パイロット国道を行く
（天気がイマイチであることが残念）
湿気っぽく、床はギシギシ、おまけに臭いライダーハウスをさっさと抜け出したかったので、6時に起床した。さらにさっさと準備をして7時前に出発した。朝飯を食べていないので、温泉街の入り口にあるセイコマへ立ち寄る。この時に、相撲記念館なる施設が向かいにあることに気がついた。そこには往年の名横綱、大鵬関の銅像が凛々しく立っている。全く関係ないが、銅像といえばクレイジーキャッツのハナ肇である（歳がバレバレ）。
購入したパンやバナナを持って温泉街の中心にある足湯へ行く。そして目覚ましにと足湯に浸かるが、これがまた熱い。なんとか足を入れて落ち着いたところ、足湯を管理されている方が湯温調整にやってきた。もうちょっと早く来てくれればよかったのにと思った頃には、もう限界。湯から上がって、ベンチに腰掛ける。真っ赤になった足を拭きつつ、どうせなら昨日の公衆浴場に行けばよかったと気が付いた。だって、目の前がその公衆浴場なんだから。
川湯温泉の足湯
そうは言っても強烈な足湯で目が覚めた。そこで先ほど購入したパンとバナナを食べながら今日のフライトプランを考える。今日の天気は夕方から崩れてくる模様なので、なるべく東側へ逃げよう。そうなると15年振りに北海道最東端へ行くことがよかろうと結論づけた。しかし屈斜路湖も15年振りなので、こちらも見ておきたい。そもそも昨日は屈斜路湖でキャンプする方がよかったなと後悔した。テントは寒いとしても、バンガローにしておけば寒さも気にせず済んだからだ。もっともこのあたりは地熱が暖かいので、気温のことなど考慮する必要も無かったのかもしれない。さらに、ローホー氏の放浪のページで紹介されていていたヒメマスも味わってみたかった。残念。次回の宿題だ。
まずは県道52号線を屈斜路湖沿いに走行していく。右手に湖、左手に森という道であるが、この森がかなり深い印象を受ける。一方湖畔には温泉やキャンプ場がいくつも点在しているので、安心できる。この後、国道243号線に合流し、右折して和琴方面へマシンを進めていく。実に15年振りに訪れたのでほとんど記憶にないが、和琴半島への入り口はなんとなく見覚えがあった。あの時はテントを張るとすぐに大雨が降ってきて、焦ったっけ。その後周囲の人達に誘われて宴会をして、翌日は温泉にも行ったなぁ。
そんなことを想い出しつつ走行をしていると、広大なジャガイモ畑が見えてきた。よくよく考えると芋畑はあまりよく見ていなかったので、バイクを止めて畑を眺めてみる。ジャガイモに花が咲くことは知っているが、広大な畑にびっしりと咲くものは初めてだ（または記憶にない）。
ここまでくれば美幌峠はもう少しだ。道はだんだんと標高を上げて屈曲しはじめ、屈斜路湖が眼下に見えてくる。曇り空ではあるが、なんとか風景は楽しめそうだ。急げ！！軽快にワインディングを抜けていくが、なかなかの急勾配で道が続いている、とてもダイナミックな様相だ。
こうして「ぐるっとパノラマ美幌峠」に到着し、TDMを駐車してから展望台へ向かう。おや、このCBは比布で同宿だった方のものかな。そんなことを気に留めつつ、階段を登っていく。おお、多少霧が出ているが、屈斜路湖を一望できるぞ。いや、霧がある方がかえって趣があるのかもしれないｔ。美幌峠と書かれた杭の横にある岩に登って写真を撮り、瞳の写真板にも風景を映しとる。この風景はまだ見たことがなかったかもしれない。しばし言葉を失い口をポカンと開けて屈斜路湖を見入る。
美幌峠から眺める屈斜路湖
そうしていると、一人のライダーが話しかけてきた。やはり、比布で一緒だったCB氏だ。お互いに笑顔で再会を喜び合う。氏は釧路を4時に出発してきたそうだ。ええ、そんなに早くに？まあ管理人もいつもより2時間も早起きできているから、人のことは言えないのだが。そうしてこれも何かの縁と一緒にカメラに収まる。シャッターを押してくださった方、ありがとうございました。
