エアロビクスインストラクターが誕生するまで

〜管理人自らが挑戦した、120日間+∞のドキュメント〜

 

 

会社裏の公園にて管理人

(写真提供:オークラ氏)

 

 

第3回講義(5月20日)

 

3-1 学科

 

早速勘違いをしていました。宿題の「描写キュー」っていうのをしっかりと理解しておらず、「動き方のキュー」を羅列してしまった。どう違うのか。「描写キュー」とは別名「イメージキュー」と呼ばれ、「その動作を別の分かりやすい、一般的な動作に例えて出す指示」のことである。例えば足を高く上げて歩くことならば、「段差を乗り越えて歩くように」とか、ヒールタッチなら「踵で地面を掘るように」などである。当方はこれを「足を高く上げて」、「踵を床に置いて」などとしてしまい、「これは動き方のキューである」と指摘を受けてしまった。ナハハ、俺って頭悪いなぁ。

 

これについては、同じ受講生のK氏がとても上手い表現をしていた。彼女は当方等が所属するジムの職員で、体操のレッスンを行っているそうだ。うぅ、当方は既に遅れをとっていたのか。もっとも、人生ではいつも遅れをとっているので、いまさら嘆くことなどなかろう。

 

因みにこれら描写キューは初心者の方を指導する際、ステップ名もその動きも知らないと思われるので、とても有効である。いきなり「シャッセ」なんて言っても、初めての方が知るはずもない。

 

そんな勘違いに気づくことから学科授業が始まった。今日は筋肉の主動筋、拮抗筋について。筋肉がアイソトニック活動(等張性活動)で考えよう。収縮する筋肉と、逆に伸張する筋肉が存在する。例えば手でダンベルを持ち上げる場合、重力に逆らって肘関節を屈曲すると、盛り上がる筋肉(上腕二頭筋)が一番大きな力を発揮していることになる。これが「主働筋」と呼ばれ、この裏側の伸張する筋肉(この場合は上腕三頭筋)が拮抗筋となる。さらに、この場合、腹筋や背筋などが体をしっかりと支えていないと、ダンベルは持ち上げられない。こういう筋肉を補助筋(安定筋)と呼び、上記主働筋と共に動く三角筋などを共働筋と言う。

 

因みに、アイソトニック筋活動には、コンセントリック活動、エキセントリック活動がある。それぞれ「筋肉が収縮しながら力を発揮する活動」、「筋肉が伸張しながら力を発揮する活動」である。前者は理解しやすいが、後者はやや複雑だ。例として、腕相撲で負けている人の腕は「エキセントリック活動」である。

 

また、アイソキネティック筋活動という概念もあり、これは「等速性筋活動」と呼ばれる。呼んで字の如し、同じ速度で伸張・収縮しながら力を発揮する筋活動という考えである。腕相撲なら、今まさに勝負をつけようとしている状態である。ボートを漕いでいる場面も当てはまろう。

 

3-2 実技

 

実技は早速動きを教えていく過程の基礎を教わる。エアロビクスの場合、まずは基になるコリオを指導し、そこから変化要素を乗せていく(レイアリングと言う)。この一連の過程をブレイクダウンと呼んでいるが、これはあるステップについて、その本質まで迫る(ブレイクダウン=割り崩す)ことに由来しているようだ。また、レイヤリング<レイヤーは層のことで、動きに変化要素の層を被せていくことである。

 

そのための基礎として、まずはリードチェンジムーブについて教わる。これはリード足(音の最初に動かす足)を自然に入れ替える動きのことである。レッスンを受けていると、いつの間にかリード足が入れ替わっているのはこの動きを利用している為である。そして、これにより左右対称の動きを行うことができるので、左右の筋バランスを崩すことなく、繰り返しコリオを踊ることができのである。

また、ステップを教えていく際に、同じ長さの節内で、同じ部位の動作の繰り返しを、1回を2回、2回を4回というように増やしていく手法がある。これをピラミッド方式と呼び、逆に4回から2回に減ずる方法をリバースピラミッド方式と呼ぶ。それぞれをその場面や、ステップの繋ぎなども考慮して、適切なものを使っていく。

 

そして、いよいよ指定されたコリオを教えていく練習をする。

 

A. グレイプバイン

B. 4レッグカール

C. 前4つ、後ろ4つ

D. ステップタッチ

 

これを教えるにあたり、上記のリードチェンジムーブの節であるB節をピラミッド方式で整え、その後はAを加え、さらにC、Dを追加していくという定石通りの方法を用いる。ちなみに、上から順番にA、B、C、Dとしても、この場合は構わない。

 

一人ずつ前に出て教わった通りに実践してみるが、すぐにできる程世の中は甘くない。もちろん、中には上手い娘もいるよ。それにしても、自分のリードで他の受講生方がついてくる、この感覚はとても言葉では表現できない。M先生曰く、「自分の世界へ連れて行く」ことがリードすると言うことだそうだ。

 

この後は恒例である、動きのチェックである。キューを出され、ステップを踏んでいくのだが、いつものように「大きく動くこと」、「マンボなどの縦方向の動きをもっと綺麗に」のこの2つが大きな課題であることには変わりない。ヒントとしては、足を前に出す際は、大殿筋をコンセントリック活動させるようにすることが大切である、とのことだった。また、もっと躍動感を持たせる=筋の弾性を鍛えて、ポンポンと跳ねるが如くにステップを踏むようにとのことだった。

 

宿題は筋肉を3個以上選んで、主働筋と拮抗筋を3対、描写キューを再び3個、そして今日のコリオ(8*4=32カウント=1ブロック)をよどみなく、キッチリした動きで見せるようにしてくること)である。またまた大変なことだ。

 

3-3 実技練習

 

ご存知のように、当方はしがない会社員である。もっとも、今のところ、自分にはこれが最良の道だと思われるので文句は多々あるが、仕方ない。いや、そんなことはどうでもよい。仕事をして練習をする、結構キツイんだよな。そこで、昼飯後に会社裏の公園にて、練習をすることにした。こういう細切れの時間も有効に使っていかなればならない。「仕事があるから・・・」という言い訳はしたくない。実際はその通りだが、この夏はエアロビクスに費やすことに決めたのだ。やれることをボチボチやるしかないのだ。

 

ところでこの公園だが、住宅地の中にあるので色々な人が通る。もちろん、会社の人もよく散歩しているのだが、そんな人たちにいぶかしがられながら、ほんの10分、15分でもステップを踏んでいく。おまけに蚊もブンブン飛んでいて、なんだかかゆい。

 

負けないぞと練習していると、偶然にもオークラ氏が登場した。彼は当方がインストラクターになるように「後押し」してくれた重要人物だ。彼の提案が無かったら、おそらくこの状況にはなっていないだろうし、後々後悔するところだったに違いない。迷っていた当方を送り出してくれた。この場を借りて感謝申し上げよう。

 

それはそうと、なぜ彼が公園にいたのか。どうやら、薄暗い事務所を出て陽に当りたいがため散歩しており、当方を発見したとのことだ。もっとも、彼は毎年海へ行き「インド人」くらいに日焼けしている、ある意味超ストイックな人であると追記しておこう。

 

イントラ養成コースを卒業できないかもしれないという危機を感じつつ、課題を練習していく。オークラ氏はそれを見て「なんか既にインストラクターの風格だ」とお世辞を言っている。お世辞とわかっていても嬉しいものだ。素直に喜ぶことにする。

 

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