2014年3月29日
郡上市の県道323号線 相谷トンネルにて
（珍しい、セカンドバイク同士の2ショット）
０．シーズンオフ中には
昨年の夏以降各人の予定が合わなかったりして、WRTのツーリングは開催されていなかった。しかし、いろいろと動きがあったので、ここでまとめて報告しておく。
まずは定年退職を期に、ハーレー氏が2輪を引退してしまった。こちらは前々から聞いていた話だが、まさか本当に引退してしまうなんて・・・。まったくもって残念な話だ。しかし、W氏やハーレー氏が行きつけとしているバイク店、モトスポーツトヨタの奥さんによると、「ああ言ってはいるが、きまぐれで復活する可能性大」との分析をしているそうだ。W氏によると、「モトスポの奥さんは洞察力が深い」ということなので、期待はできそうだ。
ついでに、そのモトスポの店主であるが、あるお客さんが「賀曽利隆を見たよ」と興奮気味に話していることを聞いて、「あんなのただのオッサンだ。女優でも見た方が良い」とあっさり突っぱねたことがあるそうだ。なるほど、確かにその通りである。ところで、最近管理人の注目株であるが、「松浦雅」、ちょっと前から「蓮佛美沙子」も気に入っている（何でもええんとちがうか？？）。
また、これは既出事項だが、管理人の機材群にSL230が導入され、北海道へも行った。また、W氏も秋以降、密かに気になる道に調査飛行へ出かけていて、まとまったネタを獲得した模様で、今日のツーリングはその発表会というわけだ。
当日は距離を稼ごうと、8時に道の駅しなのへ集合となった。当方は5分前に到着し、「ごちそうさん」最終回を観て待つ。管理人が朝ドラを続けていることは珍しく、だいたいちょっと観てはつまらなくなり、最後まで続かなかったのだ。しかし、今回（前回）の「ごちそうさん」はなかなか面白かった。特に後半から終盤にかけて登場した「諸岡くん」がいい味出していたと思う。
腐久、いやふ久に「諸岡くんを複製したい」と猛アタックを受けて、しまいには押し倒されたところなんて当方の若い頃と同じだ。そうだよ、当方も元嫁に「管理人の遺伝子を残したい」と言われて、押し倒されそうになったことがあるんだよ、ヤマトの諸君。もっとも、遺伝子を別の個体に引き継ぐどころか、嫁にも逃げられるという結末だったことは、今更説明するまでもなかろう。あれから12年目だ。干支がひと回りしてしまった。
そうこうしていると、W氏が到着した。遅れた理由であるが、洗車していて一時的に鍵を失ったそうだ。ああ、ありがちですなぁ。気になさらないでください。
久々の再会なので、上記のように近況を報告し合う。オフシーズン中もW氏は走りに行きたかったのだが、がわざわざ気を遣ってくれて遠慮していたようだ。WRTはざっくばらんに付き合えるメンバーの集まりを目指しているので、どうぞご遠慮なく。話があれば参加しますよ。
ブリーフィングを終え、脳内航法装置のルート設定が完了しので、W機長の先導で品野を出発する。まずは国道363号線を070°で走行し、「我が母校」の下を通り岐阜県土岐市へ入る。今更思うが、こんな何もない所の大学へよく来たものだ（もっと勉強しておけよ）。
そしてちょっと4輪に引っかかりつつも、ワインディングを軽快に抜けていく。W機長の機材はマジェだが、相変わらずライディングには迫力があり、「じぇじぇじぇ」な速度でコーナーを抜けていく。尚、この「マシンを寝かさない走法」はまだまだ序の口で、今後その奥儀を見ることになる。
国道から県道69号にスイッチし、時折大きな岩が道にせり出している峡谷のワインディングを通り、土岐の市街地を目指す。さて、当方は今日の機材として、2号車のSLを選択した。いや、正確にはTDMがフロントフォークのオーバーホールのため整備工場入りしており、選択肢が無かっただけである。そのため、W氏にも「マジェ」で来ることをお願いしていたというわけだ。