CB氏と共に
ところで、CB氏も比布の威張っていたオヤジには反感を持っていたそうだ。というのも、オヤジが酒に酔った勢いで説教していたからだ。この件は当方には害はなかったのだが、せっかく何かの縁で同宿の者同士になったなにも関わらず、不愉快なことをすることは人間としていかがなものだろうかと思ったのだ。もちろん規則を破るなど社会性のないことをしたならばいざ知らず、何もしていないのに絡んできてムカツクことをするとは許せない。そう思ったので、当方は事件の後にCB氏に同情の旨を話した。CB氏はこのことを覚えていてくれていたのかな。いずれにしても声をかけてもらって嬉しかった。またどこかでお会いしましょう。
お互いの無事を願いつつ、CB氏とは別れて、管理人は更に階段を登っていく。そうしているとみるみる霧が湧いてきて、さっきまで見えていた屈斜路湖が真っ白になってしまった。霧はダイナミックに動いているので、また晴れるだろうと思っていたが、この後晴れることはなかった。仕方なく階段を下りていくと、年配の方に「今日はダメですね」と声をかけられた。当方は「いや、つい10分くらい前までは見えていたんですけど」と答えると「それは残念だ」と肩を落とされていた。これほどまでに急に視界が変化するとは、北海道のパイロットの方々は大変だろうなぁ。
このまま元来た道を戻ってもよいのだが、それではつまらないのでこのまま峠を下り、道道995号線に乗り換えて東へ向かう。この道道がなかなか良い道で、中低速のコーナーが連続するワインディングだ。丁度管理人が日帰りで走行する道に似ており、リズムが掴みやすく楽しく走れる。さらに、まっすぐな道ばかりでタイヤの真ん中のみが減ることを懸念しているので、都合もよいというわけだ。北海道のワインディングは交通量も少なく、道幅が広く、かつブラインドコーナーも比較的少ないので走りやすい。やはりカーブは2輪車にとっては見せ場であるからね。
さらに道道102号線へ乗り換える。この道は芝桜街道と呼ばれており、藻琴山の芝桜を宣伝する道のようだ。こちらも高速コーナー主体のワインディングであり、食傷気味の直線とは違って、（管理人の技量なりで）生き生きとマシンを走らせることができた。ところで、こちらは屈斜路湖の東側であり、また展望台も設置されている。先ほどは霧で全く見えなくなった湖であったが、こちらからは再びその姿を見ることができた。こちらは左手に山があり全体を見ることはできないが、中島ははっきりと確認できる。また、この辺りは標高が高いので、背の高い木は生えておらず、見晴らしも良い。こちらはこちらでまた、良いのではないだろうか。
展望台から再び下っていく。この際、標高が下がるにつれて木の背丈がだんだんと高くなっていく。他にもこうした場面にはいくらでも出くわすわけだし、事実美幌峠に上っていくに従って木の高さが低くなり、結局最後は自生しなくなるという光景を目の当たりにしたばかりだ。当たり前の事とはいえ、面白く思った。
この後硫黄山を目の前にしてクッシー街道こと国道391号線を下っていく。そして昨日通過した川湯温泉へと入っていく交差点を通り、次の交差点を左折して道道52号線に乗り換える。ここも摩周第三展望台まではワインディング路である。そしてぐんぐんと標高を上げていくので、眼下に弟子屈の町を見下ろすことになる。後で立ち寄る予定の弟子屈飛行場を横目で探すが、さっぱり見つからないのでライディングに集中してコーナーを抜けていく。
