2013年6月1日
足湯につかり、間抜けヅラの管理人
ご存知のように、5月の連休は岡山と広島東部を泊まりでツーリングした。その後はいつもの時間が流れている。まさに、後の祭りである。また、今年は梅雨入りが早かったので、これでは走行距離が伸びないなぁと思っていた。また、昨シーズンはエアロビクスに注力していたので、ツーリングにでかける時間をあまりとることができなかったし。
このまま夏まで待たないといけないなと諦めていたのだが、案外天気が良い日が多いじゃあないか。今シーズンは機会ある毎にツーリングに出ようと心がけたいと考えているので、行ける時にツーリングしないでどうするか。そう考えていたら、W査察官より「今度の週末どう？」とお誘いがあった。もちろん断る理由は無いのでOKである。
尚、今回は当方が機長業務担当の予定だったが、W教官がプランを提出くださった。ありがとうございます、ということで、当方は今回もコパイである。
最初は日曜日に出かける予定だったが、日曜よりも土曜の方が天気が安定していると思われたので、急遽土曜日の開催となった。また、集合場所と時間については、当日の朝に電話で連絡をとり、下山のコンビニ8時45分に決定した。
まずは、燃料を搭載をしなければ。ただ、いつも利用するシェルは方向が反対なので、今日は国道153号線を走行し、みよし市内のスタンドへ立ち寄ることに。ただ、当方はここスタンドの割引カードは持っていないので、渋々ながら少々高い金額で給油する。おおよそ8L（16ポンド）を搭載して、再び走行に戻る。おや、最近燃料を入れるとマシンのフロント側が沈むように感じる。そろそろフォークオイルの交換時だろうか。いやいや、前回の交換からそんなに走っていないので、まだまだ大丈夫のはずだ。まあ、そろそろ店に分解整備を依頼してもよいかもしれない。
マシンの整備計画を考えつつ、いつものように豊田市街を抜けて国道301号線で下山を目指す。自宅からの距離はおおよそ35km程度、この時間帯ならば1時間弱で到着できる計算だ。その通報しておいた予定到着時刻に集合場所が見え、独りで悦に入りながらTDMを止める。そして、コーヒーを飲みつつW氏を待つ。その間、ちょっと便意を催してしまったのでトイレに入り、地図を見ながら今日の目的地を確認しておこう。うOこをしつつ、外のバイクの流れを音で知ろうとしていたが、いつまでたってもW氏のモンスターの音がしない。
おかしいなぁと思ってトイレから出たら、じぇじぇじぇ！ 今日もマジェじゃあないですか。そりゃ音がしないわけだ。なんでかと言うと、本日は、月刊バイクタイムズのキャッチインライダース撮影会に行くからだ。氏はこのイベントにマジェで登場したことはないので、今回はセカンドバイクで紙面に掲載されようという計画らしい。納得、またこちらとしては、腕の差から考えるに、このくらいのハンデがあって丁度釣り合いが取れると追記しておく。俺って下手だなぁ。
エントリー用紙を記入するW氏
（隣には6気筒のCBX1000）
「太〜い、阿古谷」、「マル安」、「Sペア1,200円」などと、オオクワ301の看板について話していたら、CBX1000が「ボヒュボヒュ」いいながらやってきた。最近はあまり見かけなくなったが、持っている人はいるものだ。それにしても巨大なエンジンだし、下からの支えがない「ダイヤモンド式フレーム」は何だか心配になってしまうのだが、これこそ余計なお世話だ。
先ほどのオオクワ301の話に戻り、「Sペア1,200円なんて、ただの小さいクワガタと見分けがつかない」とはW氏の壇、いや談だ。さらに関係ない話だが、今日のイベントのエントリーシートに、「オートバイの似合いそうな芸能人を書いてください」という欄があった。当方は「壇蜜とGL1800」としておいたが、どうだろうか。ハァハァしちゃうかも？？？
