着である。今日は早朝のみの業務があったようで、それを終えてからこちらへ来たとのことである。お疲れ様です。
今日も機長業務はW氏にお願いしているので、当方はコパイで走り、技を見て学ぼうと思う。当方の個人技量向上訓練というわけだ。さて、今日のプランだが、先週同様に長野方面に向かう予定である。目標はソースカツ丼で有名な伊那の「まつくぼ」であるが、そこまでは難しそうだ。ともかく行けるところまで行き、それから対処しましょう。
ところで、W氏は鼻下にある人中（にんちゅう）付近から激しく出血している。どうしたのかと尋ねてみると、どうも体調イマイチの時にこのような「ただれ」ができるようだ。そういえば、疲れ等で一時的に免疫機能が落ちると、毛穴からバイ菌が進入して腫れたりすることがあると聞いたことがある。
一抹の不安はあるものの、W氏は走る気が満ち溢れているようなので問題なかろう。まずは教官機長に続いて国道153号線を北上していく。この道は以前、足助の市街地を通っていたが、現在はバイパス路ができたので流れは良い。ただ、今日は取り締まりも厳しいだろうから35ノット程度を維持していく
。
さらに、稲武の「単友」を横目に見ながら、どんぐりの湯方面へ進んで行く。さて、この「単友」であるが、バイクを長く乗っていると一度はお世話にならざるを得ない、中古部品専門店である。かく言う当方もNSR50でレースをしていた頃、レインタイヤ用のスペアホイール、ハンドルバー、その他諸々を購入したことがある。兄の友人に至っては車両本体を買ってしまっていた。そしてR1-Z氏もウインカーを渋々4個セットで購入。ただ、幸いにもW氏はお世話になっていないようだ。しかし、いつその機会が訪れるかはわからない。
道の駅「どんぐりの湯」を横目に、国道153号線を4輪のペースに合わせつつ、25ノット〜30ノットで走行していく。チラリと見た道の駅には、今日もたくさんのバイクが出ている。お、ニンジャ250に乗る女性ライダーが見えたぞ。
それはそうと、前走の4輪車であるプログレの挙動が怪しい。いらん所でブレーキを踏んでみたり、ブラインドカーブでセンターラインを割りながら曲がっていったり、よく事故に遭わないで済んでいるなと感心してしまう。もちろん制限速度を守っている、いわば典型的なヘタOソであると言えよう。なるべく近づかないようにっと。
そんな感じで道の駅「平谷」に到着した。ここで水分補給を兼ねて休息とする。前述したW氏の人中部出血であるが、かさぶたになっている。言われなければそれほど気にならないが、氏はトイレで鏡を見て「チョビヒゲ」と称していた。なるほど、その幅からして、例えは悪いが「ヒトラー」のそれのようだ。さらに、結構痛いそうなので、今日も巡航速度を抑え気味にしていくことに決定した。
ところで、道の駅には次々とバイクがやってくるのだが、その中にW400を発見した。650とはいえ、元Wのオーナーとしては気になるようだ。
ここからも国道153号線を走行し、飯田市内の飯田山本I.C.付近から分かれる「ふるさと農道」を利用する。この道は国道153号線と並行に通っていて、飯田市街まで通じている。もちろん交通量も少ないし、中央線は破線なので追い越しにも支障がない。
この後は県道15線でさらに北上していく。この辺りまで来ると左手には連なった山々が視界に入ってくる。もちろん、この季節でも7合目付近と思われる辺りまで雪を被っている。今年はまだまだこれからが本格的な雪解けのようだ。
こうして12時頃に道の駅「花の里いいじま」に到着した。ここはその名の通り、多くの花が咲いている。さて、今日は気温も上がってきて、マシンを降りると暑いほどだ。ここで当方は上着のインナーを外す。「暑きゃ脱ぎゃあええんだて」とドルーのマネをすることは忘れない。そして、丁度昼飯時なので、こちらの食堂で飯を食うことにする。尚、W氏によるとこの辺りの名物に｢ごぼうと豚のゴボトン丼｣というものがあるということだ。関係ないが、岐阜にある道の駅で「五木の館」という所がある。当方等は最近までその正式な呼び名が「ゴボク」であることを知らなかった。尚、この道の駅はただの「アバラヤ」同然だと補記しておこう。
