2014年 夏の北海道ツーリング

 

2014年 8月22日~31日

 

残念な知床峠にて

 

6日目(8月28日

 

1.今日も早起き

 

朝は5時30分に起床した。外気温は15℃ぐらいと思われるが、テントの中は意外と暖かい。ひとまず体を起こすためにお湯を沸かし、温かいインスタントエスプレッソをいれる。おや、粉末が湿気て固くなっているじゃないか、これはいつ購入したものだろう。まあ、お湯を入れてしまえばそんなことは関係ない、昨日購入したカロリーメイトをかじりながら、今日の飛行計画を考える。

 

それにしても朝から誰だよ、やかましいオッサンがいるなぁ。ちょっと頭にくる。そういえば、昨日も老夫婦をつかまえて一方的に話していたなぁ。おや、よくよく聞いていると、これは名古屋弁ではないか。同郷なので見つかったら捕まる恐れがあるので、十分に気を付ける必要があるぞ。

 

テントに潜り込み気配を消してひっそりしていたら、「名古屋ナンバーのバイクがあるじゃないか」と言う発言が聞こえてきた。ヤバい、見つかったらどうしよう。しかし、しばらくして、その人は出発して行ったので、それは杞憂に終わった。寂しい人なんだろうなぁ。

 

ゆっくりしていたら既に6時50分を回っているので、さっさと撤収を開始しなくちゃ。幸いにもフライはそれ程濡れていないので、備え付けのテーブルの上に広げて乾かしておく。そして、荷物を全部外に出して、インナーテントをグランドシートの上に逆さまにしておく。その間に細かい荷物をザックに詰めて、必要なものはあらかじめ、タンクバックやリュックサックに別けておく

 

羅臼町立林間広場キャンプ場にて

 

今朝は湿度が低いし、太陽が照らしてくれているので乾きがよかった。テキパキとポールを外して、インナーテントを畳む。さらにフライも同様に畳んで、ポールと一緒に巻まきする。関係ないが、インストラクターの同僚に真希ちゃんという人がいる。

 

少しこのテントにも慣れてきたのだろうか、15分程で撤収作業が完了した。ただ、防寒着を着たまま、急いで作業をしたので少々暑い。しかし、走行が始まると絶対に寒く感じるので、このまま少し休憩してから出発しよう。もちろん、今日も上着のインナーは装着したままである。

 

ゴミを所定の場所に捨てて、バイクに荷物を載せキャンプ場を後にする。時刻は7時15分、気圧配置は昨日と変わらずに、オホーツク海高気圧が張り出しているが、気温は徐々に平年並みに戻るということだ。今日も走るぞー。

 

2.奥へ

 

さて、知床と言えば最果ての相泊温泉であるが、今回はは20年ぶりにカムイワッカの滝を訪れてみよう。まずは国道334号線へ出て、知床峠方面へ上っていく。早速冷たい風の洗礼を受けるが、天気は悪くないので何とか羅臼岳も見えることだろう。そう考えながら森の中を通って行くが、知らないうちに木がなくなって視界が開ける。いわゆる森林限界を超えたという現象だ。

 

TDMならパワーにまかせてラクチン走法で行くことができるが、今回の旅の相棒はSL230である。ギアチェンジを頻繁に行ってエンジン回転数を高い所で維持しつつ、コーナー立ち上がりではやや大きめにスロットルを開けていく。あまり迫力はないが、車両重量が軽量かつ荷物を積んでおり後輪荷重が多いので、わりあいと鋭いコーナリングを楽しむことができる。さらに、早朝なので前方に遅い車両もいないことから、大いに楽しんで峠に到着した。

 

峠付近が少しガスっているが、視界には影響は無い。吹いてくる風はもう晩秋という趣であるが、紅葉にはまだまだ早い。バイクを止めて羅臼岳を眺めたり、写真撮影をしたりする。その羅臼岳だが頂上に少し雲がかかっていて、さらに山の向こう側からどんどんと雲が湧いてきている。これはオホーツク高気圧の冷たい空気と、山の向こうから来るやや暖かい空気がここでぶつかっているのだろう。山の裏からの空気は潜り込むように渦を真希ちゃんである。