くだらない話題が続いたが、ルート確認のブリーフィングを行い、エンジン始動。W機長の先導で走行を開始する。まずは根崎の交差点から県道363号線、国道473、420号線と細かくつないで、新段戸トンネルを抜けて、設楽方面へ向かう。このトンネルの後は、中速のブラインドコーナーが続くのだが、W機長は相変わらずの快走だ。ただ、路面が少々悪いので、（スタンド等が）擦らないように自粛している様子がありありと見てとれた。それでもこの速さってどういうことか。
檀れいの警察が取締りをしている一旦停止の場所をいつものように大げさに確認した後、田峯からは機首を南向きに変えて、県道32号線を走行する。そういえば、「取締りのための取締りになっている」と苦言を呈した大臣がいたようだが、本当に改善されるかどうか、いささか疑問である。是非ともそういうことはやめて、事故防止のための指導を推奨して欲しいものだ。
WRTメンバーのハーレー氏が鬼門とする「仏坂峠」への入口を横目に、長篠までやってきた。ここで国道257号線にスイッチし森林浴気分で走行していくと、最初の休息ポイントである、道の駅 鳳来三河三石に到着した。
ここはわりあいと人が集まる場所らしく、30台程度のバイクが止まっていた。その中に、ネットで限定発売された、ドカのMHRの集団がいた。このバイク、いかにも高性能を謳っているが、当方の個人的見解としてはかなり疑問だ。ま、買うこともないだろうし、個人の趣味にケチをつけるとは、それこそ意味が無い。
あと、CB400に巨大なトップケースを装着した女性ライダー、そんなのつけてるから取り回しが大変なのではなかろうか。おっとっと、フラフラしているけど、マシンを倒さないように気を付けてね。
道の駅で休息した後、今日の通過ポイントである、静岡県の森町にある「デイトナ」社へ向かう。このエピソードも何回か話しているのだが、当方がまだVT250FG型機に搭乗していた頃、VF750に乗る先輩のブレーキホース交換を手伝ったことがある。その際、デイトナ製の部品を使用したのだが、ちょっとトルクをかけて締めたらボルトが「ヴァカ」になってしまった。もちろん、その部品だけがまずかっただけかもしれないし、当方等の作業がまずかったかもしれない。ただ、デイトナというとそのイメージがあるだけだ。
苦い想い出に苛まれつつ、国道257号線から金指で国道362号線に乗り換えて、磁方位090として走行を続ける。すると、新東名の暫定開通区間の西端である、浜北いなさJ.C.の高架橋が見えてきた。ずいぶん背が高い高架橋なので、橋脚がきゃしゃに見えてしまうが気のせいだろうか。それにしても、インプレッサのSTIがギクシャクしながらノロノロと前を走っている。遅いぞと追い越しの時に運転手をみたら、ヨボヨボのジイサンである。多分金持ちで「一番高いやつを買う」といって、これを買ってしまったのだろうと思われた。
さて、国道362号線は、隣の川の流れに合わせたようなゆったりとした流れだ。この辺りまで来ると、明らかに愛知とは雰囲気が異なる。よく、静岡の人は穏やかだと言われるが、こういう所で育つからあまり急がないのだろう。以前会社に在籍していた「タニヤン」もその一人だ。また、友人の「アマンキュー」も同類なのだが、彼の場合はキレると手が付けられないと補記しておこう。
天竜二股で渋滞につかまったが、そこを越えて県道40号線で進んでいくと、再び田畑が広がる風景だ。ただ、最近開通した上記の新東名の高架橋が遠くまで続いており、新しい家が次々と建っているようだ。市街地化というものはこうして進むのだろう。
この後、高速の高架沿いに車輪を進めていくと森町に入り、ここからは中遠広域農道を走行する。すると、今日の第1目的地である、デイトナ社に到着だ。前回同じイベントがあった際、ちょっと頑張って早めに来たことがあるのだが、その時は入口から数百メートルも順番待ちの列ができていた。しかし、今日は遅れて到着したからだろうか、列は無く、敷地内の駐車場まですんなりと入ることができた。さらに、イベントの主催者である、バイクタイム東海の撮影担当者も一通り写真を撮り終わったようで、まだの方はお声かけ下さいと周っていた。
なんだ、焦って早く来なくてもよかったのね。ただ、デイトナのイベントである「茶ミーティング」は既に佳境に入っており、走行会やブースでの催し物へのエントリーは締め切られていた。以前来た際は、KTMの125DUKEに試乗したなぁ。
