2014年9月28日
黄昏の瑞浪YZサーキットにて
管理人とZC11S型機
こう見えても、管理人は人よりはレース、サーキット走行の経験があるのではなかろうか。別項で触れているが、兄貴主宰のレーシングチームでは4年間、雇われ監督、メカニック、時にNSR50を駆るライダーもこなしていた。これに加え1993年、1994年はスズキの竜洋テストコース走行、1996年は徳島県の阿讃サーキット、1998年は8耐のイベントで鈴鹿サーキット東コースを走行した。
上記のように、集中して1990年代前半〜中盤にレーシングコースを楽しんでいた。それは、この頃は当方はまだ暇な(本当は勉強していなくてはいけなかったが)大学生であり、偶然にもスズキがGSX-Rシリーズの水冷化、フレームから新設計という大仕事をこなすなど、2輪市場で元気な時期だった。
そこへきて、春になると各バイク雑誌に「試乗会開催」の記事が掲載され、これを見逃すわけもない。早速、各年代でお世話になっていた店に参加を申し込みに走った。尚、もっとも大規模なサーキットは、やはりスズキの本丸である「竜洋テストコース」でのものだろう。これには2回参加しており、1回目は一人、2回目は友人の梅さんと一緒出かけた。多分1回目の話をしたら、「俺も連れていけ」ということになったのだと記憶している。また、偶然にも2回目の際、北海道で一緒に温泉に入った方にも再会したことも補記しておこう。
かくして、竜洋で新発売のRF600、GSX-R750、GSF1200、なぜかイントルーダー800でも全開走行して、「バイクってこんなに速いんだ」と感銘を受けたものだった。しかもこれ、全部タダで、当時はスズキ車一筋だったKENZ代表の川島賢三郎氏のトークショーも同時開催だった。1996年は川島氏に加え、東海の暴れん坊こと、水谷勝氏ともお話させてもらったこともある。当時の写真が無いことが残念だが、20年以上経った今でも春になるとこのことを必ず思い出す。
時は過ぎ2014年秋、再びサーキット走行の機会に恵まれた。WRT連合会のオフロード部門として設立された、DX協会のメンバーであるOLD氏から「YZサーキット東コースに行きませんか」とお誘いを受けた。えー、俺2012年に購入した7年オチのスイフト1300しか持ってないんですけど・・・、一応マニュアルトランスアクスル車だけど。そう答える管理人に、「過去には日産キューブで走行した人もいた、マニュアル車なら十分」と強く押され、それならばとその気になってしまい、とりあえず現地に行くことにした。いや、現地へ行けば走りたくなるに違いない、走行する気は満々である。
マシンのウォームアップを兼ねて、自宅アパートから1時間30分程度走り、瑞浪市のサーキットに到着した。この際、前の枠の走行が始まったばかりであり、40分程度の待ち時間があることがわかった。尚、料金であるが、ここでは50分を1つの走行枠としており、当方のようなビジター料金は5,000円/枠である。
支払いをすませてから走行準備にかかるが、当方の車両は4点ベルトが装備されていない。そこで、OLD氏が以前使用していたものを拝借した。また、空気圧やオイル、冷却水、その他チェックを進めていく。普段から洗車の時などに色々とチェックをしているので、別に悪いところはなさそうだ。ただ、タイヤがちょっと古いので、この走行の後には交換が必要かもしれない。
先日車検を済ませたばかりのマシンで、いよいよコースインだ。当方が走行する時間かこれから50分であるが、コースレイアウトは2コーナーは奥のコーナーを使うことができる、ロングコース仕様である。詳細は以下のレイアウトをご覧いただこう。
YZサーキットコースレイアウト
(http://www.yz-circuit.com/yz-link%20date/course_gude/course_guide_top.htmlより引用)
久々のサーキット走行、しかも4輪は初めて。これがドキドキしないわけがなかろう。ちょっと浮き足立っていてペダル操作がなんとなくぎこちないが、とりあえずコースイン。
それでは行ってきます
(ペットボトルは片付けておかないと、非常に危険です)
気持ちばかりが盛り上がっているこの状態で、上手く走ることはできない。まずは気持ちを落ち着けて冷静になり、コース状況をチェック、理想走行ラインの確認、そして車両操作に慣れることから始める。それにしても、スイフト号は、普段は2,500r.p.m.程度と航空エンジン程度の回転数しか使用していないので、ギアを2速にしておいて、5,000r.p.m.程度まで使ってみる。一応吸気側には可変バルブタイミング機構を備えているM13A型エンジンは、予想以上のパワーを発揮してくれて、慣れない管理人をビビらせてくれる。
2,3週走行したところで一旦ピットインし、落ち着いてコース図を確認する。頭の中では一応のラインやブレーキングポイント、クリッピングポイントを設定しているが、実際の走行ではメチャメチャで、「とりあえず周回できるようになった」というレベルだ。こうなったら理屈ではなく、考えながら走り込んでいくしかない。1周で1分ちょっとだから、30週以上を目標に頑張ろう。
