2009年6月6日
板取川温泉（バーディハウス）前にてポーズをとる廷遊号氏
（どうですか、この筋肉）
ええ？？管理人が若い人とツーリング？？といささかうらやましいと言うか、意外と言うか、そのような気持ちでこちらに来られた方がおられると思われる。その理由はおそらく表題の「若いバイトさん」という言葉でが、「女性」をイメージさせたからではなかろうか。
ところで、言語学において、ある名詞が持つ情報として、旧情報と新情報という分類がある。前者は文字通り既知のことだ。例えば、
俺の4輪車はホンダフィットで、そのフィットは累積走行が40,000�劼�
という文があるとしよう。その中で2回目のフィットは私が所有しているフィットと既に特定されている。これが旧情報である。英語で言えば、定冠詞（既に特定されていることを表す）「the」を付記することができる語の持つ情報だ。因みにその直前にあるフィットは新情報をもつのみで、なんの特定もされていない（属性がわからない）語であり、英語では不定冠詞「a」、若しくは無冠詞の場合もある。
これらを巧みに使って人を笑わしているものが漫談などの「お笑いである」例えばにしおかすみこが母親をネタに総武線での出来事を話す件がある。
・・・向いのさ、若くてきれいなお母さんにクソガキが「遊んで、ねえママ遊んで」とうるさくてさ、・・・しりとりを始めたんだ。そして子供がしりとりのり、えーと、えーとって考えているんだよ。そうしたら、みどりがリ・ボ・ンおしまい・・・。
こうやって長々と「クソガキの遊び」という新情報を出しておいて、延々と引き伸ばしてその遊びの結末という旧情報をを突然与える。これが笑いをとる定石のようだ。稲川淳二の怪談もこの類である。
管理人の表題は新情報のみ登場させておいて、それに対する説明が無い。要するにリポートを読んでくれというところがミソである。
いきなり余談で始まってしまった。申し訳ない。さて、本題に入ろう。
管理人もまだまだ若い部類と思っていたら、今年は3回目の年男。つまりは満36歳というわけである。因みに早生まれで、3月が誕生日であるので、正真正銘の満36歳である。一方本日のツーリングに同行していただく廷遊豪氏は平成元年、1989年の生まれで、明日二十歳を迎える、まさに若い世代である。また、氏は現在学生で、将来は法律家を目指しているそうだ。普通自動二輪免許を昨年取得し、年式、型式共に不明のカブを学校の先輩から譲り受けた。そして現在はホンダ式NC26型機の型式限定訓練中で走行時間が80時間ほどであり、今回のツーリングは初の300kmである。尚この機体は元オークラ氏の所属であり、車検切れを機に氏がホンダ式NC31型に乗り換えた際、譲り受けたものであると付記しておこう。
ところで、度々申し上げていることであるが、2輪車の運転には体力（持久力、筋力）が必要であることは疑いの余地が無い。忍び寄る体力の衰えに怯えるよりはこちらから積極的に体を動かして、必要な体力を維持することを誓ったのは丁度2年前だ。結果現在でもジムに通いエアロビクスと少々の筋トレに励んでいる（つもり）。もっともエアロビクスはインストラクターや他の若いオバサン方との交流も楽しみの内であることは言うまでも無い。
そして昨日、ジムで運動をした後に、廷遊豪氏と話していて「ツーリングに行きたい」という彼の申し出に、「明日走りにいくから一緒にどうかな」と振ってみたところ、「是非」ということで今回のツーリングが決定した。尚、行き先は廷遊豪氏の要望で「温泉」となった。
今回は管理人が全行程先導機長であるので、フライトプラン作成は当方が全てを受け持つ。最初は売木村のこまどりの湯あたりを検討していたが、当日の天気は西から回復傾向にあったので、関市板取の板取川温泉にプランを変更して提出した。もちろん廷遊豪氏は承認である。
8時に廷遊豪氏のアパートに行き、8時30分出発。まずは国道153号線で東進し、天白で302号に乗り換え。そのままイチローの出身地である豊山町まで走行し、県営名古屋空港横を通過。その後CRJ200ER機の離陸を横目に国道41号線に。それにしても今日はやけに道が混んでいるなぁ。走りにくいったらないよ。というわけで、一旦小牧市内のコンビニにて休息をとることとする。