先ほどと同じように、木が無くなったころに摩周第三展望台へと到着した。今までのところ、裏摩周展望台からは1994年、2008年と全戦全勝で摩周湖を拝んでいるが、今年はどうだろうか。展望台への階段を登り、深呼吸をしてみてみると・・・ややガスがかかっているものの、濃い水色に木々の緑色が映しこまれたその不思議な色の湖が目に入った。これで裏摩周だけでなく、第三展望台からも湖面をみることができたわけである。しかも3戦3勝で負けなしだ。どうりで、管理人が社会的に落伍者であるわけだ（悲）。納得し、あの辺りが裏摩周展望台かなと中島を基準に考えつつ、4分割にして写真を撮る。最近は摩周湖も透明度が落ちているそうだが、今日は天気がイマイチでそれすら確認もできない。考えてみると、今回の渡道の日程で、晴れの日は昨日のみであった。
第三展望台からの摩周湖
摩周湖展望が全戦全勝であることに気を良くした？管理人はこの後、弟子屈側に道道52号線を下っていく。そして昨日ガソリン補給したホクレンを過ぎて、左折する。弟子屈の飛行場を見に行くわけだが、おそらく街に看板があるだろうと街中に入っていく。途中道路脇に馬の牧場があったので、立ち寄ってみると馬が「なんだなんだ？」という様子でこちらにやってきた。手を出すと鼻息が荒い（馬の鼻の穴はでかい故だろう）。顔を触ろうとすると、さすがに嫌がるので遠慮しておいた。アウトバックを食らってはたまらない。
それにつけても馬のでかさよ
適度に人懐こい馬と戯れた後に飛行場を探すが、見当たらないなあと思っていると国道沿いになにやら細長い空き地があることに気がついた。これが飛行場かと思って近くに行ってみる。なんだ、閉鎖されているんじゃん。滑走路は草が生えているし、ターミナルも格納庫も放置されているようだ。閉鎖後5年は経過していると推測される。そうだよね、飛行機の趣味なんて一桁違う金額の金がかかるからね。
ローカルな飛行場を見学するつもりであったが、仕方ないのでこのままパイロット国道こと243号線をheading120で最東端を目指すことにする。この国道も1994年に走行して以来だ。あ、昨年数kmだけ開陽台から多和平へ向かう途中に通ったか。おおそうだ、丁度多和平を通るので寄っていこう。今回は開陽台はパスだ。当方は元々多和平の方が好みだ。
まっすぐなパイロット国道の両側はほとんどが牧場、牧草地だ。名物牧草ロールはまだ時期が早いせいだろう、あまり見かけない。本格的には8月になってからかな。そう考えながら取り締まりに気をつけつつ、法廷速度プラスアルファでアスファルトを遠くに見つめて走行していく。ところで、この国道はパイロットというくらいだから、入植した初期にできた道だろうと推測する。パイロットは今でこそ操縦士の意味だが、元々は水先案内人のことである。自動車部品なんかにもパイロットベアリングという穴に軸を通し、ずれないようにする軸受けがあるのだが、こちらが元々の意味合いに近いのだろう。
国道に看板がでているので、右折して道道1040号線を走行して多和平に到着する。相変わらずの広大な景色であるが、残念ながら天気が悪い。しかし、360度視界は確保されているので牧草地、防風林等を楽しむことができるので救われた。もっと残念なことは、今年もこの展望台の横に併設されている芝のきれいなキャンプ場に宿泊できないことだ。まだ昼だし、明日は雨、いやもう降り出しそうな雲行きだ。残念ながら宿題ということで、引き続き残すこととするか。
多和平の展望台から南南東（キャンプ場のある）方向を望む
多和平を出発すると雨がポツポツと落ちてきた。カッパを着用するほどではないので、そのまま走行続行である。このあたりは天気が良く、もう少し季節が進むととても気分良いだろうなぁ。澄み渡る青空、白い雲、いくつもの牧草ロール、緑色の牧草、そしてそこをまっすぐに伸びる道が陽炎で揺れている。頭の中ではそんな風景が見えているが、実際には小雨が降るどんよりとした空にやや肌寒い風、あまり鮮やかではない牧草というところだ。道路に多少標高差があったり、うねったりしているところがせめてもの救いだろう。