計器盤で各部のチェックを終えて、再びコースに入る。一緒に走っているOLD氏、全然知らないCIVIC TYPE R '98SPEC.と適当な間隔を空けて走りたいが、2台共にすぐ追いついてくる。その度にミラーを見ながら先に行ってもらうが、これもなかなか難しい。ライン取りなどを考慮して、行きやすい所ですかさずハザードランプを点滅させる。
10週ぐらい走っていたら、アクセルやブレーキの踏み加減、ハンドルの切り加減がほんの少しだけわかってきた。なるほど、4輪の場合はコーナリング時でもある程度の安定性が確保されているので、結構思い切ってコーナーに突っ込んでも問題無いらしい。ただ、あまり突っ込み過ぎると少々古めのタイヤが破裂しそうなので、その辺りは自分で制限しておく。
また、アクセルやブレーキは一般道でも同じではあるが、じわっと踏んでいかなければならない。アクセルについては「エンジンの吸気の流速をイメージして」、「ブレーキは田んぼに足を突っ込むように」などと具体的な例えに従うことがよろしい。
さらに走り込んでいくと、コーナー毎の加減についても考えられるようになってくる。直線からの1コーナーは300Rぐらいと推定されるが、ここはできることなら3速全開で走り抜けたい。実際は3速に入れて、アクセルを戻し気味でというところだった。
2コーナーは70Rぐらいとややきついので、2速に入れてアウト一杯から進入する。この際、3コーナーが左向きなので、できるだけ頭を入れておいてから、クリッピングポイントを思いっきり奥にとりたい。実際は、これでどうだと突っ込んでみるが、アンダーが出てクリップに付くことができない。進入速度が高い割にアクセルを踏み込めていない、恐怖でハンドルを必要な分だけ切られない、そんなわけで3コーナーはインベタでヨロヨロと通過するという醜態をさらしてしまう。
続いて4コーナーであるが、50Rぐらいかな。2コーナーよりも少しきつく、2速で進入する。ここはハンドルを切るタイミングが遅れがちで、逆に突っ込み過ぎになってしまう。理想は、手前から緩やかに曲がり始め、アクセルはパーシャルを維持してコーナリングスピードを稼ぎつつ、次の5コーナーヘアピンへ向かうべきだろう。
その5コーナーだが、30R程度のヘアピンで、出口側にはホームストレートを隔てるためのコンクリート壁がある。これにぶつかっては話にならないので、十分に減速しつつできるだけ奥へ突っ込んで、クリッピングポイントはコーナー出口付近としたいところだ。実際の走りでは、原則しすぎでコーナー後半はインベタである。
さて、裏のストレート(実際には非常に緩いコーナーを含んでいる)であるが、ここは思いっきりアクセルを踏んで3速に入れる。タコメーターではリミット手前の6,000r.p.m.付近が使えているので、このマシンにしては上出来である。いかにもスズキのエンジンという音がするのだが、以前乗っていた4輪のワゴンR、2輪のRF900もこういう系統の音がするので、スズキの遺伝子を感じる。
そして最終の6、7コーナーは連なっている複合形態のそれなので、大きな一つのコーナーと解釈する。大きさは100R程度と推測でき、直線で乗った速度(おおよそ3ケタにいくかいかないかぐらい)をブレーキングで落とし、アウトベタのように進入して向き変えポイントを意識しながらハンドルを切り足し、7コーナーのアペックス辺りをクリッピングポイントとして、後はストレートに向けて全開あるのみだ。実際は、7コーナーへの付きが甘く、何となく大回りでストレート加速になってしまう。
こうして1周の旅が終わるのだが、結局「こうすればよいかな」ということはイメージできても「実際はそのように車を操縦できない」という、典型的な素人走りとなってしまっている。こういう場合は、どこか1つに重点コーナーを絞り、そこだけを意識して理想に近づけていくことが近道である。丁度、バレトンの「ここだけ頑張りますよ〜」という考え方だ。だいたい人間は一篇に色々なことができるほど器用ではなく、何かに集中して1つづつ問題を解決していくしかないのである。
管理人の場合は2コーナーを重点項目にして、ブレーキングポイント、クリッピングポイントを明確にしていく。なぜここにしたのか、それは仮にコースアウトしても人工の障害物が無いし、コーナーそのものにカントがついていて、曲がりやすいからだよ、ヤマトの諸君。
理屈ではこうなるが、実際の走りをご覧いただいて、突っ込みをいただきましょう。
オークラ氏の外部カメラからの映像です。
なんだかんだで、トリップメーター表示で30km以上走行できたので、概ね目標は達成できたと言えよう。
こういう体験はなかなかできないし、全開で走行したことは公道での運転時に「マシンの性能はこれだけなので、このくらいにしておこう」と判断基準を与えてくれるので、大いに役に立つ。以上、サーキット走行報告でした。
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