美幌峠から見下ろす屈斜路湖
（合成時の色合わせがうまくいかない）
6時30分頃に起床する。温泉に入って体の芯から温まったせいか、昨夜は寝袋に入ってからすぐに記憶が無くなった。おかげで目覚めも良い、今日はちょっと頑張って走るよ。
テントから出てみると、まあまあの天気だ。これで快晴だったりすると俄然やる気にも火が着くのだが、今年はこんなもんか。まずはお湯を沸かしてインスタントコーヒーをいれてカロリーメイト、といういつもの朝飯だ。本当は水分を多めに摂取できて消化にも良い、おかゆが一番いいのだろうと思うが、手間がかかるのでいつもの様式になってしまう。
食事後もそこそこに朝練に出かける。ただ、数人のオフライダーを除いて周りの方々はまだ活動していないので、少しサイトから離れてSLに火を入れる。もちろんセル一発始動で、絶好調だ。え、どこへ行くのかって、それは当然、「屈斜路湖畔林道」だよ。撤収前に空荷で林道を走ってみたかったんだ。オフ車ってなんだか自由度が高いような気がする。
まずは国道243号線に出て、美幌峠方向に向けて走り出す。昨日の嵐のせいか、道路には木の枝や葉がたくさん落ちている。スリップや転倒には十分注意が必要だが、もともと車体が軽いマシンなので、緊張度合いは少ない。これも歳をとったせいだろうか、マシンの性能よりも扱いやすさが益々重要と感じるようになってきた。
少々TDMに悪いような気持ちを抱きつつ10km近く走行すると、右手に林道の入口を発見した。分岐地点にはゲートがあるが解放されているので、迷うことなくダートに進入する。
屈斜路湖畔林道入口にて
最初は慎重に車輪を進めていくが、マップルにも掲載されていて、相互リンクして頂いている「放浪のページ」にも「走行しやすい」との情報があったので、だんだんとペースを上げていく。おっと、時々大きめの木の枝が落ちているし、水たまりもあるので、先の路面状況を注意深く監視するようにしておく。ただ、直線で先が見通すことができる区間はアクセルを開けて、30ノット以上で飛ばすこともできる。オフロードでこんな速度を維持できるなんて、鳥肌が立ってくるではないか。
ところで、この林道はその名の通り、屈斜路湖畔に沿って通っているのだが、湖畔は森で覆われているので見晴らしは良くない。しかし、20km以上のダート路をかっ飛ばすなんてことは、地元ではあまりできないので、その事実だけで十分に満足である。
こうして、夢中でアクセルを開けていたのだが、キャンプ場の対岸と思われる地点で、開けている場所にやって来た。あまり熱くなると危険なので一息入れることにする。それにしても、もうちょっと天気が良ければいいのになぁ、雨こそ降らないにしても雲が多い。水分補給をしながら、湖面を見つめてため息一つ。
大して一生懸命走っているわけではないが、やはり未舗装路はひどく疲れる。残りの区間はおとなしく走ることにしよう。それにしてもこういう道が北海道には山ほどあるみたいで、マップルにもそこらじゅうに記載がある。体力が続くならば一つ一つ選んで走破したいところだが、残念ながらそれは無理そうだ。
こうしてダートは終了し道道102号線を南下、さらに右折して国道391号線を進み、川湯温泉駅を通過したら道道62号線へ入る。ついでに摩周湖へ向かうことにしたのだが、どんどんと標高を上げていくと霧が出始めた。お、これはひょっとして・・・。センターラインを目印にしてワインディング路を軽快に走り抜けていく。このSLはオフ車なんだけど、オンとオフの守備範囲は5分5分というところかな、という気がする。サスペンションにそれほどのストローク量があるわけでもないし、リアサスは割合とダンパーが効いた設定となっている。フロントも同様で、オンとオフの中間という趣だ。
