春近し 伊良湖ツーリング

〜復活への軌跡〜

 

2010年2月5日

 

菜の花を背景にTDM号

(ナックルガードがありがたい)

 

0.復活

 

昨年11月はうつ病の悪化から企死念慮に悩まされ、再び入院してしまったが、幸いにも会社は病欠を認めてくれた。すぐに退院はできたが、2010年末まではあまり体が言うことを聞かなかった。2011年に入ってからちょっと動けるようになり、初乗りも無事に行うことができた。また、平日は病院のディケアに出かけたり、トリデ二校作戦の実行等で徐々に社会復帰を進めている。会社には早いところ復帰したいが、「しっかり治療してから来い」と有難いお言葉を頂いた。世間も意外とやさしい所があるものだ。

 

さて、それにしても、この冬の寒さは半端ではない。よって先月の初乗り以来、ツーリングらしいツーリングを行っていない。しかし、ここ数日は少しずつであるが気温が上がってきている。心なしか日差しも少しだけ春の気配を感ずるようになってきた。こうなるとツーリングライダーの血が騒ぐというものだ。はやる気持ちを抑えつつ、週末にソロツーリングへ出発だ。こうしてできることを実行し、復活への足取りを徐々に確かにしていきたい。

 

話題は逸れるが、病欠中はバイク仲間や友人、ジムの顔なじみさんやバイトの学生さん、病院の主治医や介護福祉士の方々、当方は様々な人達に支えられていることを改めて実感している。いや、いままであまり意識していなかったが、実に多くの人が自分の周りにいたことに気づかされた、という言い方が正解だろう。誠にもって、まだまだ青い人間だということを思い知らされた。こんなんですが、今後ともよろしくお願いしたく思う。

 

1.出発

 

暖かくなってきたとはいえ、朝晩はまだ氷点下まで冷え込む。そこで出発は10時前となった。今日の飛行計画では山方面に行くことができないので、貴重であるワインディング路を往路、復路共に少しずつ組み込んでみた。

 

自宅を出発して、県道57号、56号、国道1号と繋いでいく。この際安城市内でTDMの累積走行距離が70,000kmに到達。新車購入後8年と3ヶ月で達成したのだが、累積100,000kmを目指しているので、より一層の安全運転に力を入れていきたい。因みに機体の方はサスペンション分解整備、タペット調整、ステアリングステムヘッドベアリング交換、その他ベアリング類の給油、エンジンオイル交換、冷却水交換、洗車と基本的整備を中心に施している程度だが、問題は全く無い。絶好調である。

 

70,000km達成記念の図

 

この後岡崎で国道247号線に乗り換え、鉢地坂トンネル付近のワインディング路を通過する。このワインディング区間の走行では、どうも車体が思うように向きを変えてくれない。こういうときはニーグリップの再確認が必要だ。ひざだけでなく、かかとや足の側面も重要なチェックポイントだ。これにより、コーナー進入時に、腕の力を抜くことができるようになる。

 

峠を越えて下り区間ではこの辺りを意識して、右へ左へと低中速のS字コーナーが連続する。上記のように理屈では解っているが、どうも肩に力が入っているようで、左カーブが若干危なかしい。しっかり減速して向きがえを意識する。しかし時既に遅し。ワインディング路は終了して、蒲郡の市街地へ入ってしまった。上記のように貴重なワインディング路を不完全燃焼で終えたことが残念だが、仕方なかろう。

 

ここからは国道23号線で西進していく。ラグナシアのヨットハーバーを横目に車輪を進め、道は片側二車線になる。こうして右手にラグーナ蒲郡と三河湾を眺めつつ、快走していくのだが、この道沿いにあったマックが潰れていることに気がついた。ここは寒い日にコーヒーを飲んで休息する、お気に入りの地点だったので残念だ。

 

さらに進んでいくと御津町へ入ってくる。ここで再び片側1車線になってしまい、交通の流れが一気に遅くなってしまう。しかし、国道23号線は現在バイパス路を延伸工事中で、豊橋バイパスが開通すれば渥美半島への接続はぐっと良くなる。普段はあまり使わないとはいえ、冬のツーリングでは重要なルートなので、これを期待しているのは当方だけではなかろう。

 

その豊橋バイパスの建設中である橋脚を左に手に見ながら、豊川橋へと進んでいく。この橋は以前は有料だったので、渥美半島へ向かう場合はわざわざ豊橋の市街地を通っていたが、現在は無料化された。これにより、30分は時間が節約できるようになったのではなかろうか。ただ、当方にちょっかいをだしてきた、大学の同級生である、井上女史の自宅の近所を通る口実が無くなったのは残念だ。

 