 

知床峠から見る羅臼岳

 

でっかい山の周辺で動いている気流を見て、またまた自然の力の大きさを思い知らされる。いや、人間である自分が小さいだけだろう。この光景に魅せられてしまい、しばらくその場を動くことができなかった。ジュディオングの「Wind blows from Aegean~♪」という感じだ。

 

寒くなってきたので、半島の北側へ下りるとしよう。因みに羅臼からみて峠の向こう側は「奥」と呼ぶそうだ。昨日温泉や食事処で、「明日は奥に行く」という発言を聞いていたのだが、よくよく話を終わりまで聞いていたら「ウトロ側」という意味だとわかったのだ。関係ないが、朝ドラ「ごちそうさん」の竹本教授役であるムロツヨシが、杏演ずるめ以子を「奥!!」と呼んでいた。

 

3.20年振りに

 

さて、「奥」へ降りていくと少々天気が悪くなり、風も変わった。なるほど、峠を境に色々と変化があるので「奥」なのかもしれない。まあ、雨が降ることはなさそうなのでそのまま進んで行き、道道93号線に乗り換えて機首を070°へ向けて走行を続ける。

 

谷底のような所に岩尾別YHを見て、川沿いに車輪を進めていく。羅臼は快晴だったのに、「奥」側は曇でやや肌寒い。ちょっと気分が陰鬱になりがちだが、ここは気合を入れ直して慎重に車輪を進めよう。クマでも出てきたらえらいことだからなぁ。

 

こうして知床5湖との分岐点に到着した。今日は夏の交通規制もかかっていないので、カムイワッカの滝へ20年ぶりに自走することができる。マシンもSLなので、何の躊躇も無い。規制の無い時期に、オフ車で来れたのは全くもって運が良かった。この前の2010年は通行が規制されていたので、泣く泣くここで折り返したが、今回は大手を振って進んでいこう。

 

いざ、突入!

 

わりあいと湿っぽい森の中を通るいかにもクマが出そうな道ではあるが、ちょいちょいと対向車も来ているので、クマが飛び出してくることはなかろう。もっとも、自分がコケたりして、その場に留まるようなことになれば話は別だ。また、道沿いには「絶対にクマが出る」という看板がそこらじゅうに出ているので、無用に停車して写真撮影をしようという気にはなれない。

 

20年振りに走行するこの道だが、当時の記憶は全くない。ただ、1枚だけ、道端に現れたキタキツネを写した写真があるのみだ。これにはゴロゴロと大きめの石が写っている。そう言えば、当時は結構路面がフカフカしていて、オンロード車のGPX750をカウンターステア気味に操作して、コーナーを曲がっていったような気がする。また、樹木も今ほど茂っていなかったかもしれない。

 

1994年の写真

 

蘇る記憶と共に、さらに道を進んでいく。路面は至って良好で、完全に締まった舗装路のような未舗装路だ。所々現れる穴ぼこさえうまく避けていれば、TDMでも何の問題も無く通行できよう。

 

こうして道を通行止めにしているゲートがある、カムイワッカの滝に到着した。他の車は申し訳程度に引かれた線に沿って止めてある。そうでない場所でもわりあいと整って駐車されているので、当方も邪魔にならないように、車の横にバイクを止める。

 

林道の終点にて

 

それにしてもこんなに何も無かったっけなぁ、1994年当時と比べると随分寂しい印象だ。また、滝も小さく感じる。あの時は「露店」がたくさん出ていて結構にぎやかであり、滝を上るには滑るから「わらじ」を履いた方がよい、ということでレンタルしたっけ。まあ、こんなクマが出るような所で、大騒ぎしていた当時が間違っていたのだろう。そして、知床は2005年に世界遺産に登録され、夏の繁忙期には入場規制により、シャトルバスのみしか通行できなくなったというわけだ。

