2010年5月28日
道の駅 志野・織部にて
WRT連合会のツーリングはメンバーの都合が良い時を見計らって不定期開催され、義務感や無理が生じないことを最重要視している。そして皆がソロツーリングを基本としていることはもちろん、マスツーリング時の先導機長資格を有している。
毎度ながらWRT連合会ツーリングは、この理念をメンバーで共有しているし、行程の随所に反映される。これが楽しいツーリングに繋がっているのだと思う。こういう人たちに恵まれた管理人は、まったくもって幸運である。この場を借りて改めて御礼を申し上げる。
さて、本日のツーリングはW氏からプランを提出いただいた。それによると、まず集合場所が今までと違うことに気がつく。国道21号線沿いにある道の駅志野・織部という場所なのだが、これはW氏が多忙であり、前日の業務終了が遅くなるということから、計画ルート沿いで東海環状道のI.C.から近い場所ということで設定されたそうだ。もっとも、当方等は出発時間に何ら変更はないので問題なし。それよりも、今日の集合場所からどうやって中野方方面へ向かうか、こちらに興味があった。つまり、今までとは違った新規開拓ルートを走行するということになるので楽しみというわけだ。
期待をしつつTDMの出発前点検をして待っていると、8時過ぎにR1-Z氏が当方宅に到着。氏は檀れいによって業務多忙であったが、なんとか無理やり鎮火させて参加に漕ぎつけたのだ。早速ルートを簡単に確認して、集合場所へ向かって出発する。まずはグリーンロードを走行して八草から国道248号線で瀬戸を通過し、多治見から国道19号線で東進する。そして土岐から国道21号線に乗り換えて、しばらくすると集合場所である。ここで早速当方がコースミス。そのまま国道沿いに道の駅があるのだが、なんか看板が高いところにあるので、「あんな所にあるのか」と国道を逸れて坂道を上っていく。が、そんなもんないぞ。するとR1-Z氏が「下にあるよ」とのこと。早速やってしもうた。
少し遅れて道の駅志野・織部に到着する。W氏は我々よりも早く着いていて、道の駅の様子をうかがっていたようだ。ここは設備が充実した中級以上のそれであるが、今までの中で最悪の道の駅は五木の館だ。東屋が建っているだけで、そこは地元の人の語らいの場という状況には驚いた。税金でこんなもん造るなよなぁ。そして一言「ここは志野・織部はなかなか良い道の駅だね」と。その通り！五木の館なんて「あばら家だ」と当方がいつも言い間違えることに「東屋」と突っ込まれる。
ひとまずコーヒーを飲みながら、お決まりのカトキューネタで盛り上がる。というのも、当方がTDMのエアクリーナー購入に行ったら、なんか店員と2人で何かを探しているところを目撃したからだ。幸いにも当方は4輪で出向いたので気が付かれずに済んだので、こっそり入店しようと思ったのだが、別に悪いこともしていないので堂々と目の前を通って入店した。結局カトキュー・ドルーピーには何も言われなかったのだが、本当に気が付かなかったどうかは判らない。
店ではいつも通りの事務的な対応で商品を受け取り、2階の中古車コーナーを眺めてから１Fの新車コーナーも覗いて帰宅しようと玄関へ向かったところ、まだドルーの奴がいるではないか。まあいいやと「ありがとうございます」という声に送られて店を出ると、「ほんとにこれでええんかぁ？」とかなんとか言いつつ、メカの人と何かを探している。店員も大変だよなぁと思いつつYSPを後にした。
「相変わらずだなぁ」と一同呆れて「何で無いだ」、とか言いながら、さらにドルーネタに油を注いでいく。あの人は結局何でも人のせいにして、自分を振り返らないからライディング技術他の上達はあり得ないのではなかろうか。
なんだかんだで10時30分頃になって、W氏が先導機長で出発する。まずは国道21号線を北上、県道65号線の合流点にあるシェルでW氏とR1-Z氏は燃料を搭載する。因みに当方は朝イチで40ポンド（持久時間で10時間以上）を搭載しているので、予想されている400km越えの距離もギリギリ1タンク満タンでいけると計算している。
ところで、最近再びガソリン価格が再び上昇しているのだが、約TDMは25km/Lの燃費で推移しているからありがたい。余談であるが、2号機のXLRは30kmオーバーであり、林道でも躊躇せずに入っていくことができる。
給油後、県道65号線を使用してheading070、そして県道366号線へ乗り換えて丸山ダム方面へ向かう。この時、この366号線をちょっと行き過ぎてしまったのだが、なんと別の優先道路に合流しているのに、「止まれ」の標識が無いのでへ皆が飛び出してしまうというハプニング。丁度車は来ていなかったが、一歩間違えば大事故である。まったく背筋が凍るような思いだった。
