乗鞍スーパーロングツーリング

(2002/09/15)

 

 

 

乗鞍岳をバックにR1-Z氏 

(解り難いが、向う側の道は延々と車が連なっていることに注目)

 

乗鞍スカイラインといえばバイク乗り、とりわけツーリングライダーなら一度は訪れたいと思っていた道であろう。なぜ過去形かはご承知のとおりである。そう、R1-Z氏と管理人が訪れた年が最後の自走できる時であったのだ。氏とは前年の中田島砂丘ツーリングより、度々ご一緒させてもらっている仲であり、故に徐々に管理人のペースに対して氏が「汚染」されてきていた。前出の通り、同スカイラインは自走できる最後の年ということで、「最後に行きましょう」と氏から提案があったと記憶している。また、管理人も当然のことながら、二つ返事で了承したことは言うまでも無い。二人で打ち合わせた結果、朝6時にいつものショッピングセンター前集合と、かなり気合の入った計画を実行することとなった。

 

平湯峠へ

 

この年はTDM850に乗り始めて二年目であり、500時間程の飛行時間を記録していたと思う。丁度2気筒車のマスが比較的集中しており、スリムな車体幅と相まってコーナリングが楽しいと気が付いて、うれしくって仕方なかった頃だったと思う。それに加え、強烈に立ち上がるトルクも痛快だと知った。もちろん今でさえも本当に楽しい。因みに、この加速感について与太話をひとつ。太古の昔から人間は狩りをしてきたことは周知の事実であるが、急激な加速が楽しいと感ずる事実はここに由来するらしい。というのも、狩りの際には獲物めがけてダッシュする=急加速する。これを気分良いと感じているから狩りができたわけであり、獲物を仕留めることができたのだ。その名残で現代人も加速感を楽しいと感ずるという説があることを付け加えておこう。

さて、街中を抜けて退屈な国道から高山市にやってきた。朝早く出発したので、この時点でまだ10時過ぎだった。いつものロングツーリングなら復路に移るわけであるが、今日は初のスーパーロングツーリングだ。我々の定義では、往復で300km以上がロング、500km以上がスーパーロングということになっている。因みに200kmを割り込むとショートになってしまう。そういう訳で、ここからさらにR158を磁方位090で数十km走行し、平湯峠に向う。この道は山の北側を通っており、日影になる部分が多いのでやや寒い。高山では薄曇りで太陽が出ていたが、この辺りを走るにつれてだんだんと雲行きが怪しくなってきた。そして平湯峠に到着すると大変な霧で、視界がかなり悪くなった。一旦停車して、R1-Z氏と打ち合わせる。天気があまりにも悪いようだったら道程を変更するということで、とりあえずスカイラインの料金所へ向うことにした。

 

いよいよ乗鞍スカイラインへ

 

 霧の濃い料金所付近の駐車場にて。(R1-Zを冷却中?)

 

ついにやってきた乗鞍スカイライン。管理人は3歳前後の頃に家族できたらしいが、全く覚えていない。実家に当時の写真だけ存在していることが不思議だ。つまり、実質初めての乗鞍と言ってよかろう。なんだか浮き足立っているので、慎重に歩を進めることを肝に銘ずる。2〜4%程の勾配がついたワインディングであるが、4輪車が連なっており、ペースが上がらない。残念だと思ってミラーを見てみる。なんだか後ろを走行しているR1-Z氏の挙動がおかしいことに気が付いた。やけに車間距離を開けているのだ。???と思いながら料金所のある休息所へバイクを入れる。相変わらずのひどい霧で視界が悪いので、再度方針を検討することにしたのだが、R1-Z氏はそれどころではなかったようだ。「オーバーヒート気味でエンジンがタレていた」とは驚きの告白。250ccの2ストがこの気温でタレるとは再び???だ。というのも、管理人は梅雨明け10日の頃に、地元から350km離れた松本市の友人をNS50Fで訪ね、さらにそこを拠点に1週間程毎日ロングツーリングを楽しんだことがある。その際にはエンジンが最高出力を発揮する10000r.p.m.付近で連続運転をしたのにもかかわらず、タレることは全くなかったからだ。やはりピップ(仮名)で購入した車両には問題があるのだろうか、と思っていたことをここで告白してしまおう。

