2010年5月4日
ルートを検討するW氏とR1-Z氏
今年のG.W.は曜日の関係が良く、カレンダー上5連休となった。おまけに天気は5日間晴れの予報だし、これはキャンプツーリングにでも出かけようといろいろ計画していた。しかし、たまにはゆっくりするか、という結論に達し、蓄積した疲労を取り除こうと2日間は温泉へ出かけ、1日は懸案だったXLRのエキパイ&マフラー塗装を行った。ちょうど先月グラインダーを購入したばかりなので、ワイヤーブラシの頭を取り付けて古い塗装を剥がし、錆もばっちり除去した後に、耐熱塗料をたっぷりと塗っておいた。それにしてもさすがは電動工具の威力だ。人力とペーパーならば、こうはいかなかっただろう。
さて、本題のツーリングであるが、当日は香嵐渓に8時集合であるので、R1-Z氏は7時30分に管理人宅に到着するてはずになっている。珍しく当方は早起きしたので、その30分前程に、マシンに燃料を搭載しがてら暖機を完了させておいた。R1-Z氏到着後、少々ルートを打ち合わせて出発するが、当方、途中ででカメラを忘れたことに気がついた。ただでさえ道が混んでいて流れが悪く、集合時間に遅れそうなので、そのまま走行続行だ。そういうわけで今回は不本意だけども、携帯カメラでリポート用写真を撮影することにするか。
そう思いながら、猿投グリーンロードを力石I.C.で降りて香嵐渓へ向かう。すると案の定、手前の追分交差点辺りからすでに渋滞が始まっている。これでは集合時間に大幅に遅れてしまいそうなので裏道を行く。つまりは国道153号線を逸れて川を渡ってから、国道の向こう岸の町道を走行したわけだ。こちらはガラガラへびなので、通常の速度で走行できる。ただ、裏道は生活道路なので、急な飛び出し等には十分な注意が必要だ。
こうして15分ほど遅れて集合場所着。遅れて申し訳ないです。
まずはお決まりの「はい、いくぞ」ネタで会話が始まる。別に何も意識していないのだが、やはりその滑稽さは群を抜いている。だいたい、人にルートを計画させておいて、「ハイ、いくぞ」と人を急きたてておき、最後尾について先導してもらおうって・・・。通常の感覚では全く理解できない。そこが滑稽なのであろう。因みにW氏から「ハイ、行こ」が正確な言い方で、「ぞ」はないと指摘された。おおそうだったのか。失礼。よって、ここからは正確な表記をすることにする。
さて、各人の近況であるが、W氏はマシンのフォークオイルを交換したところ、踏ん張り感が向上したということだ。なるほど、19インチの持ち味が引き出されたと発言されていたが、コーナリング時に前輪が大回りする操舵感が戻ったのであろう。やはり標準整備項目に加わる重要な作業と言える。
近況を話し合うW氏とR1-Z氏
一方R1-Z氏は激務と「ストイック部」でかなり絞ったようだ。「ストイック部って何ぃ〜?」と誰かに聞かれそうだが、これは氏の所属するスポーツジムのプログラムで、筋力トレーニングのみをみっちりと行う60分のことだ。基本的に足を上げた状態をニールホジソン、保持しているので、腹筋は常に力が入っていて、さらにその上に上腕なども鍛えるようだ。まさにその名の通り、一途に筋トレに特化したプログラムだ。因みに当方は、中学時代に所属していた水泳部のインタバル・トレーニングが強烈なトラウマとなっており、あまりそういうことはできない。楽しくエアロビクスで汗を流す程度だ。
話も盛り上がってきて、今日の行き先に話題が移る。当初は開田の「稗田茶屋」あたりはどうかという雰囲気だったが、たまたま管理人が「まつくぼ」の話を出したところ、R1-Z氏が「未だ行ったことがないので是非」ということで、本日の目的地は「まつくぼ」となった。これが後々に氏の運命に影を落とすことになるのだが、この時点では知る由もない。
出発準備をしていると、三菱シルバーピジョンとメグロのコンビが通りかかる。メグロはともかく、旧いスクーターでツーリングになるのだろうか。おぼろげにそう思っていたが、後にこれは皆の共通認識であったことが発覚する。元横綱の保志は八角部屋を運営している。