そしてダム湖手前にある砂利の選別塔を通過して、国道418号線に乗り換える。この418号線は本来は木曽川沿いを通っているのだが、途中で法面が崩落していて分断されている。そこで、結局新しい道を作り直しているという状況だ。
この新道、マップル上ではまだ描かれていないが、ネット上で確認してみるとダム湖から少し離れて大回りしていて、その後山の中を数々のトンネルを含めて大きく弧を描くように伸びている。そして現在のところ、県道353号線の潮見地区まで完成している。
それはそうとて、この新道、なかなかの快走路だ。ズイズイと半ループの橋で高度をあげて、トンネルを抜けると眼下には深い谷、おそらく木曽川の支流の旅足川と思われる上を通過する。足がすくむような高さだ。しかし顔を上げて山々に目を転ずれば、小さな集落や林道と思われる細い道筋がいくつも確認できる。まさに絶景と言えよう。もっとも、林道にはゲートが無いことを祈るのみだ。三河林道になってはかなわんからなぁ、なんつって。因みに高度を上げたせいか、当然空気も冷たくなっている。
こうして端々に旧道というか県道の名残を見つつ、新道の大きなコーナーをいくつも抜けていく。すると、前述の潮見地区でいきなり道路は途切れ、細い道となる。ここからはheading030で県道353を走行する。集落を抜けると一般的山の県道となる。するとW氏が道路脇へ寄り停車する。どうしたのだろうかと思ったが、道がこれで良いか心配だということだ。早速各々が地図を出して、現在位置を割り出す。リクエストポジション。しかし、一番新しい版であるR1-Z氏の2009年版を参照しても、今走行してきた新しい418号線が掲載されていない。
当方が方角やカーブの曲率などを考慮しつつ、推定現在位置を確定する。もっともそれが正解かどうかは誰も知るよしも無い。それにしてもエンジンを停止すると静寂につつまれ、鳥の鳴き声がたくさん聞こえてくる。前回も記載したとおり、W氏が卒業した小学校は林間に位置し、野鳥がたくさん飛来するそうなので、鳥の観察ということを授業以外に行っている。氏は鳴き声を聞いては、これはOO、これはXXと鳥の名前を挙げていく。ライディングはもちろん、航法術にも長けているが、野鳥にも詳しい。そんな話題で盛り上がっていると、柳生博が野鳥の会の会長？ということが発覚。傑作なのは、彼が大鷹イヌワシを見たときの感動をさんまに話すという場面において、さんまはバカウケしていたということが番組であったそうだ。もっとも、そこはウケる所ではない。また、これとは関係ないが、残念なことに、氏が自宅に設置した巣箱の鳥がアオダイショウにやられたそうだ。違う鳥が入ることを願おう。
さて、当方の推定現在位置が正しいかどうかわからないが、ひとまずこれを基に走行を再開する。県道353を篠原地区のテーの字まで進み、右折、そして2km弱で左折して402号線へ繋いでいくことができた。つまりは偶然にも、管理人の推測は正解だったようだ。やれやれ、面目が保てたというものだ。
こうしてちょっとアップダウンのある県道を進んでいく。するとなんたること、上り勾配のすぐ後に左コーナーだ。ちょっと焦ったが、それほど速度は出ていなかったので、問題なく曲がりきると、折坂の棚田へ到着した。ところで、棚田といえばハーレー氏にとっては鬼門の仏坂峠の棚田だが、それよりも幅があり規模がでかい用に思われる。また、東屋やトイレ、売店まで出ていて、ちょっとした観光地の様相を呈しているのだが、それほど混みあっていないところがなかなかよい。遠くに恵那山、ずっと下まで全部田んぼである。おりしも天気は良く、雨の後なので、新緑もまぶしい。
棚田を眺めるR1-Z氏
のどかな風景にしばし見とれてしまった。
それはそうだが、ここ折坂の棚田にいるということは、中野方峠の近所ということに気がついた。なるほど、南からではなく、この西側から中野方へアタックするのは初めてだ。W氏はGB、いや違った、G.W.に下見をしてルートを確認していたそうだ。面白いルートプランの提示、ありがとうございます。走り尽くした感もある地元だが、まだまだ繋ぎ方によっては面白いルート設定の可能性を見出せると感心しきりだ。
