2013年5月3日〜5日
出発前にいつもの自宅アパート前で
今年も冬が終わり、春になった。しかし、うすら寒い日がチョイチョイあるので「春だなぁ〜」という実感も薄い。だが、時は確実に進んで行くので、黄金週間が近づいてくる。去年はエアロビクスのインストラクター講習がこの頃から始まったので、ツーリングシーズンの大半をそちらにを注力していた。結果、通算で4,000km程度しか走行できなかったのだ。まあ、結果としてお師匠様から認定証を頂くことができたので、すべてO.K.である。
というわけで、今年はツーリングをやや優先していくつもりだ。そのために、かねてから検討していた新しいテント、「モンベル クロノスドーム�況拭廚�3月に購入しておいた。これで、「今年の黄金週間はどこでも行けるぞ」とあれこれ思案していたのだが、なかなか行き先が決まらない。そんなことを会社の先輩と話していたら、「岡山の実家に来ないか」とお誘いを受けた。ああ、そういえば、中国地方にはまだ行ったことがない。これは良い機会だと思い、「本当に行きますよ」と念を押して、この誘いに乗ることにした。
先輩の話では、実家はかなりの田舎であり、電気は通じているが、水道は山の水源から自分で配管を通しているらしい。ガスはもちろんプロパンガスである。しかし、電話については光回線が引かれているとのことだった。
当日は、先輩は家族と共に4輪で現地へ向かい、当方は一人でTDMに乗って現地へ向かう。
それはそうと、この週は5月とは思えない程気温の低い状態が続いていた。北海道のオホーツク海側や帯広では積雪があったようだし、本州でも山間部では雪が降っていた。ただ、現地は晴れの予報が出ているので、合羽を着る必要なかろう。これは楽しみだ。
TDMにしっかりと、荷ストレッチコードで荷物を固定し、いつもの記念撮影を行う。宿泊ロングツーリングの出発時はこれが慣例となっているのだよ、ヤマトの諸君。
荷物固定の再点検が終了したら、いよいよ走行開始だ。時刻は6時30分、事故の無いよう、くれぐれも注意することを誓う。
今回もマシンの準備は万全だ。TDMはエンジンオイルとフィルタを交換したばかりだし、ワックスをかけてピカピカにしてある。関係ないが、「今の君は、ピカピカに光ってぇ〜」というミノルタの宣伝があったが、我々の年代の方なら皆ご存知のことだろう。志村ケンがよく使っていたネタだ。また、宮崎美子当人は、家族でテレビを見ていてこの宣伝が流れると「気まずい空気になった」と懐述していた。彼女のお父さんの心労は計り知れないほど大きなものだっただろう。
そんなくだらないことを考えつつ、TDMは順調にガソリンを燃焼しつつ、heading270で名古屋駅方面へ車輪を進めていく。途中で黄金陸橋でJR、近鉄の線路を越えていく。この通りは畑江通りと呼ばれていて、当方が昨年秋に4輪機材、スイフトを購入した店がある。あれからもう半年以上経過してしまったのかぁ。時が過ぎる速度は速いな。
感慨深い気持ちで県道29号線、113号線と繋いで立田大橋を30ノットで通過する。ここで愛知県を離れ、三重県に入る。国道258号線を少しだけ南化して、すぐさま県道26号線、5号線へ乗り換えて、磁方位は270を維持する。速力も30ノット程度をキープして、ゆったりと距離を刻んでいく。まだ朝が早いのでよいだろうが、そのうち取り締まりに遭遇するかもしれない。検挙されるのは非常にバカらしいので、なんとしても避けなければならない。ツーリングでそんなことになったら、気分が台無しだからね。これは、2009年の北海道ツーリング時に厚床市街地でやられた教訓であると補記しておこう。
そのまま8号線に乗って、西を目指し、国道421号線に乗り換えると、だんだんと道がウネウネと屈曲してくる。やっぱりツーリングにはワインディング路だろう。
さて、今日はタンデムシートに荷物を載せているので、サスペンションのセッティングを変えてみた。標準から2クリック圧側の減衰を強めて、ハードな設定としておいた。これらが相まって、リア荷重が増しているのか、リアタイヤからバイクが曲がっていく感覚がよくわかる。最近ではこの手の乗り方は古いとされているし、実際に最近のスーパースポーツモデルでは重心が高く、フロント荷重がとても大きい。このため、ライダーはフロントタイヤメインで旋回することを要求されるというわけだ。