まあ様々な要素があるので一概には言えないのだが、ストローク量とダンパーの特性だけから判断すると、TDMの方がオフ車らしく見える。もちろん、フレームやホイールが全然違うので、オフの走破性は断然SLの方が優れている。特にスポークホイールの「いなし」は悪路では絶大な威力を発揮しているようだ。逆に言うと、古いオンロードモデルはスポークホイールを装着しているもの、最近でもゼファーRSシリーズなんかは案外オフロードもいけるかもしれない。
さて、霧の中、摩周第三展望台に到着した。ところで、今までの7回の渡道の内、摩周湖を訪れたのは1994年、2008年、2009年、そして今回と4回目なのだが、霧の摩周湖は初めて見た。見たという表現はおかしいか、霧で何も見えないのだから。まあ、これで当方も人並ってことで。
これぞ「霧の摩周湖」
引き続き道道62号線で下ってくると、途中で霧が晴れて日差しが出てきた。ちょっと湿気が多いとこんなもんなんだろうね。そして国道243号線で弟子屈の街を抜けて再び和琴に戻る。いやぁ、今まで朝練ってやったことがなかったのだけど、これだけでも結構な距離になるね。
おや、それは良いが、周りのテントはすっかりと撤収されており、当方のものを含めても数張りしか残っていない。そりゃそうだ。もう時刻は9時前だからな。当方もさっさと撤収作業を開始しよう。幸いにもフライは既に乾いており、グラウンドシートが一部濡れているだけだ。まずは荷物を出して、フライ、インナーの順で畳んでいく。今までのコールマンとは違い、モンベルクロノスドームは随分と作業が楽だ。というのも、前者のフライはどこを基準に畳めばよいのか、さっぱりわからなかった。しかし、こいつはある程度左右が対称になっているのだ。少ない身入りから捻出して、投資した甲斐があったというものだ。
グラウンドシートを干しつつ、水分補給と飛行計画の検討・提出を行う。今日も道東方面は天気が不安定なようなので、比較的良い予報が出ている道北に足を伸ばそう。今日は長距離を走ることになりそうだが、今度は投宿に失敗しないように気をつけねばなるまい。
屈斜路湖に別れを告げて、国道243号線を右折、先ほど走行した屈斜路湖畔林道入り口を過ぎて、どんどんと標高を上げていく。するとぱっと視界が開ける。これから走行する道を追っていくと、ワインディングでさらに標高を上げて、山の頂上に展望台がある。道の駅 ぐるっとパノラマ美幌峠だ。
駐車場に入り、なるべく建物に近い場所へバイクを止めるのだが、この駐車場は各方向へ複雑に傾斜がついていて、なんだか不安定だ。よく吟味して、バイクが倒れにくそうな場所を探す。まあ、こんなもんでしょう。
さて、少し歩いて展望台の方へ行ってみよう。おおお〜、やっぱりここから見る屈斜路湖は迫力がある。何と表現すれば良いのだろうか、「ドドーン」と迫りくるようだ。ただ、今日は天気がイマイチなんだよなぁ。雲がとれて青空がもっと見えるならば、本当に息をのむぐらいに素晴らしい眺めになる。ところで、この屈斜路湖はもともとは火山の噴火口であり、活動が収まった後に湖となった「カルデラ湖」だそうだ。
しばらく景色を眺めていたら少しずつ青空が見えてきた。この隙に先へ進んでおこう。三度国道243号線を走行し、美幌峠の北側へ下っていく。途中で自衛隊の一団の後ろを走行することでペースダウンしたが、ちょうど牧草ロールをつくっている場所があったので、写真撮影をしておく。
貴重な牧草ロールの一葉
今年は雨が多いから、なかなかこういう機会に出会っていない。日程も半分を過ぎたので、そろそろスカッと晴れて欲しいのだが、週間天気予報もパッとしない。と、この時上空を「ギュィーン」とボーイング737‐800型機が通過していった。女満別空港に南から進入途中だろう。