この先はさらに渋滞がひどいらしい。しかし雨は降っていないという情報なので、山頂の駐車場を目指す。それにしてもすごい渋滞だ。全く動かないと言っても嘘にはならないだろう。慎重に左から、時に右から違反の無い範囲ですり抜けていく。R1-Zも調子を取り戻しているようだ。約15kmの道のりを走り、山頂の駐車場へ到着する。しかし、駐車場は満車であるからして、邪魔にならない所にバイクを止める。渋滞の原因はこの山頂の駐車場が満車で、入れ替わりにしか車が入れないことに端を発していたのだ。バイクを止めていると、「バスが5時間遅れで到着しました」と発表があった。もはや正気の沙汰とは思えない。艶姿阿弥陀如来有難いねぇ、2輪車。

 

乗鞍岳とは

 

丁度昼時であったので、売店でうどんを食べた。さすがにこの季節になると標高2700mは寒い。暖かいものを食べたくなるのが人情というものだ。因みに管理人は、旨いものを食べても菊正宗が飲みたくはならない。腹が膨れたので軽く運動といこう。さらに高い所へ登ってみる。写真を撮って喜んでいると、なんだか息苦しくなってきた。10000ft.近い標高の場所にいるわけだから当たり前だが、すっかり忘れていた。後日写真をみてみると、なんだか顔色が悪いという事実に気が付いた。最初の勢いを一気に失い、負けそうな10ラウンド目のボクサーの如く山を降りてきた。コーヒーを飲みつつ氏と語り合う。最後の年に来ることができてよかったなぁ。バイクって楽しいなぁ。そんな話をしたと思う。ところで、肝心な風景だが、霧でほとんど遠くが見えなかったし、山頂付近は特に何も無く、岩ばかりであったと報告しておこう。ともかくここに来ることができて嬉しかったというわけだ。

 

哀愁の背中のR1-Z氏

 

                               

                          笑っているが、顔色の優れないR1-Z氏                    元気が良いか悪いか判別不能な管理人

                           (バックは乗鞍コロナ観測所か?)

 

帰路

 

さて、午後も2時ごろになったので帰路に就くことにした。往路と復路は別の道を選ぶことが管理人のツーリングでは暗黙の了解となっている。帰りは南側から降りることにする。ぐんぐんと道は下っていく。こちら側は中央線の無い、やや細い道であり、とてもツイスティである。しかし、山頂に上って行く車が列を成しているのであまり楽しめない。こちらも慎重にバイクを進める。TDMはややスロットルに対するツキが良すぎる傾向があるので、こういう場面では気を遣う。もっとも、限定解除で用いた試験車、VFR750Kよりは緩やかであるから慣れの問題である。低速のタイトターンは案外得意で、長いストロークのサスペンションの動きを利用して小さい弧を描くことも苦にならない優れものだ。

やや天気が悪いので、梓湖をショートカットするために上高地乗鞍林道を走ることにした。この有料道路は林道とはいうものの、完全舗装の1車線道路で交通量も少ないから安心して走ることができる。低速、中速、高速のコーナーが混ざっており、林間を走り抜ける爽快さは格別である。ところで、走っているうちに天気が回復してきた。山の天気とをんな心は変わりやすいのだ。もっとも天気はある程度予測できることがすくいであることはいうまでもないのだが。

 

まとめ

 

ずいぶんと粗いリポートになった。もう5年も前のことだから勘弁してチョウス。乗鞍スカイラインはシャトルバスのみでしか行くことができないが、上高地乗鞍林道、梓湖、野麦街道と野麦峠、ムトOハップでお馴染みの白骨温泉、乗鞍高原温泉とこの地区は、管理人の大好きなものがたくさんある。ぜひまたゆっくりと訪れたいものだ。

 

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