一方、管理人の2輪機材TDMもややフロント寄りの荷重設定だが、こいつにはどちらも許容する懐の深さがあるし、あまり旋回性に特化した設定となっていない。「ヤマハハンドリング」という呼び方があるが、TDMはそれを具現化している好例と言えよう。
ひとり悦に入りながら、以前は難所であった石樽峠を通過する。ここは、最近トンネルが完成したので、すんなりと通過できるようになった。もっとも、旧道のウネウネも楽しかったので、これは手放しに喜ぶことができるというわけでもない。旧道も整備をしておいて欲しいものだ。
そのトンネルを抜けると滋賀県に入る。さらに、高速コーナーを下っていくと永源寺ダムが見えてきた。この辺りは標高が高いせいもあり、ちょっと寒い。そんなこともあろうかと、今日はモモヒキを履いており、手袋にもインナーを入れて、ジャケットも中綿を装着してきた。これでギリO.K.なのだから、「暑けりゃあ脱げばええんだて」という方針で正解だった、とまたひとり悦に入る。
だが、寒さのせいか、少々疲れたのでコンビニに入り、休息をとる。ここまでで第1レグが終了だ。
陽は出ているものの、寒いので温かいコーヒーで暖をとる。ふう〜、意識して余計な力を入れないようにしているが、結構体が固まっているようだ。特に僧帽筋上部や三角筋、尺側手根伸筋なんかがだるいので、軽くもみほぐしておく。また、中殿筋や長内転筋も使いっぱなしなので、こちらもストレッチしておく。
ちょっと落ち着いたので、マップルを見ながら今後の飛行計画を考える。京都の市街地にはできるだけ近づきたくないので、八日市、近江八幡から琵琶湖大橋を抜けて、京都市左京区、右京区を通り、兵庫県へ続く国道477号線を提出する。マニアな道だが、地図上でかなりうねっているので楽しみだ。
走行再開、第2レグの開始だ。先に出発した自転車の編隊を追い越して、国道421号線、県道41号線、国道8号線とつないでいく。ただ、国道8号線がやけに混んでいたので、急遽県道326号線、そして琵琶湖沿いを通る県道559号線で琵琶湖大橋に向かうルートに変更した。
今日は少し寒いが、爽やかな風が吹いているので気分がよい。マップルの解説によると、日没時が素晴らしいとある。そんな時間までここにいるということは、キャンプしなければならないだろうから、そんな機会も設けてみたいものだ。よくよく見てみると、キャンプ場もチョコチョコと点在している。
いよいよ琵琶湖大橋が見えてきた。そういえば、夏に開催される「鳥人間コンテスト」はこの辺が飛行区域になっている。規則では琵琶湖大橋を越えて飛行することは禁止されているので、旋回して力尽き、墜落した機体もあったようだ。
そして、県道を右折して国道477号線に乗り換えれば、琵琶湖大橋の料金所だ。正直なところ、「まだ料金を取っていたのか」と思ってしまった。というのも、この手の短い区間の有料道路は次々に無料化されており、今や残っているものは極わずかだと思われるからだ。ま、たかだか150円ばかりのことなので、騒ぐほどのことでもないが。
あっという間に橋を渡りきり、湖西道路の真野I.C.を通過する。先週公開のレポートにも記載したが、とっくに引退しているとはいえ、当方は「真野響ちゃん」というAV女優が好みである。さて、この国道477号線はレインボーロードとよばれ、急な勾配で途中峠まで駆け上がる道だ。この「途中峠」っていう名前が印象的だ。ただ、ここはマップルにも記載されているように、速度取締が頻繁に行われているようだ。そういえば、10歳年上の従兄からもそういう話を聞いたことがある。
その従兄は今や50歳で、3人の子供のお父さんだが、大学生当時は方々へ頻繁に出歩いていたらしく、京都もしょっちゅう来ていたらしい。その時に利用した道がこのレインボーラインで、途中峠もよく通ったそうだ。その従兄の長男が今や大阪の大学に通っており、京都に住んでいる。時は流れたのだなぁ。
