ライダーハウス クレッセの朝
いよいよ北海道で過ごす最後の日となった。長かったような短かったような。しかし日にちが20日から22日へ飛んだりしたわけではなく、きちんと順番通りに過ぎていったわけだから早いも遅いも自分の感じ方の問題なのであろう。
昨日は到着が20時と遅れ、さらに風邪気味であったので早い時間に就寝した。そのためか朝6時過ぎには目が覚めた。喉の痛みも引いているし、だるさも解消されている。外の東屋を覗きつつトイレに向かうが、誰もいない。まだ寝ているようだ。バイク置き場に目を移すと、W650二台、茨城の三人組(バリウス、FZ1000、Hornet 600)、TWとPSのご両人、そして管理人のTDMが停車してある。Wのペアは男女の組だろうか？そんな推測をしつつ、用を済ませたら体力を温存しようと再び寝入る。結局正式に起床した時刻は7時半頃であった。
再び外に出てみると、3人組の方々がいらしたので挨拶をする。FZ氏は入念にバイクを点検、清掃している。どうやらまだ新車同然のようだ。その彼は消音器を交換したいと言い、管理人にいろいろと質問されてきた。そこで最近の電子制御車の制御内容、可変排気バルブや触媒の役割等を説明し、消音器を交換するとどうなるかという予想を示した。具体的には、排気の抜けが良くなることによる吸気系への影響、触媒を取り外すことにより車検が通らなくなること、可変排気バルブの除去によるエンジン低回転での劇的性能の劣化と扱い難さの向上ということだ。彼に目的を尋ねると皆がマフラーを交換しているので自分もということであった。
余談になるが、よく言われている「レーサーは点の性能」、「市販車は幅を持った領域（レンジ）の性能」という言葉が的確にそれらの特性を表している。つまりレーサーはごく限られた環境「決まったライダーと決まったサーキットにおいて、決まった距離だけトラブルが出なければよい」ということであり、市販車は「不特定多数のライダーが、様々な環境で、耐用距離をトラブルフリー」で走り抜けなければならない。ある意味求められる性能は市販車の方が厳しいと言えよう。その昔、ホンダF1の電子制御技術は、市販車のそれを応用して採り入れるという一般的に考えられている逆のことをしていた（している？）こともあったという事実が、このことを如実に物語っている。公道で性能を維持して、あらゆる状況に問題なく対応し、故障なく耐用距離数を走行するということはそれくらいに厳しいことらしいのだ。そのため良心的なメーカーではかなりのテストを行い、個々の部品についての要求精度や耐久性を高いレベルで満たしている。一方、俗に言う社外品ではその何分の１しかテストはしていないだろうし、精度も確実にばらついていると思う。それは何らかのトラブルの種を植えることに繋がることは我々素人が見ても明らかだ。
そもそも消音器やその働き、それに関連するO2センサーやエアフローセンサー、スロットルポジションセンサーなどの周辺機器の役割などを考えないで消音器交換を安易に行う方が多く、それによりトラブルや不快感の原因を自ら作り出している場合がなんと多いことか。これは日本市場における販売店、用品店の拝金主義に原因があると考えている。ライディングの技術についてはレースと公道では共通部分が多くあり、非常に参考になるのであるが、バイク本体については全くの別物であろう。
長々と、また偉そうに持論を展開したが、部品交換の目的、それにより受ける利得と損失、費用対効果、などさまざまな要因と機械構造の理解無しに行う改造は「チューニング・ダウン」と呼んでもまったく差し支えないということだ。もっとも「音を大きくして目立ちたい、なんとなくかっこいい」という理由もオーナーの立派な目的なので止める気もないし、当然権利もない。要は上記のようなことを熟考しないとオートバイが「金ばかり食う厄介者」になってしまうぞ、それでは本来の楽しみを奪われてしまうぞということを言いたいだけなのである。
そのような話しをしていると、3人組の一人が寒さにやられて風邪をひいてしまったと言う。昨日丁度風邪薬を購入していたので必要かどうかを尋ね、分けて欲しいということであったので、喜んで差し上げた。体調を崩していてはツーリングも台無しだからね。