 

滝の入口にある看板

 

裸足になって滝を上っていく。

 

20年振りに再会

カムイワッカの滝

 

当時はもっと急な斜面だったように思うが、意外にもすいすいと上っていくことができる。そして最初の滝壺である一の滝に到着した。そこで気がついたのだが、急斜面だったと感じたのはここからさらに上の二の滝、三の滝の話だ。当時は前述のわらじを履いていたので、三の滝までは行ったような気がする。因みに、現在は二の滝から上へは行くことができないようだ。

 

一の滝にて

 

滝を上るのはここまでにして、生ぬるい滝の水に足を浸して岩に腰掛ける。すると、どんどんと昔日の記憶が蘇ってくる。大学3年生当時、別に不満も心配も要らない平穏な日々を送っていたが、なぜか「これで良いのだろうか」と常に不安を抱えていた。そして、念願だった自二車限定解除に成功し、ボロながらも750ccのマシンも手に入れて、不安を吹き飛ばしたい、何か非日常な、大学生ならではのことをしてみようと北海道に渡ってきた。そしてこの最果ての地である知床に至った。今考えればそんな大げさなものでもなく、大学生なんだから学業に専念していればよかったはずだ。まったく、自分はアホである。

 

思い出にも浸っていたら、クマよけの鈴を身につけた監視員が二の滝から降りてきた。現実に戻り挨拶をして、バイクで走行中にクマに出会ったらどうするかをたずねてみた。すると、

 

「今朝ここに出勤してくる時にも、親子に出会ったよ」という前振りから始まり、「発見したら速やかに停車し、ホーンを数回鳴らせば山に逃げていくよ」ということだった。良くないのは、「無理やり横を通過しようとしたり、背中を向けること」だそうだ。また、4輪車の観光客が子グマを見て、かわいいからと写真を撮ろうとして近くにいた親グマに襲われたことがあったり、餌をあげる人までいたと話していた。そして、「子グマがいたら近くには絶対に親グマがいる」から注意してくださいと明確な助言を頂いた。

 

4.先へ進む

 

クマの対処法を教えてもらった後、滝を下りて足を拭きマシンに戻る。まあ、この時間帯だったらクマに出会うこともなかろうが、用心するに越したことはない。もしもクマがいたら、実践する場合もあるかもしれない。いや、そんなことは無いに越したことはないと願いつつエンジンを始動し、今来た林道を戻って行く。帰り道は雰囲気をつかんでいるので、軽快に18~25ノット程度で飛ばしていく。上陸してからはほぼ毎日未舗装路を走行しているので、締まったダート路は至極快適に思えた。人間の適応力ってバカにできないな。いや、このSL230があまりにも扱いやすいからだろう。

 

未舗装路区間を終えて、道道93号線を通り、国道334号線へ出てから磁方位270°で走行する。相変わらず冷たい風が吹いてきているが、今日も装備は万全である。特に首巻の効果が大きく、持ってきてよかったと改めて思った。また、右手に見えるオホーツク海はコバルト色で、体感温度をさらに下げてくれる。さすがは北海道だ。

 

さて、オフロード走行後は舗装路が本当に楽に感じるのだが、これは、タイヤを含めたマシン性能に助けられて、たまたま安定して走ることができるだけである。タイヤがグリップしにくい路面で速度を落とさなくてはいけないということは、当方のマシンコントロールがまだまだ甘いということだろう。

 

もう一度ふんどしを締め直して、国道334号線を進んで行く。それにしても疲れてしまったので、休息したい。丁度ウトロの街にやって来たし、お金もおろしたいので郵便局が隣にあるセイコマに入る。

 

いつものこんにゃくゼリーに加え、今日は「ふわっ娘」というパンを購入した。関係ないが、大学生時代によく購入したエロ本に「UREKKO」という雑誌があり、同じく、大学生の時にバイトをしていた事務所の裏に「ブスっ娘」という風俗店があった。