ところで、廷遊豪氏は今までのところ、本格的な（300�卍�の距離で、目的地が県外）ツーリングには出かけたことがないとのこと。一日の最長乗車距離は100�匐瓩�離れた実家への帰省が一番遠方ではないかということであった。そのためか、全く知らない場所をめざしている高揚感から「とても楽しい」という感想を持っていた。いやいや、ここまでは街中しか走行していないのであるからここからが本番ですよ、とさらに高揚感をあおっておいた。
ところで、氏の機体の状態を確認しておこう。出元はオークラ氏であると記載した通りで、累積走行距離は62,000�劼任△襦�譲り受けた際はかなりの錆がでていたが、廷遊豪氏のこまめな清掃が効を奏しており、オークラ氏には失礼千万であるが「見違えるような輝き」を取り戻している。機械的な部分に目を移してみると、車検取得時にフロントフォークのオーバーホールを行っているので目立ったオイル漏れは無いものの、点錆がかなり多くみられるので、今後の動向が気になる。タイヤは交換済みであるので、問題なし。エンジンからの異音、オイル漏れも見当たらない。すこぶる快調に運転されているようだ。ただ、年寄りの助言としてはチェーンオイルはまめに注しましょうと付け加えておく。
コンビニを出発して同国道で北上を続けていく。小牧市内を抜けて犬山市に入ると、風景も徐々に牧歌的様相を呈してくる。交通量も少なくなってくるので開放感が増して、ついつい速度を上げ気味になってしまう。しかし、ここで油断すると白バイの餌食になることがあるので注意が必要だ。というのも、国道41号線のこの区間は立体交差が多くあり、警察が隠れて見張っていて、速度が出ている車両を発見したら飛び出てくるという悪質極まりない行為をするために最適な箇所であるからだ。しかも１％程度の上り勾配がついているので、運転者もついついスロットルを開けてしまうという道路構造もこれに加担している。うがった見方をすると、それを狙って国道を建設したのではないかと思える。仮に事故を減らすことを目的としていて、また取締りをすべき危険な場所と認識しているのであれば、表に出て棒を振って指導することが本来のやり方であると考えるが、いかがなものであろうか。
そんなことを思いつつ国道41号線を離れ、中村玉緒さんが村長をしている昭和村をかすめて国道418号線へ乗り換える。その後heading300で少し走行して、県道63、286号と繋いでいく。途中で関市内に「うだつの上がる町並み」があるので、これを通過する。まああまり多くは存在していないのでほぼ素通りで国道156号線へ合流する。
しばらくは退屈な国道を走行するが、この先県道81号へ乗り換えるプランだ。しかし、ミスコースしてしまい、左折する交差点を過ぎてしまった。正規のルートに戻る為に適当なポイントを探していると遠くにレンガ造りの歴史ある建物が見えてきたので、機長権限でチョット寄ってみていくことにした。
この建物は長良川水力発電所と言って、今も現役である。30年ほど前にタービンを交換したらしく、その旧いタービンがデンと鎮座してあった。余談であるが、鎮座といえばR1-Z氏の会社のトイレである。下衆な内容の為、詳細は割愛させてもらうとしよう。
管理人はタービンの羽の角度や、回転軸などの構造を観察して楽しんでいると、廷遊豪氏はすぐ横を流れる長良川に見入って「いやあ、きれいな川ですね。自然があってよいですね」といたくお気に入りのようだ。確かに、長良川は河口に政治家の見栄と土建屋の利益の為に造られた長良川河口堰以外にはダムの無い川として有名だ。その流れは大きく蛇行を繰り返し、大きな岩がゴロゴロとしているが、土砂は少ない。これが本来の川の姿なのであろう。また、この辺りでは、おりしも鮎釣りが解禁になったばかりのようで、腰まで川に入って長い竿を巧みに操る釣り師の姿が見えた。余談であるが、会社の別の部署にいる課長殿が釣りを趣味としており、鮎釣りをするのであるが、滑って流され、2，3回死にそうになった事があると話しておられたと報告しておこう。