棚田を十分に堪能し、この脇を通って県道68号線に合流してから中野方峠を快走する。おっと、W氏お得意の火花走法だ。もっとも、氏の話では「中野方は、なぜか攻めていなくても火花がでてしまう」とのことだ。おっと、こんなことを記載するとまた三河林道の二の舞になってしまうか？？なんつって。因みにW号は右ステップのバンクセンサーがより多く削れてしまっていたので、先日左右を入れ替えたとのことだが、いまや元の木阿弥なってしまったということだ。
峠を越えて下りを快走していると、大きなリアトップケースを取り付けたスーパーボルドールがゆっくりと走っている。これは当方の見解だが、どうもあんなでかいケースを用もなく取り付けているのは変だと思う。スポーツ性が損なわれるだけではなかろうか。何泊かする泊まりツーリングならいざ知らず、あれは必要なものだろうか。さらに、SSにも取り付けている人がいるのを見かけることがあるのだが、こちらも閉口してしまうよ。
こうして県道を離れ、国道41号線に合流し、飛騨川沿いを走行していく。途中道の駅ピアチェーレ美濃白川を通過して、国道256号線との分岐点にあるドライブイン飛山へ滑り込む。時刻は13時近いので、腹が減った。それにしても、ここはいつ道の駅に格上げになったのであろうか。国土交通省のページで調べても掲載されていないので、非公認なのか、それともまだ格上げになったばかりなのだろうか。いずれにしても名前を失念してしまったので、ドライブイン飛山としておこう。
よい時間になので、ここで昼食とする。丁度ここには焼肉店とラーメン店があり、ラーメンの方へ入店する。昼時の混雑は解消されていたので、座敷を陣取り、メニューを確認する。ラーメンと中華飯のセットにしようかと思ったが、他のページを見てみるとけいちゃんや焼肉の定食があることを発見した。そういえば、この辺りは肉が特産だ。結局けいちゃんと迷った挙句に焼肉定食を注文した。その焼肉定食といえば、その昔、会社に入社したての頃に、研修で副事業部長が「焼肉定食と弱肉強食を結びつけるくらいの柔軟さと余裕が必要だ」と力説していたことを思い出す。古典的ではあるが、今になると、全くその通りだと思う。この業界で生きていくにはそのくらいのボケは常識的に必要だ。
弱肉、いや焼肉定食を食べるR1-Z氏、ラーメンを食すW氏
（R1-Z氏の表情が良い）
昼食を摂りながら、近況を報告しあう。W氏は現在の業務内容に加えて、他のものもやるように指示されているようで、目下研修中らしい。また、度々土曜日が会議になることがあるようだ。いずれにしても日々是勉強の毎日で大変な日々を送られているようだが、そういう仕事の大変さを忘れるのもツーリングの目的だ。一方R1-Z氏は、ひとまず一段落させたそうだが、まだまだ山を登らないといけないらしく、この夏の予定は未定であるようだ。当方は、相変わらずの毎日である。
それはそうと、丁度別のツーリンググループも同店で食事中で、駐車してあったノーマルのW650を確認したところ、車高の違いにびっくりした。W氏のマシンはより深いバンク角を確保するために、YSS製リアサスを装着しており、これが効いているようだ。おそらく2cmくらいの差があると思うのだが、これでもステップどころかサイレンサーまでガリガリなのだから、氏の操縦技術は計り知れない。やはり査察操縦士の称号にふさわしいというものだ。
またマフラーが接地してしまうようで、現在はBEET製を装着しているのだが、これだけではもう対処できないくらいに走りが進化してしまった。そこでゼファー用のフォークでフロントの車高を上げることも検討中とか。
ところで、この当方がノーマル車と思っていた、他グループのWであるが、マフラーにカワサキ重工の刻印が無い。ということは社外品ということであるのだが、W氏によれば「たぶんデイトナ製」ということだ。
手前がW氏のマシン
食事を終えて、地図を見ながら今後のルートを確認する。ここからは路線免許歴が長い、当方がコントロールを引き継いで先導機長を務める。国道256号線で馬瀬川沿いに北上して、途中で県道86号線に乗り換える。ここはまだ本格的屈曲路の序章に過ぎない。集落を一つ超えて、Rの大きなカーブがチョコチョコあり、林間を貫く道になってきたころから徐々に道もうねりはじめる。そして岩屋ダムの堰堤を横目に見て、管理事務所をやり過ごしたあたりからがおいしい所の始まりだ。
しかし、この岩屋ダムのコーナーはちょっと勝手が違う。というのも、いつものYGは比較的低速できついコーナーがほとんどであるので、減速をしっかりしていれば脱出はスロットルワイドオープンでいけるが、ここは複合の中速コーナーがほとんどだ。一つ目を抜けたからワイドオープンというわけにはいかない。最初からできるだけアウトに寄っておき、一つ目と二つ目のコーナーの間を頂点と見据えておく、いわゆる「一つのコーナーとみなす」ラインを想定しておく必要がある。この間はもちろん、スロットルはパーシャルにしておかねばならないことは言うまでもなかろう。