そのTDMは現在の累積走行距離が92,000km、飛行時間は3,100時間となっている。もちろん当方所有の機材では最長寿記録を更新中だし、6桁目に「1」が立つのは当方の力量次第だ。ぜひ今年はその記念すべき年にしたい。
さて、土岐市からは同66号線、通称らっせい街道を090°に走行していく。この道は中央線が破線の部分が多く、モンスター、TDMのコンビだったら追い越しをかけまくりになるのだが、今日はゆったりと35ノット程度で流していく。もっとも、この2台の馬力には程よい速度であり、十分に楽しむことができる。因みに、SLのエンジンはもともとXLR200Rのために開発されたもので、その進化形で230�佞砲覆辰討い襦�
XLR200R、と言えば、当方がSLの前に所有していたJD16型機である、XLR125Rと同系列のエンジンを搭載している（200のスケールダウン版）。なるほど、振動や音、クランクの回転する感覚があまりにも良く似ているわけだ。
そんなことを考えていたら、森の中を抜けて田んぼが広がる風景に変わってきた。道の駅らっせいみさとが近くなった証拠である。尚、こちら方面に出る時は必ずここに立ち寄るのだが、別に理由はない。丁度休息時間の目安である1時間程度の場所に位置しているからというだけだ。
道の駅に入り、コーヒーを飲んで一息入れる。W氏とは半年ぶりの再会であり、SLは初披露になる。それ故に、氏はSLをしげしげと眺めている。そして、アンダーフレームが無いダイヤモンドタイプのフレームであることを発見し、「これではジャンプはできないなぁ」と。当方も「これでジャンプをしたら、車体がVの字になっちゃいますよ」とすかさず突っ込みを入れた。ところで、この「Vの字」の話であるが、何回も記載しているので省略したいのだが、あまりにもおかしいので再び述べよう。
昔、まだW氏も初心者だった頃、当方の元職場同僚（W氏を紹介してくれた方）と氏（W氏はこの件には加担していない！とご指摘がありました）、他何名かとが、誰かの姉ちゃんから借りてきた「ヤマハ パセッタ」で田んぼのあぜ道を走行していた。いや、実際にはヒルクライムもどき、ジャンプ、ドリフト、などでムチャをして遊んでいたら、
「おい、ハンドルがやけに近いぞ！！」
とマシンの異変を発見する。よくよく見てみると、そのパセッタのフレームが
になっていた。そこであわてて車体を引っ張ってフレーム修正をし、何事も無かったように返却したそうだ（W氏口頭エピソード集、「パセッタVの字事件」より引用）。
だいたい借りてきたもので、ヒルクライムからジャンプ、何やってるんだよ。ワヤやっとるなぁ。
また、エンジンについては、「クランクケースに対してシリンダーがでかい」との指摘もあった。これは当然のことであり、もともと200�佞離┘鵐献鵑�223�佞泙妊好院璽襯▲奪廚靴討い襪�らだ。おそらくこのくらいが強度的にも熱的も限界なんだろう。尚、非公式に入手した情報によると、FTRを再度発売することになった時、エンジン部品の材質を落とし過ぎてえらいことになったそうだ。
ひとしきり笑った後、W機長の先導で走行を再開する。今まで走行してきた県道66号線をさらに進み、恵那市に入る。関係無いが、会社の同僚であるI氏（人妻）は恵那の高校出身だそうで、調べによれば名門の進学校だそうだ。なるほど、当方とは仕事ぶりが違うわけだ。
さらに、そのまま国道19号線の下をくぐり、恵那I.C.の横を過ぎたらすぐに右折、県道72号線に乗り換える。この辺りはW氏がしばしば仕事で訪れており、勝手知ったる領域だ。この辺りからは針路は360°とほぼ真北となり、山間部へ向かうようになる。
博石館などがある恵那峡のリゾートを抜けていき、遠ヶ根峠へ向けて上っていく。途中で道が狭くなり見通しが悪い場所もあるので、慎重に車輪を進めていく。それにしても、SLのコーナリング性能はそれ程悪くもない。これは、昨年の北海道ツーリングの際、天馬国道を走行した時に発見したことだ。オフ車って万能だなあと改めて感心する。
