2009年9月19日〜20日
参加者のマシン達@杖突峠展望台
今年はFazer氏を我々WRT連合会に迎えて初のシーズンである。「おい待てよ、そんな連合会をつくった覚えは無いぞ」とお思いのW、R1-Z諸氏。その通り(by児玉清)。今思いつきました。ついでに余談をしておきますと、この「おい待てよ」の台詞には少々思い出がある。今を遡ること20余年前、中学2年時に行われた夏の林間学校の時だ。3日間の日程も終わりに近くなった午前のこと、当方が所属していた水泳部の「ケンサク」が飯盒の中蓋が行方不明、ありていに言えば失ってしまったことに気がついた。さて困ったぞ。探すとなると面倒だし、第一どこでなくしたか見当もつかない。そこで「ケンサク」は近くの別班に「ノムケン」なるちょっとデクノボウ的(実際は違う)な同級生がいることを思い出し、その班の中蓋を失敬しようというかなり危険な作戦に出た。まずは散歩するフリをして彼のテントへ近づいて、とりとめもない話をしつつ中蓋を手に入れた。ここまではよかったが、「ノムケン」の目も節穴ではない。「おい待てよ」。万事休すである。「マントク」という先生にこの後こってりと絞られ、中蓋を探すはめになったことはいうまでも無い。いや、最初から中蓋を探すべきであったのだ。それにしても中蓋は見つかったのであろうか、当方も知らない。
いきなり余談で幕を開けた今回のリポートであるが、本題に戻ろう。このツーリング開催のきっかけは、先日暑いところをR1-Z先導機長主催で、懸案となっていた鞍掛峠ツーリングへ出かけた時にある。その際Fazer氏から宿泊スーパーロングツーリングの提案がなされ、当方も一度は連合会のメンバーで泊まりも行ってみたいなと思っていたし、R1-Z氏も同様の考えを持っていたので開催が決定した。また、多忙なW氏にも無理やりお願いし参加いただいた。そして各人の都合を調整した結果、9月19日(土)〜20日(日)の日程で志賀高原泊と決定した。尚宿はFazer氏にご推薦の蓮池ホテルを手配していただいた。またまた余談だが、志賀高原といえば「私をスキーに連れてって」のロケ地のひとつであったことは記憶に新しい、のは当方の世代だけか。
さて、当方は先週車検を通したので、いよいよ準備万端と地図を眺めてはルートを思案していた。20年近く前にNS50Fで松本の友人宅をベースにツーリングした鬼押し出しなどを思い出しつつ、気になる農道などをチェック。仕事も手につかないよ、もはや心ここにあらずだ。そうして日々を過ごしていると、R1-Z氏から事前ミーティングの連絡があった。今までミーティングなんてしたこともないのに、どうしたのかなと思ってしまった。とうのもツーリングなんて「〜方面」、「XXを通って」程度の計画しか立てずに、常に出たとこ勝負で道程を組み立てているからだ。いや、正確に記述すると、「計画通りの道を計画通りに走行する」ということは100%不可能であるから、計画することに意味が無い。また、刻々と変化する状況下で常に自らの欲求を満たす最適のルートを探し、走行することがたまらなく面白い。そう、もともと規格品のツーリングには全く興味が無いのだ。それに普段から走っているエリアならばともかく、状態や混雑具合などが全くわからない道をガチガチに計画通りに走ることはかえって大変な苦痛をもたらすだろうと思われるからな。
ところで、後に判明したことだが、この事前ミーティング開催はFazer氏の提案であり、その背景には九州最悪ツーリングがあるようだ。氏はこのツーリングについて「フェリーに乗りに行ったようなものだ」と形容されている。つまりはまったくもって不作なツーリングであったということのようだ。これは相棒とのツーリングの内容について意識のズレが原因であったそうで、もう二の轍は踏みたくない、という一種「トラウマ」となった不安感を事前に解消しておきたいという意向を持っておられることに由来するのだ。なるほど、その気持ちも理解できる。当方の持つ距離感や走行路は確かに「変態」向けのものであり、常人であるFazer氏には厳しいものがあると推測される。ということで、前週の9月12日に近所の喫茶店にメンバーが集合して事前ミーティング開催となった。
