道の駅 サンフラワー北竜
（温泉もここにあり）
朝6時頃に起床して、ラジオの天気予報を聞く。また天気図もチェックしておくが、なんとか夕方までは持ちそうだ。そうするとチョコチョコと富良野辺りで寄り道をして、陽が落ちる18時過ぎに苫小牧に到着すればよかろうと走行計画を立てておく。
テントを出て、湯を沸かそうと水道へ向かう。そして三角屋根の休息所と書かれた所にある水道から水を出す。少し茶色いので暫く流しっぱなしにしておくが、その間に休息所はどうなっているかと戸を開けると鍵が開いているではないか。これには驚いた。雨が降ればここで寝ることができるということか。しかし内部は結構蒸し暑いので、快適性はテントには及ばないだろう。もとより、テントで寝ることそのものが楽しいのであって、既存の建物では楽しみは10分の1減だと言えよう。
ココアを入れて、昨日購入したパンをかじりつつ朝飯とする。するとZZRオーナーのテントから人が出てきた。なんと若い女性ではないか。オッドロイタァ。15年前は結構そういう方も見えましたが、今はほとんど見かけることはない。まあ必要以上に関わると失礼に当るので、挨拶だけをして食事を済ませる。後は荷物の整理とテントの撤収であるが、ZZR女史もテキパキとこなしている。やるじゃん、いや当方よりも手際がよいではないか。俺の負けだ。
朝飯の天然酵母パン
あっさり敗北を認めつつも、丁寧にフライやインナーを畳んでいく。するとZZR女史がこちらにやってきて、なにやら話してきた。
ZZR女史：「一番お忙しいところをすいません」
管理人：「はい」
ZZR女史：「バイクにカブトムシがくっついていて、出発できないので取り除いていただけますか」
管理人「？？？？、あ、わかりました」
おいおい、独りでテント張ってる娘がカブトムシが怖いなんて、かわいいところもあんじゃん。とか思いつつZZRのタイヤを見てみると、確かにオスのカブトムシが2匹くっついている。理由はわからないが、管理人は昆虫一般には抵抗はないのでヒョイヒョイと取り上げて、服にくっつける。「俺の友達さ」なんてふざけてみた。ZZR女史は「すごぉーい」とか言っていたが、あんたの方が何十倍も「すごぉーい」と思うよ。
ZZR女史のマシンにくっついていたカブトムシ達
こうしてZZR女史は管理人に会釈して出発された。おそらく小樽から舞鶴へ渡って自宅に戻るのであろう。それはそうと、こちらも残りの作業を終えて梱包を完了する。すると、公園の管理をする方々がやってきて、草刈を始めた。無料のキャンプ場だが、きちんと管理されているのでまた来てもよいなと思った。因みにZR-7SとBMWの方は知らないうちに出発されていた。相当の早出だったのだろう。
なんとか撤収作業も完了し、出発準備完了だ。Ground, request engine startでTDMに火を入れる。ところで、今日の天気はまたもや曇りでしかも雲が厚い。こりゃだめかな、そう思いつつも昨晩テントで考えたフライトプラン通りに、まずは国道275号線を北上、そして道道549号線で「萌の丘」へ向かう。現地について知ったのであるが、ここは朝の連続ドラマ「すずらん」のロケ地であり、よくよく調べてみると周りにはロケ地が点在していることがわかった。残念ながら当方はこのドラマを観ていなかったので、特に思い入れは無い。
萌の丘にておバカな管理人 萌の丘から見下ろす
丘の上からは白い花咲くそば畑や、鮮やかな緑色の水田が一面に広がっている風景が見える。惜しむべきは天気のみだ。今回の渡道は天気にやられっぱなしであった。晴れと呼べる日は１日半くらいかな。まあそんな年もあるさ。そのお陰で宿題もたくさん抱えることになったが、それだけ北海道にやってくる機会も増えるということなので、ある意味嬉しいことだ。
この天気ならなんとか富良野へ寄って、かんのファームやファーム富田、四季彩の丘、パノラマロード江花を訪れることもできるかなと思っていたが、萌の丘を下っていくと雨が落ちてきた。もうカッパを着たくないし、富良野方面は雨雲らしきものがかかっている。本日のフライトプランはキャンセルで、苫小牧直行を決意した。
もと来た道を戻ればよいのだが、そこはツーリングライダーの意地とばかりに、国道233号線バイパスとして供用されている深川留萌バイパスを使用する。そして無料区間が終わる深川西I.C.で降りてから国道12号線で滝川へ向かう。この頃には雨は上がったが、油断はできない。やはり富良野方面は雲が厚い。