発電所と旧のタービン（右端に廷遊豪氏） 廷遊豪氏、長良川の橋上にて
管理人の悪い癖である隠蔽工作を実行し、ミスコースを告げずに南下して正規のルート県道81号に乗り、機首は230で走行をする。この道は長良川の支流である板取川沿いを通っており、交通量も少ない快走路だ。季節によっては川沿いに咲くそめいよしのちゃんが見事だ。話は変わるが、ジムで若いオバサンのヨシノチャン（エアロビクスのインストラクターからそう呼ばれている）から「今度ご一緒にプールのレッスンに参加されませんか」と誘われたので、丁重にお断りしておいた。当方シャイなもので。それにしてもオバサンは怖いもの無しである。
そんなことはどうでもよいのだが、この途中の道を左折すると寺尾の千本桜がある。そこをかすめて突き当たりのTの字を右折して国道256号へなだれ込んでいく。この辺りまでやってくると、景色はすっかり山だ。そして道も徐々にワインディング路となってくる。そして、県道52号にその名を変える頃には中速ワインディングの連続となるのであるが、先に紹介したように廷遊豪氏は現在NC31型機の訓練中だ。しかもあまりワインディングは経験が無いということであったので、ミラーを確認しつつ抑え気味に走行していく。ところが、この心配は杞憂であったようで、コーナリングや遅い前走車の追い越し、追い抜き共に経験時間数以上の技量を備えているようだ。管理人がこんな事を言うのはおこがましいが、一応2輪車の先輩として、また引率している責任もあるのでこういう判断も必要かと。こうなると話は早い。亭遊号氏にはコケル、若しくはヘロヘロになって大きく遅れをとるといった心配はご無用だということで、引き続きこちらもワインディング路を楽しむことができるというものだ。
こうして本日の目的地である「板取川温泉、バーディハウス」に到着した。廷遊豪氏も十分走行を楽しんでいるようで、「いやあ、楽しいっス」を連呼していた。そう言っていただけるとプランを作成した甲斐もあるというものです。管理人も調子こいて、これが2輪車走行の醍醐味ですよと偉そうに説教をする。
早速入浴するが、ここは露天風呂の方が内湯よりもでかいことが特徴である。そいういうわけで、自然と露天風呂に浸かりながらため息をつく。ここの温泉は下呂温泉と同じ、アルカリ性単純泉であるからヌルヌルとしている。因みに濁河温泉はじめその周辺は御岳系で、鉄分が豊富なのであろうと思われる茶色をしている。知多の方にある温泉は少しベトベトした海水系とその土地毎に種類を分類することができるようだ。
ひとしきり温まったので、湯船に腰掛けて語り合う。それにしても廷遊豪氏は若いが、温泉好きとは意外だった。温泉は大抵の場合若い人には敬遠されることが多いからだ。それについて氏は、高校時代に部活等でそうとう絞られていたから、学校帰りに週何回かは温泉に浸かって体をいたわっていたとのこと。なるほど、疲労回復には温泉が効果的なことは紛れも無い事実ですからな。また、氏本人は怪我のためにベンチ入りに終わったものの、その成果もあってか所属するチームはインターハイに出場もしたそうだ。いやあ、管理人なんて近隣三市の大会でかろうじて決勝進出したものの、ドンケツに終わったことが生涯記録である。努力量の違いだろう。
また、氏は学業にも熱心で、独自に法律関係の資格取得の為に日々時間を割いているそうだ。自慢じゃあないが、管理人は授業はキッチリ出ていたものの、それ以外に勉強した覚えはあまり無い。友人と用も無いのにカー用品店やバイク屋を覗いて楽しんで、夜になれば皆で飯を食って夜中まで遊ぶ。そして翌日授業に出るというところだっただろうか。今思えばモッタイナイ話だが、図らずも後悔は先に立たないということを自身の行動で実証してしまった。情け無し。
ところで、廷遊豪氏は現在でもバリバリのスポーツマンで、クンニク（筋肉）隆々である。本人は日焼けしてもう少し博をつけたいということで、日なたでちょっと焼いていた。たしかにナカヤマキンニクンみたいに白いとせっかくのクンニクも台無しというか、不釣合いだと思われるからね。