天気もだいぶ回復してきているので、今のうちに距離を稼がなくてはならない。女満別メルヘンの丘、女満別空港をパスして、このまま国道234号線で美幌の街を通過し、大きな玉葱畑をいくつも通り過ぎつつ同39号線、333号線と乗り継いでいく。そして岩佐の街からは道道685号線を使い、オホーツク海を目指してやや北寄りの針路をとる。そして計呂地で238号線を左折しSLを横目に見て、サロマ湖沿いをどんどんと進んでいく。
ちょっと疲れたし腹も空いてきたので、湧別のセイコマに入り休息とする。ただ、まだ時間的には早いので「いろはす」のハスカップで、水分補給を行う。この頃になると再び雲が出てきて、うすら寒く感じてきた。
「いろはす」のスイ、いやハスカップエキス入り
この「いろはす」は無味のものが大半であるが、地元では「温州みかん」エキス入りのものが併売されている。このスイカップ、いや「ハスカップ」エキス入りは北海道に来て初めて見た。その味であるが、酸味と甘味の割合が半々でなかなかイケル。そしてちょっとブルーベリーのような風味がしており、後味もすっきりだ。
水分補給をしたら空腹感が増幅された。こういうことって、ありませんか？ということで、中湧別駅跡地の前にある食堂に入ることにした。生憎駐輪場は用意されていないので、邪魔にならない所にバイクを止めておく。
普通の食堂なので何を食べようか。迷っていると、おすすめメニューとして「天丼とそばのセット」があった。これでよいかな、とこちらを選択する。
天丼とそばのセット
お味は可も不可もない平凡なものだったが、店員さんは当方のような一人の旅行者でも丁寧に応対してくれたので、気分良く店を出る。
さて、この先はどうするか。本当は「えんがる太陽の丘公園」に寄ってコスモスを見ていきたいが、前述のように天気がイマイチだ。天気や気温とやる気は密接に関連しているものであるし、天気が悪いとせっかくの景色もイマイチに感じてしまう。結局先に進んで天気の好転を期待することになる。今回の渡道はこの様式にしっかりと嵌ってしまっている。
再び国道238号線と合流し、シケイン様に走行して街を抜けた。ところで、当初のフライトプランでは、美深歌登大規模林道を東から進入して美深側に出て、美深アイランドでキャンプと提出していたのだが、北上していくとさらに雲が厚くなってきている。また、この先向って行く方法を見ると、海沿いはよいのだが、山側、つまり函岳がある方向には雲が張り付いている。これでは雨が降ること間違いないだろう。そうなっては景色は何も見えないだろうから、あまり意味が無い。
今日のところはスーパー林道はお預けにしておいて、オホーツク海側の未舗装を走行するプランに切り替えよう。国道を離脱して、まずはコムケ沼とオホーツク海の間を通っている未舗装路を目指す。これはツーリングマップルでは7�卍�のダートと記載されており、オフの慣熟走行には良い道だ。
「コムケ国際キャンプ場」の看板を見て国道を離脱し、しばらく走ると舗装が途切れて砂利道になった。最初はアクセルを一定開度に保って、慎重に進んでいく。この道は漁師さんが日常的に使用しているのだろうか、道路脇には網などが整理されている。おっと、路面から砂利がなくなり、土になったりするぞ。ただ、全体に渡って踏みしめられているので、ハンドルがとられたりすることはない。普通に走っていれば、オンロード車でも走破できそうだ。
コムケ沼の浜沿いダート
なんてことなく未舗装路を走り終えた。やっぱりSLはオフロード車だから、オフロードを走ろう。早速マップルでこの先にある未舗装路を探してみると、浜頓別の手前にケモマナイ林道、その先にはエサヌカ線沿いに、海岸縁をまっすぐに通るものが存在しているようだ。函岳方向は相変わらず雲がベタベタであるが、上記の未舗装路を楽しみなが北上すれば中々の距離を楽しむことがでいるぞ。ちょっとやる気が出てくるじゃあないか。