いつ雨が降るかと嫌な心境で再び滝川にやってきた。今日は上空をグライダーが旋回しているのを見つけた。本当は滑空場を訪れて、あわよくば某ページを主宰しているパイロットにもお会いしてみたいと考えたが、この天気では滑空もいつ中止になるかわからないので、残念ながらパスする。なにより、カッパの世話にはなりたくない。
このまま同国道を南下していくが、ここから約30kmの美唄までの区間はずっと直線である。これは日本で一番長い直線なのであるが、ほとんどの区間が街中を通っているので、大して面白くも無い。ただの話のタネというところだ。因みにここは15年前にも訪れている。印象も当時と全く同じであったことは言うまでもない。
国道12号線
日本一の直線区間
そしてこの直線道路の途中で、セイコマに入り休息をする。ちょっと薄日が差してきて暑いので、アイスクリームを食べて水分を補給する。まっすぐに伸びる道路とそこを行く車を眺めながら、いよいよ今日の夜は出港かといささか感傷的になってしまう。今日も天気の都合でプランキャンセルか。何度もくどいが、これも止むを得ないな、次回に期待するかと気をとりなおして出発する。
このまま直線道路の国道12号線を走行し、美唄の「直線道路日本一」と掲げられた看板前で写真を撮る。15年前は気がつかなかったが、よく見ると下の方にパソコン画面くらいの説明書きが付けられている。それによれば、この道は明治期に囚人に造らせたものだそうだ。当時の北海道は何も無い原野だったと思うし、当然気候も厳しい。そういうところで道を整えるとは、辛い重労働であったはずだ。そう考えつつ、その当時に想いを馳せてみた。
直線道路日本一の看板前にて
（文字が見えにくい）
美唄を越えて、岩見沢から国道234号線へと乗り換える。ここまでくれば、昨年夕張抜けて通過した追分、千歳を通って苫小牧もすぐだ。今のところ雨は落ちてきていないので、支笏湖辺りへ寄り道したいが、雨が降った場合を考えると厄介なので引き続き苫小牧直行を要求。
この辺りになると、上空をダウンウインドからベース、そしてファイナルへと旋回していく旅客機が次々と現れてくる。千歳も近いなと実感し、旅の終わりがすぐそこまできているという事実が迫ってきて、少々胸が苦しい。1週間滞在した北海道を離れることは悲しいのだが、如何せん現実の生活が基盤となりこの楽しみが得られるのだ、という順序を間違えないように気をつけないといけない。話は変わるが、管理人が所属する会社の総務部に千歳さんという若くて綺麗な女性がいる。あまり面識は無いが、天然であるということを聞いたことがある旨付記しておこう。
こうして沼ノ端で国道36号線に突き当たり、苫小牧市街地方向へ向かう。時間的には13時前なので、せっかくだからホッキ貝を食べていくことにする。このくらいのプランは許してほし〜の。ということで、仙台や大洗、名古屋へ通じる苫小牧西港の近くにある、苫小牧漁港の市場まで走行する。
これで昼食はマルトマ食堂のホッキ丼に決まりだ。しかし、何度探しても食堂が見当たらないし、特にこだわりもないので細長い市場の中にあるふじ十食堂でホッキ丼を注文する。そして待つこと数分、丼が運ばれてきた。13時を回って腹が減っているので、ガツガツと食べる。ホッキ貝は甘く、歯ごたえもよい素朴な味なので管理人の好みである。過剰に貝という感じがしないところもよい。新鮮なものはやはりうまいということだ。
ふじ十食堂のホッキ丼
こちらの市場には何件も店が軒を連ねており、新鮮なイかなども箱売りされている。当然、今食べたばかりのホッキ貝も売られているのだが、その大きさたるや伊良湖の大アサリに匹敵するほどでかい。厚みに関しては、間違いなくこちらの方が上である。
ホッキ貝
（多分一個280円ということだろう）
魚などを見ているとまだ食べ足りないなと感じてきたので、思い切って、市場の奥にあるみなと寿司の暖簾をくぐった。するとツケ場にいる大将が年齢相応に威勢よく迎えてくれた。早速カウンター席についてから、ホッキのにぎり寿司を注文する。