さて、今日はW査察操縦士に先導機長役をお願いする。氏の飛行経歴は10,000時間程で、YGや本宮のワインディングをNSR250やVFR400で走り込んできた分が3分の1程であると伺っている。また、長野方面は断然詳しいことも見逃してはいけない。
こうして走行開始であるが、連休中で混みあった国道をタラタラ走行するだけではつまらない。そこで、W機長のお薦めプランに則り、国道153号線から県道19号へ乗り換える。そしてこの県道が工事中であったので、県道490号線で少々迂回する。さらにYGへ繋がる県道11号、356号線と乗り継いでいく。これらはほとんど交通量がなく、体をほぐすには丁度良い屈曲路であった。
だいぶ人車が良い感覚になってきたので、今回はYGの休息所を飛ばす。そしてダム湖南側から北側へ移り、東進を続けていくのだが、W氏はスイスイとコーナーをクリアしており、当方もそれに続いていく。ところで、TDMは連休期間中に早めのエンジンオイル交換を実施したので、ギアの切れとエンジン回転の滑らかさが戻っている。ちょっとしたことだが、これが良い走りというか、気持ちの良い走りに貢献していることは言うまでも無い。一方最後尾R1-Z氏は激務で疲労しているのだろうか、様子見で淡々と走行している。これは後日判明したことであるが、中間バンク付近や速度が遅い場合に接地感に乏しい為、ペースが上がらなかったということだ。これに対して、W氏から「アラインメントが良くないかも」とアドバイスが出された。
YGワインディングが終了し、国道256号線に乗り換えて恵那方面へheading360で走行を続ける。この道は山の農村にある田んぼの真ん中を、大きな弧を描きながら通っている。今日は天気も良く、田植えや代かきの終わった水面上を渡ってくる風、そして春のにおいが心地良い。いやー、ツーリングって本当に楽しいですね。
と独りで悦に入りつつ、城山トンネルを通過。別になんてことはないトンネルだが、少し滑稽な想い出がある。そこで当方は勝手に「ハイ行こ!トンネル」と命名させていただいた。さて、その想い出だが、ツーリング中にいきなり土砂降りの雨に見舞われて、このトンネルで雨あしが弱まるのを待っていたところ「はい行こ!」と急かして来る人がいたからだ。そうは言ってもその人のことだ、どうせ道を知らないし、覚える気すらないので後ろからついてくるだけのことだろう。いや、事実そうだった。だったら道を覚えてソロツーリングに特化するか、文句を言わないかどちらかしか選択肢は無いはずだ。やはり理解できないなぁ。
そんなこともあったっけなぁ、と独り笑いをこらえつつ、W機長に先導されて国道418号線でheading090へ変針する。ここは林間の1.5車線の細い道であるものの、途中に滝が見えたり、また森林の香りがするワインディングである。この新緑の季節は特に気持ちが良い。もっとも、遅い四輪車に引っかかりペースはイマイチであったことを除けばのことであるが・・・。
ところで、ワインディング走行では常に技量維持をしていないと、危ない目に遭いかねない。偶然にも今回はコパイの位置で走行しているので、W機長のラインに沿って当方も走行してみた。当方はカーブのインにつくのが早すぎるようだ。これではブライドコーナーで膨らんだ時に危ない。もう少しだけ突っ込んだ方がよさそうだ。最近は先導機長やソロが多かったので、イマイチだなあと思っていたので、これは良い気づきてあった。やはり技量維持には様々な状況下での走行が必要だ。
こうして軽快に森林ワインディングを駆け抜けると道幅が広がり、街という様相を呈してきた。ここが平谷地区であり、ひとまず道の駅平谷にて休息することにする。ここはいつも混んでいるのだが、今日は連休中ということで2輪も4輪も多い。あまり周りの安全を確認していない4輪も多いので、気をつけて駐輪場へ向かう。幸いにも気温が高いので、トイレへ駆け込む必要は無かったと報告しておこう。むしろ暑さ故に水分補給に向かったくらいだ。