言うのは簡単だが、これがまた難しい。結局スロットルパーシャルにすべきところを開けすぎたり、逆の場合もある。さらに、切り替えしのS字も多いので、ギョッとすることも。結局なんだか不完全燃焼気味で馬瀬大橋を通過。しかし、ここを境にコーナーは高速気味に切り替わる。また、若干ではあるが、見通しも良くなるのでグッと走りやすくなる。TDMはこのくらいのコーナーが得意で、（管理人の技術はここでは議論しないでね）、スイスイと走り抜けていく。結局アクセルの開け閉めでリアタイヤの駆動力、ブレーキのピッチングでフロントタイヤの接地圧を制御することがやりやすいのが、このくらいのコーナーというわけだろう。因みにR1-Z氏の言葉を借りて表現するならば「リズムが合わない」というころになる。まったく、的を得た表現と言えよう。
まぶしい新緑の道を越えると、道の駅馬瀬美輝の里を通過。橋の向こうにみえる露天風呂を越えると、今度は集落のなかを突っ切る直線路だ。しかし、飛ばしすぎは禁物なので、ここはこらえて安全速度を維持する。元GPライダー平氏も「市街地とワインディングでは速度にメリハリを」という旨、発言をしていた。
この後はドンツキの国道257号線を左折して西へ変針。この257号線も快走路で、それなりに飛ばしていく。もっとも、取り締まりには注意していて、常に道路左側を、特にコーナーを抜けた後の直線では注意する必要があろう。また、都道府県警察によってはホームページで取り締まりを公開している場合もあるので、活用したいところだ。因みに岐阜県警察は交通取締り計画を一部公開していると付記しておく。
こうして道の駅パスカル清見の北側に合流して、せせらぎ街道を北上していく。このせせらぎ街道は、観光用道路と考えればかなり良い道だ。季節それぞれに新緑、紅葉と表情を変えるし、だいたい涼しい。真夏でも最高気温が30℃そこそこで、峠では25℃くらいのこともあったと記憶している。また、Rの大きなコーナーを直線で繋ぐという造りも良い。ウネウネ路を走った後にこういう道を流すと良い気分だ。ただ、極端に遅い4輪車にひっかかると残念な思いをする場合もある。
このせせらぎ街道の西ウレ峠を越えると、沢の流れが逆になる。いよいよ高山側に近くなると言うことを意味する。こちらへ来ると木の種類が変わる所がおもしろい。白樺もポツポツと見え始める。亜寒帯とまではいかないが、少し気候が寒いようだ。
こうして高山側の最後にある中速カーブの連続する区間を過ぎれば、あとは高山までほとんど直線だ。この区間も結構速度が乗ってしまうので、気をつけねばなるまい。時々砂が浮いていてびびっちゃうこともある。
ここまでで、1時間ちょっと走行したことになるので、一息入れたい。この先に道の駅ななもり清見があるが、昔一度行った時に、あまり良い印象を受けなかったので、手前のレストハウスせせらぎに入る。まだ当方がTDM850に乗っていた頃、R1-Z氏にここせせらぎ街道を紹介した際にここを利用したことがある。あれから10年近くが過ぎてしまったということか。
さて、この施設は広い駐車場があり、旨いソフトクリームを食えることで知られている（当方だけか？）。まずはトイレを済ませて、アイス売り場の小窓を開けて声をかけてみるが、一向に人の気配が無い。まったく無用心だと思い、隣にある自動ドアから土産物屋へ入ると、おばさん達の豪快な笑い声が聞こえてきた。なるほど、おしゃべりに夢中で、客が来たことに気がついていないのか。そう思っているとやっと人が出てきたので、ソフトクリーム購入の旨を告げる。
レストハウスせせらぎにて
当方はヴァニラ単品、W氏はラベンダー風味、R1-Z氏は両方のミックス、とそれぞれ別のものを注文する。当方はもともと単品が好きだし、牛乳の味以外にはあまり興味が無い。んーいかにも牛乳という風味で、なかなか良い味をしている。一方W氏はなんだか表情がさえないなと思っていたら、「単品のヴァニラにしておけばよかった」と。その訳は「酸味があると思って購入したが、全くそうではなく、ただ風味がラベンダー」ということであった。なるほど。R1-Z氏は特に不満は無いようであったと付記しておこう。