こうして、一旦国道238号線のオホーツクラインに戻り、オホーツク紋別空港にアプローチするDHC-8型機を横目に見ながら走行を続ける。また、空港を過ぎると右手には道の駅 オホーツク紋別が見え、巨大カニ爪も健在だ。こちらは一昨年化粧直しをしたようなので、わりあいと色鮮やかだ。
それにしても毎回思うのだが、オホーツク海側は荒涼としていて殺風景だ。この何もないところがよいのだが、少々退屈で眠くなってしまう。ここで速度を上げて一気に走り切ってもよかったのだが、何せ取締りが気にかかる。トリデ二校作戦で達成したフル免許、現在は減点もないこの状態を維持したいので、おとなしく37ノットを維持する。天気は相変わらず曇りであるが、時々晴れ間が見えて、とてもさわやかだ。ずーっとこの状態が続けばよいのだが、誠に残念な今年の北海道。気温も低いようで、15、6℃ぐらいだろう。2009年もこのような感じであったが、2010年は7回の渡道の内、最高の天気・気温であった。気候ばかりは自分では何もできないので、雨に飛び込まないように情報を集めるだけだ。
尚、この区間ではちょっとした事件があった。当方がいつものように37ノットを維持して走行していたところ、後ろからT社の4輪車が追い上げてきていたので、手で合図を送りつつさっさと道を譲った。「ああ、こちらは排気量250�佞砲睨�たないオフ車だし、そもそも免許が大事だ」、と心で思っていると、4輪車はあっという間に走り去り、遠くに見えるカーブを曲がっていった。いくらなんでも飛ばし過ぎじゃあなかろうか、そう考えていたが、案の定、カーブの先で白黒の車と一緒に停車していた。おお危ない、やっぱり北海道は危険だ。
うー、ちょっと体が冷えてきたので休息しよう。ということで、道の駅 雄武へ立ち寄る。いつものように、鉄道の終着駅があった場所にマシンを止めて、件のハスカップエキス入りの「いろはす」を飲んで水分を補給する。夏の暑日はもちろんだが、バイクの走行は案外喉が渇くものだ。
ところで、本来ならばこの道の駅名物である、「発酵チーズ入りのソフトクリーム」を食べたいところだが、この寒さでは食べる気はおきない。2010年に食べた時、チーズのコクとミルクの甘味が絶妙だったので、次の機会にはいただきたいところだ。
トイレを済まし、一息ついてルートを確認しておく。また、現在の時刻は15時、そろそろ今日の投宿計画を提出する時だ。ロングツーリングの場合、特にキャンプならば15時から16時の間にプランを提出し、17時にテント設営、18時までに食事と片づけを完了という時間割が理想である。つまり、明るいうちにテントを張り、暗くなるまでには食事と片づけを終了しているということだ。ここまで終えておけば、あとは風呂で時間を気にすることなく寛ぎ、寝たい時に眠ることができよう。結果として、翌日は早い時間から活動を開始できるので、明るい時間を有効に利用できるというものだ。
さて、上記はキャンプをする場合の理想像だが、今日は狙っていた美深アイランドでのキャンプが無理そうだ。そうなるとクッチャロ湖畔キャンプ場が有力な候補だが、ここからだと1時間ちょっとあれば到着してしまう。また、翌日、美深歌登大規模林道を走行する計画を考えると、位置的に遠くなってしまう。じゃあ今日は思い切って、ここは天気の心配が無い最北端まで一気に上り、明日スーパー林道へアタックすればよいじゃあないか、という結論に至った。ところで、最北端といえば、やはり「みどり湯」であろう。
そうと決まれば善は急げだ。早速みどり湯に電話を入れ、今晩宿泊したい旨伝えると、いつものように女将さんがやや不愛想に「よいですよ」と。そして「今、雄武だか18時ぐらいに到着すると思いますので、よろしく」と付け加えたところ、「もっと早く到着するでしょう」とのことだった。えーー、皆さんそんなに飛ばしてくるのかな。