そうこうしていると、宿のご主人と奥方は仕事に出かけていった。その際にゆできびを頂いて、おいしく食べた。こういうにくいサービスも、ここクレッセを気に入っている理由のひとつだ。
さて、管理人は朝飯をいただきに母屋へお邪魔する。おじいさんとおばあさんに給仕をしていただいて、トーストとハムエッグ、サラダを平らげた。普通の朝飯であるが、ここで食べていると妙に似合う。ログハウスに朝日が差し込んで、新聞を読みながらコーヒーをすする。とても優雅な朝飯タイムとなるわけだ。クレッセに宿泊する際は是非朝飯を頼んでおくことをお薦めする。
今日のフライトプランはどうするか。フェリー出航は23時40分なので22時までに港に到着していればよいわけだが、日が暮れるころには到着したい。直行すれば午前中にでも到着しそうであるが、せっかくなので美瑛をふらふらして夕張に寄って、それから苫小牧に向かおう。フライトプランが承認されたので、早速荷物を整理しTDMに搭載する。フェリー内で使用するものはあらかじめ背負い袋にいれておこう。他の宿泊者は既に出発し始めている。先ほど見たW二台のオーナーは女性であった。歳の差カップルの話では本日発の敦賀行きのフェリーに乗られるそうだが、バイク乗りの女性は苦手なのでできるだけ離れておいたって、向こうさんもこんな怪しい奴に近寄ってはこないだろう。皆を見送っていたら最後の出発者になってしまった。まあゆっくり行こうよ北海道。
クレッセ作成の地図
2006年も美瑛の丘には訪れてはいるものの、まだ東側が手薄である。今回はそちらをメインに走っていく。正直言ってこの辺りはいろいろありすぎるので全ては周りきれない。何かテーマを持って行き先を決めることになるが、ちょうどクレッセ作成の「CMロケ地マップ」がある。こいつにプラスアルファで名所を巡っていく。かんのファームを通り過ぎてまずは美馬牛のカムリのCMに使われた踏切だ。このCMは観たことがないので、写真のみ。
CMで使われたと思われる踏切
その後新栄の丘に向かう。ここからは幾重にも上下を繰り返す丘が見える。ここはその場所よりも、遠くの景色を「借りて」良い眺め、いわゆる「借景」を利用したという場所だ。
新栄の丘から見たとうもろこし畑
その次はフラフラと拓真館の前を通過してパノラマロード沿いの四季彩の丘へ。ここは様々な色鮮やかな花が丘の斜面一杯に広がっている。ひゃぁー、これは圧巻。一つ一つは小さい花であろうが、これだけ並んでいると芸術的というか、まさに四季（色）彩だ。看板に偽り無しというところだろう。ちょっと暑いのでソフトクリームを食べつつ歩いてみる。8月ではと期待していなかったラベンダーも咲いている。因みにラベンダーといえば「知世ちゃん」だ。この時期は鶏頭やらサルビアが旬で、多色のものがズラ〜っと並んでいる。花の名前を知らないので後日調べてみたら、リアトリス、クレオメ、ブルーエンジェル、という花が咲いていたということであった。因みにここは７haの広さがあり、東京ドーム3個分の面積に相当するそうだ。
色彩の丘� ／Ш未竜岫�
色彩の丘�� 色彩の丘��
さて次は、白金温泉にある青い池を目指そう。ここは昨日歳の差カップル氏に教えて頂いた場所で、まだあまり知られていないそうだ。教えてもらった白金インフォメーションから道道966号をさらに4km？先にあるそうだが、見つけられなかったので次回の宿題としておいた。
その後は道道を美瑛市街地方面へ下り、白金模範牧場へ行こう。スズキジムニー、グリコチョコレートなどのCMに使用された牧場らしくえらく規模がでかい。牧場というか、丸々山を牧草地にしてそこに放牧しているという表現が正しかろう。
白金模範牧場にて
その後、ちょっと裏道を通って新区画へ向かうが、途中キツネがいるところを発見。停車して写真を撮っていると近くに寄ってきて｢餌をくれ｣という目でこちらを見ている。ごめんな、餌はやれないし、持ってないんだ。というと森の方へ入っていった。言葉がわかるというわけではないのだろうが、何もくれないことを察したのであろう。空気を読むことは動物の方が遥かに上手いようだ。
何もありませんよ