ここで林道の話題となる。もちろん三河林道ではなく、W氏のTT-R購入記だ。もともとはバイク屋の店主「モトスポオヤジ」の話をしていたのだが、彼はどうも商売っ気が無い様で、とにかくうまいこと商品を回転させて「自分等が食っていければいいや」という位置で仕事をしているフシが見受けられる。それはそれで別に良いのだし、何よりも個人の自由である。それよりも傑作なのは、車両の値段付けや客への対応だ。W号を購入時の「自家塗装タンク・ストライプカクカク」で、「コイツの方がかっこいいでコイツしたらどうだ」とか、純正エキパイがちょん切ってあって、ガラガラ音が出る件も「こりゃあかんぞぉ〜、よく見てみよ」、なんて自分が販売しておきながら、他人事のように言うこともあったそうだ。まだまだ何かあるだろうと思っていたら、グラストラッカーを購入しに来た客にTRを勧めたりということもあったそうだ。そしてW氏がZX-7Rを所有していた際に、単気筒のセカンドバイクが何か無いかとモトスポへ行った時に、SRX250なんてやめておいた方がよい。大体ほとんど輸出されてしまってタマが無いし、単気筒らしくない。とかいろいろと説明を聞いているうちに話がすり替わって、なぜかTT-Rの新車を購入することになったそうだ。
ここからは再びW氏の先導で出発する。せせらぎ街道に別れを告げて、国道158号線に乗り換えるのだが、当方はここをあまり走ったことがない。道の両側には明らかに太平洋側とは違った木々が目立ち、湿原が広がり、遊歩道のようなものも整備されている。また道路自体もかなり良い。隣には中部縦貫自動車道（高山清見道路）が通っているが、こういう場合、大抵は一般道の整備がおろそかになることが多いものだ。しかし、ここはそんなことはなく、両方の道共に整備は行き届いている。
それにしても、もう5月も終わりだというのに結構寒い。気温は17℃くらいなので、このあたりの季節のズレは地元と比べて1ヵ月くらいあるようだ。まあ、このくらいは想定の範囲内なのだが、前回のまつくぼでエライ目に遭ったR1-Z氏は、今日は上下皮製のウエアを着用している。前回は寒いし腹が一杯で苦しいし、まさに苦悶の時間をすごしたことであろう。因みに当方の高校の校歌に「・・・久遠（くおん）の光、満ち潮の・・・」という一節がある。
こうして2008年にハーレー氏とバイクガイドのCIRZでやってきた、水車のあるそばの里を越えて、御母衣湖の手前にある国道156号線との合流点にやってきた。ここでW、R1-Z両氏は燃料を再搭載する。当方はまだ半分くらい残っているので、このまま無給油で帰宅できる計算だ。どんな計算かというと、大体ガソリン１Lで25kmは走行できるので、警告灯が点灯する16.5Lを消費するには25*16.5＝412kmいける。この時点で3.5L残量があるので、まだ100km弱は走れる。ということは450kmの時点で燃料を搭載すればガス欠はないのだよ。
ここからは国道156号線で南下するのだが、今日はW機長ご推薦の道、やまびこロードを走行するプランが提出されている。ここはW氏が以前4輪で来た際に通っている道であり、是非2輪で走りたいと思っていた道だ。
さて、ここへはひるがの高原スキー場のところから進入するのだが、入り口に看板が出ているので解りやすい。ただ一つ心配なことに、牧歌の里という施設があるので、ここに出入りする4輪車で渋滞したり、流れが悪くなっていないかどうかということがある。ひとまずギアを落として、高めのエンジン回転を維持しながら高度を稼いでいく。一段と冷えてくるが、ライディングに集中しているのでさほど気にならない。松林を縫うように走行していくと心配した牧歌の里に出てくるが、問題なく通過することができた。どうやら東海北陸道からの直通ルートがあるようで、ほとんどの車がそちらへ流れているようだ。
ここを通過すると視界が開け、牧草地帯の中を走っていく。おりしも風が吹いてその牧草を揺らしている風景はさざなみの如し。丁度北海道の地球岬のようだが、R1-Z氏も共に渡道した2006年の地球岬を想い出していたかもしれない？
すると再び林間の道になり、ウネウネとし始める。お、ここでR1-Z氏お得意の狼煙走法が出た。久々にスイッチが入ったようだ。エンジンパワーを最大限に引き出す為にスロットルをかなり開けている証拠だ。最近はタイヤ交換をして、その特性に慣れていなかったせいか、あまりペースを上げることが無かったが今日は本気のようだ。こちらも置いていかれないように大排気量を活かして、直線で詰めておく。