パイロット国道を相変わらずの法定速度プラスアルファで走行していくと、国道272号線と交差する西春別の陸橋を渡る。この国道は片側2車線の中央分離帯付き、超高規格設計だ。交通量を見るとまばらであるので、これは必要だったのであろうか。そんなことを考えつつさらに別海を目指して車輪を進めていく。この頃になると雨も上がったので、ちょっと気分よくなってきた。
時間が12時を過ぎて腹が減ってきたが、納沙布岬のさんま丼が食べたい。とりあえず別海のセイコーマートに入り、何か軽く食べることができるものを探す。そういえば比布でアフリカ氏が「セイコマに100円のスパゲティとか焼きそばがある」と話されていたことを思い出した。弁当のコーナーに行くと、ありました。今回は焼きそばを購入して、TDMに座って食す。あまり旨くないが、食べられないこともないかなというものであった。さて、この後は国道243号線にルートを切り替えて南下する。
そういえば、昨年の気ままにツーリングというNHKの番組で新酪農村展望台というものを紹介していたことを思い出した。ツーリングマップルにも掲載されている。少し寄り道をしていこうかな。地図通りに走行すると丘の向こうに亜鉛メッキの鉄パイプで造られた展望台が見えてきた。特にどうということもないのだが、一応登って景色を見てみる。
新酪農村展望台
展望台から再び国道243号に戻ると、だんだんと周りの景色が湿原に変わってきたので、道東でもさらに東の方に来ていることを実感する。このあたりの川は堤防がなく、グネグネと蛇行している。これが北海道の原風景なんだろうなぁ。
そうこうしていると、厚床（あっとこ）の街に入ってきた。口が尖っているのはヒョットコであり、プライヤーはヤットコである。それはどうでもよいが、市街地は大抵制限速度が50km/hになるので速度計を注視しつつ走行する。すると街の中心部に突きあたる国道44号線のT字交差点が見えた。信号が赤なので、停止する。ここはかどにエッソのスタンドがあり、おりしもハーレーの軍団が給油中であった。
それを横目にみていると青信号に変わったので、左折して加速する。道路案内の標識に初田牛の文字を見つけ、いよいよ東の果ても近いかと気分も盛り上がってきた。
それにしても疲れた。ここは食事でもしようと、国道沿いのレストラン「レイク・サンセット」に入る。ここはログハウスも併設しており、宿泊も受け付けているが、今日のところは根室市街までは進んでおくつもりだ。とりあえず風連湖が見える席に座り、このあたりの名物であるエスカロップを注文した。この店には野鳥の写真集や双眼鏡が備えてあり、なかなか楽しむことができる。さっそく春国岱方面を双眼鏡で見てみる。
余談だが、望遠鏡や双眼鏡で一番大事なものは何か。ほとんどの場合は「倍率」と答えが返ってくるが、倍率はレンズの組み合わせで1万倍でも10万倍でもつくりだすことができる。管理人の場合は、「レンズの口径」という答えを持っている。というのも、レンズの口径で集光力、分解能が決まるからだ。これら性能が高いと倍率を高くしても、目的の像を良好に得ることができる。要するにバランスの問題だ。失礼、光学系にはちょっとうるさい管理人の戯言である。