そして本領発揮はやはり、道幅が広がる峠を越えた区間からだろう。まだちょっと体がついてきていないが、軽量を活かしての突っ込みから素早くバンク、馬力はないのでアクセルワイドオープンでコーナーを脱出する。おや、今日はW氏に離されないでついていくことができるぞ。こんなことは初めてだ。これは別に、当方の腕が上がったという訳ではない。SLが軽量で素直な特性を持つマシンということで、重量差やバンク角などでやや不利となるマジェよりも、ちょっと速く走ることができるだけだ。
つまり、このくらいのハンディがあって、当方と査察操縦士の技量と釣り合うということなのだよ、ヤマトの諸君。
峠を越えて県道70号線を左折し、方位300°で少し進んだら、今度は県道72号線に乗り換えて方位360°で大野峠を貫く、美濃東部農道へ乗り換える。この道は最初に述べたように、W氏が度々行っている調査飛行で発見したルートである。さて、どんな道かと期待していると、すぐにまっすぐなひんやりとした長いトンネル、黒川東白川トンネルへ入った。このトンネルはまだ新しく、長さも2,070mある。当方の通勤距離じゃんか。
出口で一旦停止して、撮影時間とする。ここはまだ残雪があり、少々冷える。それにしても今年の冬も寒かったなぁ。当方はそのおかげで、「鵞足炎」という腱の炎症に悩まされている、これは、縫工筋、半腱様筋、薄筋が交わっているところで、これら筋肉が寒さでこわばっていたところに、調子こいてエアロビクスダンスを張り切りすぎたことにより発症してしまったものだ。そりゃ、エアロインストラクターの同期、E氏のレッスンに出られる機会があったので、張り切らないわけがなかろう。
さて、しばらく休息した後農道を走りきり、県道62号線で一旦東側へ走り、ツチノコ館や通り、以前ハーレー氏と一緒に行ったケイチャンの「白草」を通過する。そして、国道256号線、257号線と繋いで下呂方面へ向かう。この辺は会社の保養所である、「下呂ハウス」へ出かける際によく通る道なので、馴染みがある。また、この国道257号線沿いには賽の神峠を起点とする中腹林道、そこから渡温泉方面へ延びる木曽越林道がある。
以前ここを走ったのはKDXの時だから、いやいや、もう4年も5年も前の事ジャン。SLで再度アタックして、ゆっくりとキャンプでもしたいところだ。そう思っていると、道の駅加子母を通過した。言っちゃあ悪いが、ここの施設も「ゴボク」級である。「ゴボク」って何ィ〜、と思われるあなた。それは道の駅 五木の館のことである。また余談であるが、ゴボクと並んでひどい道の駅と言えば、きりら坂上だろう。あんなもん、ただのスーパーの駐車場だ。
こうしてどんどん標高を上げていき、舞台峠を越える。そして、そのまま国道で市街地入りかと思いきや、W先導機長は突如県道440号線へルートをスイッチした。お、何だなんだ、と驚いていたら、ふるさと農道という超快走路に入った。おお、こんなところにこんな道があったのか。さすがW機長だ、芸が細かい。
こうして、農道の終点にある、マップルにも掲載のある「菅田庵」にて昼食とする。おおっと、もう3月も終わりなんだけど、さすがに山間部はまだまだ寒い。真冬の服装で来て正解だった、早速店内に入ると、昔の庄屋が住むようなでかい家を店にしたような造りだ。ということは、天井がやたら高いので、全体的に寒い。そこで、ストーブに近いテーブルに陣取り、落ち着くことに。
さあ、何を食べようか。マップルによると、「トマト丼が名物」とコメントがある。他に手ごろなものもなかったので、W氏共々これを注文した。それにしても、午前の走行は快走に次ぐ快走で、とても楽しかった。W氏はよくこんなに楽しみ道を探してきたものだと感心するが、もともとマシンコントロールは査察操縦士級の腕前であるし、航法士としての技量も非常に高いのだ。当方もいろいろと技を盗ませていただいているが、まだまだ氏のようにはなれない。
