北海道紀行5 

(2010年8月12日〜8月21日)

 

2等寝台の様子

(上の段は空席なので、梯子はタオル掛けに)

 

第9日目(8月21日)

 

1.復路のフェリーにて

 

朝7時に目が覚めるも、体中がだるくてしょうがない。胃も少々もたれているので、残っていたクラッカーを食べ、ダカラを飲んでまた寝てしまった。さらにその後爆睡してしまい、11時過ぎに再び目が覚めた。昨日は出港のドラの音しか覚えていないので、12時間近く寝ていた計算だ。相当疲れていたようだ。

 

ひとまず起床して、風呂へ向かう。他の入浴者はすぐに上がっていったので、貸切状態になった。ところで、往路の舞鶴-小樽航路のフェリー「はまなす」にはサウナがあったが、こちらの「すいせん」にはない。建造年は前者の方が新しいので、設備も充実しているということだろう。

 

湯船に浸かりつつ肩や腰をほぐし、窓の外に流れる海原を眺めながら、北海道の全日程にを思い返してみる。今回は距離を出してみるという目標は大いに達成できたが、体力的にはちょっときつかったか。だいたい、疲れていると判断力や敏捷性が著しく低下するので、自分が思っている以上に危なかったのかもしれない。やはり大阪屋で話をした、関西圏出身の女性ゼファー乗りの方のように、一日の走行は300km程度に抑えることが望ましいのだろう。もっとも、TDMの航続性能を考えれば、あの程度の距離では問題はない。そりゃそうだ、人間よりもマシンの性能が高いことは、今に始まったことではない。

 

少々のぼせ気味になったので、風呂から上がり寝台に戻ってゆっくりする。ちょっと腹が減ったなぁ、と思いつつもまたうとうとしてしまう。しかし、12時過ぎにレストラン開業の放送で目が覚めたので、食堂で昼食を摂ることにする。

 

しまったなぁ。朝はビュッフェスタイルで食い放題、しかも洋食も和食もデザートも充実している。昼と夜はカフェテリアスタイルなので、食べた分課金となる。と貧乏くさいことを思ってしまったが、なんだか疲れており胃がもたれているので、それほど食べられなさそうだ。軽く中華丼を食べて終わりとしておく。また腹が減ったら、あとでおやつでも食べればよかろう。

 

食事の後は船体側方にある、窓に沿って椅子が並んでいるプロムナードにて、海を眺めてくつろいだり、メモを整理・書き足しをして過ごす。ああ、北の大地を夢中で走り回った日々は過ぎてしまった。しかし、その中での出来事は当方の記憶の中にあり、忘れ去られるまで、当方の存在が無くなるまで残ることになる。今回の渡道だけでなく、その前も、その前も、今までの7,000時間近くに及ぶ走行全てがその対象だ。今こうしてリポートを書いている時でも、多和平の夕日や知床峠から見た羅臼岳、宗谷丘陵、数え切れない程の風景が頭に蘇ってくる。

 

また眠くなってきたので寝台に戻るとしよう。それにしても寝台は下の段に限りますなぁ。往路は上の段だったので、寝ていても何となく揺れているように感じたが、今日は全くそんなことはない。波の状況にもよるだろうが、やはり下だ。

 

2.旅の終わり

 

出会いあれば別れあり、旅も始まりあれば終わりがやってくる。フェリーは定刻の20時30分に敦賀港に到着し、我々ライダーもタラップを降りて家路に就く。最後にもう一度フェリーを見て「またいつか会おうぜ」と呟き、アクセルを開ける。

 

車両甲板にて

(後日、緑色のシェルパの方もホームページを主宰していることが判明)

 

帰りは約150km程の走行で、往路よりも80km程走行距離が少ない。時間的にはほぼ半分くらいだろうか。やはり舞鶴は遠かった。

 

敦賀I.C.から北陸道へ乗り、米原J.C.で名神高速で名古屋方面へ向けて快走していく。こういう時にクダラナイミスをしないように、よく言われる「帰るまでがツーリング」ということを再度自分に言い聞かせる。

 

結局敦賀から休息無しで名古屋I.C.へたどり着いた。もう一息で自宅に到着だ。

 

こうして22時40分頃に、無事に自宅アパートへ。ひとまずTDMから荷物を降ろし、今日は風呂に入って寝るとしよう。因みに今回の北海道ツーリングでは3,061kmを走行した。オイルはまだまだ十分な粘度と透明度を維持しているので、もう少し走ってから交換だ。しかし、明日は汚れた車体をしっかりと清掃して、このツーリングの最大の功労者(車)を労わねば。

 

3.まとめ

 

今回は5回目の渡道で、TDMによる渡道は4回目だったことは最初に述べた通りだが、その中でも最も天気に恵まれたツーリングであった。中でも積丹半島の神威岬で見た紺碧の海、知床半島の果てで入った相泊温泉、多和平の日没とそれに続く星空、すぐ近くにはっきりと確認できた歯舞諸島、やっぱり旨かった大阪屋のジンギスカン・・・。リポートを書きながら、写真を見ながら、何回思い出したことだろう。そして今、いつまでも暑かった今年の夏もようやく終わり、秋風が心地よい季節となり、再び日常が戻っている。それでもよく晴れた日には北の空を見上げて「北海道はこっちかな」とついつい楽しかったこの9日間を回想(快走?)してしまう。やはりキャンプツーリングは特別な非日常だ。

 

キャンプといえば、天気に恵まれたおかげで、北海道泊7日間の内4日テントを張ることができた。無精者の自分でも、慣れれば問題なくテント設営と撤収をこなすことができる。考えてみれば、16年前の渡道では、1ヵ月近い行程の半分以上はテントで過ごしていた。やる気があれば何とでもなるわけだ。

 

さて、11回の長きにわたりお伝えした北海道紀行5もこれで終了です。ここまでお読み下さった方々、誠にありがとうございます。次の旅でお会いしましょう。それでは。

 

 

 

本日の走行 160km

総走行距離 3,061km

 

2010年10月2日

管理人

 

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