気分も高まってきたところに、軽自動車の横槍が入った。しかも、頑張ってもなかなか前に出ることができない。不用意に反対車線に出て、事故を起こしては何もならないのでじっと待つ。そして下りのわずかな直線を使って前方の2台は右カーブへ消えていく。当方はボーッとしていて置いていかれた。が、ここは次の直線で大ボア2気筒エンジンのトルクで一気に抜き去った。このように書くと管理人の運転が上手いようだが、完全にTDMの性能おかげであることを忘れてはいけない。
こうして一旦道の駅白尾ふれあいパークにて休息する。なんかゴム臭いのは気のせいか。ちょっとタイヤが焼け気味なのかもしれない。マシンを停めて一息ついていると、ZZR1400とER-6Nがやってくる。この2台は先ほどやまびこロードの入り口ですれ違った2台だ。ZZR1400は良く見かけるが、ER-6Nはあまり見かけない。丁度W氏とER-6やVERSISの話をしていた時であった。W氏が「管理人氏のドクロベエ発言で、ライト形状をややありきたりのものに変更してきた」とおっしゃるが、そんなに当方の発言力があれば、評論家で食っていけますよ、と冗談で返しつつ笑いあう。
それにしても前述のER-6のマフラーはたぶんモトGPを真似ているのだろう。随分小さなサイレンサーしか装着していない。それは別にかまわないが、音がでかいだけでなく、下品である。さらにおかしいのは、リアカウル上に原付が用いるようなキャリアを取り付けて、その上にこれまた原付に装着するような箱が載っていることだ。まあ、そんなもの所有者の自由であろうが、せっかく軽快な運動性能を狙って設計されたマシンだけにもったいない、と思うのは管理人だけであろうか。
道の駅白尾ふれあいパークにて
さて、陽も傾いてきているので出発する。ここからはやまびこロード後半戦だ。引き続きW機長のコントロールで、R1-Z氏、当方という編隊で走行する。後半戦は基本的に直線か超高速コーナーばかりなので、あっという間に大和町まで来てしまった。ところで、大和町といえば以前にも記述した通り、大学時代の同級生「アンマキ」の出身地である。彼女とその友人「イノヤン」にはしばしばノートを見せてあげたりしていたのだが、まったくそれだけで、今思えばもったいなかった。現在でも交流のある友人「梅さん」は「それをネタにして交流を深めるべきだったよ」と忠告してくれた。因みに彼は接近を図ったそうだが、いなされて終わりになったそうだ。今となっては後の祭りであるが、まったく梅さんの言う通りだ。
そんなことを考えながら、国道156号線に乗り換えて走行を続けていく。市街地には学校やら店やらがあるが、「アンマキ」はけっこう垢抜けていたので、こんな田舎の出身だったのかと今でも疑問に思う。あるいは、そう悟られないように努力していたのであろうかな。いずれにしてもなかなか見所のある人物であった。
さて、「アンマキ」のことはこのくらいにして、ツーリングに話を戻そう。国道156号線を走行していると、なにやらガタガタという音が聴こえてきた。この正体は我々の編隊（変態かも）右後方を走行するマッチ箱の電車（軌道車）であった。これ以外は特に何事もなく淡々と通過していくだけの国道156号線であった。
そして郡上からは国道256号線へスイッチする。この時点で既に今日の走行累積距離は300km以上になっていたので、それなりに疲労感があったのだが、意外にもツーリングも終盤のここからが本番であった。因みにここからはR1-Z氏が先導機長でコントロールする。
ご存知の通り、256号線の郡上側はヘアピンカーブが連続する低速区間である。道路幅も狭いのであるが、W、R1-Zの両氏はかなり熱い走りをしている。トルクで勝るW650と高回転のパンチで食い下がる2スト250�佞�R1-Z。互いにステップが路面と接地するギリギリまでバンクさせて、アクセルワイドオープンでコーナーを駆け抜けていく。当方も両氏に感化されて、（自称）今シーズンベストとも言える走りでなんとかついていく。そして前方に現れる遅い4輪車をスイスイとかわしていくのだが、おおい、ちょっと危険じゃないか？と見える。しかしこれも計算済みのようで、ギリギリの一線を越えることはない。こういう適度に緊張している状況下では、案外冷静に対処していることが多いものだ。この長ったらしい文章をお読みの方々、そういうご経験がきっとおありのことと思う。
さて、郡上側のワインディング区間を過ぎて、田園地帯の道になってもバトルは続いている。もっともこのあたりは見通しの良く効く高速コーナーや直線で構成されているので、ヘアピン区間ほどの迫力はない。が、いままでの緊張感を保っているので、ビリビリとした雰囲気で走行していく。そして和良地区を通過すると市街地に入ってくるので、バトルは終了なのだが、いきなり軽トラが脇から飛び出してきた。しかし後ろから見ていて、R1-Z氏は全く危なげなくかわしていったので、もともと予想していた上に、バトルの緊張感から咄嗟に体が反応することができたようだ。