さて、いいお湯に浸かった後は飯だ。昼飯はどうしようかと相談した結果、廷遊豪氏は川魚が良いということで、往路にも通った少し離れた街で食事することになった。丁度「女味」という店を発見したので、こちらに入店した。店内は近所の方が入れたと思われるボルト、いやボトルがカウンターに並び、居酒屋さながらの風景だ。メニューを見ると鮎定食1600円（鮎の塩焼き2匹）というものがあったので、迷うことなく決定。ついでにものめずらしい川えびのから揚げ700円も同時注文。廷遊豪氏はアマゴ定食（塩焼きと甘露煮各1匹ずつ）を選択。
管理人注文の鮎定食 廷遊豪氏のアマゴ定食
川えびのから揚げ 店舗概観（屋号がちょっと怪しい）
さて、鮎といえばR1-Z氏であるが、今年は母君を接待するのであろうか。それにしてもこの鮎旨すぎ。川魚は味が淡白である分、川の水質によっては泥臭くなってしまうのであろうが、今回はまったくそんなことはなかった。腹も減っていたのでご飯がすすむ。鮎を頭からカジカジで、丸ごと食べてしまった。それに加えて付属の小鉢である山菜のわさび漬けがまた絶品だ。わさび漬けというと、酒かすにわさびの茎を漬け込んだものが有名であるが、この方が当方の好みである。山菜にありがちな苦味がうまく抑えられていて、噛んだ後にツンとわさびの風味が広がってくる。土産用の袋入りもあるようだ。
また、川えびもマイウーだ。だいたい川えびって何よ。と思っていたのであるが、はたして運ばれてきたものは手が長く細身のえびだった。これも丸ごと頭からカジカジなのであるが、やはり川の生き物だけあって味は淡白だ。海の海老のような強い風味は無く、鶏肉のから揚げと同じような味の調味料で味付けがしてある。しかし、川えびの方がさっぱりとしているし、上品且つほのかなえびの味がする。さらにはパリパリとした食感が華を添えており、これまた絶品である。注文する時に迷ったのであるが、頼んでよかった。一方廷遊豪氏はアマゴを食しており、こちらもウマイうまいとあっという間に完食してしまった。
そうしている間にも次のプランを頭の中で考える。といってもいつものルートだ。このまま戻ってタラガトンネルの国道256号線を磁方位090で走行して、郡上を抜けた後に上之保へ下りるか、その先へ行くかどちらかだ。やれやれ、腹も一杯で2人共に大満足で店を出た。
店の前には板取川が流れており、良い雰囲気をかもし出している。廷遊豪氏はこういう状況がお気に入りらしく、知らないうちに堤防に腰掛けて川を眺めている。「鮎とか釣れるのでしょうかねぇ」と言うので、「ここは6月20日解禁なんて書いてあるからきっと釣れるだようよ」と答えた。釣りのことは良く知らないが、これだけきれいな川なら経験上鮎がいると思われたし、解禁日を記したのぼりが出ているのだからこの川には鮎がいますよと言っているようなものだ。ところで、このあたりは解禁日がバラバラらしく、先の長良川は6月5日が解禁日だったが、ここは6月20日だ。生育状況が違ったり、釣り人を分散させる為にこのような措置をとっているのだろうなと考えたが、真偽のほどは定かではない。
実を言うとここからが走りは本番だ。逆周りにすればよかったかもとちょっと後悔しつつ味女さんを出発する。引き続き先導機長は管理人だ。まずは県道52号を南下して左折し、国道256号線タラガトンネルへ入っていく。このトンネルは５�匐瓩�の長さがあり、中に入ると気温が５度以上は一気に下がるのでヒヤッとする。おそらく地下水の水脈かなんかが通っているのだろうかと考えたが、これだけの長さならば何も無くとも涼しいだろう。山全体が暑くなるということは火山の可能性もあるわけだし。それはそうと、このトンネルはわりあいと最近開通したものだ。数年前は１．５車線の雨量制限付き峠越えルートで、雨の後は砂が斜めに路面を覆っていてびっくりしたことがある。さらにその先に転倒したライダー女性ライダーを助けている男性ライダーがいて２度びっくりしたものだ。男性ライダーはさぞかし株が上がったことだろうと思い、おもわずニヤっとしたことがある。