午前に走行した道を復習していたら、トマト丼が運ばれてきた。んー、トマト入りの（飛騨）牛丼という呼び名がふさわしいか。具は玉ねぎ、しめじ、角切りトマトとカイワレがその上に乗せられている。味はやや濃いめであるが、トマトの酸味があるので後味さっぱりだ。また、お茶受けにもなりそうな漬物もナカナカ良い。また、ミニそばは普通かな。
ただ、マップルで紹介されるほどではないかなぁと思う。まあ、そんなにマズイということもないので、評価は中の上というところだろう。一方、W氏はどうもイマイチとコメントしてたと補足しておこう。
菅田庵のトマト丼
やや不完全燃焼気味で菅田庵を出る。「さあ午後も走るよ」と駐車場で準備をしていると、我々のマシン横にはヤマハWRが止めてある。ここでW氏が、「以前、WRのエンジンをベースにしてロードバイクを開発する予定があったらしい。しかし、軽量化を追求して設計したクランクがヤワだから、ロードタイヤの荷重に耐えられないことがわかり、中止になった」というマニアックな薀蓄を披露してくれた。
確かに、電子燃料噴射、DOHCヘッド、超扁平ピストン、メッキシリンダーなど最新の技術を惜しみなく投入して、単気筒エンジンながら30ps近い出力、鋭いレスポンスを実現しているのだから他に流用しない手はない。それが、無駄なく設計した故、汎用性に欠けるとは皮肉な話だ。関係ないが、汎用の下着をつけていたIRさんは、最近は専用品を使用しているようだ。
ここで当方が「マジェとSLを乗り換えてしばらく走行したい」と申し出たところ、W氏も快諾していただいた。さっそくW氏がSL、当方がマジェという編隊で出発する。W操縦士の話では、この後も昨シーズン末に発見した超快走路を通るということだったので、楽しみだ。
まずは国道41号線に出て、高山方面へ針路360°で進み、萩原付近で257号線に換えて馬瀬村方面へ向かう。この辺りから上り坂となり、コーナーの曲率も小さくなってくる。前述のように、この区間は当方がヤマハ式SG20J型機でコパイ、W氏がホンダ式MD33型機で機長、という編隊であり、機種によって差が出るところだ。
ここでちょっとSG20Jのインプレを書いてみよう。排気量はSLとほぼ同じの250ccであるが、マジェの方が重量が重く、また、タイヤ軽が小さい。それ故に、SG20Jの方がバンクはしやすいが、操舵感は少ない（ジャイロ効果が少ない）。そして、最低地上高が低いからか、バンク角も少ない。
そして動力性能だが、加速や減速に不便はないが刺激もない。また、タコメーターが装備されていて、エンジン回転数が5000rpm付近でで針が一定になっている。おそらくこの辺の回転域を維持するようにCVTが制御されているのだろう。
以上のような、ちょっと不満が出るようなところもあるが、快適性は非常に高い。というか、そもそもSG20型はスクーターなので走りを求めてはいけない。さて、快適な要因であるが、まず、シート座面が広く腰当ても装備していることだ。さらに、ハンドルの位置が適切で、かつ、スクリーンが高い。通常の走行ならば風圧はたいして感じないのだ。まさにマジェの真骨頂といえるだろう。
何かを立てれば、何かが犠牲になる。当たり前のことだ。もともとマジェはW氏の通勤快速なのだから、実用性重視でなくてはならない。
この頃になると、少しマジェの特性がわかってきたので、ちょっとペースを上げられるようになってきた。こうして、W氏の新規開拓道路である、「八幡高山大規模林道」に入る。林道といっても、ここは片側1車線ずつで道幅も広い舗装路である。また、路面も非常に良い。
おおっと、W氏は急にペースを上げたぞ。当方もマジェでSLを追いかけよう。いつも後ろからW氏とマジェのコンビを見ていると、ちょっと深くバンクすると「ガリ」と摩擦音がするので、バンク角には十二分に注意し、氏の真似をしてリーン・インのフォームをとる。それでないと、すぐにハンドルが切れてくるので、小回りできると勘違いしてしまいそうだ。