さて、手にした双眼鏡は口径50mmで倍率は7倍（＝350mm）のものであるので明るさを示すF値は焦点距離／口径＝７である。これは風景を楽しむ目的で使用するには、丁度良い値の双眼鏡である。お、よくみるとアオサギがいるじゃん。あれ、こっちにはもっとでかい鳥がいるぞ。これはタンチョウではないか。近年生息数の減少に歯止めがかかってきたというが、日本には1000羽弱しか生息していないそうだ。これは貴重な絵だぞ。ずっとタンチョウの動きを追っていると、優雅に羽を広げて滑空したり、湿原にいる小動物をついばんだりしている。アオサギは自宅近所にもおり、それなりにでかいなと思っていたが、タンチョウはその1.5倍、肉も野菜も1.5倍（ククレカレー大盛りのCMより）、程である。おや、なにやら羽をバタバタさせているぞ。お、キツネらしきものを追い払っている。あれだけでかいとさすがにキツネも近寄り難いのだろう。一目散に逃げていった。
タンチョウを観察していると、エスカロップが運ばれてきた。実は管理人は初めて食べるのだが、カツハヤシという趣だ。ただご飯にはみじん切りのタケノコが混ぜてあり、カリカリとした食感も楽しい１品だ。ところで、もともとこのエスカロップという語は肉の薄切りを意味するらしく、事実カツも薄めなのであるが、このレストランではエビフライ等の変わりエスカロップも用意されている。値段は1000円前後であるが、いつになるかわからない次回には試してみたい。
初めて食すエスカロップ
エスカロップを食べつつ、タンチョウの写真集を見る。どの生物の世界においても子供はかわいいもので、タンチョウについても例外ではない。タンチョウのヒナは色が土色で、目がでかく、愛嬌のある顔をしている。また、飛ぶことはできないが、翼になるべく部分をバタバタとさせて歩くそのお姿、癒されますなぁ。それはそうと、管理人の通うジムで木曜日夜の担当インストラクタ、ヨウコさんはこのタンチョウのヒナのような顔をしていると報告しておこう（行動様式は言及せず）。
タンチョウはじめ野鳥たちに癒されて、さらには腹もしっかりと満たされていささか楽になった。気を取りなおして国道44号線をheading090で根室へ向かう。それはそうと、そろそろ今夜の寝床も考えないといけない時間だ。今のところ薄日も差しているが、今日は夜から結構な雨量の雨が降るらしいので、またライダーハウスにするかな。いったいいつになったらキャンプができるのだろうか。まあ、これも一興と0円マップとツーリングマップルで根室のライダーハウスを検索すると「インディアンサマー・カンパニー」というなんとも不思議な名前のライハがある。料金は1000円だが、花咲ガニ等の海産物を1000円以上購入すると無料と記してある。おお、そうだ。いつもお世話になっている親戚の家に海産物を贈ろう。花咲ガニなんて中部圏では目にする機会も少ないしな。因みにこの場合は花咲ガニ１パイがサービスでついてきて、夜に食べることができるのだ。管理人は花咲ガニを食べたことがないし、これも何かの縁とここに決定して、連絡を入れておく。
件のライハは街の中心からちょっと外れたセイコマの裏にある。壁には大きな絵と屋号が描かれているのですぐにわかった。とりあえずライハに行く前に最東端の駅、東根室駅へ向かう。別になんてことはない駅だが、本当に何もない駅だ。ついでに陽のあるうちに最東端へ行っておこうかと思ったが、今日もいろいろとあって疲れた。無理をしないで明日に回すことにした。それにここは日本の最東端だ。日が落ちる時間も早いことを忘れてはならないだろう。因みに1度経度が違うと時間で4分の差が出てくる。
日本最東端の駅、東根室駅
インディアンサマー・カンパニーへは17時頃に到着した。建物に入ると、若女将から１Fは作業場と荷物置き場、２Fは全面がライダーハウスとなっているとテキパキ説明をしていただく。そして大女将がズイズイとやってきて、土産を送るかどうか聞かれた。どんなものがあるかと尋ねると、箱の大きさで値段と内容が変わるということだ。まあ親戚の家族の人数を考慮して、5000円で花咲ガニ3バイのやつを注文した。すると女将はサービスで、カニの隙間にその日に獲れたものを詰めておくと教えてくれた。結構太っ腹ですな。