すでにイベントに参加することはできないし、そもそも今日は「雨降りの間隙をついて走ろう」という掛け声に則って、走行することに主眼を置いている。ただ、我々マニアとしては、これだけのバイクが集まるところを素通りすることはできない。お決まりの珍しいバイク、アホなバイク等を発見したり、メカニズムやエピソード、個人的な感想などを言うことは楽しみの一つである。これについて、後々振り返ってみると、「俺の金で買うわけでもないのに、よくあそこまでケチョケチョに言えるよなぁ」と自分でも呆れてしまうことがある。いらんお世話の骨頂である。
会場の様子を示すW氏
最初に「メガリ250」というマシンが目に入った。当方もよく知らないのだが、イギリスの会社が中国の工場で生産するという形態でをとっているようだ。W氏の話によると、品質はかなり怪しいそうで、以前現物を見た際、ベアリングガタガタ、フォークもギシギシ、お店も推薦しない（できない）とか。そんなものが一丁前に50万円近くもするのだから、買った人の悲劇やいかに。
そして、その買っちゃった人が目の前にいるのだが、当方には理解できない。知らない人がお店の営業トークにやられて買ってしまったのかもしれない。そんなことをW氏と話していたら、撮影会常連のT氏が現れた。別に当方等は知り合いでも何でもないのだが、以前、WRTメンバーで国道41号線を走行していた時に、彼から「ガン」をつけられたことがある。そして「俺について来い」と言わんばかりに、クラッチが滑っているCBR250RRでフルスロットルをしながら走り去ろうとしていた。が、信号毎にひっかかって停止していた。いったい何をしているんだろう、この人はと半ばあきれていたら、急に左に曲がっていった。訳がわからん。
話は逸れたがそれ以来、我々WRTメンバーはT氏のことを、「ズルムケ」などと言いたい放題である。さて、次は裏側に回ってみる。こちらにも撮影会常連のK氏のCBR1000を発見。イベント常連は必ず来るのだなぁと話しつつ、相変わらず真ん中だけが減っているタイヤを見ながら、「はい、次いこう」となった。
さらに回っていくと、鉄クズみたいなものに乗った軍団がいる。これはハーレーだろうか。原型がわかない。そしてもちろん、中には故障しているマシンがいて、これ見よがしに、ああでもないこうでもないと触っている。そして厄介なことに、その一員と思われる、メチャクチャにうるさいマシンがエンジンを空吹かししている。乗るのは勝手だが、人が集まっている場所でブンブンやらないで欲しい。やかましいったらありゃしない。
一通り見て回ったので、デイトナ社を後にして農道を北上していく。そして、W機長のプラン通りに県道58号線を使う。この道、地図上では普通の緑色県道なのだが、低速から高速までのコーナーが揃った、しかも交通量が少ない快走路である。前述の通り、今日はW氏はマジェなので、当方と丁度つり合いがとれている。W氏は「控えめに走る」ために、体を前に入れたリーンインのフォームでコーナーを駆けていく。関係ないが、お湯をかける少女は工藤夕貴であり、「サユリ」という映画では桃井かおりに「売れ残りのかぼちゃ」などと言われていた。
さて、W氏のこの乗り方であるが、実はW650時代に密かに走りこんで体得したものだ。「バンク角が制限されるマシンをいかに曲げるか」というテーマで考えた続けた結果、リーンイン前乗りでフロントタイヤの荷重を高めて、旋回力を引き出すということに帰着したという。しかし、それでも、コーナーリング速度が上がればバンク角を増やさざるを得ない。後ろから見ていると、ガリガリとはいかないまでもけっこうカツカツとやっている。苦労してますね。
この県道58号線は思わぬ収穫だ。こういう道を探し出すことも、ツーリングの楽しみであることは言うまでもない。そう考えていると、左手に休息所が見えた。丁度腹も減ったことだし、こちらで昼飯としていく。因みにここはいわゆる道の駅ではないのだが、この街道では唯一と思われる施設であろう。規模としては小さいのだが、土産物屋と食堂が併設してある。
