そんな感じで、G.W.最終日の日曜に第1回目の講義がおこなわれ、養成コースのスタートを切った。尚、講義時間は10時15分〜13時45分までの3時間半である。ここで他の2名の受講者とも顔を合わせた。おお、二人とも若くてかわいらしい。これまたツイてますなぁ。そして師匠のM先生、師範代はK先生、気づいてみたら男は俺だけかぁ。嬉しいのか、悲しいのか、不安なのか、嫌なのか、なんだか複雑な気持ちである。というのも、当方は正直、女の人と接触することはその程度に関わらず、けっこう難儀だと思うことがあるからだ。
その主原因はおふくろの教育、当家の遺伝的性質にあるものと思われる。加えて思春期における当方の偏った考えを形成した、おふくろの死により男所帯の居心地の良さへの気づき、学校生活における女子生徒、学生との意思疎通の難しさ等々、益々苦手意識を強める結果になってしまったのだ。
こんな管理人であっても、M先生のご配慮で、当方もエアロビクス・インストラクター養成コース、10期生の一員ということにしていただいた。嬉しい限りである。
ところで、第1回目講義の前に、諸々の注意事項があった。その中でも我々が所属する一味は「先輩は、苗字ではなく名前で呼ぶ」というものがあった。K師範代はMさんなので、「Mさん」と呼ぶのだが、なんだかとても照れくさい。結婚していた当時でも元嫁を名前で呼んだことはなかったし。また、M先生はYさんなのだが、これはさすがに無理だ。大先生をそのようにお呼び申し上げることはできない。
こうして学科の授業が始まる。ステップ台を机にして行うところがいかにも体育会系らしい。
まずは教科書が配布される。一つは「医道の日本社」刊、「身体運動の機能解剖」、そしてM先生の持つノウハウを書き出した、オリジナルテキストが2冊である。まず機能解剖の教科書だが、ずいぶんと専門的なことが書かれている。恐らく、マッサージ師等の専門学校、いや大学の医学部で使われているのかもしれないと思われる、とても難しい内容のものだ。そして後者は主にインストラクターとしての心構えや技術的内容を解説したものである。
なぜ、インストラクターが解剖学に触れるのか。それは、筋肉や関節の動きを学問体系的に学ぶことにより、ストレッチや筋トレ、コリオグラフィ(振り付け)の作成に役立つからだ。そしてもう一つの教科書を用いて授業が始まる。
このオリジナルテキストであるが、最初のページには、「自分のインストラクターとしてのイメージを色で表すと・・・」というページがある。これは、自分がイントラとして活躍する姿を想像し、その色で長方形を塗るというものだ。これは自分が辛くなった時に、あるいは自分を見失った時にこのページを思い出し、なぜ自分がイントラを目指すかを再確認するという、重要なページだと説明があった。なるほど、世間一般にも言われている「成功した時のイメージを持て」という」ことを、可視化する。とてもわかりやすい。
次のページからは、フィットネス理論について書かれている。これはつまり、「健康でいられるように活動すること」と定義されている。また同時に、我々が目指す所は、運動というフィットネス活動に含まれる、「エアロビクス・ダンスエクササイズ」を専門に指導することである。
さらに、その「健康」については、WHOの指針によると、「精神的」、「肉体的」、「社会的」において良好な状態でいることである。そうか、これを聞いて思うことは、「我々の業界人ならほぼ100%健康に問題あり」かもしれない、ということであろう。もちろんこれは当方の私的な見解であり、正しいかどうかはわからない。
休息を挟んで、学科の次は実技の授業に移る。
まずはリードする時の声、「1オクターブ高い声で」ということだが、女性の方々は良いが、当方男なのでなんだか変かなと思うが、それなりにやってみる。また、歯切れよく、腹筋を使って発声するようにと教わった。なるほど、全てが逆だったら「こんなインストラクターは嫌だ」というネタになってしまう。
その後、イントラの基本中の基本、立ち姿勢を教わる。それは、足の裏の外側くるぶし側、1/3程度の位置に体重を乗せて、へそ下3cm程の所に力をいれつつやや胸を張り、肩の力みを抜いておくというものだ。結構これって大変で、やけに背中が疲れるんだよなぁ。続いて歩き方。足首を柔軟に使い、足を上げた際に甲を見せるようにして、着地は親指から拇指球へと静かにおこなう。これも結構難しい。よく意識していないければ、すぐにベタベタと足の裏から着地してしまう。
そしてマンボやグレープバイン、ランジアップなどの基本的ステップを習う。これが正確に行おうとうするとかなり大変だ。今まで、いい加減にやっていたことがバレバレなので、練習しておかないといけない。特に気になった点は、当方は体に対して縦方向の動きがどうも良くないらしい。また、横方向はそれほど悪くないということだった。
一通りの基本を習い、実際に音に合わせてステップを踏んでいく。マンボやグレープバイン、ランジアップなどの基本的ステップなのだが、正確に行おうとうすると、またまたかなり大変だ。今まで、いい加減にやっていたことがバレバレなので、筋トレでしっかりと体をつくり、練習しておかないといけない。しまった、こんなことならもう少し一生懸命ウエイトトレーニングをしておくべきだった。まさに後悔先に立たずだ。
この際、M先生からさっそくご指摘があった。当方は体に対して縦方向の動き(矢状面方向)が良くないらしい。具体的にはマンボステップがヘタだということだ。確かに、足がもつれるような感じがする。これについては、M師範代より、足を前に出す前段階、すなわち後ろへ引く際に大きく動き、前方向はその流れで大きくなるとアドバイスされた。余談だが、「ドーンとぶつかって、あとは流れで」とは相撲の八百長だ。
一方、横方向(前額面方向)はそれほど悪くないということだった。ただ、スクワットなど、股関節をしっかりと屈曲させてメリハリのある動きをする必要があるということだった。さらに姿勢についても、あごが上がりぎみであるとのことであった。これについても師範代からは「姿勢が良い状態をとおり越えているので、少し楽に、いつも通りで良い」と助言があった。
そして一番ヘタなのは、「動きが小さい」ということであった。ダイナミックに動いて魅せる、これがエアロビクスの神髄のようだ。なるほど、恐れ入りました。
こうしてあっという間に14時45分を過ぎ、終了となった。いよいよインストラクターへの道を歩き出したわけだが、不安と期待が入り混じる、不思議な気持ちだ。どうなることやら。