インディアンサマー・カンパニー全景
（建物２Fがまるまる宿泊部屋である）
これで今日の宿泊は無料、サービスで花咲ガニ1パイが食べられることに。問題は今日の宿泊メンバーだが、かなり床面積が広いので関わり合いにならないようにしておくことで対処しよう。そういえば、管理人が土産の手配をしている時にも、隣にボロボロの服を着た若い人が馴れ馴れしく大女将と話している。最初は連泊の人か、関係者かと思ったが違うらしい。聞き耳を立てていると、どうやら自転車で日本一周中ということだ。それも一日1000円だか2000円だかで賄っているらしい。日本一周はともかく、そんな費用については人にペラペラと喋ることだろうか。暗に「貧乏だから恵んでくれ」と言っているようなものだ。案の定大女将からなにか無償でもらうことに成功したようだ。これは日本一周でも、比布の一周君とはだいぶ中味が違うようだ。自力でアルバイトするなりして旅費を稼ぐならいざ知らず、さりげなくモノを頂戴しよう、ありていに言えば「たかる」ことにより物品を手に入れて日本一周する。これはいかがなものだろうかと懐疑的に思った。もっとも、管理人は日本一周する勇気もないので、批判はできないが、自分ならば何としても自力で成し遂げたいと思うだろう。
ひとまず荷物を降ろして所定の場所に置き、寝袋とマットを持って二階のライハスペースへ上がる。既に10名近い人が寝床を確保している。その中には「俺は連泊だ」と何べんも話しているオヤジがいて、なにやら自慢げに周りにいる人たちに説教している。おやじについては見なかったことにして自分の場所を確保し、部屋の様子を観察する。それにしても部屋は相当に広い。街の公民館の集会所くらいはあろう。また、西側は安眠ルームとして仕切られている。ここは翌朝早出の方が宴会とは離れられるように設定されたものだ。そして驚くべきは1990年代前半分から掲示されている宿泊者の写真だ。これは毎晩大女将が撮影しているものだ。また大漁旗なども飾られていて、漁師さんとの繋がりも密にあるらしい。ということは、海産物の品質も期待できるということになろう。
ライハ内部の様子
ひとまずは外に出て、周りの様子も確認しておく。１Fの作業場や表に停っている軽トラの荷台には、体長が30cmくらいの花咲ガニが山盛りに入った籠が置いてある。ひょっとして今晩こんなのが食べられるのかと期待しつつ、駐輪場に向かう。今晩は雨らしいので、燃料タンクのフタ部分に雑巾をかけておき、サイドスタンドがめり込まないように石を置いておく。顔をあげて東をみると、まっすくに伸びる道道35号線が見えた。晴れならば北海道で一番早い日の出を見たりすることもできるなと考えたが、それも次回の宿題となった。
軽トラの荷台に置かれた花咲ガニ
さて、今日の汗を流してさっぱりしようと、もらった周辺地図で銭湯の場所を確認する。どうやら歩いて10分位の所らしい。また、その横には焼き鳥弁当を売っている店もあるということなので、そこで晩飯を調達することにするかと18時過ぎに銭湯へ出かける。根室の街を歩いていくが、新しい建物が割合多く目につく。スーパーや市営住宅はほぼ新品だし、活気があるように見えた。最果ての街であるが、漁業が盛んであり、かつ特産のものも獲ることができるのでそれなりに儲かっているのか。
銭湯も改装されて間がないようで、サウナや薬草風呂もある。まずは体を洗ってサウナに入る。ああ、疲れが流れていくようだ。時間的にはあと10分程で天気予報の時間なので、少し気張って汗を流す。ちょっとのぼせた頃にやっと天気予報が放映され始めた。今朝の予報通りに今晩は雨らしい。明日は回復傾向なので安心していたら、完全にのぼせてしまった。この後は薬草湯に浸かって、腰周りを中心に体をほぐしていく。やっぱり一日のしめは風呂だよなぁ。極楽極楽。