トンネルを抜けると雪国などなく、小さな集落と一面の田んぼが広がる。いかにも山の農村という風景である。集落を通過すると中速のワインディングが続き、農作業のトラックを追い越しつつ快走を続ける。ミラーを確認すると廷遊豪氏も遅れがちであるが、追い越しをして続いている。ということで、こちらも自分のペースマイナス２割程度で気分良くコーナーを抜ける。先月の課題である基本事項、右足ニーグリップもだいぶ定着してきているが、もう少し何か足りない。どうやらかかとのホールドに気をとられて、コーナー外側の足がステップを下に押しているようだ。これではせっかくのバンキング速度を殺してしまうので、こんどは左右バランスを考えていく。もっともスライド時に備えてこちらを構えている必要があるのだが、TDMでそこまでの走りはしないつもりだ。
国道１５６と２５６の合流点を左折して一旦北上する重複区間を走行する。ここでは他車の流れに乗っていくだけだが、郡上で再び国道256号が分離し、本日のハイライトと言えるワインディングに進入していく。上りはじめの区間にハーレーが2台走行しており、大きく手を上げて前に出ろと合図をしていたので、こちらも手を挙げて応えて遠慮なく抜かさせてもらう。廷遊豪氏もついてきているようだ。さて、和良までの区間はタイトコーナーの連続で、ブラインド状態が多く、切り替えしも多い。管理人の課題を確認するにはもってこいだ。後続のスティードを確認しつつ気持ちよくコーナーをクリアしていく。再三述べているが、TDMは細身でトルク変動の大きいエンジンを搭載しているので、管理人の腕のないところを大きく補っている。これが4気筒のハイパワー車であったらきっと何もできないだろうな。おっと、目線にも注意だぞ。近いと倒しこみが遅れますぜ、ダンナ。
それはそうと、この辺りで廷遊豪氏の指定した給油ポイント170�劼魃曚┐燭里任△襪�、氏は出光のマイドを持っているそうで、できれば同店が望ましいとのことだ。しかし、随分手前に1件あったきりで、それ以外に全く無い。いまのところリザーブに切り替えている様子も無いし、携行缶で500ccを準備しているそうなのでいずれ出光に出会ったら給油時期とすることにした。
岩屋ダムの入り口を左に見た後、国道41号線に合流。右折してすぐの所にあるドライブインで休息する。鮎の塩焼きは旨かったが、おかげでノドが乾いた。コーラを購入して一気に飲む。カァー、ウマイ。たまに飲むコーラは実にウマイ。そう思って椅子に腰掛けていると、廷遊豪氏が「盆栽がありますぜ」とやや興奮気味に帰ってきた。なにやら変わったというか、年齢からは想像できないものが好きなようだ。管理人も一緒に見にいってみた。すると、確かに盆栽がある。
盆栽を前にご満悦の廷遊豪氏
さらに国道を隔てた向こう側に地酒の店もある。その風貌からして老舗のようだ。氏の要望もあり、覗いていくことにする。酒屋の印である円形の飾り（なんていう名前か）が下がっており、やや古めかしい木製の引き戸を動かして入店する。中には所狭しと酒の瓶が並び、地元の特産品でつまみになりそうなものも少々置いてある。控えめだが、うまい商売をしているようだ。そして愛想の良いオバサンがいろいろとお薦めの地酒を紹介してくれる。一押しは初緑という名前の酒だ。管理人は酒が飲めないと言うと、飲み味がすっきりとしていて口当たりもよいので、日本酒が苦手な方にも最適とのこと。う、そうきたか。なかなか商売上手だ。顧客の要望を聞いて直ぐに反応するところは熟練の技だろう。この後も矢次早にいろいろな酒を紹介して、その飲み味やら特徴やらを的確に話してくる。そして、我々はバイクで来ていると聞く否や、5000円以上は送料無料だと、そして小瓶のセットもお得だとすかさず切り込んでくる。極めつけは、父の日のプレゼントにどうですかと。生憎管理人の一家は酒はまったく飲まず、むしろ三ツ矢サイダーを送った方が喜ばれる家系なので購入する気は無いが、廷遊豪氏はこれで心が動いたようだ。「この小さい瓶ならスティードのサイドバッグに入りますよねぇ」と聞かれたので、これなら重量的にも大きさ的にも問題ないと思うよと返答した。こうして氏はにごり酒を含む500cc程の瓶を3本購入したのだが、結局管理人は何も買わずに店を出た。どうせ購入しても料理酒として利用されるのが関の山なので、これでイイノダ。