この後はペースを落として、必要に応じて追い越しをかける程度の走りで国道41号線に合流。道の駅ロックガーデン七宗にて休息をとる。
休息中に先ほどのバトルについて話し合う。R1-Z氏はタイヤ交換後、どうも本来の走りができていなかったようだが、今回はタイヤの感触にも慣れてきたようだ。端を数ミリ残して使い切っているし、コーナリング中にアクセルを開けていたことをうかがわせる、タイヤ表面の荒れをくっきりと見てとれる。それはそうと、氏のタイヤはダンロップのα12という7層のトレッド構造を持っている。しかし、まったくその切れ目は見ることができない。いや、本来は見えてはいけないのであろうが、W氏のBT-54 は3層構造トレッドの境界がくっきりと段差になっている。氏の推測では、BSは持ち優先で、真ん中のコンパウンドと横のそれの硬度差が大きいのであろうが、ダンロップの7層構造は細かく硬度を変えているのだろうというものだ。なるほど、7層あれば横は3層を確保できるので細かいコンパウンドの調整が可能だ。それにしても、トレッドの境界が段差になるほどW氏は開けているということなので、やはり査察操縦士の名にふさわしい。
ロックガーデン七宗にて
このバトルについては、後日本人から「非常にエキサイティングであった」とコメントが発表されている。つまりR1-Z氏は査察にて褒められたということになる。途中少々のブランクがあったにせよ、11シーズン目を迎えている2700時間のR1-Z一筋の乗務歴がもたらした当然の結果と言えよう。
ところで、そのR1-Z氏は本日飲み会ということで、ここで別れた。おそらく美濃加茂から高速に乗って帰還する予定だろう。そしてW氏と当方はどこかで夕食をとるということで、瀬戸方面から帰還することにする。このあたりは当方が路線を知っているので、再びコントロールを引き継いでいく。
まずは国道41号線をそのまま南下して美濃加茂から国道21号線を少々走り、さらに248号線で多治見へ抜けるプランを提出している。ところで美濃加茂といえば「野口吾郎」だろう。当方はあまり本人が歌う姿を見たことがないのだが、コロッケが早送りで真似る「真夏の夜の夢」が一番印象的だ。特に曲の終わりに「あ〜」と裏声気味で歌う所が、早送りだとさらに高い音域になるので滑稽だ。因みにW氏はこの歌をご存知ないということなので、世代的には3つは上なのかもしれない。なにせうちの会社の部長がカラオケで歌うくらいだから。
さて、プランに従って木曽川を渡り、ここで国道21号線と248号線の重複区間に乗り換えて、headingを120とする。このままそしてさらに21号線を左に見送ってから248号線を走行するのであるが、多治見までの間に何箇所か渋滞する箇所がある。もっともなにもなければよいのだが、可児大橋手前あたりで早速混んできた。そこでルート変更でYの字の交差点を左折して県道84号線、さらに右折してJRの線路沿い県道64号線を走行して、県道83号線で多治見市街地へ入っていく。多治見と言えばK森氏であるが、今何をしているのだろうか。また、バレーボール選手だった多治見麻子も忘れてはならない。
くだらないことを考えて、この市街地をすり抜けバンバンで走行していたら、大衆車という名のメーカーで、GTIというグレードのついた車が「俺の眼前は俺の道」走法で車間を縫うように走行していった。ああいうのはベンチ（仮名）の運転手に多いタイプかと思っていたのだが、大衆車では珍しい。ひとまずコイツを、2車線が1車線になる国道19号線との交差点ですり抜けで抜かしておいた。これがある事件を引き起こすこととなる。
さて、晩飯を食べる場所はどこかあるかな、品野火の見下、紺屋田辺りに店があるなと考えつつ、何気にすり抜けでシグナルブルー。するとこの抜かれた車がなにやらパッシングしてジグザグに車体を振って後方のW氏をあおっている。よく見るとありゃ大衆車のGTIだ。やはり「俺の眼前は俺の道」走法を信条としているらしく、抜かれたことが気に入らないのだろう。そこで当方は速度を上げて引き離しにかかり、途中の交差点で左折してすぐさま国道に通ずる脇道に入り、GTIが通るのを待つ。一方張本人のW氏は「ぜんぜん気にしていなかった」ということだ。そう話しているとGTIが通過していった。我々も国道に戻り、走行を再開するするもGTIはどこかへ言ってしまった。W氏曰く「多治見から追いかけてきたのかなぁ」と。