コーナーを立ち上がる度に、SLが遠のいていく。どうもアクセルに対するレスポンスがイマイチだ。ここで、W氏に教わった機能である、アシストモード�気鰺�用する。これはECUのプログラムのなかで、高回転を維持するものに切り替えるのだろう、多少アクセルのツキが良くなり、パーシャルもコントロールが楽になって、ツッコミも少し奥までできるようになった。しかし、ここで気を抜いてしまって、「シャリシャリ」とスタンドが当たるようになる。じぇじぇじぇ、マジェもここまでか。SLは綾瀬はるか向こうに消えていった。そういえば、能年ちゃん最近ちょっと見なくなったなぁ。気のせいだろうか。
馬瀬でマジェでじぇじぇじぇ、くだらないダジャレが頭をよぎった・・・。
林道出口で休息し、マシンを元通りに乗り換える。ここからの区間も、県道86号線で岩屋ダム沿いをを南下する、岐阜県の有名ワインディング路である。そのコーナーを抜けながら、改めて後方からW氏のライディングを観察していると、マジェのバンク角の少なさをもろともせず、「アメハンゼファーの弟子走法」で軽々とクリアしていく。
ここで、「アメハンゼファーの弟子走法」とは何であるかを説明しよう。数年前に、同じWRTメンバーでYGを走行していた時のこと。L字型のアメリカンバイク用ハンドルに交換したゼファーと、新車おろしたてと思われるCB400SFがつるんでいるのが前方に見えた。しばらく様子をみていると、コーナーを抜ける毎に、我々はどんどんと近づいていくので、どこかで追い越しをかけることになった。まずはその弟子の方だが、体は大きくコーナーイン側に入れているのだが、バイクは立ったままだ。さらに、重心が完全に体の真ん中に残っているので、コーナリグ力が生まれない＝ぜんぜん曲がらない状態なのだ。そのフォームのみが今のW氏に似ているので、この名称を利用したという訳だ。
もっとも、W氏の場合は見た目は同じフォームだが、まずは車体をいけるところまで寝かせてコーナーリング力を発生させ、次に体をイン側に入れることで重心をコーナー内側にさらに移動させている。この結果、マシンをバンクさせずに、最大のコーナリング力を引き出している。「弟子」とは似ていても、まったく異なることは言うまでもなかろう。氏はこういった重心移動については、理論と実践を非常にうまく融合させており、我々にも「ちょっとカーブがきつい時に、イン側の足を開くだけでスイスイとマシンが曲がるよ」と助言をくださっている。この奥深さが「査察操縦士」と呼ばれる所以である。
話が逸れたついでに、この話の続きを記そう。我々は「弟子」を抜き去った後、前を走る「師匠」、通称「アメハンゼファー」にも追いついた。彼の乗車フォームは、マシンだけ寝かしてリーンアウトモドキというものだった。そりゃそうだ、エロ字型の幅が極端に狭いハンドルだから、それしか方法がないはずだ。ただ、「師匠」は意地を見せようとしたのだろうか、簡単に道を譲ってくれない。そこで、こちらはしばらく様子を見るために車間距離を広めにとり、コーナーで早めの加速をして、その先に直線がある箇所を利用して追い越す作戦を採ることにした。
この間、アメハンゼファー師匠は何回もガードレールの餌食になりかけていた。そして、走り慣れてコーナーを覚えていたことも幸いし、何とか抜き去ることができた。因みに、この早めの加速走法もW氏に教わったものだ。
W氏の走りに感心しつつ、ダム湖の方を見てみる。すると、雪解け前の貯水率が低い時期なので、水没前に存在した村の畑と思われる段々の構造が認識できた。それも10か所程度、結構な世帯が犠牲になっているんだな。