さて、話はそれたが、この途中トンネルを抜ければ京都府だ。ウキウキして走行していると、対向車がパッシングしてくる。やはり、取締りが行われているようだ。手を挙げてお礼をしつつ、制限速度22ノットを維持する。どこにいるのか、と注意していると、なんとちょっとした林の中にレーダーを発見した。おいおい、そんな取締に意味があるのか？？？？取締りって何のために行っているのか？？？こういう疑問を持つのは、当方だけではあるまい。個人的な見解では、
国庫に決まった額のお金を入れるための取締りだ
と思わざるを得ない。だって、事故を減らすための取締りだったら、表に立って交通整理をすべきだと言えるからだ。このヴァカ共が！！と言わんばかりに、敬礼をして通り過ぎてやった。まあ、結局はその取締りをしている人ではなく、ポリスという組織の問題なんだろうけどね。
少々嫌な気分になってしまったが、国道477号線を追いかけて、針路西を維持する。ここからは峠をいくつか越えていく、本格的なワインディング路だ。だんだんと標高を上げていくにつれて、片側1車線の道であったが、1．5車線、1車線とだんだん狭くなってくる。対向車には細心の注意を払い、慎重にコーナーを抜けていく。そして、花脊峠を越えてしばらくするとまた道が広くなり、再び2車線の道路となった。こうなれば快走するのみである。TDMの動力性能を活かして、バンバンギアを上げていく。そしてカーブではイン側にちょっと荷重してやれば、スルリと向きを変えてくれるので、また加速してギアアップを繰り返す。前述のように、今日は荷物を積んでいるおかげでリアタイヤの荷重が大きく、リアステアの特性を大いに活かすことができる。荷物を積んでも、こういう気味良い走りができるのもTDMの良いところだ。
独りで自分の選択に酔いしれつつ、どんどんとコーナをクリアしていくと、だんだんと開けてきて京北の役場前にやってきた。楽しかったが、体力的にも少々きつくなってきたのでここで第2レグを終了として、一息入れることにする。
ここは正確には、右京区役所京北出張所らしい。また、役場だけではなく、地元の特産品を売る道の駅のような「ウッディー京北」という施設も備えている。おりしもG.W.の真っ最中なので、多くの人でごった返しているし、またバイクも数台駐車してある。その内容は残念ながら、ドカ、BMWとひどく偏ったものだった。もちろん、ライダーは白髪の方ばかりだ。
やはり時代は流れ、バイクは若者の乗るものからおじさんの趣味になっている。先週のレポートにも書いたが、中高年のバイク事故が増えているそうなので、当方も一層気をつけねばなるまい。ただ、ここへ来て、250ccや400ccの新機種が発売されてきているので、再び若者もバイクに乗る人が増えているようだ。これはとても良いことだと思うし、これからも続いてほしい流れだ。
現在時刻は11時で、昼飯には中途半端だし、気分が高揚しているせいか腹もあまり減っていない。ただ、こういうときは知らず知らずのうちにエネルギー不足に陥りやすいので、スポーツドリンクを飲んで一息入れる。エアロビクスのインストラクターになってから、ちょっとこんなことも考えられるようになってきた。40歳のおっさんでもまだまだ進化できる余地があるらしい。
それはそうと、この時間になるとだいぶ気温を上がってきているが、まだ17℃幾分低めだ。ひょっとしてこのくらいが頭か。ひとまず、冒頭にも記したように、ズボン下やインナーグローブなど装備は準冬仕様となっている。特に暑さも寒さを感じることは無い。やはり、「暑けりゃ脱げばええんだて」の思想は正解であった。
その気温であるが、目的地岡山の山間部では、朝は5℃以下の予想が出ている。よって残念ながら、当方の装備ではキャンプは無理と判断していたので、今晩はビジネスホテルに部屋を確保している。悔しいが風邪をひいても仕方ないので、やむを得ないこととして旅を楽しむことにする。