まずは昼飯を食べるために、食堂へ入る。メニューを見てみると、定番のそば、うどんはもちろん、地元の山菜や魚を使ったやや贅沢な定食も用意されている。当方は定食梅を、W氏は天丼を注文した。
この定食であるが、1,000円とやや値が張るものの、かき揚げ、舞茸、アブラコゴミと天ぷらが3種、山菜ご飯、そば、そのた小鉢となかなかの内容である。さらに、素朴な味付けで、なんだか懐かしい気分になる。当方は、こういう食事が結構好きなんですよ。
当方の昼飯
（抹茶入りの塩がニクイ）
食事をしながら、W氏と今走ってきた県道58号線について話し合う。別に快走マークがつけてあるわけでもないが、ここは良い。コーナーも気持ち良いし、路面もまあまあだ。W氏も同じ感想を持っていて、我々のツーリングルートに登録しておくことにした。
それはそうと、W氏はマジェのツーリング性能が意外にも高いことを発見したようで、「ドカより楽だ」と爆弾発言をされていた。ただ、バンク角の不足については、コーナー路面が凸凹だと、突き上げられて転倒する可能性もあるので、気を付けねばなるまいと自省していた。
そんなことを話しつつ食堂の壁に目を移すと、観光用のポスターが掲示してあった。それによれば、この先、春野町には「巨大天狗の面」があると記載されている。この面を、W氏はツーリング雑誌で見たことがあるとのことだった。「今日のメインはこれでしょう」と当方が話したら、「こっちがメインなの？」とW氏。当方としては雑誌の撮影会は流れ作業的だし、こっちの方が衝撃的だと思うがいかに。
しっかりとした食事を摂った後、「いきますか」とソフトクリームを購入する。もちろん、茶所である静岡ではお茶とバニラのミックスだ。ところで、ここでは熊切茶として発売されているのだが、当方が「くまきりあさみ茶ですか」と話したら、「この辺の人らしいよ」とW氏。そうだったんですか。知りませんでした。そもそも、くまきりあさみって名前しか知らないんですが、誰ですか。どうやら「崖っぷちアイドル」の異名をとっていたようだ。しかも、元ホリプロですか。生まれた年が1980年ってことは優香と同世代ってこと？
アイスナメナメ、B級なネタで盛り上がった後、再びエンジンを始動する。巨大鬼の面、楽しみですな。
しばらく走ると国道362号線、通称秋葉街道へ合流する。ここからも基本快走であり、どんどんと山奥へ進んでいく。すると鬼の面がある、浜松市春野文化センターに到着。ほえ〜、何このでかさ。でかすぎて笑っちゃうよ。当方が年に数回かかる、平林鍼灸接骨院の施術も痛くて笑ってしまうが、それに匹敵するインパクトである。鼻だけでも3mはあるんじゃあないのか。当然、相当に金も時間もかかったことだろう。「多分、ふるさと創成金で制作したんだよ」とW氏がうんちくを披露してくれた。そういえば、そんな制度が1990年代後半にあったな。各自治体が温泉を掘ったりしていたっけ。
巨大天狗の面を見上げるW氏
当方が声にならない声を上げていると、「天狗や鬼は山奥の人が白人を見て、それをモチーフにして図柄にした説がある」とさらにW氏の薀蓄が冴えわたる。ええーそうなんですかぁ。するとW氏、待ってましたとばかりに、「天狗は鼻がやけに高いし、鬼には赤と青がいるだろう。白人って実際は赤いし、顔色が悪い様な人もいる。目が青いう鬼もいるだろう」と、矢継ぎ早にフォローしてくれた。確かに、その通りだ。昔は鎖国をしていたし、山奥のひとはそこから出ることはまずなかっただろうから、そんな所に外国人が来たらびっくりすることは間違いない。へぇ〜、勉強になりました。
今日のメインはCIRZではない、あれは軽いジャブで、メインその１は巨大天狗の面で決定だ。そして、その面を十分に楽しんだ後、今日のメインその2、天竜スーパー林道へ向かう。え、今日はオフ車じゃないじゃん、とご心配の方、天竜スーパー林道は既に5年以上前に全面舗装が完了していて、とても走りやすい道になっているんですよ。