ところで、この道の駅は地場の野菜販売所や温泉、宿泊施設まで備えたかなり大規模なものであり、いつぞやの五木のやかたとは大違いだ。また、道路情報などが閲覧できるモニターなどがあるので、面白がって天気、道路状況をチェックする。もっとも主要国道の状況しか掲示されていないので、我々にはあまり有益とは言えない。それよりも、各所にあるテレビカメラからのライブ映像が気になる。自動で数秒毎に画面が変わるのであるが、この道の駅入り口にもカメラがあるらしく、変なバイクの音が聞こえたと思ったら、そいつの姿が映っていたので傑作であった。
ここで当方が「ハイ行こ!トンネル」命名について披露したところ、概ね好評という手ごたえを得た。また、仮にこのでかいモニターにあの顔で「はい行こ!」とでてきたらどうしますか、と質問したら二人ともにうけていた。そして、周辺の道の駅の地図もあったので閲覧していると、峰竜太のふるさと「下條」は蕎麦の食べ放題で6枚食べたとか、前述の五木のやかたは東屋だ、きりら坂下はスーパーの駐車場だと批判したりした。それにしても、こうして見るといろいろとあちこちへ行ったものだなぁ。
さて、水分補給をしながら皆で談笑していたのだが、なぜかまた「はい行こ!」ネタで盛り上がることになる。結局は昔話したことのある内容なのだが、何べん聞いても滑稽でおかしい。当方のヘッドランプが「点かせんがや」、「雷滝行くぞ!・・・どうやって行くだ!」、「2気筒と4気筒どっちが速いだ!」、と一連のネタを蒸し返しては大爆笑してしまう。しかし結論は「バイクにも、滝にも罪は無い」と収束するのだった。
そうこうしていると、ドカのMHR(後期型)がやってきた。当方はドカはそれほど魅力を感じていないのだが、元MP社員であったことからそれなりの知識もあるようだ。そこで、W氏から突っ込みを受け、また当方もそのつもりなので、喜んで解説をした。おなじみのマロッシの直キャブ、ステンレスコンチマフラーと定番の部品が取り付けられている。停車時にはサイドスタンドではなく、センタースタンドをかけているが、その理由は簡単だ。センタースタンドしか装備していないだけだ、それでもって、スタンドを立てるだけなのに、これが重いんだよなぁ。もちろん押し歩きも推して知るべしである。また、後期型と違い、前期型はキック始動しか選択肢が無い。あんな重い車体を車庫から出して、スタンドをかけてエンジンをかける。これだけでもひと仕事だよ。
と話していたのだが、軽々とマシンをとりまわすあのライダー。体型からして若い人かとおもいきや、白髪のおっさんではないか。彼は相当のマニアと推測できたし、そのためにトレーニングでもしているのではなかろうかと思われる。ケツの筋肉は張りがあり、足も筋肉が盛り上がっている。かなりの力持ちのようだ。余談であるが、ヒゲオヤジの潰れたバイク店、MPでは、FJかなんかのサイドスタンドをこれに取り付けるキットを販売していた。けっこう需要があったので、やはりセンスタのみでは不便なのだろう。
それはそうと、今日は様々なバイクを目にする。初めて新型機のCB1100が走行する姿も目撃した。もちろん周りから注目を浴びていたことは言うまでもない。当方の評価であるが、造詣としては実質先代モデルにあたる、CB750の系列である。いや、それよりもやや引き締まった印象を受ける。なるほど、大型化することを極力避け、エントリー層やリターンライダーの取り込みを狙ったのであろう。ちょっと乗ってみたいと思わせるところがあるし、機械構造的にも冷媒も兼ねるエンジンオイルや走行風の通り道を、工夫したりしているところが興味深い。また、「味」を再現する為に、わざわざ2、3番シリンダーのカムの作用角を、他のそれと違うようにするところもイカシテル。こうなってくると空油冷の雄、スズキも黙ってみているはずもないと期待するが、どうなるだろうか。案外カワサキが新規エンジンを設計してWの再販もあるか、とさらに期待が高まる。