さて、体力や集中力も回復してきたので第3レグの始まりだ。飛行計画であるが、直線的にheading240を維持していきたいので、国道477号線を離脱して、県道365号線、364号線、19号線とつないで、南丹市からから再び477号線に乗ることにして車輪を進めていく。477維持でも良かったのだが、なるべく飽きないようにちょっとルート変更をしてみたわけだ。こういうちょっとしたことを実践するだけでも、十分下道を楽しむことができるし、快走することも可能だ。何よりも、風景が変わりゆくことが、とても心地よい。
上記プランに沿って走行していると、京都丹波道路の園部I.C.付近で、ポテトチップスで有名な「湖池屋」の工場を発見した。帰宅して調べてみたのだが、この会社は工場を3つ持っているらしく、そのうち2つは関東に位置し、関西には、この南丹市のみに立地しているようだ。
関係ないが、最近では、阿部サダヲが出演するCMが良く放映されており、マドンナ役に中嶋朋子が起用されている。内容はご存知の通りで、彼女を食事に誘いたい阿部がドギマギして、生徒に冷やかされつつもOKをとりつけるというものが有名だ。その冷やかしている生徒が「わたなべ」という名前らしく、阿部が「こらぁ〜わぁたなべぇ〜」と言いながら追いかけ、その後に「ぇべなたぁわ〜」と動きを逆に、言葉も逆にしながら戻ってくる場面がある。ここが当方の感性によく馴染む。またまた関係ないが、エアロビクス・インストラクターの先輩N川さんは、「阿部のような男性が好み」だそうだ。ああ、そうなんだ。そういう人もいるのね。
そんなことを考えながら京丹波道路の高架をくぐり、再び国道477号線に合流する。そして、その後道路は372号線へと番号が変わり、篠山市に入る。ここでようやく兵庫県に突入だ。ところで、篠山っていったら篠山紀信だろう。当方が若い頃は加納典明と共に、よくメディアに出ていた写真屋だが、加納は随分とえぐい写真を発表していたな。友人の友人の彼女という人が、騙されて雑誌に載ってしまったそうだ。もちろん裸である。若い女性はそんなもんなのかなぁ、ちょっと寂しい。
そんなことはどうでもよい。この篠山あたりは田園地帯のようで、田んぼの中を道が通っているという様相である。地元で言うと安城とか岐阜の山岡などに近いと思われる。こういう場所はとても癒されるので、実はかなり好きである。ちょうど田植えの時期らしく、忙しく農家の方が家族総出で田植えをしていた。
何事もなく、TDMの270度クランクエンジンから発せられる、馬の早駆けのような鼓動を感じつつ、35ノット維持で走行を続けていく。もうこの辺りは自分が来たことがない地域なので、見る景色はすべて初めてだ。そう考えると「遠くへ来た」という思いがわき上がってきて、とても嬉しい。これは太古の昔、狩をしていたころから受け継がれてきている遺伝子の為せる技だろうか。そう思うとつくづく俺って男だよなぁと納得してしまう。
人体の不思議にも触れつつ、舞鶴・若狭道の下をくぐる頃、「三田市」という案内板をよく目にした。家政婦ではないが、「みた」とばかり思っていたが、ローマ字で「さんだ」と記載がある。そうなのか、ここは雷かぁ（それはサンダーだ）。いろいろな読み方がありますなぁ。因みに滋賀県にも、「愛知」と書いて「えち」と読む地名もある。関係ないが、当方はエッチで変態だ（いい加減くどい）。
途中でトイレに行きたくなったので、予定よりも早く第3レグを終わりにしようと思ったが、通るコンビニが全て満員であり、トイレに行列ができている。「コンビニなんてこの先、点々と存在していることだろう」と楽観視して走行を続けていたのだが、運悪く店が無い！ちょっと我慢して、中国道と交わる加東市まで来てしまった。
街の中心部、社地区を通り、さらに少し過ぎたところでやっとコンビニを発見した。やれやれと思い、素早く駐車してトイレに向かったら・・・、やっぱり並んでるジャン。仕方ないので落ち着いて待つことにする。しかし、待てど暮らせど男の方の列は進んでいかない。ちょっとイラついていたら、やっと進みだした。おそらく「大」をしていた人がいたのだろう。止むを得ない。
無事に余計な水分を吐き出して軽量化に成功した後、カロリーメイトを購入して駐車場の隅でかじりつつ、最終第4レグのルートを確認する。ここからは中国道沿いにheading280を維持して、適当なI.C.から有料道を利用するつもりだ。