道の駅 おうむにて
（鉄道時代の駅名はおむ）
雄武を出発して、淡々と走行を続ける。相変わらず雨は降らないが、風が冷たく、いかにもオホーツク海という趣だ。この辺りは本当に荒涼とした所を走っているので、警察や動物の飛び出しに注意する他はあまりやることは無い。
北上を続けていくと、枝幸の街を通過する。昔は鉄道があった都合で、道路を渡る陸橋にも「跨線橋」と名前が付してある。さっき休息した雄武も、興部南線の終着駅であったことは信じられない程に面影はない。この辺りには、当方が中学生だった時に廃止になった区間が多くあり、このような遺構にしばしば出会う。
特に何もない走行区間なので、当方が中学生の時を思い出していた。当時は「部活のみ」と言っても過言ではない生活をしていたし、我々の地域全体がそんな雰囲気であった。もちろん男子は皆、坊主頭、女子はおかっぱと異様な程に統一されていた。楽しみというと、部活がオフシーズンになる晩秋から初春にかけて、部活の空き時間に仲間と当方宅に集まり、貸しレコード屋から借りてきたものをカセットテープに落とし、グダグダ過ごすことぐらいだったろうか。もちろん、女子との交流はほとんど無かった。今思えば、部活の中にも数人の女子がいたので、男女関係無く集まればもっと楽しかっただろうに。あ〜俺のバカバカ！！
悔やんでも仕方ない過去を悔やんでいたら、北緯45°の看板を目にしたので、水分補給を兼ねて停車する。その看板には同じ緯度の都市が書かれている。イタリアのトリノ、カナダのモントリオール、アメリカのミネアポリス他、が同緯度にある街らしい。カナダの街と同じとは意外だなぁと感心していたら、国道脇の雑木林から野生のエゾシカが現れた。北海道で鹿に遭遇することはよくあるが、近くで見る機会は案外少ない。珍しいので写真を写すが、その背丈は当方ぐらい、体長は2mは楽にありそうだ。ちょっとビビっていたら、鹿は何事も無いかのように、国道を渡り、際にある民家の庭にピョンピョンと入っていった。その間、車は一時停止を余儀なくされるが、その後は何事もなかったかのように車が動き出している。
渡道するようになって聞いた話だが、鹿が飛び出してきて車と衝突すると鹿はもちろん、車も廃車になることも間々あるそうだ。バイクだと鹿諸共死亡することもあるとか。確かに、あんなでかいやつとぶつかったら、えらいことだ。背筋が寒くなったのは気温のせいだけではあるまい。ついでながら寒さに負けて、ここでカッパを装着する。
鹿が横断中
走行再開、なんたる暖かさ。やせ我慢しないでさっさとカッパを着るべきだった。いや、その前に、次回はもう少し防寒対策というか、気温差を乗り越えられるように服装を考えておかねばなるまい。気温差により体力が消耗するし、集中力にも影響があるからね。
あれ、いつの間にかケモナイ林道の入口がある道道１２号線を過ぎているジャン、寒かったから忘れてしまったのかもしれない。やはり服装は大事だ。5年前のものだけど、一応春秋もののジャケットを装着しているが、首周りが寒いことが原因だろうか。
戻ると稚内に到着できないかもしれないので、そのまま走行を続けていくと浜頓別市街に入ってきた。エネオスのある交差点を右折してクッチャロ湖から流れ出る川を渡る。さて、マップルによると、この後すぐに右折すると浜沿いのダートということだが、長さが1.5kmということなのでパスする。代わりによつば牛乳の工場とシェルのスタンドの間にある道を曲がり、 エサヌカ線と並行するダート路に接続している道を探す。あれ、おっかしいなぁ、すぐにベニヤ原生花園の駐車場となってしまった。