さすが百選練磨、酒屋のおばちゃんだ。土地柄観光客を相手にしているだけあってトークの切れが抜群だし、客の要望を的確に捉える能力はピカイチだ。恐れ入りました。
地酒屋徳利さんの前にて廷遊豪氏
親御さんへのお土産も購入しちょっと大人の気分を味わう廷遊豪氏とともに、本日2個目の大舞台である中野方峠へ県道68号で向かう。その前にスティードの燃料が残り少なくなってきて、リザーブに切り替わったということで、国道を左折するポイントの100m程向こうにあるスタンドで給油する。因みに当方はまだ半分も消費していない状況であった。基点からはおおよそ210�劼鯀�行しており、８Lほどの給油であったそうだから24��/Lくらいであろうか。本人も驚きの新記録だそうだ。ツーリングでは燃費が向上するという事実を体感してご機嫌の廷遊豪氏であった。
給油後は県道68号を快走して、中野方峠へ一直線に向かう。途中のホームセンター辺りまでは数台の車がいたが、その後はほとんと我々の貸切状態で、気分上々でペースアップする。尚廷遊豪氏とは事前に相談して、「各々の速度で走行する」という規定を設けている。いずれ前走車で詰まるか、適当なところで速度を落として待つから心配はいらないということにしてあるのだ。ツーリングでは無事これ名馬が最高の勲章である。
ところで、中野方峠は、先日W氏がインリン峠と命名している。なんでもテレビでここにあの「インリン様」がやって来たそうだ。プロレスではたまご様を産み落とされたそうだが、「あんな下品なことをしなきゃあ、かわいいのになぁ」と落胆気味のW氏の発言が印象的であるが、確かにそうだ。しかも彼女は台湾語、日本語、英語と語学にも堪能であり、なかなか賢いそうだ。だいだいバカになれるということは、賢いという場合が多いようだ。北野武やタモリが良い例だ。それはそうと、この峠への道は非常に走りやすい。特に南側は道幅も広く超がつく快走路だ。北側にしても広さは南側に劣るものの路面状況も良く、木々の間から先のコーナーを見通すことができるので安心して開けていくことができる。
スイスイと北側から上っていくと、頂上付近で4輪につかまった。ここで速度を落として廷遊豪氏を待つこととする。その間、いつも通過している棚田をじっくりと眺めるために、ちょっと寄っていこうという考えが浮かんだ。そう思っているとスティードがミラーに入ってきて、棚田を見上げる地点へ到着。どうでもよいが、インリンが雑誌に登場する時には必ず大きく「インリン」と書いてあってその下に小さく「オフジョイトイ」と記載されていることが多い。
棚田をバックに廷遊豪氏と
棚田は丁度田植えが終わってひと息ついているという状況である。ということは、このまま梅雨になって、明ける頃には苗が急成長を遂げて、また違った緑が豊かな、風になびいて波打つ姿を見ることができるのであろうと思いを馳せた。廷遊豪氏も満足の様子であった。
ところで、氏は「ステップが擦った」と報告してきた。だんだん慣れてきたので速度を上げていったところ、カリっときたらしい。アメリカン車とはいえ、80時間でそこまでやれるのであるから上達が早いのではないだろうか。また、今日の集中訓練が効を奏したのであるかもしれない。何にしても嬉しい事であるので、「そのあたりで止めとけよとバイクが言っているんだよ」と返答しておいた。
陽も傾いてきたので、後は帰宅するのみだ。このまま県道68号から国道418号へ乗り換え、中津川？恵那？市の軽いワインディングを抜けていくと、おなじみらっせいみさとだ。いつもならば最終の休息ポイントとするが、今回は棚田で休息をとったので走行を続けていく。このままらっせい街道こと県道66号を西進していく。こちらもちょっとバックマーカーに引っかかった以外は快走できたと付記しておく。
この後はあきん亭で左折にして県道20号、国道363号、シーサー狛犬を左折して418号といつものルートで帰宅した。
若い人と走るといろいろと発見があって面白いものだ。地酒屋なんて一人では絶対に入ることはないだろうし、若い人の考えに触れることも無い。人間年齢が増えると、どうしもわがままというか、意固地になってしまうものであるだろうから、時々はお相手をお願いしたいものだ。
本日の走行 300��