各々地図を取り出し、今後のルートを検討する。これがあるべき姿じゃあなかろうか。ということで、ひとまず国道153号線を北上して、ふるさと農道から県道15号と繋いでいくとプランが提出された。もちろん皆承認。エンジン始動、プッシュバック許可を得て、国道を走行再開する。おや、香嵐渓で見かけたシルバーピジョンが帰宅する方向へ走っていく。どうやら相棒のメグロとはぐれてしまったようだ。ふてくされたように帰っていく。
さて、懸案であったこのあたりの気温も問題なく、順調だ。それはそうと、実はこのツーリングは29日に開催予定であったが、雨で順延になっていたものだ。これだけ気候が良いと結果O.K.とW氏も行っていたが、まさにその通りだ。ん?W機長の様子が変だぞ。おっと、W号のミラー脱落寸前になっている。ひとまず走りながらミラーを外してポケットに入れて、緊急事態を宣言後に治部坂へ。
詳しい理由を聞いてみると、どうやらネジ一本の座面のみで固定されているミラーが、外れそうになってしまったとのこと。固定方法を考えないとなぁとW氏。当方はおごがましくも、座グリを設けると良いかもと提案した。
こうしてネジを締めなおし、走行再開だ。ひんやりとした山の空気を浴び、まだ散り始めたばかりの桜を眺めつつ昼神温泉郷を通過する。この後は、国道を離れて、ふるさと農道へ乗リ替えていく。
当たり前のことであるが、ふるさと農道は国道を通るよりもずっと楽しい。適度にUP、DOWNがあり、高速コーナーが続く快走路だ。また、南アルプスの冠雪した山々が遠くに見える。あの辺りはまだまだ冬の様相だ。やや惜しいのは、ここ数日晴れの日が続いているので、霞がかかっていることだが、天気は良いに越したことはない。
飯田市内で農道が途切れるので、今度はは県道15号で北上する。こちらは丘の上を通る道で、両側共にりんご畑になっている。丁度花が満開で、村下孝蔵の「踊り子」の一節、「りんごの花が咲く所ならどこへでも〜♪」と歌いながら走行を続けていく。
話は変わるが、どうもアクセルに対するツキが良すぎて、少々加速過多に感ずる。オイルを交換したことに加え、普段XLRでアクセルを開ける量が大きいので、その感覚で操作してしまうようだ。少し気に留めておこう、と思っていると道の駅花の里いいじまへ到着。おぼえていますか、それは飯島真理、ギルガメッシュナイトは故飯島愛である。
道の駅 花の里いいじまにて
ご機嫌なお二人
さて、この道の駅は食堂、おやつ処、駐車場のスペース、全てにおいて合格といえる。こいのぼりも出ていて、5月の連休という雰囲気を感じさせる演出もなかなか良い。ここは生き残る道の駅であることは間違いない。3人でそう話しながらトイレへ向かう。そして、用を済ましてバイクへ戻る途中にちょっとした事件が・・・。ヒラヒラのついた膝上30cm程のワンピースを着た女の子が、ムチムチの白いモモを露わにしている。不覚にも目で追ってしまったい、下着は・・・と期待したら、なんとショートパンツ履いてました。オッサンとしては嬉しいのだが、社会常識からすると、もうちょっと上品な格好をするように、隣にいるお母ちゃんが指導すべきではなかろうか。因みに足元のおぼつかない、ヨボヨボのジイサンも視線釘付けであったことはびっくりというか、さすがと言うか。
しかし、これは特に驚くことでもない。大学の時に履修した脳科学という授業で、「年齢と性欲の調査によれば、男の20歳の性欲を100とすると、80歳では80ということが明らかにされている」という内容があったことを思い出したからだ。また、その講師によれば、「だから年甲斐も無くという言葉は男には通用しないんだよ」と話されていた。ということで、管理人がヨコシマなことを考えても何も問題は無い、と自己弁護しておこう?。また、この道の駅からは駒ケ岳方面もよく見えて、雪山絶景だとも付け加えておく。