ミーティング会場に到着すると、既にR1-Z氏がいつもの席を陣取っていた。氏も最近は仕事量も落ち着いてきて、週末の出勤は解消されている。また、先週は並居る猛者を従えて先導機長を務めてきたとのこと。なんでも壇れいの笹暮もみじ街道を紹介したところ、前述の韋駄天ボーイの方々にも好評であったそうだ。それにしても、そういった方々を引っ張った氏はかなりのプレッシャーを受けていたようで、「もう2度と彼らを先導することはない」とその厳しさを表現していた。
さて、メンバーが集合して各々のプランを開示する。当方は「全て一般道で、7時集合」の変態プランを提出した。R1-Z氏も基本同じだが、Fazer氏は「ちょっとくらい高速で・・・」ということであった。もちろんその辺りは前述の通り、当日の道路状況や天気にも影響されるので、随時変更であることは言うまでもない。またテーマは「ウネウネ道を走り倒す」ということで全会一致だ。特にW氏はタイヤを交換したてで、懸案の車高が3mm位は上がったらしく、やる気満々であった。
それにしてもメンバーの方々は、細かく色々と調べておられる。特にR1-Z氏は広範囲に渡り地図に目を通しているようで、フライトプランの作成が上手くない当方が感心するようなルートの提示をしていた。一方Fazer氏、W氏は最近通った道であるので、気候や混み具合について把握しておられた。皆の心の中では既にツーリングが始まっているようだ。
さて、話は変わって、当方は気候を読むことが下手だ。いつもモモヒキ等を現地調達するという失態を演じ続けているので、今回はそれはないようにしたい。一応北海道については失態は無いと弁明しておこう。ところが、W氏は気候のことは触れないで、また当方が失態を演ずるところを見たかったようだが、それはアーモン級ですよ。もうかれこれ5回は失態を演じておりやすので、そろそろ卒業ということでご勘弁を。
当日は7時にいつものサークルK集合としていたが、結局出遅れて7時30分頃に皆が集合することとなった。この段階で既に計画の甘さが露呈してしまったわけだが、無理して疲労した体と気分で計画を守ることも大した意味が無い。W氏からも連絡をもらっていたことだし、意思の疎通さえできていれば計画変更は問題無しというわけだ。
果たして集合場所にはW氏とFazer氏が既に到着しており、目前の国道153号線は既に混雑気味であったので、そのまま平谷まで走行してから打ち合わせることとなった。ここで本日の参加者をおさらいしておこう。まずは企画の発起人であるFazer氏。走行1000時間と我々連合会の中では持ち時間は少ないが、最近メキメキと腕を上げてきている。次はご存知R1-Z氏で、今や3XC型のみで走行2500時間を誇る2ストスペシャリスト。先日からの懸案であったフロントフォークとステアリングステムベアリングの交換を終え、絶好調の機体で本ツーリングに望む。そしてご存知査察機長のW氏。キャブ清掃とタイヤ交換を行い本ツーリングに備え万全。ただキャブのスロットルポジションセンサの調整がイマイチか。はたまたメインジェットの番手を上げたことが裏目に出たか。エンジンの出力特性がイマヒトツ。最後にメイン先導役機長に指名?された管理人。前述の通り、先週5PS型機の車検を済ませており、とりあえず備えは完了というところだ。果たしてメンバーの期待に応えて、この重責を果たすことができるだろうか?