地図をよく見てＵターンすると、「・・・ここかぁ？？？」と思うような怪しい道がある。入口だけが植林した未成長な木が植えてあり、その先は杉の林が続いている。んー、すこし迷ったが、進入禁止でもないので、行けるだけ行くことにしよう。ダメなら戻ればよい。時には思い切りも大事だろう。
両側に背の高い木が並んでいて、一直線に道が続いている。とても不気味な雰囲気なのであるが、地図を信じてアクセルを開けていく。幸いにも路面状況は非常に良く、なかなか飛ばしていけるところは○である。
林道不気味線（仮名）
手入れは行き届いているので、作業道として普段から使われている道なのかもしれない。そう思うとちょっと緊張から開放されるが、一向には海沿いのダートには出ない。まだか、まだか、と思っていると、やっと杉林が途切れる地点に出てきた。あれ、牧場ジャン。地図によれば右手に道があるはずなんだけど、草に埋まっているのか、元々そんなもの無いのか、「？？？？」ちょっと混乱してしまった。
マシンを止めて歩いて道を探すが、まるでわからない。さあどうする、ここは一旦戻り、南宗谷クリーンセンターの先にある舗装路からダートを目指すことにした。
林道不気味線（仮名）の終点？
渋々不気味な雰囲気のダート路を戻っていく。さて、この道は地図上では浜辺のダート路と繋がっているのだが、どうしてこうなったのだろう。「帰宅したら航空写真で確かめてみよう」、そう思いながら再び国道238号線に戻り、しばらく走行したら右折、猿払村道エサヌカ線へ入る。
ヤフー地図で、調べて見ました
そして、そのまま舗装路を辿らないでダート路に進入だ。オヒョー、海沿いにダートが続いてるぅ〜。かなり興奮しながら、海沿いのダートを快走・・・、とはいかない。先ほどの林道不気味線と違い、路面が凸凹である。さらに、道いっぱいの大きさがある水たまりもチョイチョイあるので、そーっと避けながら慎重に進んでいく。
エサヌカ線並行ダート（仮名）
最初のうちは「ダートだ、ダートだ」と喜んで走っていたのだが、前述のように路面が凸凹なので疲れてきた。そして終わりの方には「早く離脱したい」とまでに思うほどで、そのくらいダート路を堪能したと言える。こんなことはそうそうないので、今思うと貴重な時間であった。これこそ、北海道までオフ車で来た甲斐があるというものだ。
こうして、エサヌカ線舗装路に戻り、元通りに淡々と宗谷岬を目指す。時刻は18時前なので、だいぶ陽が傾いてさらに寒くなってきた。カッパを着ておいて正解だったよ。風車のある猿払公園を過ぎ、宗谷丘陵に建てられた風車群見えてきた。いよいよ最北端が近くなってきたと、気分も盛り上がってくる。
ずっと回り込むように国道を走行していくと、ちょっとした集落が現れる。そしてその向こうに宗谷岬と沈みゆく夕日が見えるではないか。「ちょっとまってぇ〜」と太陽にお願いしながら最北端の碑の前に滑り込む。そして、すかさずカメラを取り出して写真を写した。ふぅ、何とか間に合ったぞ。
日没直後の宗谷岬
慌ただしかったが、ここで宗谷岬周辺を歩いてみる。今までの渡道で宗谷岬には何回か来ているが、この時間帯に訪れたのは初めてだ。ここで気がついたのは、ライトアップされているということだ。この赤いような、青いような色は、年末にテレビで中継される際に見たことがあるだけだったので、また違う様子を見られたのが嬉しかった。
おっと、みどり湯到着時刻を既に30分以上過ぎている、急いで稚内市街まで走行しなくちゃ。エンジン始動、ってガス欠かよ。ま、丁度良い、最北端のスタンドで給油していくか。コックをリザーブに切り替えて、出光の安田石油に向かう。ここでは証明書、ホタテの貝殻がもらえるのだが、商売とはいえ貝殻に手書きで「交通安全」と書く事は大変だろう。