大将は丁寧な仕事であっという間に寿司をにぎり終えた。本日2回目の昼食であるホッキ寿司を堪能していると、大将が「どこから来られたのですか」と話しかけてこられた。管理人は出身地を答え、続いて「今日帰るのですが」と言うと大将は「がくっ」という動作と共に「今年は天気が良くなくて、残念でしたね」とおっしゃった。「まったくその通りですが、それなりには楽しむことができましたし、また来たい」と答えた。
みなと寿司入り口 ホッキ寿司
（そうめん入り吸い物、温玉付）
寿司をつまみつつ、店内を見回してみる。ここは苫小牧、ホッケーやらカーリングのチームがあり、オリンピックなどでも活躍する方も在住しているようで、店内にはいろいろと色紙が飾られていた。また、この市場を活性化させるために、ここの大将が店を構えたという新聞記事も掲示してある。ここって由緒ある店なのだろうか？
それにしても回転しない寿司屋に入り、食事をすると何か嬉しい。大きな湯のみでお茶を飲み、大将と対面して話しながらにぎりたての寿司を食べる。これが本来の寿司屋であるのだなと認識した。寿司を食べるということはこういうことなのだろう。
さて、旨い寿司を食べたので、2009年渡道の日程はおおかた終了した。良い気分で店を出てくると、なんだ雨が降っているじゃないか。こうなれば仕方ない、銭湯でも行って昼寝でもするか。そこで、マップル詳細図で銭湯を探すと、なごみの湯という銭湯を発見。ここからそれほど遠くないので、カッパを装着せずに走りだす。ところが、突然雨粒が大きくなったので、やむなく路肩でカッパを着る。すると、こんどは雨脚が弱まって、ほとんど止んでしまった。まったくなぁと銭湯まではそのまま走行した。
さっきから銭湯と呼んでいたが、なんのことはない。なごみの湯は健康ランドである。TDMを停めてタオル等を用意しながら駐車場を見ると、同じ考えの人たちが数人見えるようだ。因みにナンバーが関東圏のバイクが多かった。つまりは、西港から関東圏に帰られる方々も雨で走行を切り上げて、管理人のようにゆったりしているということなのであろう。
脱衣所で入浴準備を終え、湯船に向かう。まずは一通り体を洗い、露天風呂に向かう。雨は降っていないが雲は厚い。湯船で腰や肩のコリをほぐしていると、ギュ〜ンと千歳を離陸して上昇しているジェット旅客機の音がする。しかし、姿は見えないので雲は数百メートルにまで垂れ込んでいるということだろう。いつ雨になってもおかしくない状況だ。最後までこれではお手上げである。まあその分ゆったりとすることができたので、ヨシノチャンとしよう。
1時間半ほどゆったりして、脱衣所の隅にある浴衣を着用し、テレビを見る。夕方の時間は地元の局が製作した情報番組を放送していることが多く、こちらもまさにその通りであった。そして、天気予報の時間となる。今日は北海道を発つのだから今度は地元の方の予報を知りたいが、そうはいかない。それにしても、北海道もしばらくグズつくようである。
なごみの湯を出て、そのまま国道36号線を東へ戻って苫小牧東港を目指す。これでいよいよ北海道ともお別れか。次はいつ来られるだろうか。そう思いつつ、沼ノ端で235号線に乗り換えてさらに東へ向かい、厚真I.C.でバイパスを降りる。そういえば、ホクレンのガソリン購入量が60Lで何かのプレゼントに応募できるようなので、一応最後のあがきとしてホクレンでガソリン補給をしていくことにしよう。厚真の市街地に丁度1件スタンドがあることを思い出し、港とは反対方向へ走行する。
果たして、厚真のコープ前にホクレンのスタンドを発見した。随分と小さなスタンドなので料金が気になるが、それは杞憂であった。ところで、北海道でのガソリン使用量は70L程であったが、一回だけ出光で16L給油している。つまり、ホクレンでは55Lしか購入していないので、プレゼントに応募できないことが判明した。最初は比布で給油したが、ここが出光だったのである。今更仕方ないので、この件については忘れてしまおう。
ガソリンを満タンにしたので、あとは港へ向かうのみ。行きに来た道を遡っていく。そしてとうとう港に到着した。あれ、もうあんなに車両が並んでいるぞと思ったら、係員が近寄ってきて「どこまでですか」と聞いてきたので「敦賀で直行です」と答えると、じゃあこれをかけておいてくださいと「敦賀」と書かれた札を渡された。これをミラーにかけて、指示通りにターミナルビル前にTDMを駐車する。