 

ひとまずおやつを食べる

 

疲れているので、生クリームが入った甘いパンはとてもおいしい。今日はまだ100㎞も走っていないのだが、その中には未舗装路が30㎞程度含まれている。また、北海道で毎日オフロードを走行していると、同じ距離でも未舗装路では、舗装路の3倍は時間がかかるということがわかってきた。どうりで、体力的負担が増えるわけだよ。

 

さて、天気は相変わらずの薄曇りだが徐々に回復傾向にあるみたいで、だんだんと陽が差す時間が長くなってきた。天気予報を確認してみると予想通りの展開で、今日のみならず、明日、明後日も良い天気が続くと予想されている。

 

思い返してみると、上陸直後は寒気の影響で不安定な天候だったが、日が経つにつれて晴れが安定してきている。これは非常に嬉しいことだ。また、上陸前の週は雨続きだったと聞いているので、本当に運が良い。

 

天気と同様に気分も良くなってきたので、隣の郵便局で現金を入手してから出発する。おっと、隣は道の駅ウトロシリエトクか、2008年にはここでクマよけの鈴を買ったし、その際多くの土産が販売されていたので、先輩の欲している土産があるかもしれない。そう思い、広々とした駐車場に入り、バイク専用の置き場にマシンを止める。

 

道の駅 ウトロシリエトクにて

 

この道の駅はとても大きく細長いので、目的の売り場までは少々歩かなくてはいけないことが難点のど飴だ。また、「世界遺産センター」という知床の自然を紹介した施設もあるので、多くの人が立ち寄っている。人を避けながら土産売り場へ入り、お目当てのものを探す。うーん、ここにもないのかぁ。

 

木彫りのものはあまり種類が無いし、出来栄えの割には高く感じた。まあ、先輩の土産はこの後でも手に入るだろうから、自分用に「道の駅 ウトロシリエトク」と書かれた銘板を模した携帯ストラップ、そして木彫りのワシのキーホルダーを購入した。このストラップはあまり見かけないので、半ば衝動的に購入してしまったと補記しておこう。

 

この後隣にある、知床の自然の展示を見てマシンに戻る。ちょっと建物の中にいたら天気が回復して、日差しが眩しいではないか。嬉しくなってしまい、小躍りしながらマシンに戻る。やっぱり太陽の光は偉大だ。「原始、女は太陽だった」という言葉を聞いたことがあるが、不覚にもこの言葉を連想してしまった。気を引き締めていこう。

 

5.さらに西へ

 

道の駅を出発し、そのまま磁方位230°を維持して斜里の市街地方面へと進んでいく。ここからしばらくは、オホーツク海を眺めながらの走行だ。天気は回復しているが、風は相変わらず冷めたい。それはそうと、冬にはこの海が流氷で埋め尽くされるということなので、一度冬にも訪れてみたい。もちろん、その時は飛行機とレンタカーになることだろう。

 

そんな風に考えてつつ国道を離れ内陸に入り、通称「名も無い展望台」に立ち寄った。ここは写真のように、20km程度先までずーっとまっすぐに続く道が見えるので、再び当方の小ささを思い知らされて、ため息また一つ。はぁ~、あんな遠くまで続く道をこれから走るのか、別にバイクなのでそれ程大したことではないが、やはり北海道は広いよ。

 

「名も無い展望台」から斜里方面を望む

 

再び国道334号線に戻り、斜里の街で給油しておく。前回の給油から192㎞走行しており給油量が5.6Lだから、燃費はおおよそ34㎞/Lだ。オフロード走行をしているので、まあそんなもんでしょう。それにしても太陽がジリジリ沢尻エリカと照りつけているので、結構熱くなってきた。水分補給をして、走行を再開する。

 

斜里からは道路名が国道244号線になったが、そのまままっすぐ進んでいく。そして再びオホーツク海沿いに行くと、網走の街へ入ってくる。ここならば木彫りを売っている店があるかもしれないとやや速度を落とし、それらしい店を探していたら・・・ありました。