国道362号線を離れ、スーパー林道への接続路と思われる村道を行く。さっきまで超快走路だった県道58号線を来たせいか、やけに走りにくい道だ。川ができている、土砂崩れの痕跡、壁が崩れた尖った石、リアタイヤがズルズルじゃあありませんか。こんなところでコケていたのではシャレにならないので、慎重に車輪を進める。
一方、当方が悪路で四苦八苦しているところを、W氏＋マジェのコンビは何もないかの如く、スイスイと先へ行ってしまう。待ってくださいよ〜。
なんとかスーパー林道に合流し、山住神社方面へ北上していく。すると、さっきまでの苦難が嘘のような超快走路だ。下り坂では、尾根の上を遠くまで道が通っている様子が見え、カーブが連続している。なかなかの高速コーナーが続いていくので、W氏は少々遠慮がちに走っている。当方は・・・、なんだかハンドリングが重い気がするのだけど、なんだろうか。
また、この林道は開けたところだと、遠くの連なる山々が見える。今日は生憎の曇り空であるが、晴れだったらかなりの眺望が期待できるのになぁ。残念。いずれにしても、今日は県道58号線に続く、2つ目の収穫だ。W機長の航法士としての情報収集力には脱帽である。
そんな感じで、快走で天龍の森へ到着した。ここはちょっとした野鳥の観察、ハイキングなどができるように整備された場所である。標高1,000m付近を走行してきたので、若干冷えたのだろう。2人してトイレへ走る。気圧が低いことも関係しているのだろうか。
前述のように今日は曇りだが、遠くにはうっすらと山々が見える。返す返す、晴れていたら眺望は素晴らしいものになっていただろう、と悔しさを感じずにはいられない。
うっすらと見える山を眺めるW氏
悔しいといえば、天竜スーパー林道は53kmの長さがあるが、その昔は半分以上が未舗装路だったそうだ。W氏はオフ車で何回か訪れたことがあるらしく、超フラットの快走ダートだったと話していた。また、氏はその昔、TT250レイドを所有していたことがあり、岐阜方面の恵北林道、恵那山林道、山梨と静岡の県境にある井川雨畑林道など、この辺りの名だたる林道は走破している。道理で、何に乗っても速いわけだ。何回も申し上げるが、W氏はマジェ、当方はTDMで速さの釣り合いは丁度良い。
因みに当方のオフ車デビューは2005年末であり、その頃には既に天竜スーパー林道は全舗装が完了していた。
氏と鳥の声を聞きながら休息して、緊張感があったレグの疲れをとる。ところで、鳥の声の判別といえば、これもW氏の18番だ。これはアカゲラ、これはカッコーなどと鳥の名前が出てくる。氏によると、そのカッコーは「托卵」という習性をもっているそうで、勝手に違う種類の鳥の巣に卵を産んでいくらしい。その後、卵が孵化した後雛はどんどん大きくなり、しまいには本家の雛を落として、親より大きくなっても餌をもらうそうだ。へぇ〜カッコウて案外悪い？奴なんだ。それにしても、W氏の知識の幅広さには舌を巻いてしまう。
休息後は、スーパー林道の要所である山住神社へ向かう。氏は若かりし頃に、なぜかここへ初詣に来たことがあるそうだ。また、ここにはホンダの提供で地図の看板が設置されているのだが、そこには若い女性がオフ車に乗り、タンデムシートにはサルがいるというものと記憶しているらしく、それも確かめたいとのこと。さて、記憶は正しいのだろうか。当方は「W氏の記憶能力からすれば、ほぼ間違いない」と思っている。
果たして、山住神社の交差点にその看板は健在であり、定期的に補修も受けているようで朽ちている様子もない。W氏も「そうそう、この写真だ」と昔を懐かしく思い出していたようだった。
記憶通りの看板を前にW氏
この先もスーパー林道を走行し終点まで行こうと思ったが、残念ながら土砂崩れで通行止めである。仕方ないので県道389号線をウネウネと下りながら、国道152号線へ出る。この間、普段は軽快なTDMがだんだんと重たく感じ始めていた。おかしいなぁ、疲れてきたのだろうかと思っていたが、これが実は大きなハプニングの前兆であったのだ。