駐輪場に戻り、「ハイ行こ!」ネタをまたまた蒸し返す。その中心人物であるカトキューに、当方が勝手に「ドルーピー」と命名したら皆ウケていた。もちろん、あの頬が垂れたキャラクターである。因みにこの名前の元となった語「droop」は垂れ下がると言う意味の動詞だ。
また、話題にならなかったが、足立ナンバーのセローに載る女性ライダーが地図を見ていた。多少旅なれた感じで、一人旅を楽しんでいるようだったので、珍しいなぁと思った。
この後は飯島の街へおりて、県道18号へ向かう。この道は、マップルでは快走印はついていないが、W機長が前々から「きっと快走路に違いない」と密かに思っていた道であり、今日はその調査も兼ねて走行しようというわけだ。こういう試みは大歓迎で、なにせ道は走ってみなければわからないのだからね。地図だけでは読み取れない情報は実走するしかない。その調査走行過程には「どんな道か」と楽しみがある。この長い文章をお読みの方なら、きっとご理解いただけるはずだ。
ひとまず飯島駅前の北側にある踏切をわたり、さらに天竜川を越える18号線へ。最初は川沿いの、岩肌むき出しの細いワインディングが続いていく。当方はこの区間を単独で通行したことがあるので、それほど恐怖感はない。そしてしばらくすると、片側二車線の破線中央線の広い道に変貌し、見通しの良い高速コーナーが連続する。こうなると思い切ってコーナリングできるので、少々速い速度でコーナーに進入する。お、一瞬タイヤが横方向へ動く。これは滑っていることに他ならないが、林道の訓練が効を奏しているのか、さほど気にならない。また、体が即座にスライドを抑えるように反応して必要な力が入るのには、我ながら驚いた。
そして分杭峠からおりてくる県道49号線にぶつかるのだが、実はここから先の区間にW機長は目をつけていたのだ。当然3名共に未踏の領域である。なるほど、機長が「オーラがある」と表現していただけあって、かなり良さそうな道であることが一目瞭然である。信号が青に変わり、皆期待を抱いて走っていく。果たして、W氏の推測どおり、森を幅広く切り開いて、畑や果樹園の中をウネウネと低、中速コーナーが延々と連続している絶品のロードであった。
火山峠という峠を通過すると、その北側は再び高速コーナーの道となる。全員気分が乗っていて調子よく走っていたら、なにやら解りにくいTの字へぶつかった。案内標識を見ると、どうやら県道18号線を逸脱してしまったようだ。予定では18号線から国道153号線へ合流するはずであったので、W氏のミスコースなのだが、当方なんてしょっちゅうでミスコースしている。これもツーリングの一コマなので、まったく気にならない。ルートに復帰するだけのことさ。
さて、3人が地図を広げて、現在位置の把握とルートへの復帰方法を検討する。まずは川沿いの「ナイスロード」を西進して、県道18号へ復帰、その後伊那市街地で国道153号線へ合流ということになった。それにしても「ナイスロード」って何がナイスかわからない。ただの直線で、警察側からすれば、取り締まりにナイスというところか。ナイスと言えば、塩野アナの「ナイスカーン」である。これも何がナイスかわからない。
いきなり関係ないが、当方の予備校時代の友人に「塩田君」という人がいて、彼は世界史の講師「まつくぼ先生」に似ていた。そこで別の友人が彼のことを「まつくぼ」と呼んでいたのだ。お粗末。
こうして伊那の駅前で国道153号線へ合流した後、伊北I.C.を越えて2、3km行くとお目当ての「まつくぼ」到着である。時刻は13時30分頃で、人も引いた頃だろうと推測していたのだが、甘かった。満席で1組の客が店舗外で待っている。こういう時、大抵の店では待ち順を把握する為の名簿があるはずだ。そう思い、入店してオバサンに「待ちの名前を書くものは無いか」と聞いてみるが、無愛想に「満員ですから待ってくれ」の一点張りだ。それは見ればわかることだ。名前を書いておかないと後から来た人に追い越されてしまうじゃん。まあこれ以上話してもラチがあかないので、店舗外で待つことにする。