 

マシンを止めて入店し、「木彫りのクマのキーホルダーありますか」とたずねてみると、「クマは無いが、ニポポならある」と何点が出してきてくれた。おお、これはイケている。迷わず500円で購入した。すると、職人兼店主が「記念に網走と彫りましょうか」と言うので、もちろんそのサービスを受けることにした。カタナ先輩の望み通りではないが、かなり良いセンを行っていると思われた。

 

木彫りを購入した

「朔峰の店」

 

国道238号線を一旦網走駅方面へ戻り、ランプの宿のサティアン近くを通ってから、道道76号線に乗り換えて能取岬を目指す。ちょっと疲れてきたので人間の補給をするタイミングだが、時間が押しているので先を急ぐことにした。この76号線は交通量が少なく道幅も広いので、40ノット程度で飛ばすことができる。古い地図を確認してみると、ここ10年程で舗装化された道らしいので、路面状態がとても良い。また、周りは森なので取締りも行われないことだろう。途中でバイラギ林道への入口を確認したが、今日のところはダートはもう腹いっぱいだ。綺麗な舗装路をさらにさらに飛ばしていく。

 

こうして20分程度で能取岬に到着するが、今日は写真撮影のみで先を急ぐ。

 

能取岬灯台の遠景

 

何もそんなに慌てる必要はないと思うが、今日を合わせて残りは3日しかない。いや、正確にはまだ3日あるのだから、終盤戦を頑張るためにできるだけ多く走りたい。また、明日は函岳に行くので、雲が出ない午前のうちに山頂に到達したい。まあ、焦って中途半端なことをしても仕方ないし、事故などあっては話にならん。ここからは自重して走行を続けていこう。

 

道道76号線の西半分を走りきり、再び国道238号線で磁方位300°を維持する。こうして能取湖沿いを進んでいくが、今地図を見返してみると網走で女満別方面へ続く、国道333号線等内陸の道を利用して、海沿いを避けるルートも選択できたと後悔している。腹いっぱいとは言え、林道も多く記載があることも見逃すことはできない。焦っていると視野狭窄に陥るとは、まさにこういうことだろう。

 

現実では、国道238号線を必死になって追いかけていくのだが、前を走るアウトランダーが50ノットで引っ張ってくれている。取締が怖い当方としては非常にありがたいし、時間の短縮にもなるので願ったり叶ったりである。国道はペースが上がらない場合も多いのだが、いつもこのようになってくれると良いと思う。

 

こうして、キムアネップ岬近郊を通過する。ここを通る度に「キアムネップ」か「キムアネップ」かわからなくなるが、「キムアネップ」が正解である。「アガリクス茸」か「アガリスク茸」も難しいが、「アガリクス茸」であると追記しておこう。因みにここにあるキムアネップキャンプ場は、日の入りが綺麗に見え人気があるようだ。

 

右手にサロマ湖を見ながら、前述のペースメーカーに引っ張られてスイスイと進んでいく。現在時刻は14時過ぎなので、このペースなら「太陽の丘えんがる公園」には14時30分には到着できそうだ。そう考えると、まだまだ走ることができそうだが、ランディング地点はどの辺りになるだろうか。

 

気分良く走行したいたのだが、ペースメーカーが国道を離脱してしまった。えー、そりゃないよー、と思ったが、仕方ないので37ノットに速度を落として進んでいく。そして、予定より遅れて、14時30分前にやっと湧別の街へ到着した。ここからは国道242号線に乗り換えて前述の公園を目指すが、15㎞程市街地を抜けていかなくてはいけない。あー、やはり予定は未定だなと諦めて安全第一で走行し、お馴染みの幅が2車線程度の1車線道路を通り、15時過ぎに太陽の丘公園に到着した。

 

6.つかれた~(o´Д`)=з

 