なんとか国道152号線へ出て、国道152号線を北上していく。この水窪の街は久しぶりで、5年以上来ていないのではなかろうか。そんなことを考えていたら、すぐに街から森になってしまった。その森の道は少々路面が濡れているところもあるのだが、やけにリアタイヤの落ち着きが悪い。前述のようにハンドリングも重い。おかしいなぁと思いながらもヒョー越林道を抜けていく。そして、兵越峠を下っていく時にヘアピンカーブで安定性を失い、足をついてしまった。「これは何かおかしい」とここで確信したのだが、間もなく休息地点の道の駅 遠山郷だ。もう少しの辛抱だと、慎重に車輪を進めていった。
やれやれ、やけに疲れたレグだったなぁ。そう思いながら何気にタイヤを見てみると・・・、
金属片が刺さっているぅ〜〜〜〜〜
いやいや、これはトレッド部分だけに刺さっていて、中までは貫通していないはずだ。そんな希望的観測をしつつ、唾をそこに塗りこんでみた。すると、
プツプツと泡がでてくるぅ〜〜〜〜〜
これはいわゆるスローパンクチャーと言うやつだ。ひとまずW氏に報告しないと、あれ、どこへ行ったのだろうか。探し回って、慌てて建物へ入ると呑気にオレンジーナを飲んでいた氏を発見したので、「大変です。TDMがパンクしました」と事実を伝えた。すると氏も若干慌てて「すぐ近くにシェルがあるから、そこへ行こう」ということになり、早速1km程のところにあるスタンドへ向かった。
そして店の奥までTDMを乗りつけて店長と思われる店員に、「パンクの修理をお願いします。チューブレスなので、車と同じです」と断られないように、まくし立てつつ依頼をした。するとその店長は快く道具を出してきて、四角錘形の異物を撤去、すると勢いよく空気が漏れているではないか。危なかったなぁ。
その後、ゴムのりを塗った成形棒で穴を整えつつ、プラグを充填して完了。ものの10分もしないうちに修理は完了した。やれやれ、助かった。
見えにくいけど、こんなものが刺さってました
いままで8,000時間程の飛行時間を記録しているが、ツーリング中にパンクしたことは初めてだ。自宅で修理したことが1回、点検に出したTDM850が偶然にパンクしていたことが1回、計2回だ。因みにW氏はZRXに乗っていた「第一期ツーリング隊」時代に浜松か掛川か、その辺りの国道1号線バイパスで、新幹線高架橋下を通過した際に、円筒状の金属片を踏んだことがある。この時は悲惨で、あっという間に空気が抜けてしまったらしい。しかし、偶然にも目の前にガソリンスタンドが現れて、事なきを得ている。この時、当方もTDM850で一緒に走っていた。
いずれにしても、あまり嬉しくない事態なので、よくよく注意する必要があろう。
重いTDMを操縦し、バタバタとパンク修理をしてもらったので、随分と疲れを感じる。ただ、幸いなことに、道の駅 遠山郷には無料の足湯が設置されている。当然、ここでゆっくりしていかない手はない。W氏には申し訳なかったが、少し足湯でゆっくりさせていただいた。冒頭の「間抜けズラ」の背景には、こんな出来事があったのです。
また、いつもの昭和の話題では「セリーヌ・カン」という人の話題が登場。え、それは一体誰ですか？いろいろとW氏が説明してくれるのだが、その説明も理解できない。「アグネス・ラム」みたいなものですかと聞き返したら、ちょっと違うなぁと。そこで帰宅後に調べてみたところ、ネット上でもあまり情報が無い。まあカルーセル・マキ、三輪明弘、はるな愛といったニューハーフらしい。W氏の知識量、質、幅は本当に関心するばかりだ。
道の駅 遠山郷にてW氏
足湯から上がり、水分補給をしてゆっくりしながら語り合う。今日は目標としては映画、天空の城ラピュタのモデルになったと言われる「下栗の里」を目指していたのだが、いろいろとあって時間切れとなってしまった。前回はまだ季節的に早くて、路面状況や気温が気になったので、やはり遠山郷までで終了となった。「下栗って遠いね」が今日の結論である。今シーズン中には何とか到達したいものだ。