さて、出発当日は9月の連休初日である。当然のことながら外出する人が多く、集合場所の前を通る国道153号線は既に渋滞気味だ。これだから詳細なルート設定は意味が無いんだよなぁ。まああまりに酷いことになっていたら、早々に東側の国道152号線なりへルート変更をすればよいだけだ。また台風の進路が逸るという幸運に恵まれたおかげで、一週間前の天気予報とは大きく外れ、やや雲が多いが、雨は心配ない程度の天気である。アリガタヤ〜アリガタヤ〜ァとか考えながら、25ノット(50km/h)程度で足助、稲武を通過して長野県へと入っていく。バイクもたくさん出ておりますな。お、「ボルドール(本当はCB750Fインテグラ)」が対向車線を走っていった。独りでうけつつさらに北上する。幸いにも交通量も減ってきて、根羽村から茶臼山方面へのルート変更する必要もない。そう思っているとまた「ボルドール」が通過していった(だからCB750Fインテグラだって)。そういうわけで、そのまま153号線を走行して道の駅平谷へ到着する。
時間はまだ8時30分頃であり、天候も薄日が差している程度なのでちょっと寒い。しかし安心してチョウス。当方は先日の北海道ツーリングで使用した上着を着用しており、全く寒さは感じていない。他のメンバーは寒いということで、中に一枚着込んでいたと報告しておこう。当方もちょっとは学習したものだと自惚れてしまった。もっとも学習するまでの期間が長すぎると言われればその通りである、ヤマトの諸君。
さて、ここでは出発前打ち合わせを行い、天候が良いので全て一般道ルートをとることとした。各々用を足したり、水分を足したりして準備を整えて出発する。
道の駅平谷にて
153号線を飯田まで走り、そこからはフルーツラインという農道を使用するということでROUTE PLANEDであったのだが、飯田の市街をかわしていこうと色気を出してしまったので、前述の農道への接続路を見逃してしまった。しかも農道の位置が153号線の東なのか西なのかもわからなくなってしまったので、そのまま国道を北上することにした。つまりは早速ミスコースしたというわけだ。まあ今回は後ろに3台の計4台で走行しているのだから、チョコマカ道を変えないように無難に153号線でheading360を維持していく。どうも管理人はこの辺りはまだまだ技量がイマイチである。まだまだ訓練を積んでいかなければならないぞ。
さて、今日は長丁場であるし、初めて走行する道もたくさん控えているので1時間毎に休憩という原則に従い、駒ヶ根付近のコンビニで休息する。ここでは特にどうということもないので、各自マシンの点検やらルートの確認やらをして15分くらいで出発する。まだ時間は10時30分頃なのでW、R1-Zの両氏と当方はまだまだ楽勝ムードである。しかし、Fazer氏はなぜか先を急ごうという様子であった。今回のツーリングは「走り」を目的にした宿泊ツーリングなので、信州のワインディングを走り倒すことが主題であるのだが、氏は観光もしたいということであった。それは別に良いのだが、当方等がフライトプラン作成を任されている上、目的も開示しているのだから両方は難しいと思われた。また、この次の休息はどこで、何時に予定されているかと聞かれたが、それも走ってみないと解らない。1時間後にどこにいるかなんておおよそ茅野市近郊と答えるくらいがせいぜいだ。それどころか全くの初走行となるエリアならば、マップルを主体にして太陽とコンパス等の補助航法装置を用い、腹時計で時間計測することしかできない。
ここからも引き続き、当方が先導機長として走行を継続する。プランは分杭峠北1マイルの中沢峠へ、県道49号を使用して国道152号線へ繋ぎ、そのままさらに北上して高遠を抜けて杖突峠から茅野へ抜けるというもので承認された。いつもは152号線からこの県道を下って駒ヶ根でソースカツ丼を食すことが多いが、今日は逆ルートを辿っているのでなかなか新鮮だ。そしてさらに、道も広く改良されていたので、ものすごく走りやすい。まさに快走である。そんなことを考え気分よく走っていると、なんか右に逸れる道が現れた。あれ??こっちじゃあなかったっけ?と思い、一旦停車してW査察操縦士に相談する。多分まっすぐだろうという結論に達し、ここからは一旦W査察操縦士に先導機長を交代してもらい、当方はコパイとして二番手を行く。