こうして、金山湖こと岩屋ダムに到着し、一息入れる。W氏が昔から上手いことはわかっているが、既にマジェの効率的走法を、完全に自分のものにしていることには驚きだ。これについて氏は、「マジェは頭も使わないといけない」と表現している。つまり、「弟子走法」はもちろんのこと、「マジェはスイングアーム垂れ角が大きいし、大してパワーもないから、とにかくアクセルを開けて路面にタイヤを押し付けることも重要だ」と。なるほど、車体の特性、ライディングテクニックを適材適所に用いているということだ。これぞライディングの楽しみだろう。
そんなことを話しながら、W氏とダムの管理事務所に向かう。何があるかって、これです。
岩屋ダムのダムカード
これはダムカードと呼ばれるもので、ダムファンはこれを集めるために各ダムを巡っているそうだ。YGや三河湖にもあるそうなので、今度もらってみようと思う。
ところで、金山湖は周囲のワインディングはTDMでもよく走行しており、御多分に漏れずW氏にはブッちぎられてしまう。しかし、今回のSLではTDM比で重量が半分、パワーに至っては4分の1以下であるにもかかわらず、W氏のテールを見ながらの走行だった。これは正直予想外で、軽量なことがいかに重要かをしることとなった。
軽量であることは、走る、曲がる、止まる全てにおいて有利に働き、また、程々なエンジン出力と相まって、ライダーへの負荷がとても小さくなる。これらにより楽に操縦ができるようになり、コーナー入口での寝かし始めのタイミングを逃さず、また、アクセルを大きめに開けることができる。つまり、体力的、精神的な余裕が生まれ、マシンの性能を引き出すことができ、かつ前走車の観察をしたり、リアブレーキでラインの修正をしたりと様々小技を試みることが可能になる。
さて、ダム湖は基本、走行を楽しむところであるが、今回はW氏が「巨石群があるよ」という情報を仕入れてきていた。それは何ですかということで、5分もかからないその場所へ行ってみる。
確かに、やたらと巨大な岩が無造作に置いてある。いや、実際には昔々の人達が、太陽の観測などをして暦をつくっていたという説があり、その根拠として、ある特定の日はある特定の岩の隙間から陽が上ったりすることが挙げられていた。
当方的には、昔の人は情熱があったんだなぁ、と感心していた。しかし、W氏が期待していたものとはちょっと違ったようで、「これなら大給（オギュー）城の石垣に使われている岩の方がでかいじゃん」とやや残念そうだった。そもそも「大給（オギュー）城」って何だ。それは、徳川家の母体となった松平家の一派で、大給松平家の城であり、現在も豊田市の松平地区に城跡が存在する。そしてW氏はその近所に住んでいて、「ナガノトモヒサ率いるアーモン軍団」一味の「カトショウ」も近所らしい。
また余談であるが、大給松平家には日本赤十字社の設立に尽力した、「大給恒」という人もいたようだ。さらに余談だが、酔っぱらってタクシーの運転手をぶん殴った、元某局アナの松平定知もこの末裔だそうだ。
巨石を眺めるW氏
ツーリングといえば、フランクとアイスナメナメ、「ホリャホウダ！」とハーレー氏の相槌が聞こえてきそうだ。ということで、これらを目指し、金山湖に別れを告げて県道86号線を南下し、国道256号線との交差点で機首を270°方向へ向けて、道の駅和良を目指す。この区間はとてものどかな田園風景が続き、桜の並木も見える。もっとも、開花はまだなので、あと2週間後が見頃であろう。
単気筒同士の小気味良い排気音を響かせつつ、まさしく日本の田舎という風景のなかを走行する。いつもならけっこうな速度を出してしまうが、今日はマシンの性能に合わせて40ノット程度で巡航している。こういうツーリングも良いものだ。
ちょっとした市街地を抜けると、道の駅 和良に到着する。ところが、どうも雰囲気がイマイチだ。名前は道の駅だが雰囲気が暗い。ありていに言えば「ゴボク級」だ。そこで、W氏から、「管理人さんが推奨する名宝にしましょう」と提案があった。別に当方が推奨などど言った覚えが無いのだが、あるレポートに記載があったとW氏から指摘があった。書いた本人でも忘れているので、氏の記憶力には関心する。