カツ丼家ではなく、カツ丼屋だと思うが・・・
14時を少し過ぎてから席が空いたので、入店して座敷を陣取る。するとおばさんがやって来て、「本当は2時までだけど、いいよ」って、だから名前を書くものは無いのかと13時30分頃に聞いたんジャン。まあこの手の店は放かっておいても客が来るのだから、これでも商売が成り立つんだろうよ。こちらも無愛想に「特製カツ丼3つ」さっさと注文を出す。
カツ丼が出てくるまでの間、先ほどの18号線の感動を3人で分かち合う。国道なんてトロトロ走るだけで退屈だが、あの道なら楽しんで走行できる。これで18号線は我々にとって、こちら方面の主要道となることは確実だ。我々も良い道を発見できて嬉しい。
そうこうしていると、20分くらいで運ばれてくる。直径25cm程の丼にご飯とキャベツで4、5cm、そしてカツがまた4、5cmの厚さだ。おや、おしんこだけでなく、ラー油風味の蕎麦サラダもついてきた。これはいけますなぁ。ちょっと遅い時間になってしまい、腹が減りきっていたので、スイスイと食べていく。
ブレているが、W氏が食べようとしている肉の厚さに注目
ところで、管理人はこう見えても燃費が悪く、腹が減りやすい。おそらく日々の運動で筋肉が増えたからだろう。相当腹が減っていた管理人は、ほぼ腹10分目で完食。W氏もなんとか完食。ところが、R1-Z氏は以外にもまだ2割ほど残っている。それどころか、やや苦悶の表情まで浮かべ、泣きそうにも見えるが。カツのでかさに圧倒されつつも、何とか完食した。それにしても彼自身の希望でまつくぼへ来たのだが、結果えらい目にあってしまったというところだろう。そこで出たひと言は「今日は晩飯食えんよ」。
カツ丼を食べ終わって店内を見渡してみる。すると、所狭しとライダーの写真が貼ってあるのだが、これは店の人にお願いすると撮影かつ掲示してもらえるようだ。別に当方等はあまり興味が無いので、誰か見たことがある人はいないかと探す程度であった。とその時、表でゴテゴテにしたハーレーを撮影してもらっている人がいた。撮影の時くらいエンジンを停止させておけばよいのだが、ずーっとアイドリングさせているので非常にうるさい。もっとも、本人は良い音だと酔っているのだろう。その後も10分近くはアイドリングしていた。焼きついたり、カムがかじらないように、アーモン、いや違った、アーメン(当方は無宗教です)。
時刻も15時近くになったので、代金を支払い、外のスペースにある丸太の椅子で腹を落ち着かせる。因みにまつくぼは森のようなところに建っている。どうでもよいが、「看板がカツ丼家って、カツ丼屋だろう」と独りでつっこんでみた。
いささか苦しそうなR1-Z氏とW氏
ところで、この森には胡桃の木があり、その実も落ちている。当方が、先ごろ脱いで引退した「鈴木茜」扮する「早華胡桃(さはなくるみ)」とか言うが、マニアック過ぎたようだ。因みにこの「鈴木茜」であるが、AV女優一歩手前のお菓子系グラビアアイドルで、仲村みうよりも際どかった。一応断っておくが、当方はこの分野については、それほどマニアではない。
ここで、再び「カトキュー」の「ハイ行こ」ネタが再燃する。当方が思うには、決まった道を決まった時間で通過しないといかんのならば、パックツア−でも行ってればよいのだろうよ。今日のように調査走行もしないと良い道は見つけることができないし、知っているつもりの道でも、改修がかかっている場合もあるので、定期的に辿ることも必要だ。そして何回も申し上げているが、人にフライトプランを提出させておいて、「ハイ行こ」、そして後からついてくるってやっぱりおかしい。また、なんで上からモノを言うのだろうか。加えてちょっとでも気に入らないと文句垂れてる。管理人のような若造が言うのもおこがましいのだろうが、年上のやることではない。当方もマシなオッサンになるよう努力すべきであろう。