こうして和食処「角甚」に入店して席につき、上記の出来事について話し合う。W氏は通勤時には125�佞離好�ーターを使用しており、車格から原付とみなされて、よくこの手の嫌がらせをうけるそうだ。もっとも氏自身は当然の如く他車の流れに合わせているだが。つまりは、流れに合わせているのなら問題は無いはずだが、やはり2輪は4輪の格下と思う人が多いのだろうか。もっとも、税金や保険が大幅に安いので、格下で結構である。
そして食事をしながら、いつものように業界への文句や、理想の2輪像について語り合う。その中で、Wは800�佞箸�900�佞�らいで復活できるはずだという結論に達した。だいたいホンダがCB1100で空冷を復活させているので、他メーカーにやれないことはなかろう。カワサキも現状のエンジンを電子制御すればなんとかなるだろうし、特にスズキは空油冷をずーっと開発してきているので、やれるはずだろう。問題は採算がとれるかどうかだろうが、この不況下では厳しいだろうかなぁ？
それにしても今日のR1-Z氏のコントロール区間はすごかった。何か恨みでもぶつけていたのだろうか。「丹羽乃この野郎」とか。それは冗談として、毎度ながら氏のコーナー突っ込みと脱出速度の速さには驚くばかりだ。もともと本格的にツーリングを手ほどきしたのは一応当方で、いきなり寒風吹きさす中を200km、中田島砂丘へ行ったことに始まる。それを皮切りに長野、岐阜方面の山岳ワインディングへと頻繁に出かけるうちに、いつの間にか大いに腕を上げたわけだ。思うに氏の走りはコーナー入り口が強烈に速い。後ろから見ていると、その速度で曲がれるのかと心配するほどだ。そしてコーナー脱出ではアクセル全開であるし、そのタイミングたるやコーナー頂点付近だ。氏の話によれば、当方のTDMを追いかけているうちに身についた術ということだが、それだけでここまでの走りはできない。やはり軽量マシンの特性を理解し、自分でトレーニングした結果であろう。もっともトレーニングにも2種類あり、実車に乗ってのトレーニングとストイック部を柱とした体力トレーニングであろう。
W氏と話していて、大和町出身の同級生である「アンマキ」が再び登場。当方が何回かツーリング記で紹介しているので氏もご存知であった。それだけ本ページを参照していただいているということで、有難い限りだ。林道のようなこともあるが、こういう方々にページが支えられている以上、出来る限りおもしろいツーリング記を作成していきたい。
こうして瀬戸市内でW氏は国道248号線、当方は県道57号線で帰宅した。
今回はW氏の新開拓のルートを織り交ぜたプランに沿って走行したので、とても新鮮であった。もはや地元周辺は走り尽くした感もあるのだが、繋ぎを替えて、そこに新しい区間を追加していけばまだまだ面白いプランを提示できそうだ。いずれにしても、今回のルートを考えてくださったW氏の事前調査、実走検証に感謝。
また、おそらく今回が梅雨前最後のWRT連合会の会合になりそうなので、皆気合が入っていた。初動はそれほど早い時間ではなかったし、行程の3分の1ほどの地点で昼食をとったにもかかわらず、距離が大きく伸びた。これはせせらぎ街道以降の平均速度の高さがものを言ったのであろう。なんか今日は何だか速い気がするなぁと思っていたのだが、本当に良いペースで走行できた。ルートとコントロールがよかったからであろう。
コントロールといえば、WRTのメンバーはそれぞれの「味」を持っている。80年代後半のF1ドライバーに例えると、W氏はどの区間でもそつなくこなすプロスト型、R1-Z氏はワインディング区間で強烈な速さを発揮するセナ型、当方は・・・、よくわからないオリビエ・グルイヤール型ということにしておこう。いずれにしてもツーリングにおいては、各人がルートを検討・把握し、それぞれの考えに基づいて走りを組み立てるのだが、そのスタイルたるや十人十色だ。そのスタイルを確立していく過程にこそツーリングの醍醐味があり、探求心を揺さぶられるものがあると思う。それがバイク選びに反映されるというものではないだろうか。決して流行がどうとかいうものではないと思う。
もっともそのスタイルを持たずに文句だけ言う人もいるようだが、それは自分でプランを立てて自力で走行することができない（やらない）人であろう。「はい、行こ！」というのはその最たる例ではなかろうか。
ともかく楽しいツーリングであった。また梅雨の中休みでも見つけてお手合わせお願いします。
本日の走行 450km