国道256を少し戻って、磁方位360°で県道323号線を進んでいく。ここは基本的に直線が多い区間で、正直ダラダラと走ることになる。まあ、そんなに飛ばさなくとも、引き続き250�嫦欝づ�を楽しめばよいではないか。おや、道の真ん中にネコがたむろっているじゃんか。どうお死んだ個体にいろいろと励ましをしているようだった。
こうして、峠のトンネルが見えてきたが、最初は「桐谷トンネル」かと思ってしまった。不覚にも最近よくテレビ等で見かける、「桐谷美玲」を連想してしまったのだが、実際は「相谷トンネル」である。尚、調べによれば、ドラマ「仁」に佐分利先生役で出演していた桐谷健太と桐谷美鈴には、親戚関係は全く無いらしい。また、桐谷美鈴は汗臭い部室の匂いが好きだそうだ。ただ、汗には異性を引き付ける成分、いわゆるフェロモンが含まれているという説があり、あながち「変」とも言えないようだ。
桐谷トンネルではなく、相谷トンネルである
国道472号線に合流、少し南下すると名宝に到着する。いつもはなかなか混みあっているのだが、今日はそれほどに混んでいない。マシンを中央のブロンズ像付近に止めて、売店に向かう。さて、今日は何を食べるか。フランクはハズスことができないとして、もう一品欲しい。やはり牛肉コロッケだろう。尚、吉原炎上の「ハズスタカァ〜（外したか）」は別の意味である。一方、W氏はフランクと串揚げをもとめていた。
さて、フランクと言えばハーレー氏だが、やっぱり引退とは悲しい。氏の機材だったバルカンも、行きつけだった店に並んでいるそうだ。しかし、バイク屋の奥方は「また乗るかもしれない」、と冷静に氏のことを分析しているそうだ。長年商売をしていると様々なお客が来るので、何か分かることがあるのだろう。
フランクを食べながら、W氏がカラスと衝突した話になった。突然目の前に黒い物体が当たったので振り返ると、カラスがバタバタしていたそうだ。これはまずいと戻ってみると、いきなり動かなくなって「死んだふり」をしたらしい。いかにもカラス的な話だな、と感心してしまった。そういえば、氏は今日も、八幡高山大規模林道でも鳩をひきそうになっていた。野鳥に詳しいので、鳥にも好かれているのだろう。ついでに、今年も実家に竹製の巣箱を製作したそうで、すでに鳥同士で取り合いになっているとか。青大将にやられないことを祈りましょう。
フランクと串揚げを食べるW氏
W氏提出の飛行計画では、この時点ではまだ折り返し地点を過ぎたところだ。とは言え、既に200km以上走行しており、当方はガス欠になる可能性があるので、燃料を再搭載することにした。一方、W氏は満タン350km程度は行けるので問題はないが、ついでに燃料補給を行うことにした。尚、SLは満タンからリザーブに切り替わる所が230�劼阿蕕ぁ▲織鵐�を使いきっても300km程度だ。マジェの航続距離にもじぇじぇじぇである。
郡上市内のシェルでガソリンを12ポンド程搭載し、燃費を計算してみる。37km/L、けっこう回していたのにこの数値は、まあまあかな。さて、ここからはもう一度国道256号線に乗り、090°方向に進んでいく。お馴染みの堀越峠を越えて和良に抜ける、タイトコーナーが続く道だ。
今回初めてWRTツーリングでMD33型機を使用しているが、ここまでの技量確認走行で少し攻め方がわかってきた。よし、W機長のマジェから離れないように、この区間はちょっと頑張っちゃおう。ここは冷静に作戦を考えなくてはならない。
マジェは重量があるので、タイトコーナーが苦手であるから、軽量なSLは突っ込みで詰めていこう。そしてコーナリング中はアクセル開けっ放しだろう。まあ、でもバンク角の不足で苦労するのでおそらく同等の速度でいけるはずだ。そして脱出、各々の動力性能には差はない。つまり、タイトコーナーの突っ込みを大事にすればいけるような気がする。高速コーナーは離されるかぁ・・・。