いい具合に暖まったので風呂からあがり、扇風機で涼みつつゆったりする。ツーリングも終盤になってきたので。少しずつ疲れが出てきたようだ。こうしてしっかりと休息をとっておかないと危ないね。まあ今日の取り締まりもそんな意味合いと都合よく理解して、明日にでも反則金を支払ってさっさと忘れてしまおう。
この後は隣の「タイエー」というコンビニで焼き鳥弁当とお茶、明日の朝飯用のカロリーメイトなどを購入した。時刻は19時過ぎになって、もうだいぶ暗くなってきている。さすがに東の最果てであることを実感する（さっきからそればっかり）。疲れも癒えて、さっぱりしたので気分良くライダーハウスへ向かう。風も涼しく（寒く？）なってきた。気温は15度を下回っているくらいだろう。
宿に戻るとさらに人が増えていて、15人くらいになっている。管理人は早速長テーブルの端に陣取る。サービスの花咲ガニも１Fから持ってきたので、なかなか豪華な晩飯だ。カニは食べるのに時間がかかるので、先に焼き鳥から食べ始める。すると少し離れたところに座っている2人組みから話しかけられて、会話に加わった。この方達は岐阜の方々で、他のライハで「岐阜ってどこ」という失礼なことを言われたと随分ご立腹であった。岐阜は一時期首都が移転される候補地として挙げられていたと思うので、そんなに無名でもないと思う。北の国からの田中邦衛も岐阜出身であるし。
タイエーの焼き鳥弁当 サービスの花咲ガニ
あと、千葉県出身のチバさんという方もみえた。冗談のようだが、本名らしい。この方はOFF乗りで、ポリタンクに入れたものを飲んでいる。水かと思ったら立派な酒であった。なんでも北欧の酒らしく、アルコール度も30くらいあるそうだ。この方は一度肝臓を悪くして死にかけたが、なんとか持ちこたえたので、仕事はしているが自由に生きているとのこと。また、オフ車と温泉が好きで、ヌプントムラウシや養老牛のからまつの湯などオフならではの場所で楽しんでいるということだった。ただ、熊が怖いので、林道走行の際には派手にホーンを鳴らしており、写真撮影の際にもエンジンを吹かし気味にしているそうだ。幸い、今までに熊を見たことはないらしい。そして、だんだんと酒が進んでくると「オンロードだと行く場所が限られてきたから、OFFは楽しい」と爆弾発言まで飛び出した。そこまでは言えないが、当方も今回OFF車渡同計画を立案したのは、そういう気持ちになったからであるので、あながち間違いとも言えないのかなぁ。管理人の能力不足で10kmで失敗してしまったが、またいつか実行してみたい。それには最低でも250�侫�ラスのマシンが必要だろうか。
それにしても皆さん、よく飲みますねぇ。最初の岐阜のペアは500�佞�10本くらい空けているし、千葉県のチバさんは１Lはあろうかと思われるポリタンクが空寸前だ。そして、よくよく話しを聞いてみると、岐阜ペアは小樽に30時間後には到着する必要があるとのこと。ええ、小樽って、あんたここは北海道の一番東だよ。小樽って札幌よりも西側じゃん。本人達は一日中走り続けて、高速も使用するそうだ。それなら何とかなるかなと思うが、俺にはできん。若いって羨ましいなあ。
ここにはさらに歳の差夫婦のライダーがおられた。ご主人がバツイチで年上、奥方は26歳と随分お若い。最近はバツイチの評価が高いということを聞いたことがあるが、まさにその典型だ。因みにマシンは奥方がトラの674、ご主人はカジバのエクストラ・ラプトールだ。ブルジョワァ〜。
最後は食べ物がなくなって、管理人のビスケットをかじりつつ、チバさんが撃沈でお開きとなった。結局23時前だったが、どうせ明日は午前中まで雨が残るであろうという予想だったので、楽しく過ごすことができてよかったと思う管理人であった。
本日の走行 250km