この49号線も中沢峠付近に来るとかなりうねってくる。そろそろW氏お得意の火花走法を拝むことができるかと期待していたが、バンクセンサーから火花が出ない。先週のタイヤ交換が効いているのであろうか。また、センサー棒そのものが擦り減ってしまい、もう火花を飛ばす余地がないのかもしれない。そもそも前述のように今日は長丁場なので、やや力を温存気味に走っているのであろう。まあ後半に期待しよう。
さて、中澤裕子峠からは国道152号線へスイッチする。この道も分杭峠以南では片側1車線のアーモン級道路であるが、それ以北はわりと整備が進んでいる。美和湖の東岸を快走して高遠の街を抜け、杖突峠を目指す。ところで、この高遠は桜の名所であり、R1-Z氏も母君の接待に利用したこともあるようだ。しかし、その時期の渋滞たるや相当のものらしく、あまり評価が良くなかったと報告しておこう。
快走を続けていくと、諏訪、茅野の街が眼下にドドーンと現れた。やや、絶景かな、絶景かな。W機長の判断で杖突峠茶屋の展望台に停車する。おお〜と皆で景色を堪能している間に、ヒネクレ者の管理人はカワサキの「VERSIS」が停まっていることに気がついた。なぜそれがそんなにおもしろいか。同車のヘッドライトのレンズ形状が、ムチムチのフカキョンが扮し、一躍脚光を浴びたドロンジョ一味の長「ドクロベエ様」に似ているからだ。関係ないがカトショーはナガノトモヒサ率いるアーモン軍団の一味である(くどい)。
おしおきだべぇ〜
このVERSISはER-6シリーズの兄弟車でもあり、リアサスの取り付け位置やマフラー形状などがそのことをはっきりと表している。当方はこのバイクはなかなか良い名と思っているが、シートの厚みが無いのでロングはちょっと辛いのかなと想像するが如何に。全く話は違うが、当方はムチムチ大好き変態でもあると追記しておこう。
峠茶屋から茅野へ下る区間は中速ワインディングである。数年前にもV-MAX梅さんと走行したことがあるなぁ。それにしてもちょっとキャンバーのつき方が緩いせいか、やや危険な感じは否めない。またW氏の話では、もう少し季節が進むと松葉がたくさん落ちて「ズルズル」になるそうだ。そう感じながら気持ちの良い程度の速度で右へ左へ、腕へ力を入れないようにコーナーを抜けていく。今シーズンの懸案である左カーブは、ハンドルグリップを上から持つ傾向にあったことに気がついて、やや下の方から押し上げるような位置に握り方を変えた。こうなると前輪はかなりスムースに舵角がついてくるようになったので、一安心。でも安心はできなかった。街を眼下に見下ろす右コーナーを抜けるとガードレール下に刀が潜り込んでいるではないか。こりゃ他人事ではない。一応停車して様子をうかがってみたが、どうやら人間は別方向へ滑っていったらしく無傷のようだ。仲間と思われる方々と必死に刀を引っ張り出していた。
やれやれと無事に街まで降りてきたので、ここでR1-Z氏とW氏が給油する。また、丁度良い時間なので昼飯にするかということになり、R1-Z氏がスタンドの従業員に近所の店を尋ねてくれた。氏はこういう場面では本当に機転が効く方である。当方はあまり人にものを尋ねることが得意でないので、こういうことはできない。この場を借りてお礼を申し上げる。
昼飯は無難にとんかつとなった。丁度先ほど給油したスタンドから1km程離れたかつ時というアトムグループの店だ。ここでは午後からのプランを検討する。マップルを見てみるとウネウネとした道がそこらじゅうに記載されているし、しかもおすすめルートマーク入りである。蓼科を通る国道299号線、白樺高原を通る蓼科スカイライン、高速ワインディングの様相を呈している県道40号線の諏訪白樺湖小諸線も捨てがたい。ビーナスラインも一応選択肢に入れているが、どうも有名所は混むので避けたいと考えていた。しかし、Fazer氏によると、今時分ならばもう寒いので問題ないだろうとのこと。そういうことであるならば、一度行ってみたかったとプラン承認と相成った。