ライダーの技術面ではこんなところだが、マシンの操縦特性を基準に考えてみると、SLは軽量でパワーが無いので、突っ込みから旋回、脱出まで、比較的アクセルを開けていくことができる。また、オフ車はサスのストロークが十分なので、ブレーキングから寝し込みポイントなどが非常にわかりやすい。さらに、前輪がでかいのでセルフステアによるハンドルの切れ、車体を寝かしているという感覚が掴みやすい（鋭いわけではない）。
いささか興奮気味に、峠の区間へ入っていく。すると、これらの予想がぴたりと当たり、なかなか良い感じでマジェとランデブー走行だ。TDMではちぎられるが、SLではついていける。つまり、当方はSLで走るほうが速いってことかぁ。なんだか情けないが、現実はこんなもんだろう。
再び田園地帯をカッ飛んでいく。陽も傾いてきて、やや黄昏てきた。そして岩屋ダムからの県道86号線との交差点を再び通過して、国道41号線と交わる。いつも通りここを右折すると、右側の古びた休息所と焼肉屋がコンビニになっていることに気がついた。さらに、その先のドライブインも閉店してしまったのだろうか。ただ、以前亭遊号氏がお父上へのお土産を買った「奥飛騨酒造」は健在だ。
国道41号線を南下して、道の駅 美濃白川ピアチェーレで休息。ここで、先ほどの堀越峠での走法に関する、意見交換で盛り上がる。当然のことながら、W氏の方が深くまで、理論と実践の融合を実現していることは言うまでもないが、「管理人さんもライテクがグレードアップしましたね」とお褒めの言葉を頂いた。先ほどの作戦が当たり、突っ込みで差を詰めたことが功を奏したらしい。そして、「今の区間だったら、TDMよりも速いよ」と。確かに、その通りだ。
いよいよ本日の最終エベント、中野方峠へ向かう。当方等は今まで「ナカノカタ」と読んでいたが。実は「ナカノホウ」が正解である。五木の館も「イツキノヤカタ」ではなく、「ゴボクノヤカタ」だ。色々走り回っていると、珍しい読みの地名が登場することは当たり前だが、固定観念で読みをつけては自分が恥をかく、肝に銘じておくべきだろう。
コスモのスタンド手前で左折して、県道68号線に乗り換える。W氏はやる気満々で、早速軽トラに追い越しをかけて飛ばしている。当方はちょっと出遅れてしまったが、無理をせずに後を追う。
そしてワインディング区間に入り、W氏の「アメハンゼファーの弟子走法」が三度炸裂だぁ（テレ東の千年屋アナ風に）」。当方はオフ車のサスペンションストローク長と、バンク角を使ってちょっと攻めてみる。
あー、ブレーキングが遅れてしまった。ここはちょっと強めに、ええ〜、フロントブレーキで、ホイールがヨレているのか。何か不安定な挙動を感じるが、そのままタイミングを見計らってコーナリング体制に入る。あとはコーナーリング中にリアブレーキで姿勢制御をし、ライン修正。そして出口では、仕上げにスロットルをワイドオープンだぁ（ここにも千年屋アナ）。
お互いに熱い走りをしたので、らっせいで休息をとる。いやぁ、改めてW操縦士の速さを思い知ったよ。当方は3月現在、総飛行時間が8000時間を超えているのだが、まだまだ敵わない。やっと並みのライダーということか。
休息の後、らっせい街道の県道66号を270°ですすんでいくが、山間部なのでちょっと冷えてきた。
さて、今日はあきん亭で夕飯をとる。ここは数年前に店舗を建て替えた際、ラーメンの味もやや一般的なものに変化して、少し個性がなくなってしまった。しかし、当方の場合、これはこれで。あっさりして好きだ。因みにW氏はあきん麺の大盛りと味付け卵、当方はあきん麺ふつう盛りと小ライスを注文した。
あきん亭のラーメン
食事後は次回の予定を確認しあって、県道20号、国道413号で帰宅。最後は雨がパラパラきた。
本日の走行380km