そんなことはどうでもよい。それもあっさりして良いかと思い入店してメニューをみるとお目当ての丼が・・・「ない」。「ない」といえば、お馴染みの「単友」おやじである。これは当方の先輩が「ハスラー50のシートってありますか」と尋ねたところ、「ない！」と目をひんむいて即答された一件だ。この状況を生で見ていた当方他数名は唖然としてしまった。無いのは仕方ないが、言い方があるだろうに。
話を元に戻そう。結局W氏は「馬か丼」という馬肉の焼肉丼、当方は無難にソースカツ丼としておいた。ソースカツ丼は並のものであったが、「馬か丼」も「普通です」ということだった。ところで、この「普通です」だが、W氏によると、現中日の監督の高木守道が昔、何かの番組で「ファインプレーですねぇ」と興奮気味にアナウンサーに振られた時、「こんなの捕れて普通です」とあっさり答えたところに由来している。確かに高木はグラブ裁きに定評のある2塁手だったから、そういう回答もあろう。
そして、もう一つの「普通です」は、オークラ氏が「細〜い」、生真面目でかわいらしい女性社員ダマ氏（仮名）に「（乳が）でかいねぇ」と振ったところ、やや怒り気味に「普通です！」と返された一件である。そんなに怒らなくても良いと思うが、そういう見られ方をすると不快に思う方もみえるということだろう。もっとも、彼女の場合は「細すぎてでかく見える」が正確な表現なのかもしれない。またまた関係ないが、｢太〜い｣はオオクワ301で売られている阿古谷種のオオクワガタの看板である。いずれにしても、「普通です」は我々の中では特別な意味を持つ単語である。
昼食後はW氏と共に技量維持訓練の開始だ。まずは県道15号の柏木交差点を右折して国道153号線に乗り換える。その後さらに北上して、駒ヶ根で県道49号線に乗り換えて機首を東に向け、パワースポットで有名な分杭峠を目指す。この県道は最近拡張整備が行われたらしく、かなり広い、片側1車線の道となった。ただ、カーブが少なくなったのは残念だ。尚、このスポットは最近急激に知名度を上げたようで、シャトルバスが運行されているようだ。
そんなことを考えているとW氏が橋の上で停車し、「催した」と川の方へ走っていった。先ほどコーヒーを飲んだことに起因していると思われるが、ちょっと気温が下がり気味だったことも影響しているのだろう。
ところで、先週はハーレー氏が寒さの為、コンビニで上着を購入したことは前回のレポートで記載した通りだが、その話にはさらに深い内容が存在していた。W氏によると、当方が「千石平新野」で合流する前に、氏とハーレー氏は別の場所で集合し、その10分後に気温9℃の表示が出ている新段度トンネルを通過したのだが、この時、既にハーレー氏は膀胱がフルタンク状態で、その後休息地点の設楽町まで1時間近く我慢していたということだ。それについてW氏曰く「遠慮なく言ってくれればよかったのに」と。確かに、この場合は我慢すると体に悪いが、一旦走り出すと言いづらくなることも事実だ。
話を戻すと、この道は20年程前まではダートが残っていたらしく、W氏がNSR250で訪れた際に往生こいたとのことだ。ダートが残っていたといえば、国道151号線も阿南町付近では、20年程前はダートが残っていたな。NS50Fでの飛行経歴が300時間程度だった時代に走行して往生こいたことがある。
膀胱の水分を投棄した後、山々を眺めたり、側溝のおたまじゃくしを見たりして楽しみ、走行を再開して分杭峠へ向けてさらに山を上っていく。すると、道幅は1.5車線と狭くなり、見通しの悪いカーブが増えてきた。その後間もなく、国道152号線に合流したのだが、この時、南側からバイクの一団がやってきた。なんと、先頭はホンダのトランザルプではないか。しかも、新型のモンテッサ工場製だ。こんなの初めて見たよ。こうして分杭峠でheading180とし、南下を開始する。因みに今日の分杭峠はガラガラヘビであった。