ひとしきり話して腹を落ち着かせて、帰路に就く。先導機長は引き続き、W査察操縦士だ。まずはもと来た国道153号線を一旦伊那まで戻る。そして気温が高く、混みあっていたこともあり、W機長の機転で県道426号線、88号線と短く繋いで市街地を避け、国道361号線の権兵衛街道に乗る。この辺りは市街地と違い、牧草地を吹いてくる風が心地よい。
ところで、この権兵衛街道は、トンネルを含めてほぼ一直線なので、速度と取り締まりに注意せねばならない。因みに旧道も健在だが、山沿いにかなり高所をウネウネと通っているようだ。昔はアレしかなかったのかぁと先人の苦労を考えていたところ、トンネルへ入る。かなりヒヤッと素肌が喜ぶ香りよ、BAN16というくらいに寒く感じた。速度には十分気をつけて、できれば先頭は走りたくないW氏だが、前方には丁度良いペースメーカーである役所の車が走っていた。これは有難い。
長いトンネルを2本抜けて、前方を走っていたアプリリア社製のペガソに追いつく。そして国道19号に合流する際にペガソ氏は道を譲ってくれたが、本当は先に行ってもらいたかったとW氏。やはり速度取り締まりでやられるのは先頭である。そもそもそのこと自体が取り締まりの怠慢ではなかろうか。一緒に走っていて先頭のみ検挙して、後続は素通り。一網打尽なら理解できるが、それができないのなら警告に留めるか、コソコソ隠れていないで注意を促すべきだろう。
さて、幸いにも取り締まりはなく、17時前に無事に寝覚めの床へ到着した。ところで、W氏はつい数日前にご両親を連れてこちら方面に山菜採りに来られていたようで、その際にここも訪れたそうだ。その時は、階段で川のところまで降りていったのだが、「もう戻ってこられないくらいに下の方に川面があったよ」とW氏。確かに川面はかなり下方で、おおよそ100mはあろうかというところだ。
寝覚めの床
何回も通過している当地にて初めて見物をしつつ、ソースカツ丼を食べて渇いた喉を潤す。ところで、R1-Z氏は国道走行が丹頂鶴、いや単調であったので、眠気と戦いつつ、ここでも苦悶の時間を過ごしていたようだ。こういう際はコーラやサイダーの炭酸飲料などを飲むと効果的である。それにしても、こちら方面は基本的に国道19号線しか道が無い。混んでいなければ問題はないのだが、何かあるとすぐに渋滞する。なんとかよいルートを検討して楽しい迂回路を見出し、さらなる快適なツーリングにしたいところだ。
十分に休息をとった後、同国道をさらに南下していく。ところで、先に述べたように、この国道は単調かつすぐに流れが悪くなる。そうなると疲労感倍増になってしまうから、混み具合によってW機長が中津川近郊でのルートを判断する手はずになっている。清内路ルートの国道256号線、妻籠・馬籠ルートの県道7号、国道363号線ルート、阿木川湖の国道257号線ルートのどれかである。理想は目いっぱい国道19号を快走してから阿木川湖ルートに乗ることであるが、こればかりは行ってみないと混み具合がわからない。因みにW氏が先日来たときは、ほぼ45ノットで19号線を巡航できたとのこと。それならば理想ルートに乗ることもできそうだ。
W氏の予想通り、19号線はさほど混んでいなかったが、恵那市街地手前まで来ると渋滞が発生していた。丁度片側2車線化された区間が終了して1車線になる地点だ。これは長いぞということで、副操縦士担当の当方がでしゃばってコントロールを引き継ぐ。そして以前R1-Z氏から教わった那須川農道へ誘導する。こちらはほとんど交通量が無く快走できたのだが、県道407号線を右折するところを誤って左折して、W氏にコントロールを戻してしまった。これでは阿木川を渡った後、らっせい街道の県道66へ乗ることはできない。完全に当方の勘違いであった。申し訳なかった。しかしそこは走行10,000時間のW査察操縦士である。県道407号をheading180で難なく走行し、国道363号に合流した。「こっちも知ってるから問題ないよ」と。流石は査察操縦士。