国道23号線から同237号線へ乗り換えて、headingは270となる。このまま国道を流していけば伊良湖へたどり着くことができるが、ここは県道556号線で六連へ向かい、そこから国道42号線を利用する。さて、この国道42号線は伊良湖の先、海を隔てて紀伊半島にも存在する。この海の区間は伊勢湾フェリーが運航されており、重要な役割を果たしている。以前にもどこかで話題にしたと思うが、廃止寸前にまでになったが、それを免れた。また知多半島の師崎(もろざき)への名鉄フェリー、航空無線標識で有名な河和への高速船も運航継続になった。まったく廃止にならなくて本当に良かったよ。

 

2.道の駅 あかばねロコステーション

 

こうして渥美半島を走行していると、キャベツ畑がやけに多いことに気がつく。さらに、ここのところの雨不足からか、スプリンクラーで派手に水を撒いている。中には勢い余って道路までにも水が飛んできているではないか。危うく水滴を被るところだった。関係ないが、イランの首都はカブールである、だから女性はスカーフをカブール、そんなわけはない。

 

ここまで約2時間走行してきたし、渥美半島に入ってから少々風が出てきたので、道の駅で休息をとることにする。ところでこの道の駅は極最近に開設されたようだ。南向きの綺麗な、地中海の建物を模した雰囲気で、バルコニー風の場所にベンチが置いてあり、今日の暖かい日差しをいっぱいに浴びることができる。ひとまずトイレに行き、暖かいコーヒーを購入してゆっくりする。

 

道の駅あかばねロコステーション

(今では珍しいGPZ900Rも)

 

ここで珍しく携帯電話の着信を確認してみると、友人の天野氏よりメールが入っていた。当方が昨日デイケアについて報告したのだが、その返事に「若いお姉さんと接すると、気分も前向きになるよ。機会あれば積極的に出向こう」とアドバイスが書かれていた。彼とは大学時代からの付き合いだが、随分と心の支えになってくれる。持つべきものは友人だろう。また、12月末にはるばる100km離れた当方の自宅まで出向いてくれ、WRT忘年会に参加してくれた梅さんも同様だ。もちろん他のメンバーも皆大切な仲間である。

 

ボーットして皆に感謝しつつ、凪いだ海を眺めてコーヒーをすする。関係ないが、赤羽根というと世界GPの125ccクラスで大活躍した「ノビー」こと「上田昇選手」の出身地だ。彼の戦闘的とも言える、勝負に出る時の走りには肝を冷やしたものだが、勝負の世界はあれくらいでないと前に出ることはできないのだろう。今更ながらに彼の闘争心の凄さには驚く。

 

3.伊良湖みなと市場

 

休息後は再び国道42号線でheading270、速度40ノット程度を維持して伊良湖へ向かう。この辺りまでくると、ヤシの並木があったりするので、南国気分に浸ることができる。また、そのせいだろうか、体感的にも暖かく感ずる。

 

こうして日の出石門の東側にある、いつも立ち寄る海岸べりのポイントで昼食にする。ここには2件の店があり、昨年は「日の出丸」という店で「焼大あさり定食(特大あさり定食ではない)」を食べたので、今日は隣の「伊良湖みなと市場」を選択する。

 

店内は長テーブルと座敷があり、20名程度が収容可能な広さだ。メニューは品数が絞られていて、「焼き大あさり」と「大アサリみなといちば丼」の2種類のみだ。当方は腹が減っていたので、アサリみなといちば丼(880円)を注文した。どういうものが出てくるのか、ちょっと楽しみであり、かつ不安もあったことは言うまでもなかろう。

 

果たしてその丼が運ばれてきた。今更ながら中身について尋ねてみると「アサリのフライとエリンギのフライに甘めのタレがかかっていて、チーズをのせてある」とのこと。「これは失敗だったかな」と思い食べてみると、エリンギとアサリの歯ごたえがよい。タレはちょっと味が濃いせいか、素材の旨みがやや消されてしまっている。しかし、チーズはなかなかの好相性で、タレに甘みにコクを加えている。これはアリだろう。猪木と戦ったのはモハメド・アリである。

 

大あさりみなといちば丼

(左上の小鉢は小女子の酢の物)

 

ところでこの丼であるが、どうやらこの辺りの飲食店が協力して、各々の店で地の素材を用いた丼を販売しているらしい。それが一覧になった「どんぶり街道手形」も一緒に配布されてきた。詳細は田原市観光協会のページを参照されたい。また、清算時には、地元産のキャベツもお土産として頂いた。気前の良い店だ。

 

昼食を食べた後、目の前の砂浜を見てくつろぐ。ここは島崎藤村の詩「椰子の実」の舞台になった場所である。中学時代に国語の時間で取り上げられたことがあるが、今思うと純愛的というか、一途というか、切ないというか、派手さは無いもののグッとくるものがある。話は違うが、大学時代、登校前に視聴していた「ウゴウゴ・ルーガ」という番組で、「ウゴウゴ君とルーガちゃん」、そして「シュール君?」との掛け合いで「ヒトデとあ・と・で。言われてグッと来るのはどっち?」というものがあったことを思い出した。

 

店舗前に遠くまで続く海岸

(自転車道も併設されている)