時刻は13時半、15時前には高速に乗って、17時にはビジホにチェックインしたい。目標は50km先の山崎I.C.だが、現実的にはその前の福崎I.C.であろう。ともかく、行けるところまで行こう。
夕方からは予定があるので、到着時刻は固定である。まずは30ノットで西向きを維持する。加東市から加西市へ入り、何事もなく16時40分、福崎I.C.へあと1マイルだ。さてどうするか、この先20キロ以上ある山崎I.C.を目指すか、ここから中国道を利用するか。ちょっと迷ったが、早めに行動して余裕のある時間配分にしたいので、ここから高速道路に乗ることにした。
料金所で通行券を取った後、全開で本線に合流する。ひとまずは55ノットを維持して流れにのり、どんどん距離を稼いでいく。ところで、当方は高速道路は嫌いだ。距離を稼ぐことができるのは大変嬉しいが、タイヤの片減りが気になるし、景色が変わらないのでつまらない。時間調整に使うというやり方が当方には合っている。因みにETC用の機械は取りつけていないのだが、安く手に入るのならば手に入れてもよいかな、と最近思う。休日半額っていうのはやはり魅力だ。もっとも、年に１回か2回しか使用しないものに1万も出すことは？？？である。
周りの様子を伺いつつ、50ノット程度で走行を続けていく。水温がやや下がり気味で「少々寒いな」と思っていたら、前方には雨雲らしきものが見えてきた。いやいや、天気予報は晴れだって言っていたじゃない。大丈夫かと心配していたら、案の定降ってきた。いや、正確には風に流されてきたという言い方が適切だろう。これは降水になはならないのだろうか。
路面も濡れていないからいいか、と思っていたら、ある2、3kmの区間だけは本降りになっていた。ひえー、ズボンが濡れちゃうよ〜。早く止んでくれぇーと念じつつ50ノット維持で走行を続けていたら、ある場所から路面が乾いているではないか。局所的な一時雨のようだ。後々調べてみたら、このあたりでは一時雨の予報に変わっていた。古代、俺の負けだ。
美作（みまさか）市からいよいよ岡山県に入る。幸いにも中国道は先輩が教えてくれた通り、ガラガラヘビであるので自分のペースを維持できる。が、どこにでもいるんだよなぁ、危ないことをする奴が。突然追い越し車線から当方の前に割り込んできて、前が詰まってしまいブレーキを踏む。おいおい、ケンカ売っているのか。最初はほかっておこうと考えたが、なんか腹が立ってきたので、6速維持のまま追尾をしてみることに。この4輪車、T社のオヤジ車、スポーティ見せ掛け仕様、ツアラー何とかという車両だが、当方に気がついたのか、シフトダウン時にアクセルを吹かしたと思われる黒煙と共に加速していく。こちらは6速維持でアクセルを開けていく。さらにまた煙、加速、まだまだ楽勝、片手で気楽に運転していると、100ノット付近で急に加速が止まる。いわゆるリミッターというやつか。それならば、南ア仕様のTDMで先を行かせてもらう。もちろんリミッターにかかっているツアラー何とかは追いついてはこない。
おっと、燃料をふんだんに使ってしまった。トリップメーター410kmを過ぎたところから、リザーブタンクに切り替わった。これは残り4.5L という表示だ。計算上では25km/Lの数値を予想できるので、まだ100kmは走行できる。現在位置は北房I.C.付近なので、目的の新見I.C.までは残りが30km。
このおかげか、目的地である新見I.C.には17時過ぎには到着することができた。やはり、信頼と実績のTDMだ。今年で10年目の車検を迎えるが、ひとまず大きな修理の必要はなさそうだ。あえて言えば、リアサスの分解整備2回目を1年以内に依頼したいなぁ、という程度だ。
新見I.C.は市街地から数kmしか離れていないので、予約したビジホまでは10分もかからずに到着した。ビジホは幸いにも駅前の大通りにあり、すぐ発見できた。また、先輩の家に伺う予定なので、そこから数百m離れたところにあるスタンドで燃料を搭載する。値段は地元よりも10円/L程度高いのだが、これは輸送費等が含まれているので仕方あるまい。