さて、新区画にやってくる。ここはホンダアコードのCMに使われたようで、公園裏手のグライダー滑走路跡の道がそれなのか？ちょっと散策していると上空をアシアナ航空のA320?が旭川空港へ降りていった。なんでも韓国では日本旅行は人気があるらしい。以前秋田空港で誤って誘導路に着陸した飛行機も韓国籍であったと記憶している。この辺りはあまり観光客はいないので、静かに美瑛を感じることができる。もっともその名の通り、やや洗練された雰囲気があり、良いと思う。
旧美瑛滑空場� ゝ貳�瑛滑空場��
時間が昼になったので、道道966号を美瑛駅の方へ更に下っていく。今日は富川食堂で昼にする。ここはツーリングマップルにも掲載されている店で、町立病院の前にある古びた建物である。中に入ると満員であったので外で10分程待ち、とんかつ定食700円を注文した。周りの人でカツ丼を注文している人がおり、ご飯から上の部分がはみ出ているのが見えた。とんかつ定食がやってきて。ギョエ〜300gはあろうかと思うカツに山盛りのキャベツ。更には山盛りのご飯に味噌汁。とにかく食う、食う。そうしていると若い女性二人組が入店してきて件のカツ定食とカツ丼を注文していた。必死に食べながらその二人の動向を監視しているとカツ丼の彼女はなんとかなったようであるが、カツ定の彼女はアップアップで辛そうにしていた。人のことを気にしている場合ではない。こちらも苦しいながら完食。ああ、食った食った。でも肉質はそれなりのようで、骨というか軟骨というか、筋というか、そういった類のものがチョイチョイ含まれていたと報告しておく。
富川食堂にて とんかつ定食
昼からどうしようか、まあ焦ることもないので、パッチワークの丘方面を見ていこう。お決まりのミャールドセブンの丘、セブンスターの木、ケンとメリーの木、親子の木などを見て周る。途中ひまわり畑もあったが、やはり北竜や智恵文には敵わない。美瑛は色とりどりの花のほうが似合っている。あと、ミャールドセブンの丘であるが、これは単に名前が知れているから人が集まるだけで、美瑛にはこれよりも雄大かつ繊細な丘があるということは見逃せない事実であろう。それにしてもパッチワークの丘とはよく言ったもので、本当に畑が丘に連なっており、その作物によって色がことなる、まさにパッチワークの丘である。ところで、これらか秋を迎えるにあたりジャガイモの収穫が始まる。当然ポテトチップスも新ジャガの季節になるわけで、TVのCMでこのどこかが使用されるのであろう。そうなれば間もなく冬になってしまうわけか。なんというはかなさ。万物流転の早さ、人間はそれに身を委ねるしかないわけで、自然の前では小さな、力のない存在なのであろう。
ケンメリーの木 セブンスターの木
親子の木 マイルドセブンの丘
名前の無い丘� 覆海舛蕕諒�が好きだ） 名も無き丘と木��
さて、次は十勝岳温泉の方へ登って富良野の全景を眺めよう。雲行きがやや心配だが、とりあえずは富良野の市街地を抜けていく。ふくだメロンなどの有名所を横目に見つつ、中富良野から道道291号線で十勝岳方面へ向かう。この辺りの山へ向かう道は白樺が両脇に立っており、マイナスイオン出まくりという様相を呈している。また、後半はウネウネとしており、タイヤの角を使用するには丁度良い。最後はググッと高度を上げるも霧に隠れて景色は見えず、おまけに寒いときたもんだ。残念と下山する。
もう15時近くになってしまった。そろそろ南下を始めていかないといかん。このまま南下してもよいが、それでは2006年と同じになってしまうので夕張を経由することにした。残念ながらうOこ発電の麓郷はについては今回は無しとなった。富良野の市街地で国道237号から39号へ乗り換える。この際メーターの積算計が45678kmを記録した。
説明は要りません
余談であるが、この付近は北の国からにおいて、内田有紀扮する結がお参りする神社や、宮沢りえ扮するシュウが働いていた金物店がある。また空知川の堤防は幼少期の中嶋朋子扮する蛍が、いしだあゆみの乗る汽車を追いかけてお別れを言う場所でもある。
さて、国道39号を走るとえらく寂れてきて、富良野の華やかな雰囲気は無くなる。そして道道135号線からさらに国道452号線に入ると人家は全くといっていいほどに見かけなくなる。地図にもGSが無いので注意と記載してある。TDMはそれほど気にならないが、タンク容量の小さいバイクや燃費の悪いバイクは必ず富良野で給油しておくことを義務と考えた方がよかろう。またこの付近は道路以外には全く手付かず自然が残っており、熊が出ると言われても納得してしまうくらいだ。夜間走行は止めておいたほうが賢明であろう。ただ、昼間はそれなりに通行量があるので神経質になることもないと付け加えておく。