ここからは再び管理人の先導で和田峠、扉峠とビーナスラインを進んでいく。車輪を進めていくにつれて標高が高くなり、道は断崖の上に高架で建設されている。どうりで、昔は通行料金が高かったわけだ。その昔結婚していた時、失業してやっと今の会社に就職が決定し、少し時間ができたのでロングドライブに来たことがあるが、何千円か払った覚えがある。山々が連なる景色を堪能しながら走行しているとそんなことも思い出した。ああ、そういえば、高校時代の修学旅行でも来たことがあるなぁ。高校時代というと管理人は「天木さん」である。とてもやさしく応対していただき、浪人中もたまに電車でお会いしましたが、今はお元気でいらっしゃるだろうか。案外美ヶ原は想い出多き所なんだな。それはそうと残念であることは、雨こそは降る気配は無いものの、若干雲が多くなってきたことだ。
途中何回か4輪車に詰まったものの、概ね快走で美ヶ原に到着した。いやー、空気が旨いのか、薄いのか、よくわからんが少し寒い。10℃前後というところだろう。とりあえず皆でトイレに向う。さて、このトイレであるが、山頂なので水が不足しているから100円寄付願いますと箱が置いてあった。どうなのか、まあ大したものは買わないので100円入れておこう。「パコ〜ン」と100円玉が箱に入っていったが、どうやら中は空に近い状態のようだ。よくよく考えたらこのトイレのある建物で売っているものは、その代金も含んでいるものと思われる値付けがされている。別に寄付する必要もなかったのかな?また、トイレ自体はきちんと清掃されているので、まあこんなもんでしょう。
さて、管理人はソフトクリームをナメナメして、他のメンバーは暖かいコーヒーを飲みつつビーナスラインの感触を話し合う。当方の場合、悪くはないのだが、これならばもっと空いていて楽しい道はいくらでもありそうだというところが正直な感想だ。まあ楽しいし、景色も良いので悪くは無いのだが。それにしてもW氏のマシンはあまり調子が上がらないようだ。というのも、いつもならば追い越し加速等で遅れをとることはないのであるが、今日は全走車を追い越す前に、先にあるカーブにさしかかってしまいうことがしばしば見受けられた。どうやら先日キャブ清掃をした際のスロットルポジションセンサの調整がまだ完全でないのかもしれない。
この後のプランをまた全員で話し合うが、もと来た道を戻るだけでは面白くないし、せっかくここまで来たのであるから、たくさんある他のワインディング路もできるだけ多く走行したいというわけで、数キロだけ戻り、県道178号線から国道152号線で小諸へ向かうことにする。ここで少々疲れた管理人に代わって、R1-Z氏に先導機長をお願いした。ただ走行メモだけは当方が作成し、後方から支援することは言うまでも無い。PICは当方で、PFはR1-Z氏というわけだ。
美ヶ原ふる里館前にて
記念撮影後、R1-Z氏、当方、W氏、Fazer氏の順番でもと来た道を戻る。おっと、178号線の分岐でR1-Z氏ミスコース。こんなことは別に珍しいことではないし、自慢じゃないが当方なんかしょっちゅうミスしているので、合図をしてUターンをお願いする。ここでちょっとハプニング。最後尾のFazer氏が痛恨のUターンゴケだ。幸いにも4輪が来ておらず、マシンダメージもレバー曲がりと少々の傷のみだ。フレームに取り付けたスライダが効を奏したか。しかし、R1-Z氏に先導をお願いした当方の判断はまずかった。もっと下に降りてから代わってもらうべきであった。
正規のコースである県道178号線へ戻り、走行を続ける。ちょっと狭いが、ここも結構いけますよこのトン汁。林間の、マイナスイオン出まくり状態の道でコーナーを駆け抜ける爽快さ。やはりいろいろな道を走ることにして正解であった。ということで、次に国道152号線を左折するのであるが、あれ??国道142号線の表示になっている。後で地図を見て気がついたのであるが、これは当方のメモ作成ミスである。ナハハハ、まったくもう。
こうして大和橋交差点で国道152号線と合流、R1-Z氏に左折を指示して北上を継続するが、この区間は市街地走行になってしまった。どうせならば、美ヶ原を北側に越えて、県道468、62号線と繋いだ方が賢い選択であった。ルート選択とは本当に難しいものだ。