おつかれさん、TDM
さて、あとは23時45分の出港を待つのみだが、6時間以上もある。どうしようかな、あっとお土産を購入しておこう。確か売店に石屋製菓の商品がたくさん並んでいたと思うが・・・あるある。いつもの「白い恋人」をあの人と、あの人と、自分にも。ついでにこれも、結局5000円程買い込んだ。これはバイクに積載できないので、宅急便で自宅に送る手配をしておく。
あ〜本当にすることがない。少しウトウトする。しばらくすると何か騒がしい。おや、寄港便のフェリーが入港してきたぞ。暇なので操縦士の腕前を見てみようと外に出てみる。いやいや、かなり上方で操舵輪を操っているようだ。ちょうど後方にある煙突の中ほどの高さに操縦席が見え、操縦士が窓から顔を出して間合いを確かめている。
ところで、船の接岸はぴったりと岸壁に船を寄せるのではなく、だいたい寄せておいてから、船上作業員がロープを投げて、それを地上作業員がアンカーにくくりつけ、そのロープを船体側で引き寄せている。そりゃそうだ、200m近い船体をピタリと岸壁に寄せることは物理的に不可能だ。
この後再び待合室に戻り、ゴミや使用済みの寝具カバー搬出を眺める。かなり大胆で、サイドデッキから岸壁に寄せられたトラックに放り投げている。下にいる人はかなり危険だな。こうして準備ができた船には人が乗り、出港していく。この船を見送る際に、どう表現したらよいかわからないが、感傷的な気分にさせられる。「この次の船には自分が乗船するのか」と考えると、またまた胸が苦しい。当方も往生際が悪いなあと我ながら呆れてしまう。
さて、この後はテレビを観たり、ウトウトしたりする。するとだんだんと乗船予定の人が増えてきた。他のライダーはどんな表情をしているかなと観察していると、大抵の人はかなり疲れているようだ。中には椅子に寝転んでしまう人までも。しかしその浅黒く日焼けした顔は充実した休日を過ごしたぞ、という証である。皆達成感に満ちた表情をしていた。
管理人もいろいろあったが、後々に想い出になるのだろうなと余韻に浸っていると、本を読んでいるソロの女性ライダーにわざとらしく話しかけるオヤジを見つけた。これはどうなるのかとそのまま観察していると、女性は「ほっといてくれ」という雰囲気で嫌々に相手をしてるように見えるが、オヤジはなにやら自分のツーリングがいかに凄かったかを自慢するかの如く話しているようだ。「これは勘違いおやじか」と心の中で思い、展開を見ていると、やはり数分で話が尽きてしまったようだ。やはり、人の上からモノを言う勘違いオヤジライダーだ。くどいようだが、歳の差こそあれ、皆それなりの年齢のライダーだ。大人の、社会性を持った言動をすることがお互いの為だと考えるがいかに。
その後もオヤジは転々と人を替えて自慢話をしているが、どれも長続きしない。そりゃそうだろう。お互いにキャッチボールするかの如く、「あそこはよかったよ」、「こっちもなかなかでした」と自然に会話できるようにしなければ、意味のない会話となってしまう。仕事においても主張するところと、引くところがなければ成り立たないことは言うまでもないだろうに。「この先こんなオヤジが増えてきてしまったらかなわんなぁ」と危惧する管理人であった。え、俺？そんな人付き合いは上手くない、いやはっきり言って下手だからあまり喋りません。
こうして乗船準備の放送が流れ、ライダーは各々の相棒のもとへ向かう。あやや、霧雨が降ってきた。仕方ないのでカッパを着込む。最後の最後まで雨にやられましたなぁ。そう思って乗船して、バイクを停めて荷物を降ろす。「空いた網棚に荷物を」って俺のところに網棚ないじゃん！！網棚は当然そこにバイクを停めた人が荷物を載せるので、空いてる所なんてないぞ。しかも雨で車両甲板はドロドロになっている。仕方ないので床にビニールを敷き、そこに荷物を置いておく。これはちょっといかんでしょう。ナントカして欲しいものだ。
ちょっと気分悪い帰還だ。まあ回数を重ねていればこんな事もあるでしょうに。事故が無かったのでOKとしよう。そうして受付をして、指定番号の寝台へ向かう。やれやれ、とシーツを敷いて横になる。今日は風呂はいいでしょう。もう寝る。こうして定刻の23時45分にフェリーは出港した。
当方も１時前には眠りに就いた。
本日の走行 280��