こうして女城主で有名な岩村でコンビニに入り、最後の休息をとる。時刻も19時を過ぎて、暗くなってきた。一般的にこの時間帯は視界が悪く、事故が起きやすいとされているが、まったく偶然にも市街地の手前でNSR−SPがキズキズになって、救急車が来ていた現場を通りかかった。たぶん道路脇から農家のトラックが出てきて、びっくりブレーキで転倒したのであろう。これについては当方のみならず、皆同じ見解を持っていた。
さて、ここで水分・栄養補給をしながら、次回ツーリングの打ち合わせをする。やはり次回は、昨年行きそびれた「せせらぎ」ということになった。時期はやはり梅雨入り前ということになるが、今年は雨が多いので天気が心配だ。しかし、こればかりは心配しても始まらない。
それはともかく、先ほどの事故を目撃したので、話題がなぜか死亡事故へと移る。当方が目撃した死亡事故は、NSR50でレースをしていた時、レーサー兼監督兼メカニック兼外部交渉役をしていたのだが、あるレースで後続にはねられて空中に舞い、路面に叩きつけられてぐったりしていた人がいたことである。すると、W氏がさらに強烈な事故目撃状況を開陳された。それはNSR250で走っていた時に見たもので、あるライダーがこけて対抗車線へ滑っていき、反対から来たバイクに頭を引かれて回転しながら飛び上がり、路面に叩きつけられたそうだ。もちろんほぼ即死だったようであるが、W氏他、居合わせたライダーが、けが人を救急車に乗せる作業を手伝ったそうだ。また、彼の友人のアフリカ氏は同じような状況を目撃し、救急車が来るまで「けが人がうなっていた」そうだ。我々も他人事ではない。十二分に気をつけても足りないかもしれない。
そして事故というと、レース中にも頻繁に起こる。W氏がよく覚えているものは、日本のトップレーサー伊藤真一が菅生のストレートでウイリーして気絶、ゴム人形みたいになって転がったというものだ。あの気絶した人が転がるところは、なんとも奇妙である。氏の言葉を借りると「ちょうど衝突実験の人形」、うまい例えだ。うぉ〜、思い出すと背筋が寒くなってくる。因みに人形は北欧のある会社が世界の市場でほぼ独占供給しており、一体何千万円もする代物だそうだ。そういえば、会社の同僚が、以前衝突実験のデータを取る仕事をしていた時、「ツギハギだらけの人形を使っていた」と話してくれたことがある。また、「あんなボロボロの人形で、よいデータが取れるか疑わしい」とも。
さらに、夜の帳が降りてきたことから、若き日のW氏が行った「林道ナイトラン」の逸話にも耳を傾ける。当時はまだ、ガルルとバックオフの2誌がオフロード雑誌として月刊で発行されていて(補足:現在両誌とも月刊化されてました)、それに林道ナイトランという記事があったそうだ。ところで、林道の夜間走行の面白さは何か。W氏によればその一つは「様々な動物に遭うことができる」ことだそうだ。タヌキや鹿は当たり前で、キツネなんかもいるらしい。また、話は変わるが、氏の小学校は山間部の学校であったので、様々な野鳥が飛来してきたそうだ。学校側としても絶好の理科教材として観察を奨励していたらしく、氏は野鳥にひときわ詳しい。またこの活動は現在でも続いており、最近は「ホンシュウモモンガ」が学校の木に住んでいるそうだ。関係ないが、このモモンガの名の由来であるが、モモ=丸いもの、グァ〜と鳴く動物、これがくっついてモモンガになったという説がある。
随分と話が弾み、楽しい休息となった。しかし、遅くなるといけないので走行を再開する。この後は無事に国道363号線でで明智、シーサーならぬ狛犬から国道418号線、県道33号線でR1-Z氏が離脱して帰路を目指し、W氏と当方は亀首町で別れた。
今回は久々の400km越えロングとなり、大変有意義なものとなった。そして、「林道ナイトラン」という初めて聴く逸話も新鮮であった。やはりW氏は当方と2ケタは違う、査察操縦士である。一方、R1-Z氏にとっては苦悶することの多かった一日であったが、次回も長くなりそうですよ。「ストイック部」で鍛えた成果が発揮されるのだろうか。乞うご期待!
本日の走行430km