市街地走行でペースが上がらなかったせいか、かなり疲れてしまった。R1-Z機長も同様だったようで、国道18号沿いのコンビ二で休息を入れる。この時点で15時を回っている。さてどうするか、R1-Z先導機長と当方でいよいよ最終目的地までの道程を設定していく。もちろん高速に乗って行けば何も考えることなく目的地に到着できるが、この時間でこの奥の手を出すことはない。もとより、「ウネウネワインディングを走り倒そう」という大題目の下、このツーリングは進行しているのだ。
結局数キロ東進してから県道94号線でheading020に変針し、東御市を駆け抜けてから当方の希望走行路である嬬恋パノラマラインで嬬恋村を横断、万座ハイウエイを行くことで決定。早速エンジン再始動許可を得てから出発する。国道18号線は丹頂鶴であるが、県道94号線はメチャメチャ楽しい。というのも、いきなりググッと標高を上げつつもウネウネしているのでエンジンを比較的高い回転数まで上げることができるし、眼下には広大な盆地が見えるからだ。思わずメットの中でヒョ〜(チーターではない)と叫んでしまった。
そしてこの道の峠にある湯の丸高原へ。ここの休息は予定になかったが、R1-Z機長の(膀胱の)判断により実現した。そう、この辺りまで来ると相当に気温が下がってきているということだ。事実この高原にはスキー場やそれに付随する宿泊施設なんかも建てられている。もっとも、スキー場は現在は牛の放牧に使用されているが、シーズンともなると穴場的スキー場として密かに繁盛することだろう。話は変わるが、W氏が「ジャージー種」の牛がいることを目ざとく発見していた。確かに、よく見ると茶色いのがいますな。
ちょっと解りにくいですが
ところで、満タンであったのはR1-Z氏のみではなく、他のメンバーも同様であったようだ。皆マシンを駐車すると無言でそそくさとカワヤへ向かう。気温的にも10℃台前半まで下がっているものと推測される。さて、メンバーの水分調整が終わったところで改めて周りを見渡してみると、S2000の同好会と思しき方々が我々のすぐ前で、マシンを囲んで雑談していた。S2000というと管理人の友人の天野氏(通称アマンキュー)である。彼は尖った車が好きで、CR-Xを三台(部品取り車を含めて4台)所有した後に、現在はS2000に乗っている。もっとも、年齢による嗜好の変化で、最近は家族のCIVICを愛用している。彼の逸話は数え切れない程存在するが、その中でも一番笑えるものは「DIOハイフラ使いすぎでバッテリー死亡」である。それは大学時代に、なぜか普段用の足であった原付である、ホンダDIOにウインカーの点滅速度を速くする「ハイフラッシャー」を装着し、目いっぱい速い速度にしてウインカーを使用していた。ところが、原付のバッテリーなんて容量が知れているので、1ヵ月もしないうちにバッテリーが往かれてしまったというものだ。その後は最大に遅い速度で使用していたからまた笑える。
そんなことを考えて、独りで笑いながら写真撮影などをして、高原を後にする。
それにしてもルート確認をする際、このエリアはマップルの90番台のページに記載されており、いよいよツーリング気分も「きたぁ〜」というくらいに高まってくる。で、この後は予定通りに、当方のメインエベントである嬬恋パノラマラインへ進入していく。この道はちょっと入り口が解りにくく、やや時間を食ってしまった。当方は偶然にも50cmX40cm程の看板を発見していたが、これだけでは不十分だ。こういう事態に対処する方法としては、道路の接続された角度から判断するというものがあるが、そんなものそうそう覚えているはずも無い。当方が先導していたとすると、間違いなくミスコースしていたことだろう。
さて、この農道であるが、当方の期待に70%程度応えてくれた。緩やかな高低さを伴いつつ、広大なキャベツ畑を大きい弧を描きながら通るその道筋、右手には雄大な浅間山。我々以外には通行する車両無し。はっきり言って貸切状態である=好きな速度で走行可能だ。これはすげえやと路面状況を確認しながら速度を上げていく。おっと、農道だけにトラクターなんかが土を落としてしまっているが、先頭のR1-Z氏はかまわずにかっ飛んで、かなり前方へいってしまった。当方は先日の北海道ツーリング、厚床での出来事からかなり自重気味な、遠慮した速度で楽しむこととした。