さて、燃費はどのくらいか。けっこう飛ばした区間や市街地のストップアンドゴーもあったので、あまり良くないかもしれない。結果は、17.8L（32ポンド）の搭載で430km走行することができた。430km / 17.8L ＝ 24km/L、まあまあ良い数値を記録した。いや、なかなか厳しい条件もあったので、この数値は上出来と言える。やはり、信頼と実績のTDMだ。
燃料搭載後にホテルへチェックインする。まあ、極標準的なビジネスホテルであり、G.W.価格5,300円はこんなもんでしょう。住所やら電話番号やらを宿帳へ記入し、鍵を受け取ったら4階の部屋へ向かう。どんな部屋かな、おそるおそるドアを開けてみると・・・。タバコ臭いなぁ。ひとまず窓を開けて、換気扇を回す。
ここまでで430kmか、疲れたな。一息ついてベッドに横たわる。なんかこのまま寝てしまいそうだ。いやいや、今日は先輩の実家へお伺いするんだった。早速先輩に連絡すると、家までの道を教えてくれた。こちらは一応住所を聞いており、その該当箇所の地図をネットで入手している。が、ちょっと話が食い違う。多分大丈夫だろうと早速出発する。これが後でトラブルになってしまうが、ここでは詳細は伏せておこう。
まずは駅前通りの国道180号線を西へ走り、新見公立大学を通過する。おっと、コメリがあるぞ。出かける前にパンク修理材が期限切れになっており、また雨よけのビニール袋を購入し忘れたことを思い出し、これらを購入していくことにした。
店に入り、地元のホームセンターよりも小さい（当たり前だ）なと思いつつ、目的の品物を調達する。袋はともかく、パンク修理用品は穴をあけてプラグを詰めるタイプにするか、修理材を流し込んで穴を塞ぐものにするか、少々悩む。結局穴が塞がっても、ボンベでエアを入れなければならないので、最初からエア共々修理材を流し込んだ方がよいだろう。ということで、1,980円の1800�佞泙任両萢兌嵳僂箸い�商品を選択した。バイク用1000円というものがあるが、当方のTDMはリアタイヤ幅が160mmなので乗用車用の方が適切と思ったからだ。
必要品を調達してから教えられたように国道182号線、右折して県道8号線とつないでいく。おっとっと、「健康王国」の看板に従っていくのだった、行き過ぎた。Uターンして、村道らしき片側１〜1.5車線の道を走行していく。路面が濡れているので、この辺はまとまった雨が降った模様だ。慎重にコーナーを曲がっていく。とはいうものの、荷物をおろしているのでバイクが軽い。スイスイとカーブを曲がって石灰石の採石場跡と見られる場所を通過する。
採石場跡地にて
すると「ホームメイドのら」という、先輩のお母様が営むパン屋の看板を発見した。ああ、ここが仕事場かぁ。この先が家だな。
前述のように当方が入手した地図では、この先5km程先の地点を示しているので、そのまま通過してしまった。この勝手な思い込みにより、随分時間を無駄にしてしまうことになったのだ。適切に判断できていたら、こんなことにはならなかった。というのも、実はこの看板が自宅兼工房を示していたのだよ、ヤマトの諸君。当方の無駄な旅が続くことになる。
当方の地図では、目的地は県道12号線辺りを示しており、先輩の話していた「健康王国の近く」とはちょっと言い難いなぁと考えていた。まあ、人により、遠い近いは異なるので、こんなものかと解釈をしてしまっていたの。思い込みの激しい当方ならではの解釈だ。こういうところを冷静に対処できるようにならないと、仕事でも間違いをおかしてしまう。修行がたりませんな。
該当地点に到着し先輩に電話したのだが、どうも話が合わない。ひょっとして、先輩の家は俺の地図が示す場所ではないのか。そう考えたら「健康王国の近く」という言葉が頭に浮かんできた。ひょっとして、俺ってメチャクチャ行き過ぎてるんじゃあないのか。そう思って、また5km程元来た道を戻っていく。
そして件の場所に到着し、再び連絡をしようとしたら、ちょうど人が通りかかった。すかさず、「ホームメイドのら」さんはどこですかと尋ねたら、「すぐそこだ、あの家だ」と示してくれた。ありがとうございます。