ところで夕張というと「財政再建団体」という負のイメージを連想する。その原因は石炭産業の衰退に始まっていると言えよう。一時盛り返したが、北炭夕張炭鉱のガス吐出事故等でやはり閉山、人口の激減、町おこしに箱物の建設、ずさんな運営で破綻、ということで現在に至っているそうだ。なんでも人口は最盛期の10分の1近くになっているようで、いかに石炭産業に頼っていたかを伺い知ることができる。もっとも国がエネルギー政策を急に転換し、石炭産業が急激に斜陽を迎えたことも大きく影響していることは間違いない。時代に翻弄された夕張市は被害者の要素も持っており、様々な要素があるので詳細な責任割合は特定し難い。ところで、現在日本国が置かれている状況の縮図が夕張市にあるということは明白であり、他人事ではない。つまり国債の乱発により今や国民も何百万円の借金を背負っている。IMFから財政再建国に指定される可能性も十分あると認識すべきである。
山々に陽が落ちる頃、大夕張ダムのシューパロ橋に辿りついた。この橋は建築物として価値があるものらしい。管理人はよく知らないが、美しいトラス構造の橋だ。ところで、R1−Z氏が実はトラス構造フェチであるので、この橋を見ればきっと喜ぶであろう。しかし、この橋が現在存在の危機に瀕しているそうだ。というのも、この大夕張ダムが規模拡大のために水位を上げるらしく、現在直下に建設中のダムが完成すると水没するそうだ。なるほど、道理でダンプカーがたくさん走っているわけだ。これは新しいダムを建設する為に走っているというわけか。
シューパロ橋
そういえば、消えた街というものがあると地図に記載があった。確認してみると、5km程戻ったところにある鹿島地区がそれらしい。早速国道を戻っていくと、ひっそりと草が生え始めている道路を発見。あと電柱が残っているだけで家などは完全に無くなっている。早速街であった場所に入ってみると、縦のメイン道路に対して細い道路がついている。電柱にはなにかを知らせる看板が貼り付けてあるが、内容は不明。しばし佇み、アン・シャーリーの如く想像してみる。商店で買い物をするご婦人、空き地で遊ぶ子供たち、丁度交代で仕事を終えた山の男達が家路についている。そんな当たり前の光景があったのだろうが、その面影は全くない。ところで、この件に関しては、「ふるさと大夕張」というホームページがあり、詳細が記載してあるのでそちらを参照すると様々なことを知ることができると追記しておく。
消えた街の入り口 別な通りの電柱にあった看板
更に南下して夕張の市街地入り口には、三菱大夕張鉄道の車両がひっそりとその余生を送っていた。車両のドアが開いており、中に入って展示をみてみると有志の方々が保存会を設立して、手入れを行っているようだ。「車両をゆっくり休ませてあげてください」という旨の看板があり、いかに愛おしく思っておられるかをひしひしと感じた。この車両も現役時代は多くの人を乗せて往来していたのだろう。本当にゆっくりとお休み。
保存されている車両 駅の現役時代を彷彿とさせる看板
TDMに跨り市街地を走行するも、本当に廃屋の多いこと。人口激減の証は無常にも街をゴーストタウン寸前にしている。さて、幸福の黄色いハンカチ広場に寄っていこう。国道を離れ、道道38号線を山の方へ入っていく。もう日没寸前で、受付は終了していたが、建物のみを見ようと広場へ入って建物とハンカチのみ見た。次回は例のファミリアなどをゆっくりと眺めたい。
映画幸福の黄色いハンカチのロケ地にて 中に入れなかったが、映画で使用されたファミリア
黄色いハンカチ