さらに南下していくと、「フォッサマグナ」の露頭があるのだが、ここで一旦休息とする。W氏が「一度見てみたかった」とのこと。当方も一度見たことがあるのだが、土の色が違うのですぐにわかった。それにしても新潟から長野、愛知、和歌山、果ては四国まで続くこの断層帯がある日本なのだから、地震から逃れることは不可能だろう。起きた時に備えることに金を使うことが必要と思われる。
フォッサマグナの露頭にてW氏
見学を終えて、W氏と話をしていると｢アカゲラ（キツツキ）｣の鳴き声がするというので探してみると、確かに木の上にいました。また、何とかカエルの声だ、これは何々の泣き声だ、鹿の声もした、と次々に動物の名前が出てきた。これについては、度々当方のレポートにも記載しているが、氏は山間の集落に住んでおり、小学校ではこの手の生物教育に力を入れていたそうだ。当方も「以前話していたホンシュウモモンガはまだいるのでしょうか」と尋ねたら｢まだいると思うよ｣と。一度飛膜を広げ、座布団のような姿で滑空するところを見てみたいものだ。
この後は地元の営業車と思われる4輪車に引っ張ってもらい、狭い152号線、蛇洞林道を通って標高を下げていく。関係ないが、当方は「ジャバラ評論家」を辞めた。それにしてもこの蛇洞林道はナカナカの快走路であった。そして、上記林道の終わりにあるループを下ると「ヤハズ（スタカ）トンネル」の入り口が見えてきた。ここでW氏が｢ヤハズスタカトンネル｣を通りますかと確認してきたので、「今日は別ルートを選びましょう」と返答した。
こうして、先週も利用した道の駅「桃山郷」にて休息をとることにする。先週は大きなツーリンググループがやってきて大騒ぎであったが、今週はそうでもない。ただ、125�佞離▲疋譽垢望茲辰拭△い�にも遠乗りしていますよ、という風貌の女性がやってきて、道の駅のスタンプを押していた。また、初期型のTDM850（ヨーロッパ仕様）車がやってきたりと、突っ込み所があった。TDMは1990年発売なので、マイナーチェンジとフルモデルチェンジを1度ずつはさんで22年も生産されていることになる。因みに当方が所有していたものはマイナーチェンジ後の850だった。
初期型TDM850の後方に管理人
ところで、今日の蛇洞林道をハーレー氏が走行していたら、間違いなくステップやエキパイが「ガリガリ」であったろうと思われる。その「ガリガリ」は以前はW氏の専売特許であったが、今はハーレー氏が受け継いでいることになる。
それはそうと、新車、中古車に関わらず、新規機材を導入する際は大いに悩む。ポジションはどうか、足つきは大丈夫か、エンジン出力特性は好みに合っているか、燃費はどうか、様々な要素を十分に考慮し、少ない報酬をコツコツ貯めた、少なくない資金を投入する。多くのバイク乗りはこういう一連の、賭けにも似た体験をしていることと思われる。が、そこまでして購入した新機材であるが、100％満足というわけにはいかない。これも多くのライダーが理解しているところだ。
購入してしばらくしてから現れる、「ちょっとリアサスが堅い方が・・・。」とか、「もうちょっと鋭い吹け上がるとよいか」という決定的ではないが、ちょっとした不満が、時として言葉になることがある。先日のハーレー氏もバルカン1500について同種の注文をつけていたのであった。そういう不満な言葉に対し、W氏は真剣な表情で「（買い）替えましょう」とすかさず突っ込むというコントを思いついたらしい。本人曰く『考えて購入したばかりの機材を「買い替えましょう」とは失礼極まりないが、気心知れた中では「そりゃないよ〜」と笑い話で済む』ということだ。なるほど、現にハーレー氏も笑いながら「俺はこれでいいだよ」とうけていた。
尚、この変化形として、「あのバイク良いよなぁ〜」、「買いましょう！」というものもある。今年のWRTには2009年の「ドルーネタ」以来、久々に流行句が生まれた。
ひとしきりくつろいだ後、走行を再開する。国道152号線から418号線に乗り換え、爆発地点を逆側から通過する。こちらからだと結構きついカーブであることがよくわかる。やはり、爆発の根本的な原因は当方の技量が足らなかったせいだろう。