さて、時刻も16時を回っているので帰路に就く。まずは往路で走行した国道152号線を左に見送り、そのまま418号線でheading230を維持する。この国道418号線は今を遡ること10年、当時の機材だったTDM850をぶっ壊してしまったルートだ。あの時はR1-Z氏と避暑を兼ねてソースかつ丼を食べようと、駒ケ根へ向かう途中だった。国道153号線から418号線と順調に、いや、完全に調子こいて気持ちよく走行していたのだ。そして小規模な水力発電所がある飯島地区の奥が深〜い、複合コーナーにて曲がりきれずに爆発してしまったのだよ、ヤマトの諸君。古代、俺の負けだ。さらばだ、TDM850、と今思い出してもまったくもって、調子こいていたとしか言いようがない。
この時、自分は右の下肢がガードレールに接触したらしく、パンパンに腫れて痛かった。問題はそれだけではなく、前述のようにTDM850は900時間で廃車、当然下取り価格も無い。足が治ったらバイクに乗るか少々悩み、結局TDM900を購入したのだが、もちろん貯金はすべてパーである。
これ以来、集中力を意識して、また操縦技術も訓練してこのようなことが無いように努めている。そのおかげかどうかはわからないが、そのTDM900は今年で5回目の車検を迎えるし、積算距離も90,000kmまで伸びてきた。ぜひともこのまま100,000kmを目指したいものである。話は逸れるが、100,000kmっていうのは機械が壊れるかではなく、「操縦者がバイクを壊さないか」という点が重要であるということだろう。
苦い思い出が頭の中をクルクル回っていたが、集中して爆発地点を通過し、パレ平岡ダム湖沿いのワインディングを抜ける。ここは砂がでているので、スリップダウンに注意が必要だ。それにしても、パンク修理が完了したTDMは軽快性が元に戻った。そうだろう、これが本来の姿だよなぁ。どこでパンクしたか知らんけど、あんなに重たいのはやっぱりおかしって。早く気付いてやれよ。
後は国道151号線で千石平新野NDBで磁方位270へ変針、さらに売木村から県道46号線で茶臼山方面を目指して快走を続ける。ただ、この頃になると日没が近くなってきているせいだろう、気温が下がってきた。さらに茶臼山高原は標高が1,000m程度あるので、これに拍車がかかっている。そして、それを裏付けるかのごとく、霧がでてきた。これにより視界は一気に落ちて、100m以下となってしまった。これは危険なので、W機長も大幅にペースダウンをして、慎重にコーナーを回っていく。
山頂駐車場を超えて下りに差し掛かると、一気に霧が晴れてきた。やれやれ、一過性のものでよかったよ。霧の中を走るのは服が湿っぽくなるのでいやだねぇ。
この後はいつも折本I.C.、ドルー氏が「とっちらかって訳がわからんくなった」県道10号、タイヤに異物が笹暮もみじ街道を抜けて、国道257号線、153号線と自動操縦同然で変針をしていく。そしてちょっと暗くなりかけた道の駅 どんぐりの里に到着した。さすがに19時近くになっているので、ほとんど人はいない。それはそうと、腹が減ったなあ、晩飯どうしようと考えていたらW氏も同様だったようで、近所にある「唐丸」という比較的新しいラーメン屋に入った。本当は豚がウエイトレス姿をしている看板の店に行きたかったのだが、案外距離があることが判明したので却下としたのだ。
ここのラーメンは香りや味共になかなか良い部類であると思う。当方は味噌ラーメンだったのだが、味がまろやかであった。時々ピリピリと味噌の塩っ気ばかりが目立つものもあるが、ここは結構イケル。
ラーメンをすすりながらいつものように、我々の業界について語り合う。いい加減この話題もネタが尽きそうなものだが、次々に新ネタを提供してくれるので困ってしまう。いったいどこへ向かっていくのだろうか、見当もつかない。おそらく、偉い人たちもわかっていないからこういうことになるのだろうと思われる。振り回される我々労働者は良い迷惑だ。尚、当方が現金がなくなってしまい、この場をW氏に立て替えてもらったと補記しておく。
というわけで、次回の再会を約束して解散となった。W機長、ありがとうございました。ハーレー氏、R1-Z氏もお暇な時にでも、またよろしくお願いします。
本日の走行 370��