4.帰還

 

さて、時刻も14時を回っているので先に進むことにする。国道42号線を伊良湖岬先端方面へさらに進み、恋路が浜を見下ろす高台を通る道で潮風に当たりながら、景色を楽しむ。この辺りは遠州灘沿いに長い砂浜が続いている、ちょっと珍しい光景を見ることができる。

 

そして岬で折り返して国道259号線を35ノット、heading070で走行する。ところで、この辺りは夏は海水浴やサーフィン客で大いに賑和卯事はもちろん、冬でもそこそこ人出があるようだ。というのも、毎年この時期には各所で菜の花畑が展開されるからだ。せっかくだから当方も見ていこうと人の少ない畑に入り、マシンを停める。この寒い時期にこういう鮮やかな黄色を見ると、なんだか暖かく感じるから不思議だ。当方はこう見えても割合と花好きであるようだ。もっとも、美しいけどトゲがあるものは、バラならずともご遠慮願いたい。

 

一通り写真撮影をし出発しようとしていると、一台のSRXが畑に入ってきた。一瞬「友人のCOUGAR氏か」と思ったが、マフラーが違うので別人とすぐに判別がついた。余談だが、当方はマシンの登録番号板やちょっとした傷、ステッカーなどから友人かどうかを判別することがしばしばある。というか、すれ違いざまなどに顔なんて判別できないでしょう。2輪だとヘルメットを被っているわけだしね。

 

こうして国道へ出て再び走行再会だ。陽が傾き始めてきたせいか、若干寒く感じる。しかし、今年は一大投資?で大型のナックルガードを装着しているので、全くの吹きっさらしではない。昨年までに比べたら冬のライディングの快適性は数段向上している。

 

この後、SRX氏に手を挙げて挨拶し、再び国道を東進する。この辺りは海岸沿いの道であり、気温も高めなので気分が良いのだが、もやが掛かっていて、対岸の蒲郡や三ヶ根山などが見えない。春霞というやつだろう。

 

さて、こうして途中の草間口まで国道を進み、市街地を避けるために県道2号線へ乗り換える。こちらも海沿いの道だが、残念ながら景色はイマイチだ。

 

こうしていつも立ち寄る蔵王山を右手に見つつ通過し、工業地帯へ入ってくると道も片側3車線と広くなる。また、巡航速度も高く、そのまま国道23号線に乗ることができるので、国道259号線から23号線に繋ぐよりも大きく時間が節約できる。帰路にはこういう道が適していると思うが、如何に。

 

この後、国道23号線で豊川橋を渡る。遠くには豊橋駅前のビルが見えるのだが、豊橋というと、何回も記載して「未練がましい」と思うが、やはり大学の女友達であった、イノヤンこと井上女史を思い出す。彼女との唯一のデートである、日本平へのドライブに行ったのは、丁度このくらいの時期だったような。途中の海岸でヒトデを拾ったり、景色を楽しんだりと夢のような時間だった。傑作なのは彼女がそのヒトデを当方の車に置き忘れてしまい、後日電話で話した際にこんなやりとりがあったことだ。

 

当方:忘れ物したでしょう?

井上:え?何か忘れたっけ?

当方:オウ。まあどうでも良いものかもしれないけどねぇ。

井上:パンツを忘れたわけではないよねぇ?

当方:?????ヒトデだよ。

 

だいたいイカガワシイことをしてもいないのに、どうして下着を車に忘れる必要があるのだ?ひょっとして期待していたのか?ますます未練がましいが、惜しいことをした。

 

そんなことを思い出しては苦笑いをし、国道23号線をheading300で走行する。時間的には15時過ぎなので予定通り、蒲郡から国坂街道こと県道366号線へスイッチし、三河湾スカイラインを目指す。峠へ上っていくにつれてカーブのRが小さくなっていき、気分が高まるのだが、往路同様にどうもマシンとライダーがうまくかみ合わない。まずはニーグリップをしっかりとやり直し、遅めの速度でセルフステアを意識する。

 

こうしていよいよスカイラインの入り口に到着した。ところが、「冬季路面凍結の為、通行止」ときたものだ。「昨年はそんなことなかったジャン」と独りヘルメットで叫んでも始まらない。今上ってきた国坂街道を下っていき、国道23号線に乗りなおしてから蒲郡市街地を通過する。

 

この後、同国道岡崎バイパスに乗るのだが、その手前にあるデンソーの事務所周辺のワインディングを軽く流す。なんとかワインディング走行時間を確保したかったので、こんな小規模の道でもありがたく思えた。

 

ここからは傾いた陽の光を横方から受け、気温が下がり始めた国道23号線から県道56号線を一気に走行して帰宅した。

 

5.まとめ

 

この時期は山のワインディングは走行できないが、冬ならではの光景もあり、第一混みあっていないことが有難い。山道の走行は夏に十分堪能して、今の季節しかできないことをするれば良いだけのことだ。

 

本日の走行 240km

 

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