さて、この道であるが、正確には浅間広域農道と呼ばれており、国道144号線の北側の区間が北ルート、南側は南ルートと呼ばれている。また、北ルートはキャベツロードの愛称もあるそうだ。今回我々が走行したのは北ルートの一部である。また、Wikipediaによれば、北ルートは「北海道を彷彿とさせる」と記載がある。この7月に北海道に行ったばかりなので容易に比較できるが、少し違うが確かに似ているというところだろう。まず、北海道のどの辺りに似ているか。野菜がメインの畑は帯広近郊に広がっているが、そこ一番近そうだ。しかし、帯広は山ははるか遠くに見えるのみで、防風林も立っている。この辺りが決定的に違うと思われた。
そうは言っても、気持ちよ〜く流すには最高の道であることには変わりない。ぎょ!パトカーが休息所に停車しているぞ。取締りをしている様子はないが、威嚇効果は十分だ。以降はメンバー全員で気持ちよ〜く流していく。そうすると無印食品嬬恋キャンプ場へと分岐する道へ合流するが、ここは右折して進んでいく。ここからは一旦山間ルートになる。また、「折りしもその時ケンシローは(千葉繁の声で)」、いや、折りしも中本工事箇所があり、ちょっと止められてしまう。ところで、全く関係は無いが、中本工事は学生時代に体操選手として慣らしていたそうで、卒業時には商工会議所への就職も決まっていたそうだ。しかし、なんとかドリフに入れようと、イカリヤとカトウが毎晩自宅へ出向いて両親を説得したということがあったらしい。
さて、山間部を抜けて再び畑が広がる道を趣味悠々と走行する。NHKの同番組テーマ曲が「チャーラララララァ〜ラーラァラララ」と頭の中を駆け巡っていく。するとガソリンスタンドと交差点が現れた。方角からするとまっすぐで良いのだが、スタンドの店員に道を尋ねると「万座ハイウエイへは接続していないので、国道144号線に降りたほうが良い」とのこと。確かに、事前調査でも未接続の件は承知していたが、思った以上に時間がかかると思われるので、このアドバイスに従った。
右折して一旦国道へ出て、そこから再び左折して変針して万座ハイウエイへと車輪を進める。この万座ハイウエイは20km以上の長さがある有料道路で、料金は720円である。少々高いかとも感ずるが、路面はバッチリ整備されているし、道幅も広いので走行ラインを広く取ることができる。コーナーのカントは少なめであるが、Rは300前後が主体であり、非常にダイナミックにコーナリングを楽しむことができる。時に先導のR1-Z氏はそれを瞬時に見抜き、エンジンをパワーバンドに乗せて飛ぶような走りで進んでいく。当方も直線区間だけは大きめにスロットルを開けて、なんとか面目を保っていく。それにしてもW氏のマシンはやはり調子が悪いようだ。前回のツーリングではもっと切れ味鋭く加速できていたと思うのだが・・・。やはりTPSの調整が影響しているのだろうか。
万座ハイウエイも終点になるところでは標高もかなり高くなり、6000フィート(2000m)近くになってくる。当然気温も下がってくるのでトイレが近くなることは言うまでもない。加えて高速走行で力を入れていたせいか、その傾向に拍車がかかることになる。ということで、一旦万座温泉の入り口である、湯気が立ちのぼるバスターミナルで休息する。ここは40R位かと思われるコーナーの頂点にあたり、「俺サ」には最適のコーナーとW氏が評価していた。管理人の世代ならばまだまだレーサーレプリカブームの中におり、「俺サ」というと笑いがこみ上げてくる。当方なんかがやったら完全に仏級であることは言うまでもない。因みにW氏はA級を取ったことがあるとかないとか。昔はYGでかなり走り込んでいたそうだ。
万座温泉にて草津白根山を背後に
(左からR1-Z氏、W氏、Fazer氏)
そんなことを話しつつここからはFazer氏の先導により、本日の宿へ向けて最終区間の走行を開始する。因みにこの万座温泉から県道466号線を北上して、さらに標高を上げていくと木がなくなり草地になることがある。これは木が生えることのできくなくなる気候になったことを意味しており、その境界は森林限界と呼ばれている。北海道なんかでは比較的標高が低くても見られる光景であるが、関東甲信ではかなりの高度を稼ぐ必要があろう。