これにて北海道での観光日程はすべて終了した。あとは苫小牧東港まで戻るだけだ。すっかり暗くなっているが、コンパスと道路標識を頼りに走行を続けて行く。紅葉山で国道274号に乗り換え、heading270、そして追分から国道234号線でheading180。苫小牧はどんどんと近くなってくる。やっと帰れる、いやまだ北海道を走りたい、そんな入り混じった気持ちで淡々と苫小牧東港へ向かう。すると千歳空港が右手に見えてきた。思えば8日前にここから本格的に旅が始まった。雨が降りやや出鼻をくじかれた感もあったが、天気に恵まれてそのような気持ちもいつの間にか忘れてしまった。いや、もうずっと晴れていたと思っていたかもしれない。急に寒くなって驚いたり、14年ぶりに訪れた地が懐かしいのか、初めてなのか戸惑ったりといろいろあった。そうして今、また出発地点に戻ろうとしている。国道235号に乗り換えてheading090。フェリーターミナルは直ぐそこだ。
ガソリンの残量が少なくなってきたので最後にホクレンで給油し、スタンプ帳も満タンにしておきたいが、苫小牧周辺には開いている店舗が見つからなかった。沼の端を左折せずに市街地へ入り、またまた出光にお世話になる。結局今回のツーリングでは図らずともホクレンと出光しか利用しなかったことになる。因みに燃費計算は461km÷17.27L=26.7km/Lであった。北海道燃費は完全に定着したようだ。さて、給油後は苫小牧東港へ向かう。ここは夜になると本当に暗いのであるが、でかでかと看板が出ているので、誤って通過することはなかった。
港に入るとまさに敦賀からの便が到着して、二輪車が続々と下船しているところであった。今下船してこられた方々は皆意気揚々と港を出て行く。ああ、俺も8日前にあのように第一歩を踏み出したなぁと既に懐かしく思えてしまった。ところで、だいぶ南下したとはいえ、陽が沈むと急に気温が下がるし、港は風も吹くので体感温度は10℃くらいと寒く感じる。乗船指示までにはまだ二時間はあるのでターミナル内でゆっくりと過ごそう。まずは土産の購入だが、結局こうしてフェリーターミナルになってしまう。本当は千歳空港で飛行機を見てから購入と思っていたが、最後の最後まで走行に時間を費やしてしまったのだ。まあバイク乗りなんてこんなものかと苦笑しながら石屋製菓の「白い恋人」を3箱宅配便で送ることにした。
北京オリンピックをテレビで観ながら出航時間を待つ。あまり興味がないのでいつの間にかウトウトとしてしまった。暫くして目が覚めると胸やけがし、だんだんと吐き気に変わってきた。なんとか粘っていたが、いっそのこと楽になってしまえとトイレに向かい、ひとしきり戻す。ス〜ッと何事もなかったかのように楽になった。ついでに胃薬も飲んでおいたのは言うまでもない。いろいろと原因を考えてみると、昼に美瑛の富川食堂で食べたとんかつ定食の量が多すぎたことがいけなかったのであろう。おまけに肉質があまり良くなく、脂身やスジ、軟骨があったからなぁ。そうしておとなしくしていると乗船指示が放送されたので、バイクの所へ向かう。そういえば往路に同じフェリーだったダカール氏がいないなぁ。復路は22日と言っていたようだが・・・。寒いので先に帰ってしまったかもしれないね。周りを見てみるとアメリカンの人達に囲まれている。どうしてこんなに荷物が多いのか、またどうやって積載しているのか、疑問が尽きない。ある人は大型の衣装ケースの上にさらにツーリングバッグを載せて二階建てになっている。やる気なら何でもできるんだなぁ。
乗船開始と共にCBR1000RRがタラップに向かうも、繋ぎ目の段差で転倒していたようだ。私は他のバイクを観察しており、見ていなかったので助けることができなかったが、周りの人達が一緒になってバイクを起していた。タラップは繋ぎ目に対して垂直、つまり正面から進入していかないといかんかったなぁ、と再認識しておいた。
乗船していつものように網棚に荷物を載せかえてからフロントへ向かう。帰りは二等寝台で予約していたので追加料金は必要ない。指定場所へ荷物を下ろし、風呂の準備をする。この頃にはすっかりと胸やけも治っており、まだ人の少ない湯船で苫小牧の灯りを眺める。今回は良く走ったねぇ。道内で3000km近くを刻むことができた。最東端は逃したが、最北端には到達したし、道東も14年ぶりに足を踏み入れ一部再訪することもできた。天気も良かったし、そんなことを思ってのぼせる直前に湯船を出て脱衣所で程ほどに冷まし、船室に戻る。おや、今日は空いているなぁ。上の段は誰もいないではないか。よくよく考えるとこのフェリーはすいせんだ。つまり往路と同じである。ともかく疲れたのでゆっくりと眠ることにしよう。
本日の走行 350km