こうしてソロソロとその家に行ってみると、「ここだよぉ〜」と数人の人がこちらに合図を送っている。やっと到着したぁ。
こんなどこの馬の骨かわからんような人を大歓迎していただき、ありがとうございます。因みに、先輩本人は当方を迎えに出ていて、暫くして戻ってきた。その間、彼の弟さんやお父様にご挨拶し、子供達に「自宅は君達の家の近所だ」とか、「今日独りでここまで来た」ということを説明する。あまりよく理解していないようではあった。
まあまあ、と促されて席に着くと目の前にはお母様手打ちの蕎麦、産直の山菜のてんぷら。超うまそうです。遠慮なくという言葉に甘えて、ガツガツと料理を頂く。んー蕎麦、てんぷら共に見かけ通りにうま過ぎ。特に、蕎麦のコシ、山菜の苦味というか、旨みというか、独特の味がたまらない。さらに、「昼の残りだけど寿司もあるよ」とお祖母様に促され、こちらもガツガツといただく。こちらも旨すぎ。そもそも、昼飯をあまりしっかり食べていなかったこともあり、たくさん食べてしまった。
ブレてますが、先輩宅にて
（奥の人物が先輩）
ところで、先輩のお母様は「ホームメイドのら」というパン工房を経営しておられる。当方が飯をご馳走になっている間はまだ仕事中で、しばらくしてから食事にこられた。
ご挨拶をしてお話を伺う。蕎麦について、岡山の新見辺りは石灰岩質の土壌であり、また冷涼な気候も相まって蕎麦の栽培がなされているとのことだった。もちろん、今食べている蕎麦は地元産蕎麦の挽きぐるみを使用しているとのことだ。また、本当は10割蕎麦にしたかったが、なかなか麺状にすることが難しいらしく、蕎麦粉8、小麦粉2の割合で混ぜているとのことだ。
また、料理に使う材料も幾分かは自家栽培しているそうで、「半自給自足」と表現されていた。因みに洋ナシの木もあるそうで、収穫をたのしみにしているとのことだ。
食事の後はパンの仕込みを見せていただいた。こちらでは地元産小麦の全粒粉を使用しており、攪拌機というか、こなねり機というか、そこに景気良く粉、塩、水を入れて機械を動かし始めた。この行程は案外大雑把でも問題無いようだ。ところで、当方は全粒粉というものをマジマジと見たことがなかったので、よーく見せてもらった。なるほど、皮のかけらと思われるものがプツプツと混じっている。これは、不足しがちな繊維質を摂取できるように、と採用しているものだ。
そして発酵源であるが、米麹をから作った酵母を用いているそうだ。因みに、大量生産のパンはイースト菌と、それを無理やりに活動させるイーストフードというものを用いて、ガンガンと素早く発酵させてパン生地を生産するそうだ。そのイーストフードというものは、独特のにおいがある。いわゆるパン屋のにおいがそれだ。一方、前述のように、こちらでは天然酵母を使用しているので、そういうにおいはほぼ無い。これについては後日談がある。
いずれにせよ、この手法では発酵には8時間程度必要らしい。大量生産のものはその半分以下でよいらしいので、数はこなせないが、酵母がうま味を生成するので、味は格別だということだった。何事にも意味があるのだ。
今日はここまでで、「明日は焼きを行うのでまた来てください」ということだった。え、いいんですか、では喜んでお伺いします。
尚、ホームメイドのらさんのページはこのURLです。
食べログにも情報があります。
http://tabelog.com/okayama/A3303/A330301/33007708/
来た道を20分程戻って、新見駅前のビジネスホテルに戻る。あー今日は疲れたなぁ、と風呂を入れて疲労を癒す。それにしても、ユニットバスって何年ぶりだろうか。当方が徳島県で仕事をしていた1998年、和歌山毒物カレー事件のあった時以来だ。なんだかトイレと一緒というのは馴染めない。まあ、贅沢は言えないな。
浴衣を着てベッドに横になり、今日の行程をメモする。やけに寒かった京都の山奥、突然雨が降った北房I.C.付近、さらに山奥の先輩の実家とパン生地の仕込み、けっこう忙しかったなぁ。
こうして23時頃には寝てしまった。
本日の走行 450km