この後は県道1号線に乗り換え、パレ平岡ダムの湖岸を良いペースで駆け抜けていく。今日は2週連続の技量維持訓練で、少し乗れてきたように思う。踵をマシンにぴったりと密着させて内側のステップに荷重を載せつつ、アウト側の足も内側へ力を加える。さらに内側坐骨もシートに荷重していく。こうすれば肘から肩関節にかけては力が抜けて、セルフステアを妨げなくなり、マシンの向き換えを積極的に行うことができる。なかなか良い気分で連続する切り返しのコーナーをちぎっては投げていく。さらに、アクセルワークでリアタイヤのトラクションを制御していけば、旋回性も自由自在である。
こうして気分良くワインディングを抜けて、県道244号線にスイッチし、国道151号線で南下していく。この区間は4輪車が多数走行していたので無理はしないで、控えめにして行くと、いつもの休息地点である、道の駅「千石平新野」に到着した。尚、この区間の走りについては、W教官から「なかなか乗れていた」と評価を頂いた。ありがとうございます。
人中のかさぶた「チョビヒゲ」を隠すW氏
時刻は既に17時をまわっており、人影はまばらである。そこへカワサキZRX、エリミネーターの男女が登場。エリミの排気音がやけにうるさいぞ、と見ていると、こちらに女性が搭乗していた。よくよく見ると、サイレンサーが無いただの「ステンレスパイプ」だと思われる。どうりで、うるさいわけだ。正直耳障りである。
それはそうと、先週はW氏が焼き栗を一袋500円（定価は600円）で購入したのだが、当方も家でゆっくりと食べてみたいと購入を決意した。一方、W氏も1袋購入するということだったので、露店へ行き「2袋買うから1,000円ですよねぇ」と言うと、「毎度」ということで代金を支払う。この時間では売れ残るよりも、利益を落としても放出したいということだろう。因みに、先週購入した栗を電子レンジで温めようとした、W氏の母君が栗を「爆発」させたそうだ。
さて、おまけでもらった栗を食べつつ、ハーレー氏の話になる。今週は泊まりで出かけているそうだが、当方が「くぎが刺さったままだったらちょっとまずかったかも」と言うと、「確実にまずかったね。あと、先週コーナーで滑るとか言っていたけど、あれはパンクによる空気圧の低下が原因だったのだろう」とW氏。ああそうか、ということは、随分前からくぎが刺さっていたことになろう。さすがモトスポと言うべきか？
休息後は、国道418号線で売木峠を越えて、売木村市街地から県道46号線に乗り換えて茶臼山を目指す。この道は林間を通る気持ちの良い中、高速のワインディング路である。ただ、所々にきついカーブがあるので気をつけないといけない。そして、いつもなら茶臼山からは、茶臼山高原道路を行くのだが、今日は引き続き同県道を走行していく。こちらは標高の高い区間は低速ワインディングであるが、標高が低くなるにつれて大きなカーブが中心の超高速ワインディング路となる。そして、道の脇は田んぼであり、カントもあまりついていないのでなかなかスリルのある道だ。
こうして、根羽村で国道153号線と合流し、県境を越えて、道の駅「どんぐりの湯」で最後の休息をとる。ここでは、元大関の琴光喜がW氏からそれほど遠くない所に住んでいた、というところに端を発し、相撲について話し合う。当方が「やはり、現井筒親方の逆鉾の取り口が最高だった」とマニアな自論を展開した。また、業界暴露で有名な「板井」はツッパリの回転、威力となかなかのものだった、あと、「大徹」の長身を活かしたうっちゃりにはしびれたと、次々に評論をしたところ、「マニアですねぇ」とW氏から呆れられてしまった。そりゃそうだよ、当方は3代目若乃花、2代目貴乃花が活躍する前から相撲を観ていたんだから。あ、そうそう、十両で活躍した超小兵の｢維新力｣も好きだったよ。
こうして日の暮れかかった足助で解散となったのだが、梅雨中でも一度くらいはチャンスがあれば走りたいということで合意した。それにしても「替えましょう」は傑作だった。また次回もお願いします。
本日の走行 360km