この後は国道292号線、志賀草津道路に乗り、heading300でさらに上っていく。その頂点は「渋峠」である。ここは日本の国道の標高最高所であり、マップルやその他のツーリング記では見たことがあるが、今までに到達したことは無かった。因みに北海道の国道最高所は国道273号線の三国峠である。
それにしても寒い。雲も手で掴めるほどの所をダイナミックに流れていくし、気温表示版は最低で7℃を示している場所もあった。いささかボーッとするのは酸素が薄いことに起因しているからだろうか、はたまた疲れているだけのことか。こうして急斜面に張り付いたような国道を通り、山の斜面にかかるリフトを横目に見ながら幾分整備状況の悪い道を慎重に走っていく。
途中で温泉が噴出している平床を通り過ぎて、やっと本日の宿に到着した。いやぁー長かった。時刻も18時前といい時間ではないか。しっかりとワインディングを走り倒すことができた達成感、後に待つ温泉と飯。やっぱりロングツーリングですな。
今日の宿泊は前述のように蓮池ホテルであるが、ここはスキー場の前にある、もともとはスキー客を相手にした宿泊所だ。ここまで来るにあたり、渋峠を越えてからはスキー場と温泉がずーっと続いてきたし、この先もこういう状況で乱立しているようだ。冬場はもちろん本業で賑わっていることであろうが、夏場は収入的にきついのであろう。ツーリングライダー向けに格安プランを提供しているところもあり、ここはその内の一軒というわけだ。お、バイク用の駐輪場も軒下に設けてある。んー、軒下とはいえ、こういう心遣いは非常にありがたい。ちょっとした露や雨を防ぐことができるからだ。だいたいバイク乗りの傾向として、マシンが濡れたり汚れたりする、または直射日光にあたることもあまり良い気がしないものだ。
さて、チェックインして部屋へ向かうと、14畳程の大きな6人部屋へ案内された。ここまで400km程を10時間くらいかけてやってきたので、皆疲れている。グダグダしてくつろぐが、飯の時間もあるのでとりあえず風呂へ向かう。もちろんここは天然温泉が湧いており、硫黄臭も漂っている。風呂自体はそれほど大きくないものの、露天風呂はひのき風呂である。ひのき風呂といえば会社の保養所にも「社長室」という名の開かずの間があるのだが、そこにもひのき風呂がある。管理人は鍵のありかを偶然にも知っているので、利用の際は勝手に入っていることは言うまでも無い。
毎度のことであるが、バイクに乗って冷えた体を温泉でほぐすのは、まったくもって極楽である。腰、肩、足なんかもコキコキと動かして、関節の状態も整えておこう。こんなことをしながら、今日のルートをメンバー全員で振り返る。なんと言っても圧巻は万座ハイウエイだろう。今までに6,000時間以上を走行しているが、ここは初めてであり、かつナンバー1の内のひとつに数えられる。いやー、まだまだ走りに行くべく場所がたくさんあるものだ。
風呂から上がり、食堂へ向かう。料理自体はそれほど豪華ではないが、さりとて不足ということもない。むしろ量的には多いくらいだ。比べるまでもなく、また比べるものでもないが、テントで泊まり、自分で炊いたご飯とちょっとしたおかずで質素な食事をしている当方にとっては、何でも豪華絢爛である。もちろん再三述べているように、テントがみじめかというとまったくそんなことは無く、一夜だけとはいえ俺の城だし、質素な食事もとても旨い。空腹と手間がいい味を出しているというわけだ。
飯を食べつつお互いの親交を深めつつ、部屋に戻ってからも各々の素性を叙々に明かしていく。この度の驚きはFazer氏であり、その分野においてはセミプロ並の腕前であり、さらにプロ選手の友人も何名かみえるとのこと。もっとも、それが故に裏側まで見えてしまうので、あまり熱くはなれないとも。なるほど、世の中のマスメディアが如何に美化された部分のみを切り取って報道しているというところだ。
そんなこんなで結局夜中過ぎまで楽しく過ごすことができた。
本日の走行 400km