予定していた場所まで急いできたが、今日は昼飯も食べていないことに気がついた。どうりで、で疲れて果ててしまったわけだ。幸いにもザックには、非常食のカロリーメイトが入っていたので、お茶を飲みつつエネルギー補給を行う。

 

ちょっと落ち着いてきたので、コスモス畑を眺めてみる。少々焦った感はあったが、ここに来られて良かった。いつもはお盆頃に渡道しているので花の開花は5分程度だが、それでもかなり見応えがある。そして今回、8月末なのだから絶対に訪れてみたかったのだ。この見事な景色・・・、予想を越えている、この太陽の丘えんがる公園のHPによると、「10ヘクタールの敷地に1000万本のコスモス」が栽培されているようで、まさに絨毯の如く花が咲いている。

 

太陽の丘えんがる公園にて

 

 

男女問わず、花を愛でると気持ちが癒されるものだが、ここまで壮観であると疲れを忘れてしまいそうだ。そうか、女性に花を贈ると喜ばれるとはこういう気持ちが源かもしれない。当方が推測するに、これは女性が母性本能を有しており、花という愛でるべきものをもらうことで、それに何か訴えるものを感じるからではないだろうか。そして、男性にも少しの女性的部分があるので、これだけの花を目の前にすると、そのわずかな女性性すらも引き出されて、癒されるという気持ちを持つのではないだろうか。満開のコスモスを眺めていたら、そんなことが自然と頭のなかにひらめいた。まあ、あくまでの当方の推測なので、流していただきたい。

 

7.この先どうしよう

 

時刻は15時40分過ぎになろうとしているので、この後の飛行計画を練る。明日は函岳へ行きたいので、雲が出にくい午前中にスーパー林道へ入りたい。ならば、今日のうちにできるだけ近くへ寄ってキャンプをしたいところだ。しかし、湧別を過ぎると西興部、日ノ出岬のキャンプ場がランディング候補地となる。ここからはまだ100km近くあるもんなぁ。時間が中途半端だし、カムイワッカの滝へのダート走行30kmが予想以上に堪えたので、とても疲れた。ライハという手もあるが、せっかくの天気なので独りでテン泊したい。もちろん、コムケ沼のダートも外せないぞ。

 

それならば潔く、ここから15km程度離れた場所にある、湧別町の市街地に近い五鹿山キャンプ場へランディグし、明日に備えるという作戦はどうだろうか。これならば長距離林道走行の慣らしとしてコムケ沼ダートを走行し、その後風烈布林道から美深歌登大規模林道、そして函岳レーダー林道と繋いでいける。まあ、天気は明日も晴れなので、ちょっと遅くなっても曇ることはないでしょう。

 

今夜の宿泊地が決まり、気持ちが楽になった。何よりも、今日もテントで泊まれることが嬉しい。歳を取ったせいか、他人に気を遣うライダーハウスが面倒に感じるようになってきた。だんだんと辛抱というか、ちょっと我慢することが苦痛になってきたらしい。ますますオヤジになっているなと思いながら、湧別の市街地へ向けて国道242号線を戻って行く。明日は朝早くから活動したいので、市街地でホクレンに入り、燃料を搭載しておこう。175kmを走行して4.8Lの給油となった。燃費は34km/Lなのでまあまあだが、あまり伸びてこない。やはり、250ccのエンジンでは余裕出力が少ないせいか、回し気味で走っているからなのかもしれない。

 

こうして、マップルに従って、16時頃に五鹿山公園キャンプ場に到着した。早速受付をしてもらうが、職員さんはとてもにこやかで好印象だ。さらに、他に人が来なさそうな、奥にある9番サイトを割り当ててくれた。こんな細やかな気遣いを受けたキャンプ場はそうそうないので、次回も縁があれば利用したいものだ。

 

五箇山公園キャンプ場入口にて

 