さて、今日は食事をした湧別に続いて2回目の給油であるが、それぞれ230kmで6.45L、235kmで7Lであった。燃費もそれぞれ、35km/L、33.5km/Lだ。2回目の給油の方が燃費が悪いのは、ダート走行が多かったせいだろう。しかし、この数値には不満無し。
この後、日が暮れた国道238号線を宗谷湾沿いに走行する。途中に稚内空港、RBのツーリング施設を通過する。どちらも閑散としたものだ。そして、19時過ぎに稚内市街に入り、道道106号線に乗り換えればみどり湯に到着だ。ひぇ〜、疲れたぁ。
いつものように車庫にマシンを入れて、受付をしてもらいに行く。建物の中に入ると暖房が効いていて、暖かい。えーと、女将さんはと・・・、室内を見渡して探していると、女将さんじゃあないバアサンが「1000円です」と手を出してきた。あ、こいつは宮崎のババアじゃん。今年も来ていたのか。まあそれは勝手だが、この料金徴収業務は女将さんから正式に頼まれているのだろうか。なんだか気分が悪いのだがトラブったとしても、皆さん見ている前なので支払ったという事実は証明できるだろう、と1000円を支払った。おいおい、「ありがとうございます」が無しかよ、女将さんは無愛想だけどそういうことはしっかり押さえているぞ。こんな奴に業務をさせてよいのだろうか。
おっと、宿帳を記入していなかった。いかんかんって、女将さんは宿帳を書かせてから料金を徴収するぞ。まあいいや。さっさと必要な荷物を2階に上げて寝床を確保した後、体を温めたいので併設（銭湯が本業で、ライハは併設だ）の銭湯でくつろぐ。
んぁ〜、今日はよく走ったなぁ。ダートで腹一杯になるくらいだったよ。オホーツク海なんてタンチョウ鶴過ぎだったけど、なんか楽しいんだよなぁ。目をつむって走行場面を思いだしながら、手足、腰、背中を伸ばして、今日の疲れを癒す。
少々のぼせ気味になったところで湯船から上がり、脱衣所で体を冷ます。ところで、この銭湯はご近所の常連さんで成り立っているようで、湯温もその要望に沿ってやや熱めになっている。いや、そもそもが北海道の銭湯は湯温が熱い、という説もあるが、本当のところはわからない。
銭湯から出た足で、そのままセイコマへ向かう。今日も走り過ぎだったか、疲れていてあまり食欲がない。サラダ、野菜チップス、おにぎり、そして朝食用のカロリーメイトなどを購入して宿に戻る。すると、女将さんを含めて宿泊者が10名程集まって語り合っている。当方も仲間に入れてもらい、話を聞きながら食事をすすめる。その内容から、今日はライダーとチャリダーが約半々、レンタカー4人組と旅の様式が様々な方々が、最北端の街で出会ったということが理解できた。
そのせいだろうか、当方はあまり話す機会が無くて黙っていた。まあ、普段からいらんことばかり言っているので、こういう時は聞き役に回ろう。そう考えて時間を過ごしていたら、続々と同宿の方々が戻ってきて、ミラーボールが回り始める。いよいよ宴の始まりだ。
これでみどり湯は3回目（2回目の時は3連泊）で、女将さんのトークは相変わらず絶好調だ。その中に、「このライハの開設が20数年前・・・」という内容が必ず含まれている。1994年の初めての北海道の時に既に存在していたのだ。帰宅後に当時のガイドブックを調べてみたら、ありました。しかも料金は今と同じ1,000円、消費税率が上がったり、改装もしているのに値上げ無しって、女将さん頑張っているんだなぁ。
みどり湯恒例の記念撮影
「大空と大地の中で」を合唱（当方は熱唱？）
上記式典の後は自由に懇談する時間だが、今日は歴代宿泊者の写真が収められているアルバムで、2008年と2011年の当方を探してみた。ありました、ありました。これらを見ていると、当時の心境なども一緒に甦ってくるから不思議だ。懐かしいぃ〜。
こうして最北の街での夜は更けていき、24時に就寝、疲れたぁ〜。
本日の走行 430km
6日目に続く