早速テント床へ向かい、テントを張り始める。ここは林間のサイトなので、少々虫が寄ってくる。気温的には20℃はないはずだが、蚊がブンブンと羽音をたてている。蚊取り線香を点火したいが、面倒なので一気に作業をやり終えてしまった。最後に、番号を示す木の札をジッパーに結びつけておく。

 

蚊取り線香を点火し、ちょっと休息してから市街地にあるチューリップの湯へ向かう。ここには国鉄中湧別駅が現役時代のまま残っており、今にも動きそうな列車を見ることができる。あ、ここは去年も来て、駅前の居酒屋兼食堂で昼飯を食べたな。違う方向から来たので、気がつくのが遅れてしまった。

 

国鉄中湧別駅跡地にて

 

関係ないが、昔「ドルー」の奴が「雷滝へいくぞ!!お前どうやって行くか道を知っとるか」というトンチンカンな事を偉そうに言ってきたことがあったな。だいたい「言いだしっぺが道を知らないってどういうことだろうか???」。あの時は、結局当方が地図を調べて先導したっけ。さらに現地に着いてから「この前は違う方から来たでわからんかった」って、お前は何もわかってないんだろう、まったく。もう5年も前になる事なので、今となっては笑い話だよ、ヤマトの諸君。独りでそんなことを考えながら、駅跡の隣にある「上湧別チューリップの湯」に入る。

 

チューリップの湯全景

 

徐々に深まる夕焼けを眺めながら、早速露天風呂でくつろいで、今日の疲れを癒していく。あー、何度も記載しているが、温泉に浸かっていると本当に疲れが体から染み出ていくような気がする。筋肉を通る血管が拡充して、心臓が鼓動していることに改めて気がついた。

 

静かな心で目をつぶっていると、今日走行した道、ロングダートや羅臼岳が見えてくるようだ。20年振りのダート路は意外にもあっさりと通ることができたので、あの当時よりも多少操縦が上手くなったのだろうか。お、ロングダートと言えば、明日は函岳山頂まで上り美深側へ下る超ロングダートを走るんだ。パンケコロニベツ林道の時のような凡ミスはしないよう、十分に気をつけなければならない。ミスは即座に「転倒、エンジン再始動に手間取る、クマに見つかる、3日後に発見される」という展開になりかねないので、絶対に無理しないでおこう。風呂から上がり、いろはすの「ハスカップ」味で水分補給をしつつ体を冷ます。

 

北海道限定の品

 

そして、電子機器の充電完了を見て、近くのスーパーへ買い物へ出かける。やや、地元では見かけないような魚やお菓子がたくさんあり購入欲をそそられるじゃあないか。ただ残念ながら、当方は今晩だけこの街の住人となった流れ者、そんなにたくさんは食べられない。断腸の思いで見たことがないカップラーメン、こんにゃくゼリー、大福、そして朝飯のカロリーメイトブロックを忘れずに買っておく。レジの支払いでもニコニコと笑顔で対応してもらい、湧別は笑顔の街だと実感した。

 

夕暮れの中をテントに戻り、湯を沸かしつつ食事の準備をする。その間、タイ寺コントロールの主席管制官であるR1-Z氏からの入電を確認する。「今日は稚内まで行ったかと思っていた」という記載があったが、いやいや「カムイワッカの滝に行ったのでそれは無理だよ」と追記したランディング済みのメールを打っておく。しかし、去年は屈斜路湖から一気に稚内まで走破しているのだから、やれないことはないだろう。

 

晩飯

 

カップラーメンをすすり、デザートにこんにゃくゼリー、大福を食べてつつメモをつける。今日は距離的にあまり走っていないが、知床峠超えやカムイワッカの滝までのダート走行があり、なかなか濃い一日だった。北海道へ来てからはほぼ毎日ダート路を走行しているので、明日のロングダートも楽しみでしょうがない。しかし、こういう時こそミスが出やすいので注意が必要だ。明日はもっとタフな一日になるぞ、天気予報はばっちり晴れなので、安心して22時30分過ぎに就寝した。

 

本日の走行 290km

 

7日目(8月29日)へ続く